剣?魔法?いやいや時代は運でしょ!   作:高崎瑞希

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十五話  オリエンテーリング後編

「よし。いくぞ!」

「「「おー!!!」」」

 

まずは校舎に入る。

 

「……!」

「よし。クリアだね。スタンプをあげよう。」

 

右側に上級生と条件をクリアしたらしい同級生がいた。

 

「あそこに上級生がいるね。行ってみようか。」

「そうですね。行ってみましょう。」

 

「お。話題のルーキーちゃんだ。」

 

先輩方の間でも噂になってるのか…

 

「あ、あの…これら以外のスタンプ持ってますか?」

 

先ほど先生に貰ったスタンプを見せる。

 

「それは言えないな。気になるなら条件をクリアして確かめてみると良いよ。」

 

なるほど…誰が何を持っているのかわからないのにさらにクリアしないと確かめられない。

もう持っているスタンプだった場合は無駄足になってしまうというわけか。

これはスタンプを集めれば集めるほど残りを見つけるのが大変そうだ。

すごく時間がかかりそう………俺以外はな!

ある意味これは運ゲーだ。なら大丈夫。

 

「条件は何ですか?」

「僕の条件は…無属性を除いた四属性全ての魔法を見せることだよ。」

 

ふむ。楽勝だ。俺一人でもクリアは可能だが…せっかくのオリエンテーリングだ。皆で協力しよう。

 

「火属性の人!」

「はいっ!」

「よろしく。」

「はーい!ファイア!」

 

 

「クリアだ。おめでとう。」

 

特に俺はなにもすることなくクリアできた。

 

「それで…スタンプは?」

「ああ。これだよ。」

 

差し出された物と自分達のカードに押された物を見比べる。

 

「ない…ですね。お願いします!」

「はい。どうぞ。」

 

これで四種類。あと二つだ。

 

 

 

 

 

 

 

「終わったぁ!」

 

結果一度もスタンプが被ることなく六種類を集め終わった。

一度だけなぜかすごく難しい条件を出されたが…

再びマーリンの杖が降臨し無事クリア。

 

「よし。戻ろう!」

「はい。急ぎましょう!」

「ダッシュ!」

 

俺一人なら風の靴(ウイング・ブーツ)ですぐなのだが…

さすがにこの人数は無理だ。魔力がもたないし、風の靴は足を早くするだけで実際は体力も使うので走り回った今では足ももたない。

 

普通に走ってグラウンドに戻る。

 

「お?もう戻ってきたのか。早いな。」

 

先生しかいなかった。

 

「やった!一番だ!」

「疲れたぁ…」

「でもこれでだっこが…」

 

げ…そういやそんな約束したな…でも今は無理…

 

「普通なら1.2時間かかるのにな。お前ら数十分で戻ってきやがって…新記録だぜ?時代に名を残したな!」

 

先生楽しそう。ずっとここに一人だったのかな…

 

「シンさーん。だっこしてくださーい!」

 

ティアが寄ってくる。今は疲れてるから無理だってのに…

 

「お願いします!」

「頼んだぜ!シン!」

 

男の子たちは呼び捨てにし始めた。いや、まぁ仲良くなれたのは良いことなのだが…

男が女に抱えられてプライドはないのか?

ないんだろうな…まだ女の子の方が成長の早い時期だし。

俺より大きいやつはあまりいない。

ティアが少し背が高いくらいか…

 

「良いんですか?」

「え?な、何が?」

 

突然ティアの声の音程が少し下がる。な、何だろう…

 

「ゆっくりしてたらルゥさんが戻ってきます。」

「そうだね。」

「そしたらどうなりますか?」

「え?」

 

どうなる…とは…?

 

「シンさんはだっこをします。約束なので。」

「お、おう…」

 

約束してしまったものは仕方ない。ただ今は疲れてるから無理なだけで…

 

「ルゥさんの目の前でしてしまった場合…」

「場合?」

「かなりの確率で泣くでしょう。」

「え…」

 

想像してみる。もしルゥに見られたら…

『いいなぁ…私も…あ、いや。してほしい訳じゃ…うぅ…』

うん。泣くね。もしくは拗ねるね。

はぁ…体力回復魔法とかないのかな…ヒール!とか…

あれは傷を直すだけか。体力は回復しないんだっけ。

 

「仕方ない…やるか!」

「やった!お願いします!」

「あ!シンもういる!」

「なっ…」

 

ルゥが戻ってきてしまった。

 

「はぁ…残念。また勝てなかった…次!次は勝つから!

それで…何してるの?」

 

今の状況は…ティアが片足を俺の腕の位置まであげて乗ろうとしている。

うん。知らない人が見るとなにしてんだろって思うよね。

でも言うわけにはいかない。言ってしまうと面倒くさいことに…

 

「お姫様だっこです!」

 

言いやがったよ!!

 

「へ?」

 

ポカーンとしている。そりゃそうだ。

 

「一番になったご褒美です!」

「なっ…ずるい!あっ…いや…別にしてほしい訳じゃ…」

 

すごい。大体予想通りだ。行動が読みやすいんだよなぁ。

 

「うぅ…」

 

ちらちらとこちらを見ている。

なんだこのかわいい生物は。放っておけるわけがない。

 

「はぁ…わかったよ!全員してやるから待ってろ!」

 

パアッと皆の顔が明るくなる。

 

「ただし!もう一チームが次戻ってきたらな!他の組が先に戻ってきたら全員無しだ!」

「やった!早く戻ってきて!」

 

こういった賭けに持ち込めば俺は無敵だ。ふっ…勝ったな…

 

「あ!戻ってきた!」

「は?」

 

だ、誰だ?どのチームが…

 

「やった!C組だ!」

「なん…だと…!」

 

揃ってしまった…ということは…

 

「だっこ!だっこ!だっこ!」

 

だっこコールが始まる。

 

「うるせぇ!わかったよ!全員一列に並べ!」

「「「うわーい!」」」

 

………

数十分後

閉会式では足がガクブルで立てませんでしたとさ…

そしてなぜか

『立てないのなら私が支えます!』

とティアに抱かれたまま閉会式に出てしまいました。

回りからの視線が痛かったです…

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