クリスマスにケーキを食べて、そのまま正月になっておせちを食べて…いやぁお腹が忙しい時期になりました。
皆さんはこの冬何か予定はありますか? 外に出て友達と遊んだり、クリスマスプレゼントやお年玉で好きなものを買ってもらったり…
長々と書きましたが、ここの作者は両方とも「仕事」らしいです…社畜(げんじつ)は厳しいですね…
さてつらつらと失礼しました。いよいよ秋イベント「レイテ」の山場、その一つ「スリガオ海峡夜戦」へと突入します。
果たして時雨ちゃんはどうなってしまうのか、満潮ちゃんは力を出し尽くせるのか?
…お待たせしました、では、どうぞ!
割と長めになる予定です。
2017年 秋
捷号決戦!邀撃、レイテ沖海戦(前篇)
LAST E4 「あの海峡の先へ――/スリガオ海峡沖」
敵上陸部隊が集結するレイテ湾に向けて、挟撃作戦を敢行する!
第一遊撃部隊第三部隊出撃! …スリガオ海峡へ向え!!
…あの夜を越え、絶望を「希望」に塗り替えんと進撃するモノたちがいた。
その名は―――「西村艦隊」。
南方、スールー海より抜錨した彼女たちは、自分たちにとっての因縁の地…「スリガオ海峡」、そして「レイテ島沖」を目指していた。
全ては、そこに巣くっているであろう深海群より、自国を、引いては人類を守るため…
が、如何に度重なる勝戦で弱体化したとはいえ、無尽蔵に湧いてくる敵は未だに脅威であった。
そのため、西村艦隊の他に、北方より進軍する艦隊…通称「栗田艦隊」との挟撃が敢行される。
更に、西村艦隊の援護艦隊として「志摩艦隊」が帯同する。と、かなりの大掛かりなものとなっている。
「…こちら山城。阿武隈、そっちはどう?」
通信で互いの艦隊旗艦同士で意思疎通を行う。
「こ、こちら阿武隈です! ハイッ! こっちも順調に進んでますよ!」
志摩艦隊「現」旗艦阿武隈はそう言いながら、吹き荒ぶ風に煽られていた。
「わぷっ!? んもーぅ! 前髪が乱れちゃうってヴぁ!」
「ふふっ…こんな時に、呑気ね?」
「ひゃわ!!? す、すみません。悪気は無いんですぅ…」
「いいのよ。むしろ…頼もしい」
「…山城さん?」
「なんでもないわ。それより…」
山城の目の前には、赤黒く染まった空、それを覆いつくさんと徐々に規模を拡大している漆黒の雲。
そして雨になる前の、独特の湿った匂い。
「スコール…やっぱり、不幸だわ」
奇しくも、あの時と同じ状況…船乗りにとって、スコールは「地獄の入り口」であろうが…
「…上等、やってやろうじゃない!」
気合を入れる山城は、西村艦隊に向けて通信で呼びかけた。
「第一遊撃部隊、第三部隊「西村艦隊」は、これよりスリガオ海峡に突入する。…我に続け。」
山城の通信機に向け「了解」の二文字が木霊した。
「…さあ、いよいよよ…西村艦隊、突撃っ!」
暗雲と暴風を前に、なお前進する。
遂に彼女たちは、呪われた海域へと足を踏み入れた……。
・・・・・
「こ、こちら栗田艦隊、旗艦「榛名」! たった今目的地手前まで到達! で、ですが…」
榛名率いる水上打撃連合艦隊(栗田艦隊)は、目の前の敵機動部隊と交戦中であった。
「現在、敵連合艦隊と接敵、攻撃中です! 旗艦が「軽母ヌ級」! 随伴艦に」
一瞥する榛名の目に映ったのは…
『……』
『gruuuuuu……』
戦艦棲姫。
やはり敵も一筋縄ではいかず、栗田艦隊は足踏みしていた。
「随伴に戦艦棲姫、一隻! 容易に突破すること叶わず! …山城さん、もう少しだけ待っていて下さい!!」
榛名がそう叫ぶも、応答の声は無かった…
「も、もしもし? 山城さん? …っは!」
榛名の前方には、ドス黒い雲と瞬く間に過ぎていく突風が
「そんな…スコール!? こんな時に…」
実質の通信遮断。更に天候不良による西村艦隊の苦戦も容易く想像できた。
「…皆さん、すぐに榛名たちも! 参ります!!」
前を向き、艦隊の指揮を執り敵の撃破に従事する榛名率いる栗田艦隊。
彼女たちが史実のようになってしまうのか…それは、誰にも分からないことだった…
・・・・・
一方、夜のスリガオ海峡に突入した西村艦隊。
嵐の中、探照灯の明かりを頼りに突き進む艦隊…吹き荒ぶ風、叩きつける雨、目の前にはどこまでも深い闇のような夜の海が
「…皆ーー! 警戒は怠らないでーーっ!!」
