平日投稿はかなりきつくなるかもしれませんが、その分休日に頑張りますので、どうかよろしくお願いします。
「で、ストーカー?」
俺の質問にアクアが、息を上げながら答える。
「ええ、私が雑貨屋さんから出た後から、妙な視線を感じてね、振り返ってみると後ろから私を見つめる人がいて」
「その人に見覚えはあったのですか?」
「うーん、顔がよく見えなかったからわからなかったけど、多分会ったことはないわ」
「うむ、それならストーカーという説も」
「いや、そもそもアクアにストーカーなんてするか?こいつは厄介事ばかり起こすし、いいところなんて」
そこまで言った俺は、あることに気づいた。
そうじゃん、こいつ見てくれだけはいいんだった。
ストーカーって、大体見た目で選んでいる気がするし、それならストーカーの可能性も。
「うーん、やっぱあるかもな」
「なにを考えてそうなったのかは聞かないでおいてあげるけど、わかったならいいわ」
アクアが、腰に手を当てて、胸を張って言う。
「明日から、そのストーカーを探すわよ」
それを聞いた俺の、危機関知センサーが起動したため、俺はこ断ろうとするが、
「まあ、パーティメンバーの危機ですし、協力はしますよ」
「なにかがあってからじゃ遅いからな。困った時はお互い様だ」
めぐみんとダクネスが協力する事になった。
それを聞いたアクアが、俺の方を見つめてくる。
まあ、二人が協力するんだし、勿論俺は、
「まあ、三人で頑張れよ」
断った。
「暇だなー」
昨日は、あの後も協力を迫られたが、敏捷値全開のダッシュと、新しく取った《隠蔽》スキルのおかげで、あいつらから逃げのびた。
しかし、一人で狩りに行くのは危険だし、別にする事もないので、こうして街をぶらぶらしている。
「しかし、こうして見てみると、この街も結構いいな」
ベータ版の頃は、毎日クエストや狩りに行ってたため、こうしてゆっくり観光する機会もなかった。
観光したとしても、鍛冶屋の場所や、いいアイテムが売ってるかとかしか見たことないと思うが。
と、俺が観光していると、
「新聞どうですかー。現在の最前線の様子が書いてますよー」
広場で、新聞を配っている人を見かけた。
今の階層で、紙はかなりの出費だと思うが、それを踏まえても新聞配りをするとは、なかなかの奴だ。
「一枚くれ」
「一枚、二百コルになります」
昨日のアルゴとの駆け引きで、かなりの金を失ったが、二百コルぐらいは、まだ安いもんだ。
「へい、毎度ー」
俺は渡された新聞に目を通す。
『隠しログアウトスポットはウソ』という、かなりブラックな内容の表紙に始まり、中身にはベータテスターから集めたとされる情報(鼠のマーク付き)があった。
一通り、目を通していると、俺はあるものを見つけた。
「アクシズ教団、入信書?」
俺は手に持った紙に目を通す。
『アクシズ教団入信書。
アクシズ教では全てが許されます。
それは同性愛者であっても、ロリコンや獣耳っ娘でも、アンデットや悪魔っ子以外なら全て。
そう、犯罪でなければ何をやってもいいのです。
さあ、女神アクア様の導きに感謝し、アクシズ教へ』
そこまで読んだ俺はそれを丸めて投げ捨てた。
「これ、絶対危ない奴だろ」
というか、女神アクアってアクアのことじゃねえか。
俺はヤバいもの見つけてしまったと、後悔する。
「はあ、とりあえず酒場にでも行くか」
すごく気分を害した俺は、いつもの酒場に行くことにした。
いつもの酒場についた俺は、溜め息をつきながらドアを開け、
「みなさん、アクシズ教は素晴らしいものです。だからどうか皆さんもアクシズ教に」
俺は無言でドアを閉めた。
「なに逃げようとしてるんですか。これどうにかしてくださいよ」
すかさず、ドアを開けて俺を引っ張るめぐみん。
「ちょっと待て、腕が折れるから!」
「離したら、すぐ逃げるでしょう」
