はいふり~天才な私の物語〜   作:風早 海月

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9、会敵しちゃった!?

「15:48、変針点です。」

 

記録員の彩木さんが報告する。

 

「進路120°」

 

続けて私が指示を出す。

 

「了解、120°」

 

航海長の知名さんが転舵する。

 

「彩木さん、本日の予定航路での日没予定時刻を確認してください。」

 

何を思ったのか知名さんが彩木さんに聞く。

 

「17:23です。」

 

「了解、ありがとう。」

 

何気ない航海の1ページ。艦橋で交わされる指示。とはいえ、10代前半の女子中学生が集まれば何かと話すわけで……

 

真梨ちゃんが口火を切った。

 

「艦長、西太平洋の赤道付近の島国には海賊が出るらしいですよ。」

 

若い女の子が集まると起こることと言えば、4割噂話5割恋バナ。

 

10年以上女の子として生きているけど、噂話は得意じゃないわ。と言うより得意になれないわね。とはいえ、そんなこと表面に出すわけもなく…

 

「そうなの。」

 

やっぱり、不得意なままね………

 

そんな時ちょうど良く救ってくれたのは、もかちゃん。

 

「海賊ってどんな感じなんだろうね。」

 

「貨物船をよく襲うと聞きますが、たいてい警備会社の海防艦か護衛艦がついてますからね…」

 

あら、こんな時は私の出番かな?

 

「もちろんミサイルは規模によっても違うけど、だいたいはミサイルに比べて隠密性の高い短魚雷を使っているそうよ。」

 

「短魚雷って、威力が低い気がするんですけど……」

 

「最近の海賊は護衛の艦を短魚雷で足を止めて、スキッパーで貨物船に乗り移って占拠して貨物船ごと持ち逃げするらしいよ。だから商船改装巡洋艦がいっぱいあるんだとか。しかも大きいものなら装甲も厚くして商船改装戦艦として使ってたりするらしいよ。流石に4万トンオーバーの船は改装じゃなくて解体して資源にすることが多いみたいだけど。」

 

ちょっとハナタカだったりして

そんな話をふっかけたのは真梨ちゃんなのにちょっと怖がっていたので

 

「まあ、私達の艦には攻撃してもあまり意味無いけどね。資源運んでる訳じゃないし。」

 

「そ、そうですよね…」

 

ホッと息を吐き安心したらしい真梨ちゃん。かわいい。

いつかハーレムでも作ろうかな。

(この時久しぶりに自分が女の子ではたから見たらただの仲良しにしか見えないことをほのかは忘れていた。)

……なんか最近、ドジっ娘として扱われるのは大変に遺憾です。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

―16:23頃

 

「なんだろ、あれ。カモメかな?」

 

「カモメはあんなに大きくないよー、あれは偵察飛行艇だね。」

 

「偵察飛行艇ってなんでこんなところで…」

 

「そこまでは分からないよ」

 

「距離およそ60,000か。」

 

「ちょっと、あんただって一応ブルマーでしょ?

飛行艇の距離の算出は―――」

 

「いやいや、低空だし60,000であってるでしょ―――」

 

という会話が右舷観測所で起こっていた。

 

 

――――――――――

 

 

―――16:59

 

見張り員が1度夕食を食べに観測所の観測員と見張りを交代してほしいと伝えようとした時、彼女は見つけてしまった。いや、見つけられたが正解か。とにかく、猶予がないことに気づいたのは彼女が最初だった。

 

「右舷、4時の方角、戦闘飛行艇接近!数5!観測所、CIC及び艦橋は確認されたし!」

 

「観測所、飛行艇5確認!国籍不明!所属マーカーもありません!」

 

「CIC、こちらも確認、数5!推測される装備は爆装2、雷装1、空戦1、強襲1!」

 

「艦橋より全艦へ、配置につけ。対空戦闘用意。CICへ、所属の誰何とブルマーへの通報、急げ。

砲術長の宗谷ましろへ命じる、最低人員以外の乗組員を纏め、警備隊を組織し敵の突入に備えよ。なお、砲術指揮は副長が代行せよ。」

 

「CIC、宗谷ましろ、了解。」

 

「応急員は即応体制!」

 

世界で初めての艦VS飛行艇の戦闘が起ころうとしていた。

 

今まで、対空戦闘と言えば対空迎撃が主であり、ミサイルを撃ち落とすためのものであった。それが、飛行艇の発達により対飛行艇という初の戦闘になることを成した。もちろん、今までの飛行艇が対艦戦闘をしていなかったかと言われると否である。何故ならば、基本的に艦VS艦の補助として用いられてきていたからである。しかしながら、以前と比べ装備の能力が上がっており、そこに彼らは目をつけていたのだ。

大型化と重装備化により航続距離が短くかつ運動性能の低下が起こったものの、飛行艇だけで立派な戦力となっていた。そして何より、飛行艇の戦力化はほのかが予見していたことの1つであった。こんな形で見せられるとは思ってもみなかっただろうが。

 

 

―――閑話休題

 

 

「CICより艦橋。飛行艇強襲タイプからと思われる電文を受信。」

 

「読んで」

 

「発ネイターグロード飛行艇部隊隊長、宛航行中の重巡“三隈”。

諸君らに通告する、10分以内にその重巡を明け渡せ、さもなくばそちらに突入し乗組員を射殺する。とのことです。」

 

「返信せよ、

発三隈艦長、宛寝いたーグロー度(笑)飛行艇部隊隊長を自称する三下。バカめ。以上」

 

「は?」

 

「バカめだ。」

 

「いや、そこじゃなくて」

 

「いいから送ってください」(宛先があまりにも酷かったかしら?)