山城が仲間たちに呼びかける。彼女は陣形の都合上、一番後ろに配置されている。
運営が提案した新陣形…「警戒陣」。
史実でも、スリガオ海峡突入時に使われていたらしく、正に今作戦専用の陣形。
効果は、単縦陣が「火力特化」であれば、この警戒陣は「回避特化」。
つまりどのような状況の戦いであろうと(昼戦・夜戦であろうと)敵の攻撃が「当たりにくくなる」…被弾が命取りの艦これのシステムと噛み合った夢のような陣形。
西村艦隊はこの陣形によりスリガオ海峡の突破を図る…コンディションは、陣形の賜物か「ほぼ無傷」と良好であった。
陣形の並びは下から上、旗艦から「山城、扶桑、最上、朝雲、山雲、満潮、時雨」。時雨から山雲の上3隻が矢印の形を作っている。
駆逐艦四隻を上に配置、主力艦を守るため陣を張る。これは、上に配置された艦の回避率が上がる(特に駆逐艦に効果あり)というもので、その効果は上々であった。
…だがそれは、通常の海域の話。
夜戦ということもあり、艦隊全員に緊張した空気が流れる…特に西村艦隊は、「夜戦」に強烈なトラウマを植え付けられているので尚更である。
「…! 右舷に敵影!」
山雲が叫ぶと同時に、艦隊に凶弾の弾幕が降り注いだ。
― ズゥン!
「きゃああ!?」
「姉さま!?」
扶桑の頭上から、鈍い音と共に敵の撃鉄が襲いかかる…判定は「小破」。
一瞬たりとも気が抜けない状況…しかし扶桑の目は未だ闘志が滾っていた。
「山城ッ! 「突破」するのよ!!」
「! くっ…進む……進むんだからぁーーーーっ!!!」
山城の雄たけびと同時に、彼女の主砲が火を噴いた…!
― ズドォォオン!!
『■■■■■■■■■■■■------!!?』
何とか撃破に成功した様子。休む間もなく次へと進む。
『キィーーー!!』
次にpt群。例え警戒陣であろうと雷撃が当たれば即大破もあり得る。
「…通してもらう!」
「退きなさい! 私たちの…「道」よ!」
時雨と満潮の砲撃、息の合ったコンビネーションで小鬼たちを倒していく
ドォンッ! ズウゥン!!
『イキャアアアーーー!!?』
最後は砲火の同時射出…タイミングも完璧で、二人の放った砲撃はほぼ同時に敵に着弾した。
「…よし」
「行くわよ! 抜けてみせるわ!」
敵の撃破を確認。するや否やすぐさまに進みだす…いや、止まっている「余裕」などないのだ。
…そして、レイテ湾手前、最後の敵水雷戦隊との戦闘。
『■■■■■■■■■■■------!!!』
敵の執拗、かつ容赦ない攻撃、水柱がそこら中に飛び散り、陣形を保つのはやっとだった。
「くぅ…っ!」
「ど、どぉ~しよぉ…」
朝雲、山雲が苦戦を強いられていると、割って入るように砲火が敵部隊目掛けて着弾する。
『■■■■■■■■■-----!!?』
「! あ、あれ!」
最上が喜びの声色で叫ぶ。そこには…
「遅れてすいませぇーーん! もうだいじょーぶでぇーーす!!」
「阿武隈さん…!」
「ふんっ! 遅いのよ!」
暗がりの中、そこには阿武隈率いる「志摩艦隊」の姿が…!
「さぁ、一水戦旗艦の経験は伊達じゃないって、見せてあげるんだから!」
「うむ、行こうか!」
「漲ってきたぁーーー!!」
「…行きますよ?」
「分かってる! …満潮のためにも、ね!」
阿武隈、那智、足柄、不知火、霞の連続砲撃…敵に放火という鉄槌が下る。
『■■■■■■■■■----!!?!?』
「すごい…! これなら!!」
史実とは違った展開。扶桑が喜んでいると、阿武隈が大声で叫ぶ。
「みなさぁーーーん! ここは私たちに任せて、早く進んでくださあぁーーい!!!」
「えっ! でもそれじゃ…」
「大丈夫でぇす! 皆にはこの先でやることあるでしょ?! 阿武隈に任せてぇーーー!!!」
阿武隈の気遣いに、山城は「やっぱり頼りになるわね?」と独り言ちながら
「…行きましょう! この先に…私たちの悲願がっ!!」
山城の号令と共に、再び進みだす「西村艦隊」。
「…頑張ってくださいね? 皆…!」
阿武隈は武運を祈りながら、彼女たちの後ろ姿を見つめるのだった…
・・・・・
…敵中枢、予想交戦域に到達した西村艦隊。
山城は通信機を取り出し、艦隊に呼びかける…
「…我、レイテ湾に向け突撃、敵を撃滅する」
…すぅ……
息を整え、覚悟を引き締めなおす。
「暁の水平線に勝利を―― 続け!!」
― 了解っ!
