β Ewigkeit:Fragments   作:影次

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この作品は二年前長編に挑戦し見事に破滅自滅したエター拙作のリメイクとなります。
キャラ設定もろもろ書きやすさに特化し改変、削減を行っています。
二年前に作成した設定を基礎に、ノベル版のキャラクター設定を流用、一部統合しています。
主人公は第2次大戦期、ラインハルトの幕下で終戦まで生き残ったある将官となります。

ベア子は犬。

以上、本作の解説となります。


Fragments:黎明Ⅰ

 僕にとって、あの男がどんな存在だったか?

 ……別に。あっちは上司で、こっちは部下でしかない。

 なんていう、ありきたりな回答は望んでいないんだろうな。

 そうだな、この言い方はあの道化のような友人にも当てはまるんだが。

 歪んだ鏡の向こう側を見ている気分だったよ。

 あの、世界そのものに倦み疲れきった目。

 鋼鉄で出来ているんじゃないかとも錯覚する仏頂面。

 それはひょっとすると『本当の僕もあんな顔をしているんじゃないか?』と思わせるもので、だからこそ、時折僕に無茶を要求する時の微かな笑みが際立った。

 自惚れの類かもしれないが、この男にとって、自分という存在が何か特別な意味を持っているのではないか、そう思うようになった。

 そして、なら或いは僕にとってのこの男も、何か特別な意味を持っているのではないか。

 欺瞞の仮面を生来より持ち生まれた僕が。

 あの愉快げな笑みと同じような何かを、この男から得られるのだとすれば。

 まあ、なんだ、なし崩し的に仕えるようになってしまったこの仕事も、いくらかやってやろうとかと思ったわけさ。

 それだけだ、ああ、それだけ、この話はこれで終わり。

 何故かなんて言うまでもないだろう。

 あの大馬鹿は、それらを全て切り捨てて、ひとでなしに成り下ったんだから。

 ひとでなしになるだけなら別に知ったこっちゃなかったんだ。

 僕が許せなかったのは、それまでの全てを切り捨てたことだった。

 だからここから先は、別の話だ。

 

 

 いつか、どこかで 青年と少女の会話

 

 

 

 

 かつ、かつ、と冷えた靴音が廊下に響く。

 日も沈みかけている時分、冷え切った音と空気に相応しい、冷え切った表情と眼差しをした金髪の野獣が、秘密警察庁舎の廊下を歩いていた。

 ラインハルト・ハイドリヒは歩きながらも片手で手紙を開き、表向きは無表情に、内面では預かり知れぬ不快感を懐きながら、その文面を読み上げる。

『此度の争乱、中々に強力な星が関わっておりますれば、並のもので歯が立ちますまい。閣下の星は王者の星なれば下の者を用いることこそ本分でありましょう。ですが、人選を間違えてはいけません』

 カール・エルンスト・クラフト。

 ゲッペルス宰相が愚かにも牢獄から引きずり出した占星術師を名乗る詐欺師。

 その出会いから今に至るまで、慇懃無礼が人の形をして歩くが如き様の男である。

 感情無き身であると己を定めたラインハルトが、『あの男』に対する奇妙な共感以外で感情を抱くこととなった、その事実がラインハルトを苛立たせる。

 それが彼を今こうして歩かせている。

 平時であれば無駄の極みと切り捨てるはずの行動を取ってしまっている。

 不快感という、人を逆撫でするようなものであるが故に質が悪い。

『例えば、それは破軍の星を有する者ら。弓を取り、剣を構える乙女らが件に関わろうとしている模様。それに誘引されるように、蠍の大火星と黄道の第四星と縁が繋がるようです。特に後者は貴方にとってなくてはならぬ影の星であれば』

 不快、不快と思いながらも、その歩みは止まらない。

 まるで光に吸い寄せられる虫のようだ。

 詐欺師への不快感と、その程度のことに己の心すら制御できぬ自身への自嘲が湧く。

 それでも、その歩みは止まらず。

 

『そして――御身の栄光ある将兵たちより、その懐剣二人が。乙女の守護星たる者と真なる磨羯宮の主が、あなたを出迎えるでしょう。努、お見逃しのなきように』

 

