剣?魔法?いやいや時代は運でしょ!   作:高崎瑞希

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最終話

「シンさん?起きてますか?」

「うん。もう朝食?」

「はい。着替えたら来てくださいね。」

 

部屋からティアが出ていく。

相変わらず可愛い。あの頃よりも随分背も伸びたし、ボン、キュッ、ボン!な感じになってきている。俺とは大違いだ…

ちなみに今いるのはティアの実家。見習いの魔法使いである。

今、俺が求めるのはただひとつの魔法。そう。あの魔法…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルゥを元に戻してやってくれないかな?

 

 

言われなくても。しかし、運を吸収した本人がムリだったと言っているものを俺は出来るのだろうか…

 

「ねぇ…全然話が見えないんだけど…?」

「お前はこいつに騙されてるぞって話だよ。」

「心外だなぁ。ぼくは落ちてきた彼女を助けたんだよ?ついでにちょっと運を貰ったくらいいいじゃないか。」

「そのせいでこいつは魔法を使えなくなってるんだよ!」

 

ちょっと運を…で人の魔法使い人生に終止符打たれるとか…

とにかく試してみよう。何かの拍子に運が上がるかもしれないし。

 

「………」

「えっと…シンさん?何をしているのですか?」

 

現在俺は両手をルゥの方に伸ばしている。

頭の中で『運よ~…上がれ~…』なんて唱えてみたものの…変化はない。

 

「いや…ちょっと試してみたかっただけだから。なんでもないよ。」

 

まぁダメだよね。他になにか…

 

「ねえねえ。」

「あ?問題引き起こした張本人がなにか?」

「ひどいなーもう。いやさ。良い方法を思い付いたんだけど。」

「なに。しょうもない方法だったら命はないよ?」

「はぁ…教えるのやめようかな~」

 

イラァ

 

「無言で剣出さないでくれる?怖い。怖いから。」

「じゃあ早く話せ。至急。」

 

はぁ…手荒いなぁ…何て言いながらも提案。

 

「ぼくが皆から運をひたすら貰って後はその運でなんとかする。」

「よし。表出ろや。」

 

そんなことで俺の運を越えられると思っているのかぁ!

99999だぞ?というか簡単に越えられたら転生特典の意味が…

 

「シンさん。落ち着いてください。」

「あ?あぁ…ごめんね。ちょっとあまりにこいつがむかつくもんで…」

「はぁ…じゃあ君はなんとか出来るのかい?転生の特典はなんだい?役に立つものなのかな?」

「やってみないとわからないだろ。それにこの世界においては多分一番役に立つし。」

「そっか。じゃあやってみなよ。期限は…成人まで。10年くらいは待ってあげるよ。

それで無理ならぼくが引き取るから。」

「お前…何様だよ。」

「ぼくかい?ぼくはエルフ様さ!尊敬したまえ!」

 

どやぁ!

 

椅子から立ち上がり右手を頭にあて、左手をこちらに突き出している。

もうダメだ。こいつに構っていたらどれだけ時間があっても足りない。

 

「わかった。成人までな。おいルゥ。帰るぞ」

「んー…ふぇ?あ、終わった?」

 

寝てやがった…まぁ…仕方ないか。お前悪くないもんな。悪いのは全部…

 

どやぁ!

 

いまだにポーズを決めているこのエルフだ。

見てろよ。俺が絶対に助けてやるからな。

 

 

学園を思い浮かべ、三人で叫ぶ。

 

「「「転移!」」」

 

 

 

「またおいでよ!ぼくずっと一人で暇なんだよね。」

 

「誰が来るか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから既に8年。

俺たちはメリア学園を卒業し、インディゴにあるティアの実家に御世話になりながら中等部で魔法を学んでいる。

ティアの家はお金持ちだということもあり、様々な資料が揃っていた。

無属性魔法についても書かれていたが、どこにも運については書かれてない。つまり自分で発明するしかない。

 

「ふわぁ…おはよう…」

「ルゥさん。遅いですよ。」

「だって昨日は夜遅くまで魔法の勉強してたから…」

 

ちなみにルゥも一緒にここに住ませてもらっている。

運が無いなら魔力量で…!とポジティブシンキングで毎日頑張っている。

そのおかげもあってか最近中級魔法を使えるようになったらしい。教えている俺も嬉しいかぎりだ。

 

「シンよ。今日もよろしく頼むぞ!」

「あ、はい!」

 

俺の使いたい魔法はまだまだだ。それでも俺は無属性魔法を極めた。

スティールも成功率100%。転移も一度行ったことのある場所なら確実に行ける。

もともとあった運に魔力も増えてきたからだ。

 

そのせいで俺の肩書きは『見習い魔法使い』なのに現役の魔法使いに魔法を教えている。

ティアのお父さんにも、だ。

 

色々な人と触れあい様々な考えを皆と共有して高めあう。

最高の環境を整えてくれたティアやティアのお父さんに感謝。

ここに来ることを許してくれたフェリスやお父さんにも感謝。

そして…毎日一緒に楽しんでくれているルゥに感謝。

 

 

「ルゥ」

「んー…」

「待っててね。」

「ん?うん!」

 

 

「ティア」

「はい」

「ありがとうね。」

「ふふ…いつでも頼ってくださいね。私は…シンさんと一緒にいられて本当に毎日楽しいんです。」

「うん。よろしく頼むよ。」

「はいっ!」

 

本当に楽しい毎日。

不謹慎かもしれないが…あのエルフのおかげで今の俺たちがある。

出会った全ての人が俺の養分となっている。

元ヒキニートの俺でも…頼ってくれる人がいるのなら…役に立てるのなら…

 

 

「じゃあ行こうか」

 

「うんっ!」

 

 

救ってみせる。俺の運は…きっと…そのためにあったのだから…





完・結!

あー…楽しかった!
『もっと運要素使えただろ』『もっとうまい表現あっただろ』
全て終わった今ではそう思う。

それでもお気に入り、評価、コメント、などなどしてくださった皆さんのおかげでついにここまでたどりつけました。
こんな駄文を最後まで読んでくださって…本当に…皆さんにも感謝!ありがとう!

これからもどこかで出会ったら気軽に声をかけてね!
もっと成長できるよう…頑張るからね!
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