今、西村艦隊の過去、因縁に決着が着けられようとしていた。
「………」
…その奥で、悲壮の決意を胸に抱いているモノがいることを、理解しているモノはいるだろうか……?
・・・・・
敵中枢部、到達
クラス「姫」出現……
戦艦姉妹
海 峡 夜 戦 姫
『ココ…ハ…トオレナイシ………トオサナイ……ヨ…………ッ! 』
…現れた、敵深海群の姫。だが、その容姿は
「!? 扶桑、山城!!?」
巨大な砲塔、そのそびえ立つ深海艤装に座り込むようにいるのは、扶桑、山城と「全く同じ」格好の姫…強いて言うなら、角が生えている、山城の衣装のカラーリングが黒基調のデザインなど多少の差異はあるが…それらを差し引いても、目の前にいるのが彼女たちであると理解することは容易にできる。
「そんな……! 姉様!」
「………」
扶桑は言葉を発さないまま闇に堕ちたIfの自分たちを見つめた…
『………』
闇側の扶桑も見つめ返す…だが、その瞳は酷く濁っており、幽玄な面持ちの彼女が自分たちを認識しているかも怪しい……
『…キタノ?』
「えっ?」
『何シニ……キタ…ノ………? 此処ハ地獄……覚悟ノナイモノガ来ルベキ場所デハナイ…ワ?』
闇の山城が問う。答えは充分の覚悟を湛えた瞳の山城が言う。
「…私たちは、過去の屈辱を晴らしに来たの! 西村艦隊は役立たずでも、出来損ないの集まりでもないって証明するために!」
『フゥン…』
黒山城は納得の表情といった顔だが、更に質問する。
『ソレハ、過去ヲ変エタイトイウコトナノ?』
「! そ、そうよ!! 文句ある?!」
『…ソウ………フ、フフフ』
黒山城は嘲笑すると、こう付け加える。
『過去ハ変エラレナイワ……貴女タチガドンナニ足掻イテモ、歴史ハ変ワラナイ…貴女タチガ「悪」デアル…トイウコトモ』
「!? わ、私たちが…悪?!」
山城が驚きの声を上げると、黒山城は嘲笑いながら続ける。
『当タリ前デショ? ミーンナソウ思ッテイルワ……日本ハ「戦犯国」ダッテ? アノ悲劇ヲ起コシタ張本人タチダッテ! 倒サレテ当然ダッテ!!』
「そ、そんな…わ、私たちは……!」
『何? 自分タチガ過去ヲ払拭デキテイルトデモ? アハハッ! ソンナワケナイジャナイ? ドンナニ頑張ッテモ、足掻イテモ! 貴女タチハ過去ヲ変エラレナイ! コレガ真実! 世界ノ「当タリ前」ヨ!』
矢継ぎ早に西村艦隊の覚悟を踏みにじっていく黒山城。
しかしそれが真実味を帯びているため、説得力があるのがタチの悪さの始まりだった。
「……そんな」
「くっ……!」
西村艦隊に苦悶の色が見え始めた…心が砕かれれば、敗北も時間の問題だった。
…そんな彼女たちの中に、憤りの表情で敵を睨みつけるモノがいた…
「…許さない」
戦闘態勢に入った時雨が、少しずつ敵の前に滑りながら怒りの言葉を投げつけた。
「お前たちなんかに…僕たちの何が分かるんだ!」
『!?』
普段の時雨からは想像出来ない怒号が辺りに木霊する、あまりの気迫に驚愕の色を隠せない黒山城。
「扶桑も、山城も、満潮も! みんなみんな頑張って来たんだ!みんなみんなみんな…必死でっ! そんな決死の努力をっ! お前たちは馬鹿にするのかぁ!!!」
狂気染みた声、憤怒と敵意の込もった顔で荒げる時雨。その変わり様に敵だけでなく、味方にも動揺の声が
「時雨…?」
「し、時雨?! 何…どうなっているの?」
「ボク、あんな時雨初めて見た……」
「私も…時雨! どうしちゃったの!?」
「時雨ちゃあん……」
…だが、その声は届かない。黒山城はキッと時雨を睨み返すと
『ソウヨ! 何ガ悪イノヨ? 寄セ集メ部隊ナンカニ、運命ナンテ変エラレナイワ!』
「! ………………取り消せ」
砲を構える時雨。雨に打たれるその形相は、完全に我を失っていた。
「その言葉…! 取り消せええーーーーーッ!!!」
・・・・・
- 敵艦発見、攻撃開始!
