青春は神憑りにつき……   作:蓬操

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こんばんは。蓬操です。

やっと第4話ですね。
天城くんと華凰の学園生活いよいよ始まります。
そういえばルビの機能がよくわからず使ってないので、
名前の読み方がわからない方いらっしゃるかと。

天城 大地(アマギ ダイチ)
華凰 優希(カホウ ユウキ)

作中で示せればいいのですが、
まだ慣れてないため申し訳ありません。

そして今回で名前つきの登場人物来ます笑
おじいちゃんとかじゃなく、名前あります。
人物を増やすのは大変だと思う今日この頃。

それでは本編をお楽しみください。どうぞ。




人を信じられるように……

朝は大概目覚ましをセットしておく。

昔から設定した時間よりも前に起きる癖があるから、普段は遅刻知らずだ。

しかしスマホやら携帯やらは持っておらず、部屋に飾っていたペンギン型時計を持ってきている。

設定した時間になるとペンペンと可愛い鳴き声がするらしいが、1度も聞いたことはない。

 

「天城くん、カップ麺おかわり~……」

 

何の躊躇いもなく、俺の隣で寝ている神様。

カップ麺……そんなに美味しかったんだろうか。

いつの時代の人だったのか分からないし、大分昔の人かもしれない。

格好は神原学園の女子の制服を着ている。ここの生徒と言われても、誰も疑わないくらい似合っている。

神様が寝ている内に朝飯を作ることにしよう。

 

さて昨日買ってきたパンとベーコンで、ベーコントーストが出来た。

米が欲しかったが、経済的余裕も無いので、いまは我慢だ。

「いただきます」

「いただきま~す♪」

 

ガブッと口一杯頬張る。

しかし向かい合う形で、反対側を食べている人がいた。

端から見たら……。

ベーコンの大半を持っていった華凰は、その旨味にご満悦だった。

 

「僕の朝飯……」

 

「おはようございます、天城くん。食事の前くらいは起こしてください」

 

「いや基本的に食事いらないでしょ君」

 

「昨日働いた分の駄賃じゃあ足りません。私も貴方と同じく1日3食いただきますので、そのつもりで」

 

「…………」ポカッ!

 

「あいたっ! 何をするんですか」

 

「さっきトースト食べてたから実体化してるだろうと思ったから。やっぱりこちらから殴ることも出来るんだね」

 

「殴る必要性を感じません」

 

「食べ物の怨み、だよ」

 

ベーコンだけ取っておいて何を言うんだ。

残りのパンを食べ終えて、制服に着替える。

見られて困りはしなかったが、途中で華凰は突然顔を真っ赤にして部屋から出ていった。

とりあえず着替え終わり、用意していた鞄を手に外へ出た。

ちゃんと鍵を閉めて。

気持ちを新たに振り向くと、体育座りで僕を見つめる華凰がいた。

文句言いたげな顔してたけど無視して登校することにした。

 

 

 

2年B組。1学年4クラスある学園だが、このクラスの生徒は人当たりの良い人が多い。

皆からは絶対にCクラスやDクラスの教室へは行かないようにと釘を刺された。

交流が無いせいか、どんな人達なのか気になるのが本音だ。

1クラス20名であり、僕が編入する前に誰かが転校したため、クラスの人数に変動はない。

ただこんな田舎の学園にしては、人数が多いような気がしてならない。

 

「大地ぃ~、おはよう!」

席が近いのに声が大きい……正直に言うとかなりうるさい。

 

「朝から声大きいよ。日永……だっけ」

 

「洋光な。ひ・ろ・み・つ・な!」

 

日永洋光と言う彼は、自己紹介のあと、やたらしつこく話しかけられた。

お前女子受けいいんだな! あと筋肉スゴっ!なんか運動してたん?

と言った具合に、質問のマシンガン乱れ撃ちしてくる始末だ。嫌いではないけど。

 

「まあ、ここの授業初めて受けるから、色々教えてくれると助かるよ」

 

「任せろ!」

 

名前に負けないくらい眩しい男だ。

彼みたいな人がいたら、チームも少しは変わっていたんだろうか。

 

「1時間目って科学だよね?」

 

「おう、そうだそ」

 

「僕ら、ここにいていいのかな? 科学とかって大概実験室に移動するよね」

 

「………っあああ!!」

 

「!!??」ビクッ!!

