目が覚める。そこには見慣れない天井が広がっていた。
…そうだ。今日は始業式だ。そろそろ起きなきゃ…
「あら。起きた?」
「うん。おはよう…」
ルゥはもう起きていた。早いなぁ…
「着替えたら…その…えっと…」
「なに?」
もじもじしている。これはこれでかわいい。
「その…い、一緒に…朝ごはん食べに行かない?」
「うん。いいよ。」
「やたっ!」
両手で小さくガッツポーズ。いちいちかわいいな。
「ちょっと待ってね。」
「うん!」
あまり待たせてもまずいし…急いで着替えよう。
「よし。行こうか!」
「うん!」
玄関を出る。ルゥは後ろからついてくる。なんか…従順なペットみたいだ…
「あれ?」
「あら。おはようございます。」
ティアがいた。
「どうしたの?一緒に朝ごはん行く?」
「はい。お願いしてもよろしいでしょうか。」
「うん。でも…」
ティアは一人だ。
「ルームメイトはどうしたの?他の友達と一緒に行っちゃった?」
「それが…」
下を向いてしまった。あれ?もしかして地雷踏んだ…?
「なぜか『私なんかが一緒の部屋でごめんね!』と言って出ていかれました…」
あぁ…オーラが凄いもんな。子供には耐えられないかもしれない。
「そっか…じゃあ一緒に行こう。」
「はい♪」
「ルゥもいいよね?」
「まぁ…シンがいいなら…」
「よし。行こう!」
昨日三人でガールズトークをしたからかな…俺たちは大分仲良くなれた。ティアのことも大分わかったし、ルゥの扱い方もわかった。まぁルゥは気を許してくれたこともあり苦労は少なくなったが。
「ここが食堂…」
「でっかいねー」
「そうですか?これくらいは普通では…」
ティア…やっぱりすごい娘なんだな…
「えっと…どこに行けば…」
食堂にはたくさんの生徒がいる。
ほとんどが手を止めこちらを見ていたが。
まぁ真横にお嬢様がいるのだ。それも仕方ないか…
「あ、あそこかな?」
数人が列を作っている。
近づくと…
「す、すいませんっ!」
ざあっ!
カウンターまでの道ができた。
「い、いや…待つから…並んでていいよ?」
「いえ…でも…」
「ティアはそういうの望んでないから。」
「はい。」
ティアも頷いている。ただ一人…
「ふっ…私のために道を開けるか…いい心意気だ…」
ルゥがなんかほざいている。あれ?中二病も入ってたのか?
「あの…中級魔法を使えるって本当ですか?」
前にいた女の子に聞かれた。
「え?オレ?あ…うん。使えるよ。」
「ひぅっ…ど、どうぞ…」
また道が開く。あれ?もしかして怖がられてるの俺?
「いや…なんで?」
「だって…目上の方を優先しなきゃ…」
「いやいや!同級生だよね!?」
話し方からおそらく相手も新入生だ。
「は、はい…」
「じゃあ前に行って。」
「いや…でも…」
「行って?」
首をかしげてイラついているアピールしてみる。実際イラついてはいないが。
「は、はい!失礼します!」
やっと入ってくれた。
「はぁ…」
食事を受け取り席につく。
「シンさんはやはりすごいのですね。」
「いやぁ…そんなことは…」
「そりゃあそうよ!私に勝ったんだからね!」
「はいはい。座ろうか。」
疲れる…まさか魔法を使っただけでこんなことになるとは…
俺くらいの年の子はまだ使えないものなのかな。
実際ティアは使えないみたいだし。
「すこし自粛した方がいいのかな…」
「じしゅく?なにそれ。」
説明めんどくせぇ…
「は?わかんないの?」
「うっ…わ、わかるし!」
「それはよかった。」
わいわい楽しく朝ごはんを食べる。
周りからの視線さえなければ最高なのだが…
「はぁ…居心地悪…」
「疲れた…」
二人と並んでグラウンドへ向かう。
「シンさん大人気でしたね。」
「何をどう見たらそうなるのかな?」
あれが人気だと感じるとは…お嬢様はわからない。
「この辺でいいのかな…」
グラウンドに着いた。具体的な場所は指定されてないからな…どの辺にいればいいのやら…
「みなさん!おはよう!」
「うわっ!」
びっくりした…突然声が聞こえてきた。
「ははは!新入生諸君!驚いたかな?」
すごく驚いた。全然姿が見えない。どこにいるんだ?
「上を見てみたまえ!」
上を向くと…人が浮いていた。
「はぁ?」
すごい。これも魔法?
「これは
疑問に答えてくれた。どうやら魔法らしい。
「風属性の上級魔法だ!頑張れば使えるようになるかもだぜ?
その才能を引き出すのがここ!メリア学園だ!」
「すごいですわね…シンさんも飛べるんですの?」
「いや…上級魔法はまだ…」
何かあったら危ないから…ということで教えてもらえなかったのだ。
「なに言ってるの?シンは火属性なんだから使えるわけないじゃない。」
「「え?」」
ルゥは何を言っているのだろうか…俺は火だなんて言った記憶はないが…
「え?だって…火の中級魔法使ってたよね…?」
「えっと…ん?あぁ!そういえば!」
昨日部屋ですこしおどろかせてやろうとしたときだ。
「いえ、シンさんは風属性では?
来るときに風の中級魔法使ってましたし。」
二人が首をかしげている。
「ごめん。言ってなかったね。オレの属性は変質なんだ。」
「へん…?なにそれ。そんな属性あるの?」
「聞いたことはありますが…今では珍しいと聞きました。」
「そ!そうね!聞いたことはあるね!」
ティアは多少知識があるらしい。ルゥは…聞いての通りだ。
「へい!そこ!喋らないでね!」
「うっ…はーい」
注意されてしまった。静かにしておこう。
「じゃあ改めて…皆!ポケットの中を見てくれ!」
ポケットに手をいれる。すると何かが入っていた。
これは…紙だね。
「さっきこっそり入れさせてもらったよ!そこにはクラス分けが書いてある!さぁ!運命の瞬間だ!」
「うぅ…緊張します…」
「そうだね。一緒のクラスになれるといいね。」
まぁそこまで心配はしていないが。だって俺の運知ってる?
「よっ!」
勢いよく開く。そこにはCと書かれていた。
「どうだった?」
「私はCですわ。」
「私も。」
「オレもだよ!」
「やったね!」
「ええ!同じクラスです!」
だろうね。これで一年間は同じクラスだ。
「それじゃあそれぞれのクラスへ移動!初HRだ!」
「行こっ!」
「おう!」
初めての友達と同じクラスになれた。一年間楽しくなりそうだ。
しかし…そんな期待はすぐに裏切られることとなった…