この素晴らしいSAOに祝福を   作:四季山

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今回、オリジナルスキルが登場しますが、あまり物語に影響が出ないように調整するので、どうかよろしくお願いします。


この問題児共と冒険を

正門から歩いてきた俺達は、狼が多く出没するといわれている、森にやってきた。

この森は、尖った葉を持つ木々が立ち並んでおり、昼間だと言うのに太陽の光がほとんど届かない。

「暗いですねー」

「こういう人がより付かない所には、山賊とかが出そうだな」

「さ、山賊!」

山賊というワードに、目を輝かせる変態。

「でも、こんな低層に山賊は普通出てこないけどな」

「そ、そうなのか......」

俺の言葉に残念そうにする変態。

もし、山賊が出たら置いていってあげたほうがいいんじゃないのかな?

「まあ、山賊が出て来たとしても、この私の敵じゃないけどね」

「アクア、それはフラグというらしいですよ」

「おい、余計なことを言うな!」

「私のがフラグなら、カズマのもフラグじゃない!」

「俺は解説をしてただけだ。立てたとしても回収する気は無い」

「つまり、フラグを立てればきっとひどい目に」

「おい、物騒なことを言うんじゃない!」

さらっと、危険なことを言うダクネスを警戒しながら、索敵スキルで辺りを探る。

この森は、木があるせいで視界が狭い。

そのため、索敵スキルは割と重宝するのだが、

ーーガサッ

近くの茂みでそんな音が鳴る。

その音に全員が警戒して、

「え?どうしたの、立ち止まって?」

「そこの茂みに何かがいる。わかったら黙ってろ」

アクアが珍しく指示を聞く。

実際、索敵スキルにも、反応があるから何かがいるというのはわかるのだが。

「っ、来るぞ」

茂みからの音が、大きくなり、茂みから何かが出てくる。

茂みから出てきたのは、白い毛に被われ、一本の角を生やした、

「ぶーー」

ウサギだった。

その姿を見た周りの奴らは、途端に警戒を解き、近づいていく。

「おい、今すぐ離れろ!」

「なによ。モンスターじゃなかったじゃ」

アクアの言葉が遮られる。

それを遮ったのは、先ほどまで近づこうとしていたウサギで、そのウサギは、

ーーゴン!

木に突き刺さっていた。

その光景に一同唖然となる。

「な、なんですかあれ?」

一番早く我に返っためぐみんが言う。

「一撃ウサギっていう、モンスターだ。一定距離に近づくと、ものすごいスピードで飛んでくる」

「ちょっ、あんなのがモンスター.........」

アクアが、口をワナワナ震えさせながら言う。

まあ、無理もない。

俺もベータテストで、最初に遭遇した時は、何が起こったのかわからなかった。

しかし、倒すと経験値が大量に貰えるので、腰の刀に手をかける。

「だが、モンスターといえども、殺す気にはなれんな」

「そうですね。可哀想ですが、放置しておきましょう」

「それもそうね。怖い思いはしたけど、殺さなくてもいいわね」

そんな三人の会話を聞いて、俺も思いとどまり、刀から手を離す。

「そうだな。経験値は多く貰えるけど、諦めるか。それじゃ、行こ」

ーードゴーン

再び会話を遮ったのは、またも轟音。

しかし、ウサギが飛んでいったあともなく、一体何の音かと思っていると、

「お前、なにしてんの?」

めぐみんが、さっきまで、ウサギがいた木を、切り倒していた。

「かわいかったですが、経験値が貰えるなら、見過ごせませんでした」

と、満面の笑みで言うめぐみん。

そんなめぐみんを、アクア達が、先ほどよりも、青い顔で見つめている。

「め、めぐみん、あなた本当に人間?」

「もしかして、モンスターの類じゃ.......」

「失礼ですね。目の前に経験値が美味しいモンスターがいたら、倒すのは当たり前でしょう?」

そんな めぐみんの言葉にさらに青い顔になる二人。

「ちょっと、カズマさんも何か言ってあげて。このままだと手遅れになっちゃう」

アクアが、俺に小声で話しかけてくる。

いや、もう手遅れだろこれ。

かける言葉が見つからず、とりあえずその時思ったことを言ってみる。

「めぐみん」

「はい、なんですか?」

アクア達が、言ってやりなさいという目で見てきている中、俺はめぐみんにこういった。

「レベル、どのくらい上がったか?」

「「この男に言ったのが、間違いだったー!」」

今のアクア達の叫び声で、木に止まっていた鳥達が飛びさっていく。

ふむ、間違いだったか。

 