運命の夜戦か、今始まった…
黒扶桑姉妹の周りに展開される、水上打撃連合艦隊。
彼女たちの周りには、戦艦ル級が五隻、守りを固める。
決して容易な撃破は不可能…だが、時雨の猛進は決して止まらなかった。
「うあああああああああああああ!!!」
先ずは第二艦隊。待ち受ける敵駆逐隊を、目にも留まらぬ速さで轟沈していく。
『■■■■■■■■■■■■-----!!!』
敵の反撃。だがどういう訳か「直撃確定」の砲撃さえ、スコールによる急な風向きの変化により弾道が変わる、或いはほんの数センチで爆発するなどして彼女に被弾しなかった…
「お前たちなんかに…僕たちの苦しみがっ!!」
顔スレスレで弾を避けながら、時雨は一切の狂いのない砲撃で敵を駆逐していった。
「分かって……たまるかああああーーーーッ!!!」
-ズドオオオンッ!!!
『■■■■■■■■■■■■ーーー!!?』
『イギヤアアアーーー!?!!?』
第二艦隊、陥落。
時雨は「次はお前たちだ」ど言わんばかりに目に敵意を迸らせ、両舷全速、迷いなく敵第一艦隊へと向かっていく。
「!? 時雨ッ!!? やめて!」
「戻りなさい時雨! …どうして……もうやめて!!」
「時雨ーーッ!」
「時雨!!」
「時雨ちゃん…」
仲間たちの必死の呼びかけも虚しく、時雨は標的の目の前に差し掛かっていた。
『…ナンナノヨ。ナンナノヨッ! オ前ハアアアアアーーー!?』
敵旗艦、海峡夜戦姫の砲撃。金切り声のような叫びを上げながら容赦無く時雨を攻撃する。
夜闇の海に立てられる水柱を掻い潜って、猟犬は真っ直ぐターゲットに向かい、その牙で敵に噛みつこうとしていた。
「あああああああああ!!!」
…が、彼女の命運も尽きようとしていた。
『…!!』
戦艦ル級五隻。壁となり立ちはだかり、そのまま雨霰と主砲の弾幕をお見舞いする。
「…!」
…あの時と同じだ。
あの日…僕だけが生き残って…大切な仲間を失って、何も見えなくなって……
絶望に打ち拉がれて……イノチを刈り取られた、あの日…
…もう、無理なのかな?
何も……変わらない………の…かな
提督…扶桑……山城………
- やっと、僕も……!
「時雨ーーーッ!!!」
何処からともなく現れた影は、急速に時雨に近づくと、その勢いのまま彼女を抱き抱えて弾幕を避ける。
『!?』
そのまま敵と距離を置いて、時雨を離す。
「満潮…?」
現れたのは満潮。西村艦隊と離れていた彼女は、暗闇と暴雨に紛れて時雨を助け出す機会を窺っていたのだ…!
