剣?魔法?いやいや時代は運でしょ!   作:高崎瑞希

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六話  ここは俺の故郷

水龍の剣!(ウォーター・ソード)

「なんの!風龍の盾!(ウイング・シールド)

 

水を風で吹き飛ばす。

この一年で様々な魔法を扱えるようになった。

そしてあの時当てたあの杖。これすごいね。

お父さんが言うには

『これは魔法の威力を増幅させるすごい杖だ』

だって。あのカジノすごい。本物扱ってやがった。

 

「よし。今日の修行も終了!」

「ありがとうございました!」

「疲れたぁ…」

 

俺の修行に二人は付き合ってくれている。

 

「はぁ…シンちゃんともこれで最後かぁ…」

 

そう。俺は明日この家を旅立つ。フェリスとの魔法の撃ち合いも今日で最後だ。

 

「そんな顔しないでよ。オレまで寂しくなるじゃん。」

 

 

ちなみに、俺の一人称は『オレ』に落ち着いた。

『俺』はダメなのに『オレ』はかわいいからOK!だってさ。

なにが違うのか全然わからない…

 

 

「お父さんもありがとね!」

「いままでよく頑張ったな。」

 

優しいお父さん。他人の俺をここまでかわいがってくれて…

本当に感謝しかない。

 

 

 

「よし!今日も行こうか!」

「うん!」

 

修行のあとはフェリスと二人で狩りへ行く。お互いいままでよりも魔法が強化されたこともあり、ゴブリン以外も倒せるようになってきた。

 

「あまり遠くへ行くなよ。」

「うん!いってきます!」

「いってきます!」

 

 

 

「おっ!シンちゃん!今日もお姉ちゃんとおでかけかい?」

「うん!」

「そうかい!じゃあこれ持っていきな!」

 

リンゴを投げられる。

 

「いつもありがとね!おねえさん!」

「まあ!おねえさんだなんて!シンちゃんは正直ね!」

「あはは…じゃあ行ってくる!」

「いってらっしゃい」

 

歩きながらリンゴをかじる。

ちなみに正式名称はリンゴじゃないみたいだけど…見た目も味もリンゴだからリンゴと呼んでいる。

 

「仲いいなぁ!」

「えへへ…そんなことないですよ。」

「いやいや!いつも一緒にいるじゃない!」

「これ持っていきな!」

「ほら!やるよ!」

「わぁ!ありがとう!」

 

いつもこの道を通るし、買い物もたまにするからみんな顔馴染みだ。

さらに若い子が少ないということもあり俺とフェリスは特に可愛がられている。

歩くだけで色々なものが貰える。

一年前のひきニートだった自分からは考えられないことだ。

 

「今日もいっぱい貰っちゃったね。後でたくさん買って帰らなきゃ!」

「うん。そうだね。」

 

はなしながら私たちは草原へ足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 

「今日は久々にクマいこうか!」

「うん!」

「じゃあシンちゃん。よろしく!」

「はーい!風の靴!(ウイング・ブーツ)

 

俺とフェリスの足に風がまとわりつく。

そして急に体が軽くなる。

 

「よし。行くよ!」

「よーい…どん!」

 

ダッシュ!すごい勢いで周りの風景が変わっていく。

おそらく時速80キロくらい出ているのではないだろうか。

 

 

「ここだね。」 

 

数秒で穴につく。クマは…いるみたいだ。

 

「お姉ちゃん。」

「うん。水龍の鎖!(ウォーター・チェイン)

 

水の鎖が顕れる。

 

「ぐあっ!」

 

クマに絡まりつく。動きを封じ込めた。

 

「よし!燃える黒い炎!(ヘル・フレイム)

「ぐあぁ!」

 

クマが黒い炎に包まれる。

 

「もう…いつもやりすぎだよ?ウォーター」

「あはは…ごめんね。」

 

クマに水がかかり燃えていた姿が露になる。

 

「よし。帰ろうか。」

「うん。」

 

クマをバックに入れる。もうこの作業も慣れたものだ。

 

風の靴!(ウイング・ブーツ)

 

再び風をまとう。

 

「ひゃっほぉぉぉう!」

 

このスピードは癖になりそうだ…

 

 

 

 

 

「ただいま帰りましたぁ!」

「おかえり。」

 

いつも通りお父さんが出迎えてくれる。

 

「あれ?それは…?」

「うん?これか?これはな…」

 

お父さんの手には何か握られている。

 

「ウサギだな。」

「ウサギ…」

「うまいんだが…動きが速くてな。捕まえるのが難しい。一匹がやっとだった。」

「へぇ…そうなんだ。」

「フェリス。早速だか料理してくれ。」

「はーい!シンちゃんも楽しみに待っててね!」

「うん。お姉ちゃんがんばってね!」

「はうっ!うん!がんばるよ!」

 

そして出てきた夕食はいつもよりもすごく豪華だった。

 

 

 

 

 

次の日…

「うわーん!シンちゃーん!元気でね!グスッ」

「お姉ちゃん…泣かないでよ。」

「いつでも帰ってくるといい。ここはもう君の家だ。」

「うん。お父さんありがとう。」

「そうだぜ!いつでも戻ってこいよな!」

「シンちゃん!がんばってね!」

「うん!みんなもありがとうね!」

 

町のみんなが見送ってくれる。

本当に…俺は幸せだな…

 

「いってきます!」

 

みんなと別れるのはもちろん寂しいが…

明日からは新しい学校生活だ…元ニートの俺に…いや。考えるな!みんなが見送ってくれた!きっと…きっと最高の学校生活にしてみせる!

 

「がんばるぞぉ!」

 

こうして俺の学校生活が始まった。


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