「はぁ…」
憂鬱だ。なぜなら今日は12月24日。
明日は俺の命日。そしてずっとボッチだったあの頃を思い出してしまう。
唯一、昨年は楽しかった。
朝起きると枕元に大きな袋が置かれていて中には大量のゴブリンのたま…
…思い出すのは止めよう。笑顔なフェリスとお父さんの顔を覚えている。それで十分だ。
「でもなぁ…」
今年はメリア学園にいる。今フェリスはいない。
「ね、ねぇ…シン…起きてる…?」
「んぁ…?寝てる。」
「起きてるじゃん!ねぇ。明日はなんの日か知ってる?」
お前もその名を口にさせたいのか…!
「赤い服を着た白髭のおじさんが勝手に部屋に上がりこんできて荷物を置いていく日だろ?」
「え?」
「あ?」
ぽかーん…と口が開いている。
これじゃあ残念なルゥには通じなかったか…
「サンタが来る日だろ?」
「え?」
「あ?」
これでも通じない…だと…!
「クリスマスだよ?」
「おう。」
何が言いたいのだ。クリスマスなんだからサンタが来る日であっているだろ。
「で?クリスマスだからなに?」
「うん…その…ね?」
首をこてっ…と傾ける。可愛い仕草ではあるのだが…何が言いたいのかわからない。
なにせ俺は眠い。そして寒い。何もしたくない。
だって明日は俺が死んで二年の記念日だぜ?忘れて今日明日と眠り続けたい。
「で?」
「え…いや…ね?」
「おやすみ」
いつまでも『ね?』しか言わないのでちょっと放っておいてみる。
「あ!ちょっと待って!お願いします!お願いします!」
んあぁ…揺さぶらないでぇぇ…布団が…布団が落ちる…寒い…
「やめぃ」
「ひぅっ…」
どすっ。チョップをいれる。
「で?話は?」
「う、うん…明日のことなんだけど…何か欲しい物ある?」
「はぁ…なんでオレにそれを聞くの?」
「はぁ?もう7年も生きてて明日何をする日か知らないの?おっくれてるぅ~!」
イラァ…
「おやすみ」
「にゃぁーーー!!!」
「で?明日はなにがしたかったの?」
「ぐすっ…うん。えっとね…」
そのまま伝えると長くなるので簡潔にまとめると…
明日はクリスマスだ。
そしてなんとこの国にはサンタはいないらしい。
その代わりに自分達が日頃お世話になっている人に贈り物をする日なのだとか。
さらに明日は何かが起こる…!らしい。
最後のは直接言われたわけでは無いのだが…まぁルゥはわかりやすいから…何かたくらんでんのかな…
「だから俺の欲しい物が知りたい…と。」
「うん。あと、ティアの欲しい物も知りたいな…」
ダメ?と言いたげな上目づかい。くそ…うまくなったな…!
「わかったよ。じゃあティアに聞きに行こうか。」
「あ、いや。できればティアにはサプライズで渡したいの。」
「え?なんで?」
「いや…なんか…知られたくないじゃん?だからシンに相談したかったわけで…」
「ふーん…」
多少はプライドというものがあるのか。
「だから…その…一緒に買い物行こ!」
「おやすみ」
せっかくの冬休み。しかも命日なうえに寒い。寒い!
「やだやだやだやだ!なんでなんで!?行こ!行こーよ!」
んあぁ…馬乗りだぁぁ…上に乗られてるよぉぉ…でも軽いな。布団落ちないしこれなら放っておいても…
「なーんーでー!!!いーこーうーよー!!!」
跳ねるなぁ!腹に…腹にくるから…
「やめぃ」
「ひぅっ…」
ったく…
「ねぇねぇ!これ可愛い!」
「うん。そうだね。可愛いね。」
結局流されて来てしまった。ちなみに今はアクセサリーショップに来ている。
自分が欲しいものがティアも欲しいだろ。と丸め込んだ結果だ。
「これ!これがいい!」
「そうだね。いいね。」
お。あっちにプラモデルショップあるじゃん。後で行ってみよう。
「あ、これもいいな。どう思う?」
「うん。思うね。」
んー…その隣は…食べ物屋だ。うわぁ…また会ったな。ゴブリンの卵よ…!
「…ねぇ。シンはバカだよね?」
「うん。ルゥはバカだね。」
ははは!お前は絶対に食わない!そこで寂しく見てやが…
「とうっ!」
「いた…なに?なんで今オレ叩かれたの?」
「全然話聞いてないじゃん!そんなに気になるなら待ってて!」
ルゥが走っていく。どこに行って…そこは…ま…まさか…
「はい!ゆで卵!」
「………」
来た…持ってきやがった…しかもゆで卵!特に味付け無し!そのままゴブリンの卵だよ!
なんでこんな店でゆで卵なんか売ってんだ。もっとオムライスとか作れよ。
「はい!」
しかも殻剥いて口元まで持ってきてるし…
「はい!!」
アクセサリーショップのど真ん中で卵を突きつけられる女の子。なんだこの絵は。
「食べてもいいよ。」
「え?いいの?」
「うん。」
「やった!いただきまーす!」
はぁ…よくこんなとこで食べれるな…お。これいいな。値段も安いし。ティアに買っていこう。
「はい。ネックレス一点ですね。」
「お願いします。」
「ほら。行くよ。」
「んむ?私まだ買ってな…」
「次はどこ行くかなー…」
「ひどい!私まだ食べてるのに…じゃなかった。買ってないのに!」
放っておいて歩き始める。次は…うん。一応ルゥのも買っておいてやるか。
別のお店でルゥへのプレゼントを買い、寮に帰る。
「ふぅ…」
「楽しかったねぇ。」
「まぁ…そうだな。」
思ってたよりも楽しかった。後は明日を乗りきれば…!
結局何があるのかわからなかったんだよな…ルゥのくせに。こんなに口が固いとは…!
「んじゃ。おやすみ。」
「えぇ!まだ夕方だよ!あそぼーよー!」
「乗るな跳ねるな叩くな!わかった!わかったよ!」
そのまま就寝時間までルゥに構っていた。そのせいで眠い…
「こんどこそ寝るからな。もう起こすなよ。」
「くー…」
「お前…まぁいいや。おやすみ…」
時計の針はどんどん進み…次の日。