「いいからさっさと離せ筋肉馬鹿!痛い、今のは謝るから、頭を握るのはやめろ」
めぐみんが握りつぶされるところだった頭を離してくれる。
「痛た、頭が割れるところだったぞ」
「ポーションかければ治りますよ。そんなことよりアクアが」
と、めぐみんが指差す方を見ると、
「アクア様。こちらのつまみをお受け取りください」
「いえいえ、どうか私のネックレスを」
「アクア様。先ほどの宴会芸をどうか」
「みんなの気持ちはすごく嬉しいから、全部もらってあげる。感謝の花鳥風月!」
「「「アクア様ー!」」」
変な集団にアクアが崇められていた。
アクアを崇めていることから、きっとあれがアクシズ教なのだと思うが、
「あれをどうにかできるのか?」
「私達には、無理ですが、カズマにならできるかもしれませんし」
「そういえば、ダクネスは?」
「あそこに」
めぐみんが指差す先には、石を投げられてるダクネスが。
「なんか、嬉しそうだし放っておくか」
「そうですね。今はダクネスに構ってられませんし」
そんなことを話していると、
「ああ!夜逃げニート戻ってきてたのね!」
アクアが俺に気づいたようだ。
「ニートじゃない。なんなんだこの状況は」
「えっ?ああ、この人達が私に女神様って言ってくれて」
ああ、悪い予感が的中した。
「で、私に色んな物をくれるから、私もそれに答えてあげてるのよ」
「あげてるのよじゃねえ。どうする気だこの状況」
「どうするって何を?」
「この、お前の信者共だ。これからどうするんだ?ギルドでも作る気か」
「ギルド.........それよ!」
と、俺の言葉を聞いたアクアが、信者達に向き直る。
「親愛なるアクシズ教徒達。女神アクアの名において命じます。私達はギルドを作らなければなりません」
「それはなんでですか?」
一人のアクシズ教徒が聞く。
「今のアクシズ教は、まだ少人数で、とても国教になるレベルではありません」
それを聞いたアクシズ教徒達が頷く。
いや、国教ってなんだよ。どこの国だよ。
「しかし、私達、アクシズ教徒が前線で活躍すれば、信者はより一層増えるはずです」
「しかし、前線に出れるところまで私達は」
そう言った信者の肩をアクアが優しく叩く。
「先ほど私が説いたアクシズ教典、第一条を思いだしなさい」
それを聞いたアクシズ教徒ははっとする。
「アクシズ教徒はやればできる。やればできる子なのだから。できないのなら、社会が悪い」
「そう、あなた達はやればできる子たちなのです。ただ今はやらないだけ。つまり、やれば」
「なんでもできる」
「それが例え、できなかったとしても」
「できないのなら社会が悪い!」
「そうよ!今こそさらなる信者獲得のために、立ち上がる時よ!」
「「「「うおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」」」」
アクシズ教徒達の雄叫びが上がる。
なかには、感動して涙を流すものまで。
「なんか、あれですね」
それをみていためぐみんが言った。
「頭がおかしいですね」
うん、俺もそう思う。
それから数日がたった。
あの後、アクシズ教徒達は毎日レベル上げに励み、みるみるうちにレベルを上げていった。
その間、俺はアクシズ教徒達の戦闘指南や、レベル上げの監督など、色々忙しかった。
めぐみんは一部のアクシズ教徒達に好評で、毎日引っ張りだこだった。
え、ダクネス?あいつなら毎日顔を赤くして、石を投げられてたぞ。
そして、この日、ついに数人のアクシズ教徒達が前線へと派遣される。
アクアが、アクシズ教徒達の前に立つ。
「あなた達は、あの厳しいレベル上げに耐え、ついに旅立ちの時が来ました。今まで辛いことや、厳しいことがたくさんあったと思います。そして、これからもたくさんあるでしょう。しかし、皆さん覚えておいてください。女神はいつも傍にいます。それは例え離れていようとも、私はすぐ傍にいます。どうかこれを忘れないでください。女神アクアより」
