あ、それではどうぞ!
創真side
「と言うわけで、廃棄される卵を救済しつつ、暗殺も出来るプランを考えてきました!」
「私、校庭で見てきて察しがつきましたけど、本当に面白いアイデアですね」」
「アハハ…………氷室さんに褒められちゃった」
茅野はどこか照れくさそうだ。
「どーせメシ作ってBB弾を混ぜるんだろ?そんなのとっくに見破られてるわ」
確かに寺坂の言う通り、メシ作って混ぜるのは正解だが、規模が違う。僕は集合時間ちょっと前に学校に行ったら、茅野さんに呼び出され、計画書を見せてもらった。茅野さん曰く、僕が確認してOKなら絶対大丈夫!との事。僕に対しての信頼度が高いな。結論は、恐らく大丈夫。まぁ、実際にやってみないと分からないが。
しかし、国が生産調整に失敗して、国内の鶏の増加で、鶏卵が供給過剰になり、そのため廃棄される卵を使うとは。1週間前にそのニュースは見たが、たった1週間でここまで計算するとは…………脱帽だ。
「見たら絶対驚くよ。どうぞ皆さん校庭へ!」
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「本当にすげぇな、こりゃ」
キバットがそう呟いたのと同じように、皆も驚きを見せる。何故なら既に多数の機械と、見覚えのある巨大な容器があった。
「これ……………分かったぞ。プリンだな!」
「ホリー君正解!その名もプリン爆殺計画!」
(…………なるほどな。前に殺せんせーが茅野と一緒にプリンを食べてたときに、『自分よりでっかいプリンに飛び込んでみたい』、とか言ってたな)
キバットが木にぶら下がって聞いていた話を思い出す。ちなみに、この時キバットは彼女等が食べているプリンをひと口貰いたかったのだが、頼んでもくれなかったと言う、プリンの甘さとは正反対に苦い思い出がある。
「計画だと、プリンの底に対先生弾と爆薬を設置して、底の方まで食べ進んだらドカン!!」
「単純だな。だがまぁ、あのタコはエロとスイーツには目がないからな。茅野ちゃんが前に出て計画してるのも意外性があって良いんじゃね?」
キバットが特筆すべき所もない、作戦に対しての普通な感想を述べた。
「では、始めましょう!!」
「氷室さん、気合い入ってますね…………」
いつの間にか着替えていた氷室であった。
創真side
皆も着替えて作業を始めた。先ずは機械で割って混ぜてもらった大量の卵を容器に入れ、砂糖と牛乳、バニラオイルを入れ、混ぜていく。
「前にテレビで巨大プリン失敗してたの見たことあるけど、それ以上に大きくて大丈夫なのかな?」
いい疑問ですね、陽菜乃。
「その対策として、寒天を入れるんだよ。凝固剤のゼラチンだけでは重さで潰れる。寒天の繊維が強度を増す。しかも、熱で溶けにくいから、この気温でも崩れにくい」
「へーそうなんだ~」
「ここまで調べた茅野さんは、本当に凄いね……」
ホリーが指示を出している茅野に尊敬の意を示す。そうこう、話してる内に、プリン液を容器に注ぎ始めた。下の層は固め上の層はやわらかめ。自重を支えつつ、上はふんわりと仕上げる。
「ん?ねぇ、茅野ちゃん。それなに?」
ホリーが指差したのは、片岡さんに渡そうとしていたいろんな色をした直方体の物体。
「オブラートで包んだ味変り。同じ味じゃ飽きちゃうからね。あちこち味に変化がつく部分が生まれるの」
「な、なるほどな…………じゃ、あのカップにぶっ刺さってるパイプは?」
「あのパイプを通して冷却水を流すの。これだけ大きいプリンになると外気だけじゃ冷えないからね」
「ほえ~。こりゃすげぇな。金も相当な額使ってるんだろうな………」
請求書を見て頭を掻いている烏間先生の姿が容易に想像できる。こうして容器をプリン液で満ぱんにして、1日目は終了。片付けをしている茅野さんにカルマが近づき、話し掛ける。
「やるね~茅野ちゃん。卵のニュース聞いてから全部手配したの?」
「うん。っていうか前からやってみたかったんだ。やると決めたら一直線なんだ………私」
茅野さんはサポート向きのタイプと思っていたが………好きな物をテーマーにした暗殺ではここまでの実行力があるんだな。
人は見かけにあらず……………とはまさにこの事。
家に帰り、ご飯やお風呂を済ませたあと、明日のプリン計画の再確認をし、就寝の為に部屋にはいると…………………待ち構えてますわ、碧海さんが。
「創真君……………」
「えー、マジか………まぁ、良いけど」
「あれ?何か今日はすんなりだね?」
「何か、抵抗してもただ疲れるし、しても無駄だと昨日学んだ気がする……………」
自分、やけくそになってるなぁ、と思った。
2日目
恐らく今日で完成するだろう。昨日と同じ時間に集合し、作業に取り掛かる。先ずはパイプを抜き、その穴から空気を吹き込んで型枠を浮かせて外す。そして、ゆるめのゼラチン寒天でなめらかに整え、カラメルソースをかけ、表面をバーナーであぶって………!
