創真side
「いや~創真の家は眺めが良いな!」
キバットが天井に急遽設置した止り木にぶら下がりながら、感想を述べた。相棒となったのは良いのだが、家に同居するとはな…………まぁ、それは百歩譲って良しとしよう。しかし、問題が1つ残っている。これを氷室さんに説明するかどうかだ。
こんなのを説明してもねぇ………………
「失礼します」
キバットは瞬時に机の下へ。あとの2人は透明化した。
「創真様……………今日のご予定は?」
「い、いや特にないです」
「そうですか……………それと、誰か居ますよね?」
「え」
「私、霊感あるので……と言うか目に見えてます」
「はい!?」
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「相棒…………ですか」
観念したホリーとデュオとキバットは姿を現し、いろいろ説明した。
「まぁ、特に迷惑にはならなさそうなので、私は追い出したりはしませんよ。ただ、ここはペット禁止なので…………コウモリはちょっと………」
「俺様をペット扱いするんじゃねぇ!俺様は魔族のコウモリだ!」
「………………じゃあ、そう言うことにしときますか。まぁ、あんまりどんちゃん騒ぎしないでくださいよ?」
ホリー達に釘を刺して氷室は創真の部屋を出ていった。
「いや~追い出されるかと思ったよ…………」
ホリーは地球の滅亡の危機でも回避したような表情を浮かべていた。
「あの青年は広い心の持ち主だな。我々の滞在を許可してくれるとは」
「俺様はペットじゃねぇー!」
「キバットは落ち着け…………」
♪♪♪♪♪♪♪♪
「電話……倉橋さんか。もしもし?」
『創真君?今日ね、動物園行こうと思ってるんだけど、良かったら一緒に行かない?』
「え、うーん………………まぁ、どうせやることないし良いですよ」
「良かった!じゃあ1時に会おうね!」
通話を終えると、創真はホリー達がにやにやしながら見ているのに気づいた。
「いや……何です?」
「いや……なんか良いなぁと思って……同年代の女子とデートとか」
にやけたホリーにそう言われ、珍しく創真は不思議そうな表情を浮かべた。
「これデートって言うのか?」
「え、だって同年代の女の子と2人きりでどっかに行くって、これデートって言って間違いないでしょー?創真って、頭良いのは知ってたけど、そう言うのには疎いんだねー」
「悪かったな………………」
創真のふて腐れた表情を見てホリーは笑っていたが、突然真剣な目になって尋ねる。
「ねぇ、創真。もし告白されたらどうする?」
「流石にそれは早くない?てか、初めての……………デート?で告白されるってあるの、そんなこと?」
「意外にあるぜ。俺様、恋関係の事情には誰よりも詳しいからな」
「どや顔で言うことか…………?」
創真は小声でキバットにツッコミを入れる。
「にしても、俺様その可愛娘ちゃんを見たくなってきたぜ。よっし、俺様もその動物園についていくぜ!ついでにお前のボディーガードとしてフレアとメテオも連れていくぞ!」
「なんであの2羽を?まぁ、別に良いけどキバットってコウモリでしょ?夜行性の昼に活動したら目立つよ?」
「心配すんなって。目立つような真似はしないって。それに俺様は鳥類と意思疏通できるのさ。俺様が言っておけば心配ないぜ」
「…………なら良いか」
時刻は昨日の夜に遡る。スイーツパーティーの後、矢田は一緒に帰っていた倉橋にある事を質問した。
「ねぇ、陽菜乃ちゃんって……創真君の事好き?」
「ふぇ!?なななな、何を言ってるの!?」
「陽菜乃ちゃん、その反応は分かりやすいよ……」
矢田は苦笑しながら云う。
「……うん。実は……」
「やっぱり!私は応援するよ、陽菜乃ちゃん!」
「本当?ありがとう桃花ちゃん!」
「じゃあさ、さっそく明日にでもデートに誘ってみなよ」
「う、うん。どこにすれば良いかな……?」
「動物園とかは良いんじゃない?陽菜乃ちゃんは動物詳しいし、創真君もいろいろ知ってると思うし、楽しいと思うよ!」
「なるほど…………うん、明日誘ってみるね!」
そんな会話をしていたことは誰も知らない。
13:00
「お待たせ、創真君!」
創真が振り向くと、可愛らしい私服を着た、倉橋がいた。
「よし、じゃ行こう!」
「ほいほい」
3時間後
(……………くっそ、疲れた)
思わず心の中でそう呟いた創真。どうも人が多すぎるに加え、あちこちを倉橋の先導で飛び回り、さしもの創真も疲れ果てた模様。
「創真君、お土産買う?」
「…………ちょっと人混みに疲れたので……悪いけど、そこのベンチで休んでて良い?」
「おっけー!買ってきたらすぐ戻るね」
倉橋さんはスキップしながら販売店に入っていった。そこへずっと創真をモニタリングしていたホリー達がやって来た。
「創真~、あの姉ちゃん可愛いな~。俺様も人間だったらなぁ……」
「この調子じゃ、今日のうちにコクられるかもよ?」
キバットもホリーもにやけ顔だった。
「なぁなぁ、創真。お前は彼女が好きか?」
「好きか、だって?まぁ……………
好きだな」
その反応に
「……いや、お前……普通はモジモジしたり言うのを渋るもんじゃないか?」
「そうなの?」
「てか、お前はどの辺が好きなん?」
「そうね…………優しかったり、よく話し掛けてくれるし、あと笑顔が好き」
「へぇー……………普通の回答だね」
「いや、逆にダメなの、普通で?」
ホリーにツッコミを入れた瞬間、電話が鳴った。
「お、電話だぜ~!倉橋さんだろ?もしかして……愛の告……ムグムグ……!」
ホリーがキバットの口をふさいだ。
「静かに!愛の告白かも知れないんだから!」
愛の告白に期待するホリーに、創真はやれやれ、と思いながら電話に出る。
「もしもし」
『結城 創真……だな?』
「お前、倉橋さんじゃないな?」
『ご名答。彼女は無事さ。だが、我々の要求を聞かなければ、彼女の身の安全は保証しない』
「要求、ねぇ。何がお望み?」
『お前の親父の会社の最重要機密データをよこせ。期限は今日の7時に指定の場所で会おう。詳細はでメールで教える』
そして電話は一方的に切られた。それとほぼ同時に、指定場所のメールが送られてきた。
「そ、創真。愛の告白ではないな……」
「うん。機密データねぇ…………どうしようか」
「素直に渡しちゃう?」
ホリーの問い掛けに、創真は首を横に振る。
「まさか。そのデータを渡したら、会社が死ぬわ」
「じゃあ、倉橋を見捨てるのか?」
デュオの問い掛けにも、創真は首を横に振る。
「そう言う選択は、僕にはない。絶対に、な」
「なら、どうする?」
「奴等にデータも渡さずに倉橋さんを助ける」
「ほほーう。それで、アイデアはあるのか?」
キバットの問い掛けに、今度は首を縦に振る創真。
「勿論、既に考えてあるよ………クラスメイトにこんな真似をしてくれたんだ。たっぷりお返しをしてやらなくちゃねぇ」
「まったくだ。あんな可愛い女の子を誘拐するなんて、許せないな…………」
「ホリーの言う通りだぜ!俺様達でグチョグチョのギッタンギッタンにしてやるわ!なっ、デュオ!」
「……………………あぁ。それで、どういう作戦だ」
「それはね……………」
to be continue……
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