 

今日1出ました。

 

「な、なに移動だったの? じゃあ早く道具持って向かわなきゃ」

 

「宿題……忘れてたわぁ」

 

なんとも間の抜けた台詞に呆れてしまった。

 

「なんで、宿題あるって教えてくれないんだよ、大地!」

 

「ここの授業受けるのが初めてって言っただろ! そんな事情知るか!」

 

彼は、あんまり頭が良くないかもしれない。

 

「天城さん、おはよう」

 

日永とは正反対の控え目な声が聴こえた。

 

「おはよう…………えっ、とぉ…………」

 

「月夜ちゃん、聞いてくれよ!」

 

月夜ちゃんと呼ばれたその子は、腰まで伸びた黒髪が綺麗で、スカートも膝に掛かる程度にしていたり、学園の紹介されそうなほど模範的だ。

月夜…………。ごめん、名字が出てこない。

 

「星河と呼んでください。相変わらず馴れ馴れしい人ですね、日永さんは」

 

「そこがオレの良いところであり、ダメなところだからな!」

 

「自覚はしてたんだね」

 

思わず口から零れた。悪気は……ないはず。

 

「ほら、天城さんも思っていたようですよ」

 

「そりゃヒドいよ、大地!」

 

「だって、出会ってまだ2日じゃないか。それをまるで幼馴染みたいに」

 

「大地悪い。幼なじみは女の子が理想的なんだ。男は受け付けんわ」

 

「僕から言い寄った風に断るのは可笑しいからな。あと心底どうでもいいね」

 

(貴方って人とこんなに話せるんですね)

 

他の人には見えない華凰が急に喋りだして、僕は思わず反応する。

こいつ直接脳内に、という気持ちはこんなんだろうか。

 

「天城さんは、まだ慣れないみたいですね」

 

″何が″が抜けていても、その空白を埋めるのは考えるまでもなかった。

 

「少し前までは考えられない事態だからね」

 

「大地の神様って女の子ぉ?」

 

「言ったところで、僕以外には見えないらしいし、確かめようもないよ」

 

「そうですよ日永さん。知ったところで無益なんですから」

 

話を降った君がそれを言いますか。

 

(…………)

 

「仕方ないなぁ」

 

「星河……さん、1時間目の科学って場所ここでいいの?」

 

「いえ実験があるので、移動しないと」

 

「じゃあ移動しようか。駄弁って遅れて怒られるのは嫌だからね」

 

話す最中にまとめていた道具を持って、席から立ち上がった。

 

「どっちにしろ、オレは怒られるし嫌だなあ」

 

「自業自得でしょ、天城さん一緒に行きましょうか」

 

「場所分かってないから、案内を頼みたかったんだ。ありがとう、星河さん」

 

星河さんに先導されながら、理科実験室へ到着すると、同級生達に無茶苦茶歓迎され、あまりの注目に顔を伏せてしまった。

ちなみに日永は、どうやら保健室へ逃げ込んだようだが、申告した嘘の病状のせいで酷い目に遭ったというのはまた別の話だ。

ーーー神原学園 屋上ーーー

 

1人静かに過ごそうと思い、屋上へやって来た。

最近の学校は屋上が封鎖されているのが普通なのに、ここは普通に扉が開いていた。

それにしても、星河さんは少し苦手だ。

見た目は特に奇抜なわけでもないけど、目がどこか冷めているようで。

自分の内面を見られないよう、プレッシャーを放っているように感じた。

彼女もまた、詮索されたくない過去があるのかもしれない。

僕も同級生達とは一線を引いている。まだ2日目だ。誰がどんな奴なのかわからない今はこうしているのが1番良い。

 

「貴方はそうやって警戒して……もっとオープンになりましょうよ」

 

いつの間にか隣に座っていた華凰。

 

「……昼食狙って来たな」

 

「お腹が空いたので、何か食べ物をください」

 

「その前に、オープンになれるわけないだろ。1度信用得ると、それを無くさないようにって必死になるよね?」

 

「それが普通ですしね」

 

「信用も信頼も無くした身としては、失った時の皆の眼……あんなで見られるのは御免なんだよ。だから大切にならなくていい。近すぎず遠すぎず。そんな関係が丁度いいんだよ」