 

「は、はい」(私が言いたいのはタグにないネタをつっこむのかという事なんだけど…)

 

 

――――――――――

 

 

とは言うものの、多分飛行艇5機相手には勝利は難しい…如何せん。

この世界にも三式弾があればまだ………ある、三式弾。対地攻撃用に製造されて、重巡以上と言うより20cm以上の砲に積載していたはず。

 

「艦橋よりCIC。主砲全門、三式弾装填。」

 

「CICより艦橋。お言葉ですが、艦長、三式弾は対地攻撃用です。無意味だと思われますが…」

 

副長から疑問の声が上がる。と言うより普通に分からない。普通の人なら。しかしながら…

 

「三式弾の信管を4秒でセット。」

 

ここで、本職のブルマーが気づく。

 

「艦長、もしかして三式弾の爆風と破片で相手に損害を出させるつもりですか?」

 

そして私は頷きで返す。

 

「副長、主砲全門の照準を4秒後に飛行艇部隊が通る予想点の0.5秒分前上方に。地上に攻撃する要領で。」

 

「副長、了解。」

 

「三式弾斉射後、ESSM発射。発射数は32本。避けられない様に群で撃て。」

 

これで考えていた対空戦闘の一応の構えが完了。

 

「CICより艦橋。主砲発射5秒前。3、2、1、攻撃始め。」

 

「了解。所要の措置をとれ。」

 

「か、観測所より艦橋!敵の飛行艇の損害は軽微!突っ込んでくる!」

 

 

――まさか読んで上面装甲を厚くしていたというの!?

 

 

「続いてESSM、攻撃始め。」

 

水雷長の中野千歳さんがコンピュータに諸元を入力してESSMが発射される。この世界のミサイルは事前誘導。ミサイルの中に“このように飛ぶ”というデータを入力し、入力した通りにすすむ。つまりうまくすればまだまだ避けることは出来る。だが、コンピュータにより30を超える対空迎撃ミサイルが群れとなって襲いかかれば、いかに有人飛行艇と言えど命中するはず。だが……

 

「観測所より艦橋!敵飛行艇部隊は損害なし、敵飛行艇は敵空戦飛行艇の後に一直線上に並び当たるものだけ撃ち落としました!」

 

――まずい、対策されてたか。

 

「対空機銃、主砲通常弾、とにかくばらまけ。」

 

私はとにかく時間稼ぎをして次の案を思案する。

 

――どうする。このままでは侵入される…かと言って有人飛行艇を対空装備で送り出したところでもともと対空装備はミサイル迎撃用。勝ち目はない。なら他の方法を見つけなければ………

 

ある。みつけた。この艦にはスペックシート以外にも兵装が積まれてたのを忘れてたわ。

 

「知名さん。しばらく艦の指揮をお願いします。」

 

と言い残し、何故か今日はCICにいる教官のもとへ向かう。

 

 

 

 

CICに着くと息も絶え絶えに中村真耶教官にあることをお願いする。

 

「教官、Aクラスの緊急事態と判断し、秘匿兵装の使用許可をお願いします。」

 

秘匿兵装。その名の通り、一部の人間しか知りえない兵装である。この艦に搭載されている秘匿兵装もそのひとつである。

 

「許可出来ません。何のために秘匿としているか、あなたなら分かっていますよね?」

 

無論。強すぎる力は争いを生む。だが……

 

「バカとハサミは使いよう。もちろんお分かりですよね?教官。それに……どうしても許可出来ないのであれば製作者権限を用いて起動しますよ?」

 

「はぁ…………

仕方ありませんね、許可しますが、運用には最大限配慮しなさい。姿を敵に見せることは禁止です。」

 

「元からそういう使い方ですよ。」

 

そして、CICの指揮席(副長がいつも座る席だが副長は砲術長席に着席中)に着席し、手元のキーボードに457文字もあるパスワードを入力した後、短くコマンドを打ち込んだ。

 

「CIC艦長より全艦へ。これより秘匿兵装を使用します。水雷長は私と同行、副長はそのまま砲術指揮に加えて水雷指揮を命じます。以上。」

 

「艦長、行きましょう。」

 

「中野さんはどこに行くかわからないでしょう?とりあえず、艦底に向かいます。」

 

「分かりました。」

 

私たちは艦底へと急ぐ。

 

「艦長、秘匿兵装って何を搭載してるんですか?しかも対空戦闘なのに艦底部に向かうっていうのは……」

 

「まあ、見てからのお楽しみだよ。もちろん、クルー全員に守秘義務と言うより秘匿義務が付いてくるから言っても言わなくても変わらないんだけど。」

 

「そんなやばいモノなのですか?」

 

「ふふ、まあね。世界のバランスを崩しかねないくらいにはね。」

 

そう、あの兵器は絶対に戦ってはいけない。いや、表に見せるわけにはいかない平気なのだ。だが―――

 

「これまで相手の技術者は私の戦術を元から考えてその対応をしていた。ならば今度は私の技術力で圧倒する。」

 

これが、世界で初めて地球上で使われる兵器となり、この戦闘記録を見た各国の技術者は首を傾げることとなることは誰もまだ知らなかった。




今日はここまで!

長くなりそうだったので切りました!
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