これはゾンビですか?~いいえ、彼は黒の剣士です。   作:西じゃない東(斎藤 隆)

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これはゾンビですか?~いいえこれはソードスキルと言うんです。

ザリガニに襲われた後、俺達は、家へと帰っていた。

 

しかし、アユムはあのコスプレのままだったので少しばかり人目を気にしながら、だが。

 

まあ、あのコスプレは脱いでしまうと裸になってしまうのでしょうがないと言えばしょうがないのだが。

 

しかも、俺の右隣を歩くのはTシャツにパンツ一枚ではだしの少女である。

 

ちょうど変質者と露出狂に両脇を挟まれてる感じである。

 

俺に、不思議なものを見るような視線が集まっているのもいたしかたないことなのか、納得してはいけないのか・・・・

 

あえて選んだ暗くて静かで狭い道を三人で歩く。しかし、それが余計にアユムの怪しさを際立たせている。

 

まあしかし、もうすぐ家である。

 

横のアユムのいらいらもピークに達しているみたいで、先ほどもハルナと口げんかをしていた。

 

ちなみに、俺はもう眼鏡をかけていない。度も会ってないし、かけていても邪魔だからである。

 

そして、今目の前にあるのがアユムの家であり、俺の居候先である。

 

五十、六十坪ほどの大きさがあり、今この家に居るのはハルナをあわせると四人だけである。

 

ちなみにアユムの両親は、新婚旅行の名目で五年ほど家を空けている。

 

いくらなんでも新婚旅行は無理があるだろうと、アユムに突っ込んでしまった俺を責めることの出来る人はいないだろう。

 

お先にハルナが入ってしまったので、俺も入る事にする。(家主が一番先に入る事になっているが、ハルナが先に入ってしまった以上関係ないだろう。

 

とりあえず、部屋に戻り制服から、私服の黒のTシャツとジーパンに着替え、制服をクローゼットに戻す。

 

そこで、ふと目に付いたのが真っ黒の剣と同じく真っ黒のロングコート。である。

 

これが、神様(?)がくれた二つのものである。そう神様(仮)は能力はくれなかったのだが、道具はくれたのだ。

 

しかし、真っ黒の剣『エリュシデータ』はむちゃくちゃ重いし、コートは何の変哲もない普通の古臭いコートだった。

 

(だけど、あの変なのが起きたって事は・・・)

 

そう思った俺は、部屋の扉をしめて(恥ずかしいから)『エリュシデータ』を持ち上げる。

 

「おわっ」

 

持ち上げてみて、びっくりしてしまった。鉄骨を持ってるみたいな手ごたえだったはずなのに、せいぜい肉厚のパイプ程度にまで軽くなっていたのだ。

 

「レベルアップしたみたいなかんじなのか?いやそれよりも・・・・・」

 

そして、ロングコートを羽織ると

 

「?っくっ!」

 

不快な酩酊感が俺をおそった。

 

「なんだ・・・・何かが頭の中に?」

 

いろんな情報が頭の中に流れ込んでくる。

 

『ソードスキルの発動方法』 『メニューの出し方』 『索的スキル』 『隠蔽スキル』etc・・・・

 

まずメニューを出してみる。

 

「これは・・・まんまSAOのだな。体力とログアウトボタンはないけど・・・」

 

ためしに、ソードスキルを出してみる事にする。

 

単発水平斬撃技『ホリゾンタル』

 

「シッ!」

 

光の軌跡を残し、前方に振り切った状態で技の発動が終わる。

 

「硬直時間はないけど、ソードスキルに同じソードスキルはつなげられないみたいだな・・・」

 

次は大技でいこうと思い、開始動作に移る。

 

三連重攻撃『サベージフォルクラム』

 

水色のライトエフェクトをまとった剣がきらめき、ものすごい速さで振りぬかれる。

 

「これなら」

 

これなら・・・・俺も戦える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋を出て、居間に向かう。無論コートなどはアイテムボックスに直している。

 

居間からは、バラエティ番組の楽しげな笑い声が聞こえてくる。

 

その前で正座をしている女の子は、あのコンビニの前であったあの銀髪の女の子である。

 

名は、『ユークリウッド・ヘルサイズ』通称『ユー』である。

 

「今日は何もなかったのか?」

 

すると少女は首も動かさずにちらりと俺を見ると小さくうなずいた。本当に顎を少し引くぐらいの小さな動き

 

である。

 

そして目を戻し、テレビを見つめる。楽しそうな声が聞こえるバラエティ番組だが、ユーはくすりとも笑わない。

 

そして、もう一度俺のほうを見ると黒色のボールペンを手に取り、テーブル(なぜか、五角形である。珍しいな。)の上においてあるメモ帳からメモを一枚きりはなし、トントンと二回、テーブルをノックする。

 

メモを見ろという合図である。そのメモには丸ゴシック体のような字体で、

 

「(飯の用意を)」

 

ボールペンの書く動きは見えなかったが、

 

「何か食べたいものでもあるか?」

 

「スティーブン・セガール」

 

いや・・・無理だって。それは無理があるから。

 

そう思っているとアユムとハルナが下に降りてきた。

 

ハルナは、さっきのTシャツにジーパンをはいている。あれは多分アユムのだろう。

 

ハルナは俺の向かいに座りテーブルに肘をつけて、まるで何かを観察するようにユーを見ている。

 

アユムはこの場を何とかするべくいくつかの話題を切り出すが、二人とも無視。

 

「黒ずくめさん、ご飯まだ?お腹空いたんだけど?」

 

「(肉がいい)」

 

今作るから、まっててくれって。そういえば料理スキルは関係・・・・ないか。

 

「豚キムチで言いか?」

 

「うんそれでいい」

 

ハルナは笑顔を見せるいつもそうしてくれるとひじょーーーーーに助かるんだけど・・・・

 

「(素敵)」

 

ユーにも好評(多分)のようだ。

 

では、豚キムチを作りにいこうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

居間で五角形のテーブルの上の豚キムチ、サラダ、そしてご飯がある。三人分のだ。アユムはコンビニ弁当である。作ってる側としては大いに不快なのだが、

 

「黒ずくめさん、おかわり!」

 

元気よくハルナが茶碗をわたす。ユーも茶碗を出す。いささか食べすぎなのではないだろうか。俺はもう食べ終わったんだけどな。すると、アユムが口を開いた。

 

「そういえば、今日の卵焼き、うまかったぞ」

 

「あ、当たり前だ。あたしを誰だと思ってんだよ」

 

いつのまにかアユムは、ニヤニヤとニヤニヤと気持ち悪いほどのスマイルを見せていた。

 

「何笑ってんだよ。気持ち悪い・・・・・・死ね!バーカっ!」

 

気持ち悪いと思ってるというよりも照れ隠しのほうが強いようだ。

 

・・・そのときだった・・・

 

パン。と乾いた音がして、俺は思わずびっくりしてしまった。

 

なんと、ユーが身を乗り出してハルナの頬をたたいたのだ。

 

そしてユーはハルナにメモを突きつけて、

 

「(軽々しくその言葉を使うな)」

 

「ユー、別にハルナは本気で言ってるわけじゃないんだからさ」

 

すると、ハルナが「だああーっ!」と奇声を上げ、

 

ハルナは口の中にご飯を掻き込む。ユーもすまし顔で食事に戻る。

 

「めっちゃおかわりだ!お・か・わ・り!」

 

「分かった、分かったから大声で叫ぶのはやめてくれ」

 

そしてご飯を山盛りにする。

 

「私は味噌汁を頂きたいのですが?」

 

はいはい、味噌汁を・・・・えっ、お前誰だよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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