グッドスピード!!   作:夢落ち ポカ

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大変遅くなりました。

FGOとか陰陽師とかしてて遅くなりました。

FGOマスターの方は福袋どうでしたか?

作者はアルテラとシグルドです、あれ2枚もくれるっけ?と首をかしげましたね。

そのあと10連ガチャでスカディがお越しに・・・ブリュンヒルデは諦めた、キャスターリンボに向けて貯めます。

では、新章に突入、雄英体育祭編です。

オリ主居るということで、原作沿いですがある程度介入していきます。


第013話 体育祭に向けて…

 

 アメリカ大使館地下5階。

 

 本来の設計図にないその地下に、アクトは本国にあるシビュラシステムへ日本の警察機構から提案された案に対しての対応を尋ねていた。

 

「俺としては受けてもいいかと思っている。

 個性の限定使用許可についても毎度高校へ連中を呼び寄せるのは手間がかかり過ぎる。

 シビュラシステムについては日本側へ分からない方法がある以上、表面上は契約を守っていると思わせておけばいいだろう」

『―――眼の使用はシステムの機密情報の中でもトップクラスの機密だ。

 軽率に使用されては困るな』

「困ってしまう程度で済むのなら安いものだろう?

 電磁パルス(EMP)攻撃でもしない、大使館を丸ごと吹き飛ばされない限り外部にバレることはない。

 指向性音声で俺と交信する以上俺がこの事を漏らさない限り絶対にこの機密が知られることはない」

『―――少し待て、全員で協議を図る。

 私個人としては賛成だが、他の皆がなんと言うかは不明だからな』

 

 日本警察―――日本政府からの意向を守る気はアクトしては更々なく、『バレなければいい』といった精神で考えている。

 

 これで彼のサイコパスに何の変調もないのが不思議だと彼の同僚は常々語っていた。

 

 ―――待つこと10分、会話していた人物が戻ってきた。

 

『協議の結果を伝える。

 君の思う儘にするようにとのことだ。

 日本からの抗議は全てこちらへ回すといい、こちらで処理する』

 

 帰ってきたのはアクトの思っていた以上の結果が返ってきた。

 

 要求の一部修正や、アクトへの制限を秘密裏に掛けるといった内容を持って帰ってくると思っていたからだ。

 

「まさかの白紙委任状とはな、何があった?」

『当初はシビュラシステムの素晴らしさを他国にアピールする為にもドミネーターは必要だという意見が2割ほどあったのだが、血生臭い功績が先に流布されてしまっているから効果は望めないのではないかという意見が5割もあったのだ』

 

 残りの3割はというと仕事(・・)の所為で回答不可だったという。

 

 血生臭いという言葉を強調した人物にアクトは「人選ミスだろう諦めろ」生暖かい目を向けたのだった。

 

「―――局長、いやシビュラシステム(・・・・・・・・・)

 指示(オーダー)を寄越せ。

 俺はお前たちと契約を交わした身だ。

 故に俺の自由を尊重して貰う代償として、お前たちの意向は最優先で叶えなければならない。

 情報網(あみ)は順調に広がってきている、街頭カメラのハッキングも警察組織にバレない様仕掛けているが発覚している様子はない。

 順調だ、あとは獲物が網にかかるのを待てばいい。

 時間がすべてを解決してくれる。

 命令を寄越しな我らが神託。

 刑事としてではなく、アメリカ社会を守るヒーローとしてその任を全うさせてくれ」

『では、改めて指示を下そう、加減アクト。

 アメリカ社会を―――我々(・・)シビュラシステムを更なる完全性を齎す為に』

 

 ―――オール・フォー・ワン、彼を生かしたままシビュラシステム(我々)の下へ連れてくるのです。

 

 

 * * *

 

 

 アクトが雄英高校へと登校したのは午後になってからだった。

 

 正門には相変わらず報道陣が待ち構え道を塞いでいた為、高校へと連絡し裏門から入ったアクトは教室を目指すのではなく、教員室へと向かっていく。

 

 クラスは既に授業を始めているが、国が関わってくるとなれば優先度はこちらが上だ。

 

「失礼する、根津校長と面会希望だ」

「・・・加減か、遅かったな」

 

 やってきたのは包帯でグルグル巻きにされたミイラ男―――負傷した相澤だった。

 

 右腕が折られ顔面もかなり出血していた相澤が既に職場復帰している事に若干の驚きを見せたアクトは笑って見せた。

 

「男前が上がったなイレイザーヘッド。

 少し前に本国との連絡が終わってすぐにやってきた。

 担任として同席するか?」

「後から聞かされるよりは合理的だしな、それと、今回の一件はすまなかったな」

 

 敵意は感じられない、相澤からの真摯な謝罪にアクトは首を傾げていた。

 

 謝罪を受ける心当たりがなかったからだ。

 

 むしろこちらが謝罪しなければと思っていたアクトとしては出鼻をくじかれた形で若干の苛立ちを見せた。

 

 間違っても自分の対応が遅れたというどうでもいい理由で苛立った訳ではない。

 

「謝罪を受ける云われはなかったと思うのだがな?

