β Ewigkeit:Fragments   作:影次

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待ってらした方も忘れてた方もお久しぶりです。
この4ヶ月在宅ワーカーを卒業しお外で働くことにしたり色々忙しく……
うそです書く時間はありました。
ごめんなそーりー。
私が色々サボってる間にlight本隊がえらいことになったり黒白のアヴェスターが発表されたりもう完全に環境が変わりましたね。
とりあえず完結、という部分を嘘にしたくないのでこれから完結まで突っ走ります。
もうすぐ誕生日だしね、それまでに一区切りしたい所。
これは2000字ちょっとだけどまあ号砲なんでさっくり投稿することにしました。
さあ書くぞ書くぞー。


Last Fragments:号砲

「ドイツの乾杯ってよ、瓶で飲み干した後床に叩きつけてかち割るんだろ? そっちの方が景気づけに良くねえ? やろうぜ」

 呼びかけるでもなく自然と各々は集まっていた。

 持ち出してきた酒瓶を片手に笑う司狼に蓮は呆れた視線を向ける。

「司狼、それはデマだ。漫画の読みすぎだぞ」

「マジかよ、ローエングラム帝のアレって元ネタなかったのか。そういや敵さんの方もラインハルトだけど、実際のとこそこどうなん? ドイツのお二人さん」

 司狼はまるで決まったかのように抱えた酒瓶を投げつけて配る。

 飲めるものも飲む気がないものも受け取らざるを得なかった。

「ありませんよそんな物騒な風習は。酒場の床が破片だらけになるじゃないですか。そもそもそれどっちかって言うと昔の日本の儀式とかじゃありませんでしたっけ……」

「まあ、ないな。だが」

 同じく呆れるベアトリスを傍らに、ヴァルターは受け取った酒瓶をまじまじと見つめる。

 普段あまり感情の色を見せないこの男が、多少興味深くしているのが分かった。

「いいぞ。折角だし、やるか」

「は?」

「はい?」

「おっ、なんだなんだ話が分かるじゃねえかヴァルターの兄さん」

 比較的常識派が驚く中ヴァルターはさっさと酒瓶の栓を抜いた。

 瓶口からアルコールの香りがほのかに漂ってくる。

「ヴァルターさん? 日々をジャージで過ごしつつある私も流石にそれはどうかと……」

「あら、じゃあ私も乗らせてもらおうかしら。友達みたいでいいわねこういうの」

「螢ちゃんまで!?」

 螢もそれに続き栓を抜き放つ。

 クールな笑みを浮かべてはいるが内心ウキウキしてるのが丸わかりだった。

「いやお前櫻井、俺らは未成年……」

「藤井くん、貴方今更が過ぎない? 酒を飲むのに未成年がどうとか、兄さんじゃないんだから冷めること言わないでほしいわね。だいたい創造位階にまでなってるんだから体内のアルコール分解なんて感覚でやれるでしょ。ほら貴方も開けなさいよ」

「たった数時間の付き合いだがお前って女のことがよく分かった気がするよ」

「そう、いいことだわ。友情を築く一歩ってやつね」

 蓮はどこかにいる兄さんとやらに同情した、きっと苦労人なのだろう。

「あ、じゃあ私も」

「先輩!?」

 更に玲愛も挙手をした。

 既に栓は開いていた。

「さっきは藤井くんに奪われて満足に飲めなかったからね」

「いや百歩譲って俺らはいいとして先輩はただの人間だから駄目だろ!?」

「言っておくけど私はお酒はザルだよ。神父様の酒蔵から時々ワインをくすねて飲んでたからね」

「畜生! 味方がいねえ!」

 既に賛成派が多数を占める中、蓮はベアトリスをちらりと見る。

 ベアトリスは蓮を見て、ヴァルターを見て、手元の酒を見て、

「しょうがないにゃあ……やりましょう! ヴァルターさんがそう言うのなら!」

「知ってたよこのバカップルが!!!」

 そしてとうとう蓮は孤立した。

 周囲にはニヤつきながら栓を開け始める外道共。

 ふと、奇妙な疎外感を蓮は感じた。

 まるで修学旅行中自分だけハブにされたような、連絡網からスルーされたかのような、いやいいんだけどね別に俺は平穏を愛しているから激動とかいらないし羨ましいとか思ってないし。

