この素晴らしいSAOに祝福を   作:四季山

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このパーティに盾役を

俺達は狩りから戻ってきてから、街の酒場に来ている。

結局、めぐみんがパーティに加入して、火力の心配はなくなったが、その分前衛の心配が増えた。

今はめぐみんが一発で倒せるとしても、倒せなかった場合をどうするかが、問題だ。

それを考えた俺達は、

「よし、まずまずのできね」

「いや、これは駄目だろ」

「なにか、詐欺の匂いがしますね」

「メンバー募集なんだから、これくらいはしないとダメでしょ?」

メンバー募集をする事にした。

今この街には、いなくなった人間を抜いたとしても、七千人近くはいる。

その中には、一人で狩りに出るのは怖いが、仲間がいれば大丈夫という人もいるだろう。

それを考えてのメンバー募集だ。

だが、

「この文面では、間違いなく来ない」

俺は先ほどアクアが貼った紙を剥がす。

『メンバー求む。

美しく気高き槍使い、アクア様と共に戦いたい人はこのパーティへ。

メンバーKさん

このパーティに入ってから毎日がハッピーになりました。レアアイテムももらえました。

メンバーMさん

アクア様と旅ができるなんて最高です。今入らないと後悔しますよ。

募集条件

前衛で、敵の攻撃くらっても、大丈夫な人』

いや、どう考えてもアウトだろ。

よく考えればKさんって俺のことだよな。

俺こんなこと言ってないんだけど。

俺はアクアの書いた紙を真っ二つに破った。

「ああ!」

「カズマ、紙は高いのですから。もったいないですよ」

おっと、そうだった。

「謝って!私の紙をぞんざいに扱ったことをを謝って!」

アクアが俺につかみかかってくる。

「うるせー!こんなのじゃ来るわけないだろ!とにかく、こんな書き方じゃ駄目だ。めぐみん、頼む」

「私ですか?まあ、いいですよ。私の筆さばきとくと見るがいい」

と言って、めぐみんが紙に書いていく。

まあ、めぐみんならアクアみたいにはならないだろう。

たぶん。

それから、数分後。

「できました!」

と言って、紙を見せてくる。

俺はそれを手にとる。

『同士求む。

最強の攻撃力を誇る、両手斧使い、めぐみんと同じ志を持つ者よ』

「って、アホかー!」

俺は紙を机に叩きつけた。

「こんなこと書いてどうするんだ!アクアと同レベルだぞ!」

「な、なにおう!私と同じ志を持つ者以外は、我がパーティには要りません!」

「お前みたいなのが二人もいらねえよ!というか、このパーティにまともな奴はいないのか!」

俺は、紙がもったいないため、めぐみんが書いたのの裏に、新たに文面を書いた。

「ほら、これが募集の張り紙って奴だ」

書き上げた文面を二人に見せる。

『メンバー募集。

前衛探してます。

メンバーは片手剣使いと、槍使い、両手斧使いです。

できれば、綺麗な女の人が来て欲しいです』

「って、なんですかこれはー!」

めぐみんが、俺が書いた文面を破り捨てる。

「ああ!せっかくの力作が!」

「あれが力作ですか。自分の願望詰まりまくりじゃないですか!」

「私も、さすがにあれは無いと思うわ」

「お前らには言われたくねえよ!この自称女神と筋肉馬鹿が!」

「誰が自称女神よ!私はちゃんとした女神よ!」

「は?お前が神なら、俺は何なんだ?神の王か?」

「筋肉馬鹿とは、女の子に言っていい言葉じゃないでしょう!」

「女って、認めて欲しいなら、もっと女としての魅力を出してからだ!」

「この男!」

三人で、掴み合いの喧嘩をしていると、近くのテーブルから、

「おい!うるせえぞ!」

「「「す、すいません」」」

とりあえず、全員着席。

「じゃあ書き直すか」

「そうですね。三人で書けばいいのが出来上がるでしょう」

「じゃあ、みんな仲良く書きましょ!」

そんな風にして、完成したのがこちらです。

『同士求む。

美しく気高き槍使いアクア様と、最強の攻撃力を誇る両手斧使いめぐみんと、刀使いカズマと冒険がしたい方はこのパーティへ。

このパーティに入ると、いいことがありますよ!