 むしろ謝罪をするのはこちらの方だ。

 ヒーローとしての要請を受けたにも拘らず全う出来なかったこと。

 低い可能性とはいえ、クラスメイトにトラウマを植え付けて若い芽を摘むことになったかもしれなかったこと。

 アメリカではともかく日本ではまずヒーロー免許停止といった処置、過剰防衛による傷害致死罪を適用されても仕方ないことだろう」

 

 アメリカではたとえ優秀な人間だろうと一度サイコパスが崩れてしまえば例外は無く更生施設域が決まり、サイコセラピーという治療を受ける事となる。

 

「いや、元々は俺たち雄英側が警備体制を厚くした方が良いとお前から助言を受けていたにも拘らずあの事態が起きてしまったんだ」

 

 一部アクトが引き起こしたマッチポンプもあったというのに謝罪する相澤にアクトはこれなら素直に恨まれた方がましだと内心ため息をつく。

 

「そういう事なら・・・謝罪を受け取っておこう。

 ・・・・・・ちなみにだが、精神的に不調になったクラスメイトはいたか?」

 

 現場には居合わせなかった耳郎(クラスメイト)が脳裏に過ぎるが相澤は首を横に振って誰もいなかったと答えた。

 

 尾白については人を焼くというスプラッタを何度も見せたこともあり、直後のサイコパスが若干上がっていた事が気がかりということもあったのだ。

 

「まぁ・・・緑谷が相変わらず負傷したくらいか・・・だが、意外だな。

 任務の為のついで、低レベルな相手をさせられていて苦痛だ・・・な認識だったんだがな」

「その認識は強ち間違っていないぞ?

 とはいえ、今回は少なからず俺が関わっているからな。

 僅かばかりの良心も疼くというものさ」

 

 アメリカにいた頃に既に今の価値観が落ち着いていたアクトとしてはこの程度の事件でサイコパスは揺らぎもしなかった。

 

 良心が疼く、それは嘘ではない。

 

 ただ、疼いてもサイコパスが変容しない、それだけがアクトの精神の異常性を示していた。

 

「そういえば、今度開かれる『雄英体育祭』なんだが、参加出来そうか?」

 

 既にヒーロー―――刑事として活躍しているアクトとしては日本に居続ける訳でなし、日本のビッグイベントの1つに魅力を感じないのではと考えていたからだ。

 

「ヴィランがやってきてすぐなのにするのか?」

「今度開かれる『雄英体育祭』では念には念を入れて10倍の警備で雄英は盤石だということを見せる意味もあるらしい」

「質の方はどうなんだ?

 それと抜けた穴を突かれた場合はどうする?

 イベントに現を抜かして各地でヴィランが好き放題・・・なんて無様なマネは起こらないだろうな」

「そこまで警察やヒーローも馬鹿じゃない。

 限りなく隙を無くした警備体制で行われる」

 

 アクトとしては参加よりもシビュラシステムからの指令遂行を優先したかったが、白紙委任状を渡されたうえ期限も定められていないため自由度は高い。

 

 過密なスケジュールを立ててもいない為、参加することは可能だった。

 

 参加したとして、問題は降ってくるわけだが。

 

 何よりも、今回の一件で目星を付けた人物の足取りが途絶えてしまった事もあり、暇潰し(・・・)には最適といえよう。

 

「ハンデが必要だな。

 どんな種目にするかは知らないが、並大抵のことは俺の速さで何とかしてしまうからな。

 せいぜい頭を悩ますといい」

 

 アクトの言葉を参加すると受け取った相澤は席から立ち上がると、アクトと共に校長室へと向かっていく。

 

 今後の協力体制について話し合いを行っていき、終わったのは放課後になった頃だった。

 

 

 ***

 

 

 話し合いを終えて、アクトはこのまま帰ろうと思ったが、クラスメイトに挨拶をせずに帰るというのは薄情かと思い教室へと向かっていた。

 

「・・・なんだ、人がやけに多いな?」

 

 通行の邪魔だと声を上げたアクトは首を傾げたが、1人の生徒が振り返ると悲鳴を上げた。

 

「ま、マッドスピード!?」

 

 するとまるで預言者が起こした奇跡の様にアクトから遠ざかろうと廊下の両端寄った生徒たちを一(べつ)するも完全に無視した表情でアクトは教室へと歩いていく。

 

 どうやらこの長蛇の列の目的は1年A組の様で先頭にいた生徒が数名クラスメイト達へ挑発的ない態度を取っているのが見えた。

 

 先頭集団はまだアクトには気付いていない。

 

「―――どうやら面白い場に立ち会えたようだな」

 

 アクトを見ただけで顔面蒼白になった生徒に白けていたアクトだったが、気骨のある生徒が少なからずいたようで、その男子生徒へ優しく肩を叩いた。

 

「あ・・・?