 その一文を読みきった所で、ラインハルトは目的の扉を開ける。

 そこは、十三号室、と銘打たれた場だ。

 この庁舎の構造のみで語れば、それは数ある一室に過ぎない。

 しかし、この建物に務める軍人たちは誰もが知っている。

 この部屋を訪れる人間が、極めて限られていることを。

 この恐るべき金髪の野獣が手ずから集めた懐剣が、或いはそれに一時でも追従することを認められた者のみが集う場であると。

 支配者たる『金髪の野獣』、機密を奪い納める『怪人』、扉の鍵と機密を守る『番兵』、そして支配者の不在時その代行権を持つ『将軍』。

 懐剣十三号室、そのように呼ばれるこの一室は、平時に訪れるものはなく、有事にはラインハルトを含めたった四人が集う場だ。

 扉を開けた金髪の野獣、ラインハルトは室内を睨む。

「中将閣下? どうなされましたか」

 融通の効かぬ、いかにも仕事人間といった声が一つだけかかる。

 四つの席の内、三つが空席であった。

 自身の椅子は当然として、『将軍』と『怪人』の不在。

 それは、手の中の忌々しい手紙から想起された二人が、正しくその人物であろうことをラインハルトに実感させた。

「アイヒマン大尉。シェレンベルク少佐とナウヨックス少佐は」

「哨戒です。いつもの如く、ナウヨックス少佐がシェレンベルク少佐を引き連れて」

 ただ一人残っていた『番兵』、アドルフ・アイヒマン大尉は、手元の書類の束を机に立て整えながら返事を寄越した。

「……ちっ。仕事は」

「終わらせています。本日は情報整理のみとのことでしたので。……恐らくですが、件の反逆者騒ぎに首を突っ込むつもりかと。シェレンベルク少佐はともかく、ナウヨックス少佐が」

「場所の目処は」

 アドルフはいつものラインハルトらしからぬ奇妙なものを感じながらも、上官の問いに答える。

「ベルリン大聖堂付近に当たりをつけた様子です。僭越ながら、連れ戻してきましょうか」

「不要だ。表に車を用意しろ」

「ですがしかし……は。了解(ヤヴォール)

 答えを待たず背を向けたラインハルトに、アドルフはそれ以上を求めず、自身は求められたことのみをこなすべく行動を開始した。

 アドルフ・アイヒマンはそのような男だった。

 番兵として、完璧な上官の下で完璧な仕事をこなすことがこの男の誇りであった。

 席を空けている『将軍』と『怪人』からすれば同調の余地などないものだろうし、自身もまたあの二人と同調する余地などない。

 故に、十三号室の各々が担う役目に隙きはなく、完璧である。

 今日もまた、いつものことであると。

 あの様子のおかしい上官も違うように見えるだけで、唯一の例外であるあの『将軍』に向ける嘲笑と同じような何かなのだろうと、そう納得してしまった。

 その後、アドルフはそれを後悔することとなる。

 ラインハルトを引き止めなかったこと、そして、その後をあの男に託してしまうことを。

 

 

 秘密警察庁舎にて 金髪の野獣と詐欺師の手紙、番兵の会話

 

 

 

 

「ここが中尉の友達の方のハウスね!」

「友人などではない、そう言ったはずだキルヒアイゼン」

「はいはいツンデレツンデレ」

「意味不明な俗語を使うな」

 ベルリン市街にて、首都を騒がす凶賊とやらを独自に追う二人の戦乙女がいた。

 中尉と准尉の階級を示す軍服をまとった二人は紛れもない軍人であり、特に赤髪で長身の女性からは周囲を威圧する気配が滲み出ているようだった。

 対象的にそれに付き従う金髪の小柄な女性はひたすら朗らかで、二人揃って丁度いい、そう言われるような組み合わせだった。

 赤髪の中尉、エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグと、金髪の准尉、ベアトリス・ヴァルトルート・フォン・キルヒアイゼンは、凶賊の手がかりを追うべく、軍から外れながらもこの街の情報を握る機関、レーベンスボルンへとやってきていた。

「しっかし中尉の顔の広さなんて正直これっぽっちも当てにしてなかったので驚きましたよ。足で探すぞとか言われちゃうのかと戦々恐々としてましたもん」

「貴様、私を馬鹿にしているようだな。この程度の情報収集も行えぬ痴愚であると」

 そんなベアトリスの軽口はエレオノーレの怒りに絶妙に燃料を注ぐ。

 その様子に慌てて弁解を行うのがこの二人の通例だ。

「そそそそんなこと言ってませんって! 私じゃあもういっそ開き直ってゲシュタポに捜査状況を聞きに行っちゃおうかなーとか思う程度でしたし、いやー優秀な上官を持てて幸せだなあ!」