今入らなければ後悔します。

条件

前衛で、綺麗なお姉さん』

......................。

「これは......」.

「うん、もっと駄目なのができたな」

「そうね。さすがの私もひどいと思うわ」

「「「..............」」」

あまりの出来映えに全員が絶句する。

結局、新しく書く紙が無いので、これを貼っておくことになった。

 

 

 

 

「来ないな」

朝だからか、人が少ない酒場に俺はいた。

昨日の夜張り紙を出して、一晩放置してみたが、今の時間まで来る人はいなかった。

アクアは、まだ寝ていたので、置いてきた。

どうせ、あいつを連れてきても、禄なことにならないだろうし。

ーーカラン

酒場に誰か入ってきた。

その人物は、テーブルに座っている俺を見つけると、こちらに近づいてくる。

黒いマントに、その体躯に似合わない斧を背負った人物。

二人目のパーティメンバー、めぐみんだ。

めぐみんは、誰も来てないのを確認すると、溜め息を吐いて、俺の横に座る。

「来ませんね」

「そうだな」

これは長期戦になると考えたのか、ウエイトレスに、エール酒と、ステーキを注文する。

NPCのウエイトレスは、一言一句間違えることなく、注文を復唱してから、店の奥に戻った。

そして、十秒ぐらいで、透明な液体と、程よく焼けたステーキを持って、戻ってきた。

「仕事が早いな」

「それはNPCですから」

と言って、めぐみんは、ステーキの一部を綺麗に切りとり、口に運ぶ。

................................。

「俺にも、一口」

「あげませんよ。欲しいなら自分で頼めばいいじゃないですか」

だって、金が無いんだもの。

ここのところ二日で、金は稼げないわ、パーティめメンバーは禄な奴が来ないわ、死にかけるわで、散々な目にあった。

そろそろいいことがあってもいいんじゃないか、と俺が思っていると、

「メンバー募集はここでいいだろうか。」

それは突然訪れた。

今、俺の前にいるのは金髪碧眼の女騎士。

あまりの美しさに、俺が見とれていると、

「か、カズマ。しっかりしてください」

めぐみんに肘でつつかれる。

俺は慌てて我を取り戻し、女騎士に向き直る。

「はい、こちらでいいですよ」

「よかった。私はあまり人付き合いが苦手なゆえ、間違ったらどうしようかと思っていたのだ」

「そうですか。では、名前と使用武器を教えてくれませんか?」

紳士的に言う俺に、めぐみんが軽く引いている。

「名前はダクネス。使用武器は両手剣だ」

おお、前衛にぴったりじゃないですか。

よく見れば格好も、白いアイアンメイルに、肘当てなど、騎士のような格好をしている。

少なくとも、今までの奴らのような駄目な奴では無さそうだ。

そんな俺の態度に腹を立てたのか、めぐみんが、

「一つ聞いてもいいですか?」

と、ダクネスに聞いた。

「構わないぞ。なんでも聞くがいい」

「私は、両手斧の使い手なのです。だから、攻撃力優先になっているのです」

そのめぐみんの発言に、ダクネスが驚愕した。

そりゃあ、無理もない。

いまや、デスゲームになったSAOで、そんなロールプレイをする人など、よほど死にたいのか、もしくは馬鹿だけだ。

ちなみにめぐみんは後者だ。

「む、カズマ。今、失礼なこと考えませんでしたか?」

「そんなことないよ」

「おい、私の目を見て言ってもらおうか」

めぐみんから目をそらす。

俺は話を変えようと、話題を戻す。

「で、めぐみんは何が言いたいんだ?」

話を変えたことを恨めしそうにしながら、めぐみんがダクネスに聞く。

「つまり、私は一発まともな攻撃を食らえば死んでしまう可能性もあります。そんな私を守れる前衛が必要なのですが」

「わかった」

ダクネスが椅子から立ち上がる。

余計なことを、と、めぐみんの方を睨むが、事態は、俺の想像の斜め上を行った。

