これはゾンビですか?~いいえ、彼は黒の剣士です。   作:西じゃない東(斎藤 隆)

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これはゾンビですか?~来ましたよバトル回です。

いきなり現れた彼女に味噌汁をついだ俺は、とりあえず彼女についての情報が欲しかったので質問を投げかける事にした。

「えーっ・・・とさ、自己紹介とかして貰えると助かるんだけど何か言ってもらえるか?」

すると彼女は味噌汁を置き、

「わかりました。私の名はセラフィムです。」

セラフィムって天使の名前であったような気がするんだけど気のせいだろうか?

「・・・・・」

で?

「・・・・・」

ああ、うん。

「・・・・・」

話す気がない、ときたか。

しかし、どうやら一名納得できなかったものがいるようで(決して俺も納得しているわけではない。)

「それだけ?好きなものとか特技とか、趣味とかあるじゃん。あ、あんたもしかして魔法使いか!あたしを爆破する気だな」

ハルナ。お前が思ってる魔法使いっていったい何なんだ・・・?

「好きなものは秘剣、ツバメ返し。特技は秘剣、ツバメ返し。趣味は秘剣、ツバメ返しです」

真面目に答えてこれなのか、答える気がなくてこれなのかによって、接し方が変わると思う。

「何でこの家に来たんだ?」

「任務です」

「どんな任務だ?」

「ユークリウッド・ヘルサイズ殿に、お力をお借りしたい」

ユーの方を見ると、我関せずとでも言うように黙々と箸を進めている。

ユーはよく命を狙われる。人を蘇らせるちっからを持っているんだから当たり前かもしれないけれど・・・・。

ん、そういえば来たやつといえば吸血鬼に吸血鬼、吸血鬼だった。だったらこのセラフィムさんも吸血鬼ではないのだろうか?

「あんた、もしかして吸血鬼か?」

俺の予感はあたっていたようで、セラフィムさんは驚愕に目を見開いていた。

しかし、すぐに平静を取り戻し

「その通り。私は、吸血忍者です」

吸血・・・・忍者?

話を聞くと、人の生き血を吸うことで若さと力を得た忍者らしい。

吸血鬼から忍者にではなく、忍者から吸血鬼。いや、むやみに血を吸わないのだから鬼ではないのかもしれない。

山奥でひそかに暮らしていたのだが、頭領が死に跡継ぎ問題から戦争、それが百年以上続いているのだという。

「ん、なら・・・これまで来た奴等も」

「はい、吸血忍者でしょうね。彼らはヘルサイズ殿の命を奪い、たぐいまれな力を我が物にしようと企んでいました。それは私達の目的を阻止する事と同義です」

そして、と彼女は続けて

「私の任務は、ヘルサイズ殿に動向を求める事と、その命を守る事にあります。誘拐しろという強行な考え方を持つものもたしかにいますが、私達はヘルサイズ殿に敬意を払っております。できるだけ、ご本人の意思でお越し願いたい」

ということらしい。食事は終わり、皿だけが残ったテーブルの上にユーがメモとボールペンをのせ、

トントン。二回テーブルが叩かれた。

「(和人 かまわない 追い返せ)」

交渉決裂・・・か。

しかし、命を守ってくれてると言っているのだ。それが本当なら心強いのだが・・・

「追い返さなくてもいいんじゃないか?」

そういったのだが、またユーがテーブルの上をトントンと叩く。

もう一度見ろといっているのだ。しかしいつの間にか書き加えられている。

「(和人 かまわない いいから追い返せ)」

うわぁ、きっついなぁ。

すると歩が、

「おい、ユー、和人は戦えないんだぞ。どうやって追い払えっていうんだ」

しかし、ユーは何も動きを見せない。まさか・・・戦えるのばれてるのか?

いや、別にかまわないけどさ。隠してるわけじゃないし。

「なら、あなたを倒せばいいんですね」

「へえ、まるで俺を簡単に倒せるみたいな口ぶりだな」

「ええ、事実ですので」

おもわず片頬が上がってしまう。

「なら、どこか人気のない場所に移ろうか」

「おい、和人」

と歩が心配そうに話しかけてくる。

「大丈夫だ。俺を信じろよ親友」

そして、俺とセラは人気のない所に向かった。

人気のないところといえば、あそこしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ●

墓場は今日も静かだ。

人が寝静まる時間でこそないが、夜の墓場には来たがる人などいないだろう。

ハルナとクマッチが出現したときのクレーターはもう綺麗になくなっている。

墓場の奥に行き、巨大な木の下へ。

この周りには墓石もないし、行動は制限されない。

俺は、アイテムウインドウの装備フィギュアの画面にしたままセラとにらみ合った。

セラの威厳あふれる表情は、こうして今から殺し合いを始めようとしているのに相も変わらずきれいだった。

「一つだけ聞いていいか?」

「何か?」

「吸血忍者は人を襲うのか?」

「もちろん。と言っても、殺したりはしません。少し血を分けて貰うだけです」

「強行派も?」

「絶対とは言い切れませんが、絶対にしません」

「だけど、今、俺を殺そうとしているじゃないか」

「目的の為なら仕方ないでしょう?」

「そうか」

そして、ヒスイのような綺麗な瞳が真っ赤に染まり、全身を覆うような黒いマントがあらわれた。

俺もコート・オブ・ミッドナイト、エリュシデータを装備フィギュアにセット。シュワッという音と共に、黒のロングコートに黒の片手用直剣、その他黒のブーツに黒のズボン黒のインナーもセットする。俺の体にまとわれた。

「あなたも吸血忍者なのですか?」

「いや、俺は一般人だ」

「そうですか」

そしてセラが両手を広げると、どこからか緑色の葉が落ちてきた。上に大きな木があるとしても説明のつかない量である。

「いきます」

そういうとセラはものすごいスピードで接近してきた。

俺は切りかかってきたセラの剣をバックステップでかわした。が、

(予想以上に浅い?まさか!)