「阿呆。我らは軍人の責務として動いてはいるが、腹ただしいことに貴様の言った通り部署が違うことは事実だ。そのような情報漏洩を、ハイドリヒ中将率いるゲシュタポが行うはずもあるまい」

「ですよねー。あの人も、そういう所厳格な人だし……」

「……あの人? 妙に馴れ馴れしい表現を使う。貴様よもや中将閣下に学生の時分無礼でも働いたのでは」

「え、いや違います違います! ちょっとゲシュタポに知り合いの先輩がいるってだけで! ユーゲントの頃から色々話を聞いて貰ってる方でして……まあ」

 てへへと頬を掻くベアトリスからは、件の先輩とやらに対する親愛の情が感じて取れた。

 その腑抜けた様子にエレオノーレは眉をひそめる。

「ユーゲント時代から現場の声を積極的に聞き学んでいた、ならともかく。おいキルヒアイゼン、よもや単に男にうつつを抜かしていたと言うまいな。返答によっては貴様をこのレーベンスボルンの奥深くに投げ捨てていくことになるぞ」

「前者です、前者ですから! そりゃあ先輩が男性なのは事実ですけど……うつつとかそんな関係じゃごにょごにょ……そういえば今日ってクリスマス……そんな日に仕事以外アテのない私って一体……いっそ本当に先輩を誘うべきだったか……」

 いちいち突っ込んでたら長くなると判断したエレオノーレは、いつもの変な発作を起こしたベアトリスの対応をやめてさっさと門をくぐることにした。

 走っているかのような早足で行くエレオノーレ、反応が遅れるベアトリス。

「ああー待ってー! 足の長さで私を置き去りにしないでくださいヴィッテンブルグ中尉ー! 私の上官は貴方です、浮気じゃありませんから!」

「この建物の中で、次にその類の頭の悪い言葉をほざいたら、処す」

「アッハイ」

 レーベンスボルンの門をくぐり、その先へ。

 受付もそこそこにずかずかと踏み入る、という表現が正しいだろう。

 エレオノーレはこの場所がどういう場所かを知る故に、そう、嫌いに嫌う腐れ縁が在籍しているからこそ、誰よりもよく知る故に、この場に敬意を払う気など微塵もない。

 そんな振る舞いにベアトリスはハラハラするが、特に何も言われることはなく、エレオノーレは目的の人物がいる場所へと辿り着いた。

「ふん、少し痩せたかブレンナー」

「そういう貴女はますます気難しい顔になったわね、エレオノーレ」

 レーベンスボルンの高官、リザ・ブレンナー。

 エレオノーレの知古にしては、随分と対象的な女性であった。

 こう、全体的に女性らしさの塊というか、丸みを帯びているというか。

 そんなことを思いながら、憎まれ口を叩くエレオノーレとそれをいなすリザをまじまじとベアトリスは見つめる。

「……あら、貴方、エレオノーレの部下の人? 随分と可愛らしい後輩を持ったのね」

「ふん、こいつがそんなタマか。これは単なる」

「ええ、はい! 私、ベアトリス・ヴァルトルート・フォン・キルヒアイゼン准尉です! ユーゲントを主席卒業した期待の星! 中尉からも貴様は大成するだろうとのお墨付きを」

「しておらんわたわけ。適当なことを言うな」

 調子に乗ったベアトリスにエレオノーレの蹴りが突き刺さる。

「痛い! 脛を狙いましたね、脛を!」

「仲がいいのね。エレオノーレがこんなにいい反応をすることは少ないわよ。ベアトリスさん、誇っていいわ」

「いやあそれほどでも」

「……とにかく。おい、情報だ。凶賊の一件、知っているのか、知らないのか、話す気があるのか、ないのか、さっさとしろ」

 急かすエレオノーレに対し、リザはひょうひょうと答えた。

「ええ、そうね、知っているわ。つい何時間か前、決定的な確証を得たところよ」

「……どういうことだ」

「言えないわ。けれど、軍内部には『そういうこと』を生業としている人材がいる。そして彼らは組織の貴賎なく、ただ利益を生むためだけにあらゆる情報をばら撒き、決定的な情報を隠匿する。闇の住人。そういう人がね、来るのよ。このレーベンスボルンにもね」

