そしてほぼ演習回になっちゃいました。
ブルーマーメイドフェスタは好調かつ好評に進んだ。
名物の艦上競技や各海洋学校やホワイトドルフィンのブース、スキッパーでのパフォーマンスなど素晴らしい演し物がいっぱいある中、私達の喫茶店は成功を収めたどころか、なんと、売上率、入店者数、満足度の3点でMVPをブルマーの総旗艦『雲仙』を筆頭とするブルーマーメイド太平洋主力艦隊司令から受け取った。
そして三日目。
ブルーマーメイドフェスタは三日目に公開総合演習を行った。
慣れてる見学者はそろそろ帰るかと思う頃合いでそのアナウンスがかかった。
『会場にお越しの皆様。ブルーマーメイドフェスタ三日目の総合演習はどうでしたでしょうか?
このあと午後から、本日最後の対抗演習を公開いたします。横須賀女子海洋学校対浪江中学校です。
ラインナップは横須賀女子海洋学校、チームYは金剛型大型直接教育艦比叡、陽炎型航洋直接教育艦天津風・時津風・浦風の4隻。
そして浪江中学校チームNは最上型重巡洋直接教育艦三隈・熊野、阿賀野型軽巡洋直接教育艦矢矧、白露型航洋直接教育艦時雨・涼風の5隻。
となっております。』
☆☆☆☆☆
「今回私はCICで指揮を執ります。ミケちゃん、艦橋はお願いね。」
「任せて!モカちゃんもいるし、モーマンタイだよ!」
私達は最終チェックを済ませて来るべき戦いを待っていた。
「そろそろかな?」
「艦長!敵艦の比叡から無線電話です!」
「はい。」
『こちらチームYの司令を務めます、浅川ももと申します。今回の演習、いい訓練になるようまた、怪我人のないようにいきましょう。』
『こちらこそ、よろしくお願いします。チームNの司令を務めます、葉月ほのかです。』
『審判を務めます、安全監督室情報調査室の宗谷真霜1等保安監督官です。両チームは所定の位置について待機してください。』
『『了解。』』
☆☆☆☆☆
チームNは5隻を複縦陣にして待機した。
右列に三隈、熊野
左列に矢矧、時雨、涼風
航洋艦にはESSM…と言うよりVLSが搭載されてない(ブルーマーメイドの規定により、VLSを搭載可能なのは軽巡、雷巡、重巡、戦艦、のみとされている。)ので、時雨と涼風の第2砲塔(元々単装砲のところ)に発射装置を付けている。
また、今回の相手である陽炎型は艦尾に連想発射装置と次発装填装置で計4発のSSMを搭載する他にミサイルはない。
なので、対空力の高い矢矧に時雨、涼風を守らせつつ敵の航洋艦へSSMを3隻で集中砲火する。そしてその発射と迎撃に集中している間に魚雷発射。これで相手の航洋艦を倒す。
そしてその戦法は三隈と熊野にも使われる。比叡とのミサイル合戦をしつつ砲戦距離に入って砲撃。そこで、矢矧以下3隻と挟み撃ちで雷撃。
というのが大まかなほのかの考えた作戦だ。
まあもちろんそれらがどうズレるかなども考えているが。
『演習開始まで20秒。怪我には注意してください。5秒前。2、1、演習開始。』
☆☆☆☆☆
『全艦、所要の行動を取れ!』
ほのかの命令と共に2手に分かれるチームN。
対するチームYは半輪形陣を取っていて、比叡の前に浦風、右に天津風、左に時津風。
『矢矧以下3隻は天津風から始めてください。なお、魚雷はどれに当ててもいいですけど、外さないでくださいね?』
今回、ほのかはインカムのチャンネルを3つ持っている。艦長としての各リーダーチャンネル、CICの一員としてのCIC内のチャンネル、艦隊の各艦長間のチャンネルの3つだ。
『三隈、熊野、大型巡航ミサイル発射。目標、比叡。なお、発射後、すぐにSSM4発発射。目標比叡。』