すると、さっきの斬撃よりも数倍の速さで葉っぱで出来た剣が俺に襲い掛かった。

避けるのは無理だと判断し、剣にライトエフェクトを宿した垂直斬り《バーチカル》が発動し、稲妻のようにきらめいた剣で攻撃を弾く。

(あれは、ツバメ返しか。自己紹介のときを思い出していたらもっと早く対策が練れたんだが)

ともかく自分から接近しないと始まらないと思い、剣を上段に構えて黄緑色の光の帯を引き繰り出される一撃を放つ。上段片手剣用突進技《ソニックリープ》

 

思い切り地面を蹴り、相手の懐に飛び込む。

ズガッと言う音と共に剣は命中した。しかし、

「丸太・・・か」

セラを探そうとした時、俺のすぐそばを何かが通過した。

右頬に痛みが走る。

周りを見てみると、

「なッ!」

周りの木の葉が上へと舞い上がっていた。

上にはセラがいて、その周りにはたくさんの葉があった。

(あれが全部剣になってるとすると・・・やばいな。)

「木の葉の如く舞い飛ぶ剣、即ち」

木の葉が俺に向かって飛んでくる。

「秘剣、百鬼惨殺」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三者side

「やりましたか?」

そう言い、セラは和人のいた場所を見ていた。

秘技、百鬼惨殺が襲い掛かった場所は砂煙で見る事はできない。

「まあ、あの攻撃に耐え切れるとは思いませんが」

そうセラが言った直後、木の周りを覆っていた砂煙が晴れた。

「なっ!」

セラが驚いたのも無理はない。なぜなら百鬼惨殺が襲った場所には、黒衣の人物がいたからである。

そう、

和人である。

さすがに、傷は負っているようだが致命傷になるような傷には至っていない。

そして少年は不敵な笑みを浮かべ、セラの方を見て、

「オオオオオオオオッ!」

見た目に合わないような雄たけびをあげ、猛スピードで走っていく。しかし、それはセラに向けてではなく

(木に向かって?)

そして和人は木に足をつけ、そのまま登っていく。(壁走り)と言うスキルである。

和人はセラがいる高度にたどりつくと木を思い切り蹴り、セラの懐に入ってソードスキルを発動した。

しかし、

(先程と同じ技を使うとは・・・)

そう和人が操る剣の動きは先程、セラの剣を弾いた技の動きと寸分も違わない。

無論セラは、その技を受け流す。

しかし、彼女は見た。彼がほんの少し笑みを浮かべたのを。

(なぜ?)

その疑問は次の瞬間明らかになった。もはや、軌道の修正も出来ないほどの勢いで下に向かった剣は見えない壁に当たったかのように急に軌道を変えて、セラに襲い掛かったのである。V字の軌跡を描き、対象を切りつける二連撃技《バーチカル・アーク》

その技はセラの剣を叩き折ったものの、相手に与えた傷は浅い。しかも剣を叩き折ってもさして意味はないのである。なぜなら、周りにある木の葉を彼女は剣にすることができるのだから・・・

だが、和人の動きは止まらない。彼は重力に逆らうかのように、サマーソルトキックのようにけりを放つ。足がライトエフェクトにつつまれた事を見ると、これもソードスキルらしい。

けりを食らったセラは先に地面に落ちる。

(くっ)

だが、さすがは吸血忍者というべきか、すぐに体勢を立て直す。

しかし、和人の猛攻はとまらない。

セラを目掛けて雷撃をまとわせた剣を振り下ろす。

セラはその剣を避けるが、剣が地面に突き刺さったとたんに周りに電撃がはしり、セラを襲う。

片手剣スキルのなかでは珍しい、重範囲攻撃技《ライトニング・フォール》だ。

電撃によって痺れ、身動きが出来ないセラに向かって少年は歩く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトside

危なかったな・・・

あの百鬼斬殺という技を《スピニングシールド》で防ぐことができなかったら、間違いなく死んでいただろう。

とりあえず俺は、ポーチから解毒結晶をセラに使う。

動けるようになったらしいセラが、

「あなたは一体?」

「だから、言っただろう。一般人だ。

 少し、人とは違う技を使えるけどな。

 ・・・で、あんたはユーの事をあきらめてくれるのか?」

そしてセラは少しの間黙考すると、

「はい。私は家に帰らせて頂きます」

ポニーテールを揺らしてくるりと背を向けて、消えていった。

何にしても無事に丸く収まってよかった。

・・・・何か、買って帰ろうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺がコンビニでパンを食べながら、家の玄関に帰ると違和感を感じた。

というか、靴が一足増えているのだ。

もしや、と思い今をのぞくとそこにはセラがいた。

・・・・なんで?

どうやら家=歩の家

だったらしい。

セラは、何故か俺の下僕になると言い(ユーの近くにいるためだろう)それを俺はやんわりと断った。

そのあと、いろいろ話をして歩の下僕になるということで話は収まった。

状況悪化してるじゃないか・・・・・。

 

 

 

 

 

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