 その言葉に、双方難しい顔をする。

 予想外の繋がりであり、正統派の軍人である彼女らにはまだ馴染みのない闇だった故に。

「……それって、所謂諜報員です?」

「よもやゲシュタポと直接的な繋がりがあるとはな。それも情報の回りが早すぎる、たらしこみでもしたか」

「まさか。彼にその手の手管は通じないわ。気紛れで幼気で道化じみた子供のような人だけど、全く掴ませてくれないもの。あの『怪人』さんは。この情報も、立ち寄りがてらの気紛れで落しに来ただけね、きっと。知られた所で構わないと判断したから」

「どうだかな。まあいい。分かっているのなら案内しろ。ゲシュタポが既に動いているなら尚更だ、遅れを取るわけにはいかんからな」

「はいはい、そう言うと思ってたわ」

「ええ!? 危ないですよ! なんでリザさんまで」

「こいつは信用できん。自身を質に適当なことをほざいてないと証明してもらう」

 一人悲鳴を上げるベアトリスだが、知ったことではないとエレオノーレは急かし、分かっているとリザは既にそれに追従している。

 なんだかなーと思いつつ、ベアトリスもそれに続くのだった。

 

 

 レーベンスボルンにて 乙女たちの会話

 

 

 

 

「まあそんなわけさ。僕とレーベンスボルンの馴れ初めはね」

「ああ、そう」

「反応うすーい! 世の男性が喜ぶ女性の園だぜ? なんかもっと感想ないの、親友」

「そういう仕事中ならいざ知れず、平時まで愛想を振りまく必要があるとは思えない」

「かーっ! 相棒ってやつは、かーっ!」

「声落とせよ。そろそろ現場だろう。付き合ってるだけ有り難いと思えよ」

 つまらない、と叫ぶのは銀髪に少年の美貌を備えた背の低い男。

 それに対しうるさい、と言うのは一回り大きい、暗みがかった金髪の青年だった。

 隣り合いながら他愛もない話に花を咲かせているように見える彼らだが、市井の民衆などではなく、纏う軍服がその所在を表している。

 その襟章が示す階級は――少佐。

 帝都ベルリンに仕える、選ばれしもの。

 事実彼らは金髪の野獣に見出され、中央の高官の記憶にも新しい軍人の中の軍人。

 ゲシュタポの上層部においては『将軍』と『怪人』とも呼ばれる、ラインハルト・ハイドリヒが有事にのみ招集する『懐剣十三号室』の住人だった。

「番兵くんよかマシだけど、相変わらず気難しいこと。ねえ、ヴァルター。ヴァルター・フリードリヒ・シェレンベルク。僕らの『将軍』(ヘル・ゲネラール)様は」

「その呼び方は好きじゃない、って言ってるだろ。アルフレート。アルフレート・ヘルムート・ナウヨックス。一佐官風情が将軍だなんて呼ばれることは、やましい不都合でしかない」

「そんなものはないさ。だって僕らの中で、君が将官に至らないと思ってる人間はいないよ。でなきゃ、反逆罪あたりを適用されてとっくに檻の中さ」

「お前は悪ノリがすぎる、アルフレート」

「長官殿と番兵くんと君相手にはこのくらいがちょうどいいのさ、きっとね」

 軽口を叩くのは『怪人』アルフレート。

 静かに応対するのは『将軍』ヴァルター。

 二人は裏路地の暗がりを抜け、ベルリン大聖堂へ向け歩みを進めている。

「だいたい、仕事が終われば非番だやっほーと言わんばかりに帰り支度を始めるお前が誘ってくる時点でこっちは嫌な予感しかしてない。よりにもよってなんで今日。俺は親愛なる忌々しい上官殿の許可が降り次第帰るつもりだったんだが?」

「そりゃあ、ビビッときたからね。この一件は絶対に面白いって。だから中将殿に何か言われる前にこうして動いてるわけで。それを親友と分かち合いたいと思うのは人情でしょ」