 

 

先ほどと同じように、暗い森を進んでいく。

あれから、何体かのモンスターと戦闘をし、ついでに宝箱を開けながら進んでいる。

ふと、手元のマップを見ると、もう半分ぐらいが埋まろうとしている。

「ねえ、カズマさん。さっきから、そのマップで、なにしてるの?」

アクアが俺がしている作業に興味を持ったようだ。

「こんな風にエリアごとにマップを区切ってる」

「それは見ればわかるわよ。なにがしたいの?」

「この森って、まだ探索した奴が少ないんだよな。宝箱もあんなにあったし。だから、マップデータを売れば少しは金になると思ってな」

「なるほど。流石ね、カズマ。いつか、プレイヤーいちの外道を名乗ってもいいかもよ?」

「その言葉で、俺を誉めてないのはよーくわかった」

俺が、次はアクアをどう泣かせてやろうか考えていると、

「おい、カズマ。あれはなんだ?」

ダクネスが、目の前の大木を指差して言う。

その木には、大きい爪痕が残されており、辺りには甘い匂いが漂っている。

「何かの生き物の爪痕のようですが。カズマは知ってますか?」

「いや、俺もこんなのは聞いたことはない」

「爪痕の高さから考えると、二メートル前後か。欲に飢えた猛獣にこの体を弄ばれて」

そんな事を言いながら、一人で体をクネクネさせるダクネス。

「ねえ、カズマ。このパーティ大丈夫かしら。私すっごく不安何ですけど」

「それに関しては同意見だが、お前もその一人だからな」

と、そんなことを話していると、

「カズマー!何か見つけました!」

少し離れた所から、めぐみんの声がした。

そちらの方に向かうと、

「これは蜂蜜でしょうか。この木に塗ってあったんですが」

めぐみんが、自分の指に付いている液体を舐める。

「甘いですね」

それを聞いて、俺も蜜を取って舐める。

味は極めて濃厚で、少し甘すぎるぐらいに思うこの味は、

「蜂蜜だな」

俺はこの蜂蜜であることを思い出した。

第一層の最後の街、トールバーナに、あるパンケーキ屋があったのだ。

そこのパンケーキは、一日に二十個限定で、それを食べるために、二時間前から並んだこともあった。

そして、その店で受けられるクエストに、『甘い香りにご注意を』というクエストがあり、その内容は、

「おい、今すぐここから逃げるぞ!」

そこまで思い出した俺は、周囲に警告する。

しかし、

「はんへよ。別に少しぐらいいいじゃない」

「もうちょっと、この蜜を楽しんでからに」

「うむ、これほどの蜜を楽しめるとは」

蜂蜜を舐めることに、夢中になっている他のメンバーは、俺の話を聞かない。

「いいから、さっさと逃げるぞ。このままここにいると」

そこまで言った俺は索敵スキルに反応があったために黙る。

反応があったのは、一体だけだが、もしかすると、

「なによ。ここに来るまでのモンスターも楽チンだったんだから。大丈夫に決まってるじゃない」

「このバカー!お前はどうしてそうフラグを立てるんだ!」

今の声に反応したのか、モンスターがこっちに近寄ってける。

「お前ら、何かがくるから武器を持て!」

俺の警告に渋々従うが、目に入った物を見て、顔を強ばらせる。

俺達の目の前に現れたのは、鋭い爪を持ち、尖った牙を見せる、巨大な獣。

「グルガアアアア」

二メートル近くの巨体を持つ熊だった。

 

 

 