「はぁっ、はぁっ………!」
途轍もない体力を消耗したのか、肩から乱れた息を吐く満潮。
「……どうして?」
「………」
「どうして、助けたのさ!? 僕は…」
「死にたい、って?」
息を切らしながら答えを言う満潮。
「…そうだよ」
「そう! ……じゃあ」
徐に近づき、時雨の胸元を掴むと
「………ッ!」
拳を握りしめ、その綺麗な顔にきつい「一発」をお見舞いした。
「ゔっ!?」
思わず海面に転げ落ちる時雨。満潮はそれを見下ろすように話す。
「…痛い? でもね? 私はもっと痛いの。アンタよりずっと」
「そ、そんな」
「時雨、アレ見てみなさい?」
満潮が示す先にいたのは
「………っ」
「馬鹿……時雨の…ばかぁ」
涙を流す、西村艦隊一同が
「あ……」
「生き残ったモノの苦しみは、誰だって持ってるわよ? でも、それに囚われ過ぎていたら、大事なモノも…守れないわよ?」
「満潮……でも…僕は……皆を……守りたいだけなんだっ!!」
時雨は止めどなく溢れる涙を流しながら、自身の悔恨を露わにする。
「僕が戦い続けたら、また…また皆沈んでしまう! あの日のように……そんなことになるくらいなら……僕が、僕がっ、先に沈んでしまえばっ!」
「…っ!」
再び胸ぐらを掴むと、そのまま自身の真正面に引き上げる。
「いい加減ウザいのよ! 目を覚ましなさい時雨!!」
「!?」
「アンタは今何なの? 「艦娘」でしょ! 生まれ変わったんでしょう!!? だったら…守りたいモノの為に戦いたいって思わないの!?」
「満潮……」
満潮の目に宿る熱い希望は、時雨の深く暗い絶望を照らそうとしていた。
「アンタの言いたいことは分かる、でもね! アンタも……アンタを含めた全員で生き残らなきゃいけないの! そうじゃなきゃ意味ないの!!」
「でも……これは僕の「罰」なんだ………皆を置いて生き残ってしまった、僕の……っ!」
「そうね…アンタだけじゃない、私たちは確かに「罪」を犯したわよ。でも…それはもう昔の話! 例え消えなくても、だからこそ!! 私は…私の守りたいモノの為に戦う!」
真っ直ぐ見つめるその光は、時雨には眩しく感じた。
「……僕は…」
時雨の中に何かが灯ろうとした時、黒山城がまたも嘲笑う。
『…ッハ! ナニソレ? 結局ハ同ジコトノ繰リ返シジャナイ! 戦エバ何カ解決デキルト思ッテルノ!? 何モ解決シナイワ! ソンナコト歴史ガ証明シテルワ!!』
「ごちゃごちゃ五月蝿いわよ」
『!?』
満潮は黒山城を睨み付けると、自身の覚悟を述べる。
「もうウンザリなのよ…ダレかが沈むのを黙って見ているのは……それが罪になると言うのなら、それでも…私は背負うわ」
『ナ、何デソコマデシテ…』
「御託ばっかり並べてるアンタには一生分からないわよ? …やるんだったら、私が相手になるわ。さっさとやりましょう?」
砲を構える満潮には、死を超越した戦士の気概が感じられた。
『分カラナイ……何デ………ッ! ドウシテッ!!』
海峡夜戦姫の放った砲撃。満潮は難なくそれを避けて見せ、反撃を加えた。
『……!?』
- ズウゥゥウン!!!
…満潮の砲撃は海峡夜戦姫にクリーンヒットする、だが
『……グッ………ゥ…』
『!? ソンナ!!?』
闇扶桑が、黒山城を、庇った。
『……ッ! オノレ………オノレエエエエエエ!!!』
黒山城が叫ぶと、ル級たちも構える……尚も敵から目を逸らさない満潮。
「時雨っ!」
時雨の元に山城が駆け寄る。同時に…彼女を抱きしめる。
「……っ、良かった……本当に…よ、かった…!」
「山城…」
「時雨…満潮の言う通りよ?」
山城は時雨を見つめると
「私たちが罪を犯したのなら…償うためにそれでも、進まなきゃ!! だから貴女も…根性見せなさい!」
「…!!」
ハッと目を見開く時雨。山城の想いの強さを感じる言葉に、遂にその闇に包まれた心に、一筋の光が…
「…満潮」
「何?」
「僕も…覚悟を決めたよ」
「…そう」
満潮の隣に並び立つ時雨。その顔は先程と打って変わり、どこか爽やかさを感じるものだった。
絶望の連鎖が続くこの戦い。果たして…断ち切ることは出来るのか?
『マダ先ニナンテ…進マセナイッ! コノ地獄デ……ッ! 海峡(ココ)ガ貴女タチノ! 行キ止マリ……ナノッ!!』
「馬鹿ね…? その先が…そこから先が本当の地獄よ?」
「行こう…満潮?」
「ええ。例え地獄だろうが私が………う」
「? 何?」
「……もう! 私が守ってやるって言ってるの!」
少し気恥ずかしくなる満潮に、和やかに笑いかける時雨。満潮にはあの時の…西村艦隊の初招集された時を思い起こされた。
「…ありがとう、満潮。君となら…君たちとなら、やれるよ!」
「その意気よ! …行くわよ、時雨!」
「……うん!」
今、絶望に向かい、軽やかに駆け出す二人。
…その後ろ姿は、完全に迷いが晴れた。と、山城には感じられた。
― next e4
「言ったはずよ、私は…皆を守るために戦うって…!」
『何故戦ウノデスカ…?』
『アアアアアアアアアaaaaaaaa!!!!!』
「…行こう。必ず全員で、戻るために…!」
to be continued…