 

「でも、そんな風に思うのは貴方自身、周りを大切に思ってきたからではありませんか!」

 

初めて……華凰が怒った。

僕を睨む瞳には涙がうっすら浮かべていた。

いきなりことに、僕はちょっぴり動揺した。

 

「そうだね。大切だと思ってたさ。だから周りの期待に応えようと、この左手が治った後も頑張ってみたのにさ……皆は僕を諦めた」

 

「それなら、家族くらいはそばにいて」

 

「その家族に、いの1番に捨てられた気持ち。君に分かるのかな、神様」

 

「っ!」

 

「野球選手の契約金だとか年棒だとか。そういうの期待されていただけ。自分から捨てたなんて強がったけど、捨てられたが正しい表現なんだよね」

 

「……だからといって」

 

華凰は苦しそうに言葉を繋げようとする。

神様が元は何だったのかなんて僕は知らない。

人の姿を借りている何かかもしれない。

たった2日だ。それだけの時間で、分かったなんて軽々しく言ってほしくない。そう思っただけ。

 

「人を見放すのは早計です。貴方はまだ16年しか生きていないじゃないですか」

 

「!」

 

「たった16年で人間の何が分かったんですか? 天城くんの周り以外にも人はいます」

 

「…………」

 

「そして貴方に手を差し伸べてくれる人が、ここにはいます」

日永や、星河さんのことを言ってるのかな。

日永は軟派だし、星河さんは不思議ちゃんだし。あの2人のどこを信じたらいいんだよ……。

 

「先ずはその人達を信じることから始めてみたらいいじゃないですか」

 

「なんでそんなに、僕を人と関わらせようとするんだよ?」

 

「孤独のままじゃ、誰だって生きてはいけません。それと…………」グシグシ

 

華凰は涙を拭い、笑顔でこう告げた。

 

「貴方が私から卒業した後も幸せでいてほしいんです」

 

「っ!?」

 

幽霊の癖に……。

なんて綺麗な笑顔で言うんだ。幸せになってほしいとか、そんなことを言うのは過去を振り返っても君が初めてだね……華凰。

 

「卒業……なんて言葉、編入早々聞かされると思わなかったけどさ。じゃあ君が消えるまでに人を信じられるようにするよ」

 

「私のことは、どうなんでしょうか?」

 

「どうなんでしょうって言われても……。うーん……神様だからノーカンで」

 

「えっ」

 

「泣きそうな顔しない。だって神様を信じる者は救われるって言うだろ? 君が僕の神様なんだったら信じたっていいじゃないか」

 

「…………」

 

「な、なんだよ」

 

「いえ、そんな素直に言えるなら最初から言って下さいよ……///」

 

泣いたり照れたり忙しい人?だね。

 

「ごめん。心に何重も鍵かけてるから開くのに時間掛かるタイプだからさ僕は」

 

「それじゃあ、次は私の能力の見せ場ですね!」

 

次? ああそうか、美術の時間か。移動もまた案内してもらわないといけないし切り上げるか。

 

「じゃあ残りのクリームパン、食べ指しだけどいる?」

 

「是非とも」

 

回答早いなぁ。

僕がひょいっと投げると、華凰はそれに飛び付きクリームパンを口で見事にキャッチした。

いつも、幸せそうに食べるんだよね華凰は。

 

「僕も君が今みたいに幸せそうにしてくれた方が癒されるから、そのままでいてよ華凰」

 

彼女が食べるのに夢中で、僕の呟きはそっと風に流されていった。

扉へ向かって歩き出すと、小さな足音が近づいてきたのを確認して、僕らは屋上を跡にした。

 

 




以上、序章の第4話でした。

日永 洋光(ヒナガ ヒロミツ)
星河 月夜(ホシカワ ツキヨ)

新たに出てきましたこの2人。
天城くんが人を信じるきっかけになるのでしょうか。
2人の事を信じるところからが
彼の本当の再出発なのかもしれませんね。

信用を築くのは大変なこと。
信用を無くすのは容易なこと。
身を持って知っているからこそ、
天城くんにはそれを学んでほしいですね。
華凰ちゃん、そこのところ頼んだよ。

…………なんか恥ずかしくなってきたので、
この辺で失礼します…………。

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