目の前の熊を見て、古い記憶を巡らせる。

あのモンスターの名は《一撃熊》。

この森の二大ボスの内の一体で体力ゲージが二本ある。

特に注意すべきなのは、鋭い爪の攻撃で、当たればHPゲージが、危険域に達してもおかしくない。

俺は腰の刀を抜いて、構える。

後ろのメンバーも、各々の獲物を手に持つ。

「あいつは爪の攻撃が基本技だ。攻撃はダクネスが受けてくれ」

「わかってる。皆を守る盾として、奴の攻撃は私が受ける」

「おお、頼もしいな」

今までの様子からは想像できない格好いいセリフに、俺は自分の認識が間違っていたと思う。

「それに、あの獣欲に飢えた目つき。あの獣は、私の装備をあの鋭い爪で破壊した後、私の体を舐めまわして」

あっ、間違ってなかったわ。

むしろ、百二十点満点ぐらい。

「ふっふっふ、あんな獣一匹、私の前には、風の前の蝋燭ですよ」

「めぐみんは、ダクネスが攻撃を受けたら攻撃してくれ。攻撃の後はすぐに下がれ」

「私は?私は何をすればいいの?」

自分にも指示が欲しいようにアクアが言う。

「何って、お前何ができるんだ?」

「何って、それなら私の力を見せてあげるわ!」

と、アクアが槍を地面に突き刺すと、みんなの体がぼんやりと光った。

何をしたんだと、HPバーを見ると、

「は?これどうなってんだ!」

そこにはHP自動回復や、攻撃力上昇などのパフが。

パフとは、普通ならば、色々な条件が必要なはずなのだが、

「これが私の力《女神の加護》よ!」

「なんだそれ、どこで手に入れたんだ?」

俺がアクアに説明を求めるが、

「説明してる暇は無いから、早く戦って!」

先ほどまでは、かなり距離のあった一撃熊が、かなり近くまで来ていた。

俺は軽く舌打ちし、ダクネスの横に並ぶ。

「防御は任せたぞ!」

「ああ、任された。ドンと来い!」

と言ったダクネスは地面に剣を突き刺し、身構える。

先ほどよりも、一撃熊のスピードが上がったことを見ると、防御系スキル、デコイを使ったようだ。

ダクネスがデコイを使うと共に、一撃熊が飛び込んでくる。

大きく鋭い爪で、ダクネスを押し倒そうとするが、

「ふん!そんなものか!」

ダクネスは地面に倒れるどころか、微動だにしなかった。

流石に一撃熊も、それには怯んだようで、威嚇しながら、間合いを取る。

「ほら、もっと強いのをドンと来い!」

ダクネスの再びのデコイ。

それに反応した一撃熊がダクネスに向かっていく。

今度は爪で攻撃するが、

「ふん!弱い弱い!」

鎧を抉っただけに留まった。

しかし、ダクネスのHPも、鎧を破られたのだから当然、

「は?」

俺はあまりの事に間抜けな声をだす。

それも仕方ない、ボスモンスターから、鎧を抉られるほどのダメージを受けたのに、ダクネスのHPは一割も減っていないのだ。

それに業を燃やしたのか、一撃熊が、再び襲いかかってくるが、ダクネスと衝突するよりも早く、

「てりゃあああああ!!」

めぐみんの、巨大な斧が一撃熊を切り裂く。

その物量に一撃熊は跳ね飛ばされ、HPをどんどん減らしていく。

やがて、HPが一本になり、それが黄色、赤と減っていき、

「「「「え?」」」」

ゼロになった。

HPがなくなった一撃熊は、断末魔をあげてポリゴンに変わった。

誰もが、声を出さない。

その状況に耐えかねた俺は、息を大きく吸い、

「どういうことだー!」

と叫んだ。

その叫び声で再び、鳥達が飛び去っていった。

 

 

 

