剣?魔法?いやいや時代は運でしょ!   作:高崎瑞希

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十七話  生死の境

なにも見えない…なにも聞こえない…

 

ここはどこだろう…

 

真っ暗な世界にただ一人…

 

そのとき頭上から光がさした。

 

戻らなきゃ…ティアや…ルゥや…皆が待っているあの場所へ…

 

 

 

 

 

「ん…」

 

目が覚める。

すると…

 

「あ!やっと起きた!遅いよ!」

 

目の前に俺を転生させた女神がいた。

 

「は?え…え?」

「もー…せっかく転生させてあげたのにさ。なんで一年ちょっとで死にかけてるの?」

「え…っと…死?」

 

女神がいる…てことは…俺は死んだのか?いや、今死にかけていると言っていた。ということは…

 

「オレまだ死んでないよね?」

「うん。ギリギリね。」

 

とりあえずは良かった。でもだとすると疑問が残る。

 

「ねぇ…なんでオレはまたここに連れてこられたの?」

「それはね…ちょっと暇だったからだよ!」

 

…は?

 

「今日も死人の魂見てたんだけどね?なかなか面白そうな魂ないなーって思ってたら君がいたの。」

「はぁ…」

「別に久しぶりに話したかった訳じゃないからね!

暇だっただけだから!」

「はいはい。あの世界に戻してくれる?」

 

女神様がショックを受けている。

 

「そ、そんなに私と話したくない?」

「いや…そういう訳じゃ…」

「わ、私だって忙しいんだから!早く帰ってよね!」

「ええ…」

 

情緒不安定すぎないか?この女神…

 

「グスッ…もう送るから!送るからね!」

 

扉が現れる。でも…もう少しだけ話を…

 

「じゃーね!!」

 

カパッ!地面に立っている感覚が無くなる。

下を向くと…

 

足下に穴が開いていた。

 

「は?はぁぁぁぁぁ!?」

「また来てねー!」

 

あのダ女神がぁぁぁ!

扉出したんだから扉使えよぉぉぉ!

 

 

 

再び真っ暗な世界に閉じ込められる。

でも今度は大丈夫。きっと戻れる。なぜか強くそう思える。

 

「ーーーーー!」

 

なにか聞こえる。さっきまでは聞こえなかったなにかが…

 

「シーーーん!おーーーさーーー!」

 

これは…ティアの声か?いや、きっとそうだ。

 

「ティア!ここだよ!」

 

「はーーーもどーーー!」

 

ルゥの声もする。早く…どこだ…どこから聞こえる…?

回りを見渡しても暗闇ばかりだ。

 

「ティア!ルゥ!みんな!」

 

 

 

 

「シンさん!」

「シン!」

 

視界が開ける。目の前には女神…ではない二人の女の子が…

 

「良かったです…本当に…本当に良かったです…」

「まったく…心配かけるんじゃないわよ。バカ…」

 

ティアに抱きつかれる。ルゥは少し遠くから見ていた。

 

「えっと…ここは…?」

 

どこだろう。見慣れない場所だ。

 

「保健室です。シンさん部屋の前で倒れてたんですよ?

私たちの方が先に戻り始めたはずなのに部屋に戻ったら倒れてて本当にビックリしました。

それに死ぬかもしれない状況だって言われて…」

 

……部屋の前?俺が倒れたのは裏山のはずだ…

あの三人が部屋まで運んできてくれたのだろうか。

だが…特に怪我はしていない。

意識を失って抵抗できない俺を見逃すようなやつには見えなかったが…

 

「おお。シン。起きたか。」

 

学園長が入ってきた。

 

「すまん。少し二人で話させてくれんか?」

 

「はい。じゃあシンさん。また後で来ますね」

「あんたいないと暇なんだから…早く戻ってきなさいよね」

「うん。ありがとう」

 

二人が部屋を出ていく。

 

「さて…まずは状況について知りたいんじゃが」

「えっと…」

 

どこまで話していいものか…襲われたことを話すとティアのお姉さんが…

 

「裏山に行ったら…急に視界が歪んで…」

 

黙っていることにした。言ってもなにかあるわけでもないし…

 

「ふむ…やはりか…」

 

あごをおさえて考え始めた。

 

「あのときの時空の歪みはきみのせいじゃったか。

ついでに聞くが…回りには誰もおらんかったのか?」

「え…と…多分…」

「そうか…ではおそらく…」

 

学園長の言葉が止まる。言うか悩んでいるようだが…

 

「それは…転移じゃな。」

「て…転移?」

 

というと…無属性の…?

 

「きみが倒れた原因は魔力ぎれじゃ。」

「え?」

「しかもかなりの。多少足りない程度ならすぐに回復するが…

きみは完全に魔力がきれておった。

あの女の子たちがわけてくれていなかったら死んでいたかもしれんぞ?

本当に運が良かったのう。」

「えと…魔力ぎれと転移はどう結び付くのですか?」

「言ったであろう。無属性は多くの魔力を使うと。

オリエンテーリング後なのにそんな無茶をすれば魔力もきれるわい。」

 

なるほど…斬られる前に転移できたのか。

魔力ぎれ…確かに納得できる。

 

「しかしな…魔力が不十分な状態で転移を成功させるとは…

本当に運がいいのう。下手をすれば部屋の前で全裸。なんてことにもなりかねんかったぞ。」

 

うわっ…それはヤバイ。良かったよ…うまくいって…

 

「まぁ今はゆっくり休め。もうすぐ魔法祭じゃしな。

無茶はいかんぞ。休憩も大事じゃ」

「あ、はい。」

 

そういえば…魔法祭についてティアに聞かなきゃな…

 

「だるさが消えたら部屋に戻ってもいいからの。」

「はい。」

 

でも今は休みたい。魔力が少ない影響だろうか。やけに眠い

 

「ふわーぁ…」

「しっかり休めよ。」

「はい…」

 

俺は眠りに着いた。

明日の授業…出られるかな…

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