「お前の言う面白いは結果的に喜ぶことと後悔することが自分でもまちまちだろう。そのでしゃばり癖に俺を巻き込むのは程々にしてくれ」

 アルフレートが強引に誘い、それにヴァルターがついていく。ここ数年変わらないルーチンではあるが、ヴァルターの気分は重かった。

 露骨に溜息を吐くヴァルターに、アルフレートも若干怪訝な顔をし。

「……あー、ひょっとして、僕も今察したんだけど。今日ってクリスマスだよね? ヴァルターの母君、君の家に来てる?」

「…………」

 そして、その原因に思い当たる。

 この質問に対する沈黙こそが、何よりも雄弁な答えであった。

「……ごめんね! 邪魔しちゃって! ヴァルターが軍で働き出したのは母君のためだもんね! ごめんねマザコン野郎! ごめんねママとの時間を削っちゃってふげえ」

 アルフレートの喉を指でつき黙らせる。

 うごごごごごとうなり這いつくばるアルフレートに、かなり蔑んだ目を向ける。

「で?」

「で、でとはなんでありましょう将軍(ヘル・ゲネラール)……」

「凶賊って話だったな。どれだけ殺られてる」

「……現場の尉官クラスはほぼ壊滅、らしいよ。ちょっと気張らないとまずいかも」

「時々見る異常者の類か。今回も貧乏くじに付き合わせてくれる」

「良かれと思って」

「良くないわ」

 聖堂が視認できるようになり、二人にも喧騒が聞こえてくる。

 今も聞こえる同胞の断末魔、炎上しているであろう煙。

 そして、悲鳴が途切れ、後には狂った笑い声しか残らない。

「……急ぐぞ」

了解(ヤヴォール)

 腰元の小剣と拳銃の手応えを確かめ、現場へと急行する。

 厄介な夜になりそうだと、しかし心の中ではそれ以上の悪寒を感じながら。

 その正体を確かめるすべは、今のヴァルターには存在しなかった。

 

 

 ベルリン大聖堂付近にて 将軍と怪人の会話

 

 

 

 

 星が集う、運命の星が。

 今、この時こそが、また新たなる物語の始まりである。

 

「イィィィヤッハアアアアアア!!! 楽しい楽しい楽しいねえ! もっと、もっとだよ!!!」

「クソがぁ、いい加減くたばれよクソガキがああああああ!!!」

 

 この髑髏の帝国が生みし、修羅道の申し子たち。

 或いは、それに立ち向かうものたちが。

 

「何、あれ……」

「キルヒアイゼン、臨戦態勢だ」

「は、はい! って、あれ……先輩?」

 

 凶獣たちと、戦乙女たちと、魔女たちと。

 

「なんという……」

「うわあー面白いことになってるじゃない? あら、あれって……アルちゃん?」

 

 そして我が親愛なる獣殿と、もう二人。

 その懐を暖め、或いは貫くやも知れぬ懐剣たちが。

 

「あ、ごめんヴァルター。ド地雷案件だった。にげたい」

「逃げるなよ。あれは……キルヒアイゼン? ち、よりによってこんな時に」

 

 それは一際煌く星であるが故に必然としてここに集う。

 積み上げてきた全て、ありえたかもしれない全てがここに結実する。

 これは、私の気紛れではあるが。

 我がレギオンは中々に優秀故、これをもって試練としよう。

 全力で抗い、その末に至高の未知を見せておくれ。

 

 さあ、今宵の恐怖劇(グランギニョル)を始めよう。

 

 




・ヴァルター・フリードリヒ・シェレンベルク
SD、ゲシュタポ所属親衛隊少佐。『懐剣十三号室』の住人。
アッシュブロンドの鋭い青年。将軍(ヘル・ゲネラール)。真なる磨羯宮の主。
保有技能:天性の演技力、鋼鉄の精神力、万能防衛術

・アルフレート・ヘルムート・ナウヨックス
SD、ゲシュタポ所属親衛隊少佐。『懐剣十三号室』の住人。
非常に小柄な紅顔の美少年。怪人。乙女の守護星。
保有技能:人間遊び、爆弾作り、上級拳闘術

・アドルフ・アイヒマン
SD、ゲシュタポ所属親衛隊大尉。『懐剣十三号室』の住人。
生真面目な仕事人。番兵。
保有技能:情報整理、静かなる忠誠、軍戦略

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