「それでは、順に話を聞こうか」

始まりの街の酒場。

そこには重苦しい空気が流れていた。

夜だというのに他の客も、入店しない、否、できない。

それほどの雰囲気を醸し出している。

「じゃあまずアクア」

「は、はい!」

俺に名前を呼ばれたアクアが、背筋を伸ばして返事をする。

「さっきのはなんだ?」

「さっきのって?」

「パフだよ、パフ!なんだよあれ、見たこと無いぞ!」

質問されたアクアは、手元のお茶を一杯飲んで、答える。

「わかんないわよ」

「は?」

「だから、わかんないって。スキルって何があるのかなって、スキル欄を見てたら、それがあったから」

マジか。

そんなスキルあるなんてチートだろ。

ひとまず、アクアの事は、スケールがデカくなるので、次にいく。

「じゃあ次はめぐみん」

「はい、なんですか?」

「お前、ステータス見せろ」

俺が、単刀直入に言うと、めぐみんはホッとする。

「それぐらいならいいですよ。もっとひどい事を言うのではないかと」

「具体的には?」

「い、いやらしい事を」

「いや、俺はロリコンじゃないし。ほら、早く見せろ」

「おい、なぜ私にいやらしいことを考えたらロリコンになるのかきこうじゃないか!」

機嫌が悪くなっためぐみんの後ろから、ステータスを覗きみる。

レベルは、先ほど一撃熊を倒したおかげか、8にまで上がっている。

そして、気になる筋力のステータスは、

「高っ!俺の十倍近くあるじゃねーか!」

筋力のステータスが格段に高かった。

具体的に言うと、レベルが二十半ばぐらいのステータスと変わらないぐらいだ。

しかし、それ以外のステータスが軒並み低い。

特に体力なんて、初期値よりも、少し低いぐらいだ。

「なあ、お前も変なスキル持ってないよな」

「持ってませんよ。ただ、攻撃力上昇の熟練度が、そろそろ百に到達するぐらいですかね」

と言って、攻撃力上昇のスキルを見せてくる。

確かに、変わったところはないが、

「ん?なんだこれ?」

俺は攻撃力上昇の欄をもう一度見る。

そこには熟練度が上がったことによって取れるmodが書いてあった。

modとは、スキルの追加効果みたいなもので、索敵スキルには、フレンドの足跡が一定時間わかる、《追跡》というmodもある。

そこに書かれていたmodは、

「mod名《火事場の馬鹿力》HPのステータスの伸びが悪くなるが、筋力の伸びが良くなる。って、アホかー!」

俺は思わずめぐみんの頬を引っ張る。

「いひゃいです。やめへください」

「やめても糞もあるか!お前馬鹿なの?こんなの取るって、馬鹿なの?」

「そうだぞめぐみん。筋力ばかり上げていては駄目だぞ」

ダクネスがめぐみんに説教をするが、

「お前は何自分のこと棚に上げてんの?防御力ばかり、馬鹿みたいに上げてんの誰ですか?」

「わ、私です」

ダクネスが顔を赤くして言う。

これは羞恥じゃなくて、興奮かな。

「そもそも、なんでこのパーティって、問題児ばっかなの?」

俺は一番言いたかった疑問を言う。

フラグ回収のスペシャリスト、アクア。

攻撃にしか脳がない筋肉馬鹿、めぐみん。

攻撃を受けると喜ぶ変態騎士、ダクネス。

なんでこんな問題児ばかりが、俺と同じパーティにいるの?

「まあ、めぐみん達が問題児なのは、わかってるけど、追い出しちゃうのは可哀想じゃない?」

「お前の、どの口が、めぐみん達を、問題児って、言うんだ?」

俺が一語ずつ強調して言うと、アクアは目に涙を浮かべて、言う。

「なによ。カズマみたいな平々凡々な男と、私達みたいな美女が同じパーティにいるんだからありがたいと思いなさいよ」

そういうと、ドヤ顔でこちらを見てくる、美女三人。

こいつら、見てくれは悪くないんだよな、見てくれは。

俺は三人を順に見て、

「はぁー」

「「「あ!」」」

俺を横目で見ながら、何かを話し合う三人を見ながら、俺はこれから大丈夫だろうかと、考えていた。




めぐみん「(あの男、溜め息つきましたよ)」
ダクネス「(明らかに馬鹿にしているな)」
アクア「(そうじゃなくて、俺みたいな男じゃ、釣り合わないよなって思ったのかもよ)」
三人「.............」

カズマ「(視線を感じる)」
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