対艦巡航ミサイルとSSMはそのまま比叡に突き進む。だが、同時に比叡からSSM48発が発射された。
「比叡、SSM多数発射!数は…48!」
「目標は!?」
「えーと、全部本艦です!」
「ESSM!全部叩き落として!」
48本のESSMが発射される。元々数が限られているので本当なら1発に2発撃ちたかったが。
「38本撃墜!残り10本!」
「熊野がESSM20発、発射。全弾落としました!」
「こちらのミサイルは!」
「大型巡航ミサイルは迎撃され、SSMは2発命中!」
「敵艦の被害を報告!」
「当たった場所は敵艦の第1第2砲塔の間と敵艦の左舷SSM発射装置です!左舷SSM発射装置は恐らく大破判定です!」
比叡は両舷の副砲の代わりにSSM発射装置を搭載しているが、それは非装甲なのだ。申し訳程度の爆風よけしかない。
「比叡の主砲射程内です!」
「比叡、発砲なし!」
だが…
「て、敵艦隊からSSM来ます!数は…62!」
『艦隊!全艦対空迎撃!絶対に落として!』
「目標は全て本艦です!」
「また!?」
「私たちって人気者ね。」
「艦長!冗談では済まないですよ!」
そこで明乃が面舵を取る。
艦体が左に傾く。
「!―――」『全艦!ESSMありったけ撃て!』
そして、この時間何もできないと思っていたましろが意見を具申する。
「艦長!三式弾での迎撃許可を!」
「許可します!」
砲塔はすぐに旋回し発射態勢に入る。
「攻撃始め!」
「撃て!」
三式弾の信管は2.5秒。2キロ先に炎のカーテンを作る。
ESSMによって落とされた次の瞬間に残りが炎に突っ込む。
「敵SSMの残存無し!」
『三隈、熊野は砲戦準備!左砲戦!』
「砲術長!主砲、徹甲、比叡!」
「了解!主砲、1から3番、全門徹甲弾装填、目標比叡!」
「時津風、全速で接近!相対速度75knot!」
「とりあえず無視!」
「主砲、発射用意よし!」
「1から3番砲、左、攻撃はじめ!」
「撃て!」
三隈と熊野の弾は比叡に飛んでいく。が、まだまだ大破判定には至らず。
「続けて撃て!夾叉してる、何発かは当たってる!」
だが、そこでついに双方に被害が出始めた。
『こちら涼風!やられた!機関が停止した!』
『葉月より涼風。涼風は敵艦隊への直進方向への足止めに魚雷の撃てる角度はあります?』
『可能!』
『なら超遠距離魚雷戦で敵の直進を妨げたあと、白旗を掲揚してください。』
『がってん承知。あとはお願いします。』
涼風から魚雷が発射される。
『涼風、白旗確認。リタイヤ受理しました。その場に留まって演習の終了を応急修理しつつ待機してください。』
涼風の魚雷は酸素魚雷。雷跡はほとんど見えない。しかも現在はチームYは全速航行中。聴音機でも聞き取ることは難しい。
『天津風、大破判定です。その場に停止してください。』
天津風と浦風に当たり、浦風は判定中破。速力が10knotに制限された。
私としては避けて欲しかったんだけど…まあいいか。
「時津風に砲撃を集中!」
「了解!」
☆☆☆☆☆
結局、航洋艦3隻を倒し比叡を砲撃でタコ殴りにして勝利した。比叡の前部主砲が潰せたのは大きかった。
『この演習のMVPは航洋艦涼風となりました。おめでとうございます。』
あの雷撃が大きく流れを作ったとして涼風はMVPに輝いた。
ちなみに…
ヒーローインタビュー(この場合ヒロインインタビュー?)には三隈乗員が仮装して乗っていたということが話題になり、集合写真が世の中に出回ったことはご愛嬌だ。
ましろはバニーガール(靴下はクルー丈で折り返しているのでほぼ生足)だった。