「「「できたぁーーーーーーーーっ!!」」」
「おお………頑張った甲斐があったぜ………」
キバットはほとんど見てたたげだが。
「殺せんせーを呼びました。インドにいるそうなので、直ぐに来ますよ」
「仕事が本当に早いですね、氷室さん。さて、後は殺れるかどうかだ………………」
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「おお………………!!これ全部食べていいんですか?」
殺せんせーが目を輝かせて聞く。
「どうぞ。廃棄卵救いたかっただけだし」
創真がポーカーフェイスの表情で云う。
「勿体ないから全部食べてね~」
「もちろん!!いっただきまーす!」
倉橋に答えて間もなく、殺せんせーはプリンに飛び込んだ。そして皆は教室に戻り、その様子を見守る。
「タイミングは観察カメラからの映像がうっすら明るくなってきた頃…………竹林、頼むぞ」
「任せてくれ。今回は自信作だ」
ちなみに、初めて彼が作った爆弾は不発弾だった。創真の肩に止まっているメテオとフレアも見守る中─────────
「プリン………爆破…………」
茅野の呟きがキバット耳に入ってきてしまった。
(おい………なんか切なそうな表情してるな…………いや、まさかだとは思うが…………)
茅野の頭に巨大プリンを作るために調べて作って失敗してきた試行錯誤の日々が駆け巡る。
愛情のこもったプリンを爆破なんて………………
「ダメ────────────────っ!!!!」
突然茅野が叫び出す。
「愛情のこもったプリンを爆破なんてダメ────!!」
茅野は爆破スイッチを奪い、逃走しようとする。
「プリンに感情移入してんじゃねー!!爆破するために作ったんだろうが!!」
寺坂が茅野を捕まえ、羽交い締めにする。すると、突然創真の肩に乗っていたメテオが飛び出した。寺坂が捕まえたときに落とした床に落ちている起爆スイッチの直ぐ隣に着地する。そして、スイッチの方を凝視する。
「あ!!ダメー!!ストップ、ストップ────!!」
茅野の叫びも虚しく、メテオがくちばしでスイッチを押した。
創真side
「…………………ん?」
爆発音がしなかった。どゆこと?また不発弾?
「ヌルフフフ………ちょっと休憩。それと異物混入がありましたよ」
なんと、起爆装置が外されていた。
「土を食べて地中に潜って外してきました。竹林君、先生の鼻にかからない成分の研究をしてみてくださいね」
「……………はぁ。頑張ります」
「それと、きれいな部分をより分けておきました。皆さんも食べましょう!」
茅野的には安心したのかな?いやー惜しかったんだけどね……………。
「惜しかったね、茅野。むしろ安心した?」
「渚………まぁ、そうかも……」
「おいおい…………しかし、ここまで徹底してるとはね………意外だったね」
僕も茅野のアイデアには感心した。
「本当の刃は親しい友達にも見せないものよ。また殺るよ。ぷるんぷるんの刃なら他にも持ってるから」
「それはまた面白そうだね。期待してるよ……………うーん、甘くて美味しいー!」
ミニオマケ 1
病院にて
「んー甘いなぁ…………」
殺せんせーが届けてくれたプリンにご満悦の様子の隼であった。
ミニオマケ2
「さて………私の初授業の課題は………」
氷室が自室の机に置いた紙には、次の体育の授業内容が書かれていた。
その内容は─────────────────
───────────────フリーランニング
THE NEXT story 2/20or21 PM 22:00
氷室さん、ついに出陣!