辺りから、拍手が送られる。
俺もつい、涙を流してしまいそうになった。
思えば、数日前には、アクアがこんな立派な演説をする事になるとは思いもしなかった。
アクアも、この、数日でかなり成長したものだ。
もう、自称女神ではない。
あいつは、遂に真の女神になったのだ。
「続きましては、教官のカズマさんから一言です」
続いては、俺の演説の番。
俺は、アクシズ教徒達の前に出る。
「ええっと、教官のカズマです。数日前までは、こんなことになるなんて思いもしなかったんですが、お前らと訓練をしていく内に、俺も少しずつ見直していきました。今では、どこに出しても恥ずかしくない、立派な生徒です。どうか、これからも頑張ってください」
俺の演説が終わると、再びの拍手。
アクアも、俺の演説を聞いて泣いていた。
俺は、少しこっぱずかしい気持ちになりながら、元の位置に戻る。
「それでは、遂に出発です」
アクアが、前に出て行く。
「それでは、皆さん..........あれ?なんのためだったっけ?」
と、アクアが、そんな声をあげる。
あいつ、台本読んでなかったのか。
アクアの状態を見かねた、信者が、
「信者獲得のためですよ。アクア様」
「そうだったわね!あれ?でも、信者獲得なら勧誘だけでもいいんじゃない?」
それを聞いた信者は、なるほどと考えこむ。
いやいや、それ考えてなかったのかよ。
「わざわざ、危険な前線にも行かなくてもいいわよね」
「確かに、アクア様の言うとおり」
「危険なことをやる理由は無いですね」
と、今から前線に向かおうとしていた信者が言う。
「なら、行かなくてもよくない?」
「そうだな。危険をおかしてする必要は無いよな」
えっ、待って、この流れは。
と、そこでアクアが、
「前線なんて行かなくても、勧誘だけでいいじゃない。そうと決まれば勧誘活動よ!」
アクアのその掛け声で、信者達が街に帰っていく。
それは、今から向かおうとしていた信者も例外ではなく。
そして、一人残された俺は、
「俺の苦労を返せー!」
と、叫んだ。
「で、結局勧誘活動も失敗して、しばらくは個人活動と」
俺は、アクアの方を睨む。
「おい、この数日の俺の努力は何だったんだ?」
「それは......」
「それはじゃねえ!俺の努力を返せよ!」
「仕方ないじゃない!自分から協力したんだし、事故責任よ!というか、カズマでてあんまり役にたってなかったし」
こ、こいつ!
と、俺がアクアに殴りかかろうか考えていると、
「まあまあ、結局はだれも損はしてないんですからいいじゃないですか」
「俺は、時間の浪費という損をしたんだが」
「でも、カズマのレベルも私と同じぐらいにはなったんですよね。それに、前線の人達もそれぐらいらしいですよ」
「むむむ」
まあ、レベルは上がったし、よしとするか。
と、今までおとなしくしていた変態が。
「なあ、話が終わったなら私はそろそろ酒場にいきたいのだが」
「ダメだ。お前はどうせアクシズ教徒に石投げられたいからだろ」
「いや、そんなことは........」
「いや、そこは断言しろよ。はぁ」
溜め息をつく。
まあ、結局アクシズ教徒は実害は無さそうだし、これで全て一件落ちゃ........。
と、俺は忘れていたあることを思い出した。
「そういえばアクアのストーカーはどうなったんだ?」
「「「あっ」」」
その後、アクア達の捜索により、犯人はアクシズ教徒の一人だったのだが、アクアが許したため、よしとなった。
カズマ「アクシズ教徒達はいつも何してるんだ?」
アクア「うーん、ほとんどは狩りき行ってるみたいだけど。あっ、新聞配りをしてる人もいたわ」
カズマ「あいつか!」