 そんなフクザツな心境の中、螢と目があった。

 数時間で司狼と意気投合し酒盛りしていた女は蓮の視線の中にある色を目ざとく感じ取り、

「……ふっ」

 失笑。

 藤井くんってその程度の男なのね、友達には程遠いわ。

 最終決戦は絆を繋いだ私達で頑張るから藤井くんは程々に頑張れば?

 何せ遊佐くんの酒も受け取れないヘタレだもの、仕方ないわね?

 ふふふ、ふふふふふふふふふ。

 以上、刹那のテレパシー。

「ざけんじゃねえ上等だ飲んでやるよオラァ! これでいいんだろ!!!」

「ヒュー! 蓮くんカッコイイー!!!」

 蓮は激怒した。

 冷静になるとひどくどうでもいいことではあったがこの場においてはポッと出のクソ女の鼻をあかしてやらねばならぬと決意していた。

 人外の肉体の無駄な活用により手刀で瓶口を切断する蓮を司狼が囃し立てる。

「一番早く飲み干したやつが勝ちな」

「なんか趣旨変わってね? まあいいけど」

「ここは叩きつけた瓶が一番粉々だった人が勝ちはどう?」

「それだと真人間の私が最下位確定なんだけど。汚いさすが人外汚い」

「レン、レン、私のお酒は?」

「マリィは駄目。ジュースで我慢するんだ」

「ガーーーーーーーーーーーーーーーン!!!???」

「おい見ろよ、あれが嫁をハブにしてる夫だぜ」

「ええ、藤井くんってほんと最低ね。やはり友情に値しないわ」

「やかましいわお前からの友情なんて求めてねえよ!!! あー……マリィは俺の中に戻ってくれ。それで一緒に飲んだってことにしておこう。頼むからそうしてくれ」

 酒瓶を片手に騒ぎ立てる若者たちをベアトリスは青春ですねえと思いながら見つめる。

 ふと、横目に自分と同じく彼らを眺めるヴァルターを見ると、ヴァルターも微かに笑っているような気がした。

「楽しそうですね?」

「そうか? まあ、そうだな」

 ベアトリスに顔を向けるヴァルターは、微かだった笑みを確かなものにして。

「こういうのも、悪くない。そう思った。いつかどこかで、何度繰り返したのだとしてもな」

「藤井くんみたいなこと言いますね」

「俺はあいつのなりそこないだからな。まあ、出来の悪い兄ってところだろうよ」

「そうですか。けど、私はそれでいいですよ。そんなあなたが好きなので」

「ありがとう、ここまで来てくれて」

「ふふ、これからもですよ」

 酒瓶同士を軽くぶつけ合う。

 りん、と二つの瓶から一つの音がなる。

 騒ぎの中心まで二人が歩いていくと徐々に騒ぎは止み、皆が酒瓶を片手に向かい合った。

 

 

「決着の時だ」

「勝つぞ、全てに」

「言うまでもねえぜ」

「なら、何に対しての乾杯にする?」

「んー、月並みに、私達の未来にとかですかね」

「あら、そんなの決まってるじゃない。私達の友情に、よ」

 

 

 誰もいなくなってしまった街の中で、絶望を前に不敵に笑う。

 望みを絶たれるというのなら、何度でも祈ろう。

 何度でも望みを繋ごう。

 誰かが諦めた時、永劫に望みが絶たれるというのなら、諦めない心を繋ぎ続ける。

 打ち鳴らされるガラスの音が、それをここに繋ぐように。

 

 

――乾杯!(プロージット)

 

 

 杯を重ね、水を飲み干し、器を砕く。

 ボトムレスピットに、幾重ものガラスの割れる音が響き渡った。

 




乾杯できたのでこっから各々の決戦を断片描写しフィニッシュまで突っ走るよ

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