「実は、私も不器用で攻撃が当たらないのだ。だから、防御系のスキルしか取っていない」

と言って、メニューからスキルの欄を見せてくる。

そこに書いてあったのは、《重金属装備》《防御力上昇》の二つのみで、

「いや、ちょっと待て。両手剣はどうした?」

普通なら、必ず取っているだろう、武器操作系スキルを取っていない。

ダクネスの場合、両手剣を持っているはずだが。

「両手剣スキルを取ったら、敵を普通に倒せるようになるだろう。そうではなくて、こう、力及ばず押し倒される感じの」

俺は今の言葉で、全てを察した。

こいつ、あれだ、ただのドMだ。

ヤバい、このままだと、もっとヤバい奴がパーティに増えてしまう。

「そうですか。それなら、大丈夫ですね」

めぐみんは引き入れる気満々だし。

これはなんとかしなければ。

俺は二人の会話に割って入る。

「そ、そうだ。入団テストしないか。その防御力も本当かはわからないだろ?」

俺の言葉に、二人共一理あると思ったのか、

「そうですね。まずは実力を見てみましょうか」

「そうだな。めぐみんと、カズマでいいか?よろしく頼む」

ダクネスの入団テストも兼ねて、狩りに行くことにした。

まあ、入団テストとは名ばかりで、防御力が無いと言って、諦めさせるのが目的なのだが。

「なあ、めぐみん。敵を倒すのは遅くでいいぞ?」

「えっ、なんでですか?」

「そ、そうしなければ、テストにならないだろう」

また、今回も大変なことになりそうだ。

 

 

 

「いーやーよー!私はまだ寝るの!」

「もう昼過ぎだぞ!いつまで寝る気だ!」

俺は正門前に、アクアの手を引っ張りながら到着した。

アクアを連れていくために馬小屋へ行くと、まだグースカ寝ていたため、頭から水を掛けてやった。

まあ、流石ゲームと言うべきか、水はすぐに消えたが、冷たさは感じるようで、その後の抵抗がヤバかった。

「遅いですよー」

正門前に行くと、めぐみんとダクネスがいた。

ダクネスは、初めて会うアクアに緊張しているようだが、

「おはー。あれ、あなた誰?」

アクアは至って能天気に聞く。

そんなアクアを不思議に思ったのか、

「アクア、カズマから聞いていないのですか?」

「聞いてないんですけど」

アクアの返答を聞いて、めぐみんがこちらを睨んでくる。

「すまん、すっかり忘れてた」

「まったく。まあ、アクアが起きなかったのもあるみたいですけどね」

「だって、まだ昼過ぎよ。あと一時間は寝せてくれてもいいじゃない」

「『もう』昼過ぎだろ!場合によってはもっと早起きの時もあるからな」

そんなアクアに一同が呆れていると、

「あの、私は」

ダクネスから、そんな弱々しい言葉が出てくる。

それを聞いて、アクアが、

「えっと、私はアクア。このパーティのリーダーをやっているわ!」

アクアの後頭部をひっぱたく。

「まともにやれ。で、こいつはダクネス。入団希望者だ」

「よ、よろしく」

「へえー、あんな張り紙でも人って来るのねー」

アクアがさも不思議そうに言う。

まあ、あの文面だからこそ、またヤバいのが来たんだけどな。

「とにかく、今日はダクネスの防御力がどれほどかを見る。内容はこの草原に現れる狼の討伐でいいか?」

俺の言葉に、全員がいい笑みで笑う。

おいアクア、昨日のこと忘れてないだろうな。

少し、心配になりながらも、俺達は討伐に向かった。




アクア「あ、ひょっとして、カズマさんの希望通りになってる?」
めぐみん「確かにそうですね。カズマは綺麗なお姉さんが募集条件でしたね」
ダクネス「ああ、張り紙にこんなことを書くとは、欲望が丸出しだと思って、このパーティにしたのだが」
カズマ「ここにしたのそんな理由かよ!」
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