 ま、マッドスピード!?」

「たった数日で人気者になれたなクラスメイト諸君?」

 

 当たり前のように蔑称で呼ぶ男子生徒にいらっとしたアクトだったが、クラスメイト達への挨拶を優先した。

 

「あ、加減だ!!」

「お前何授業サボってんだよ!!」

「クハハ、まぁ許せ、仕事が入っていてな。

 それにしても、随分と暇な連中がわらわらと集まってきたものだな。

 普通科に隣のB組、その他大勢(・・・・・)が雁首揃えて我がクラスメイト達への敵情偵察か?」

 

 笑ってクラスメイト達からの声を流すと、目元にクマを作ったぼさぼさ頭の生徒がねめつける様に睨んだ。

 

「また随分と偉そうなのが・・・ヒーロー科に在籍している奴はこんなのばっかりか」

 

 アクトは落胆の声を上げた生徒に向き直って、その生徒をじっと見つめている。

 

「体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科への転科も検討してくれるんだってさ」

 

 その逆も然り、成績の振わない生徒は見込みがないと除籍する担任がいる以上、その可能性は大いにあると気付いたデクたちは顔を強張らせた。

 

「少なくとも普通科()は調子乗ってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつ―――宣戦布告をしにきたつもり」

 

 すると便乗するかのように人だかりの真ん中あたりから、ヒーロー科B組の生徒が声を上げた。

 

「ヴィランと戦ったからっつうから話聞きに来たんだけどよぉっ!!

 エラく調子づいちゃってんなオイ、本番で恥ずかしい事んなんぞ!!」

 

 不敵な発言の連続で固まりっぱなしのクラスメイト達だが、爆豪とアクトは何ら脅威と思わなかった。

 

「・・・おい眼帯野郎、テメェとは本戦で白黒つける、それまでやられんじゃねえぞ?」

「クハハ、誰に物を言っている?

 天と地ほどもある実力差に絶望させてやるから首を洗って向かってくるといい」

 

 爆豪はアクトの挑発的な発言に逆上して噛みついてこずに、教室から出ていく。

 

 アクトは爆豪の冷静さに評価を若干だが修正をした。

 

 普段の触れる物全てに対して攻撃的な爆豪の態度を見てきたアクトだったが、体育祭まで2週間前からの集中力の高さに性格に難はあれど短期間にあれは化ける(・・・・・・・・・・)と思わせる色相だったからだ。

 

 爆豪を見送ったアクトは先程の宣戦布告をした生徒に向き直ると、落胆したように溜息をつく。

 

爆豪(あれ)に比べてこいつらは・・・いつまで時間を浪費しているつもりだ貴様ら?」

「なんだと・・・?」

「お前らはどこの科のどいつだろうと興味はない。

 口先野郎が身の程知らずにツバを吐いてきた、その程度の存在が一丁前に宣戦布告とは片腹痛いにもほどがある、分際を知れ」

 

 罵詈雑言をつらつらと冷静に浴びせるアクトにクラスメイト達が止めようとするが、アクトは止まらなかった。

 

「なんだと・・・?

 俺たちだって、あの入試試験じゃなかったら今頃・・・!!」

「出たな、ロクな努力もしてこなかった脆弱者の言い訳が!!

 なるほど、つまりお前の個性はヒーロー科入試試験にあったヴィランロボを撃破するに至らない攻撃性の低い、あるいは機械のような無機物に効かないだけで生物限定で効くような一発芸(・・・)に近い個性という事か。

 となると精神などに作用するような個性か回復系か・・・なまじ強個性だと未練も一際という訳か、やはり言い訳野郎の常套句だな、下らん」

 

 徹底的に扱き下ろさねば気が済まないのか、舌の滑りは回転を上げ加速する。

 

「そんな個性ならば尚更肉体を鍛えなければヒーローになってから1年と持たんと想像がつかないか?

 その個性がヴィランに効かなければ、貴様はその後どうするつもりだ?

 まさかボサっと突っ立っている訳じゃあるまいな?

 それならお笑い草だ、限定的な場でしか使えんヒーローなどカカシ以下だ!!

 救助者を目の前にただ指を咥えて助けられるのを待つしかない、一般人の仲間入りだ、おめでとうこの役立たずめ!!

 そして見るからに貴様、筋力トレーニングや格闘訓練といった荒事とは無縁の日常を送っているようだが、ヒーローになれば災害にヴィラン退治とあらゆる事象に対処せねばならんのだぞ?

 ヒーローはどんな職業かといえば一言で言って肉体労働(・・・・)だ、体力のない輩など二次被害者候補にしかならん、仕事の邪魔(・・・・・)だ、害悪だ」

 

 アクトに指摘されて心当たりがあったのか、想像の付いた生徒たちはばつの悪そうにアクトの言葉の刃に晒されて俯いていた。

 

 一部の生徒は涙すら浮かんで、今にも零れそうな者もいた。

 

 アクトに言わせれば、口撃程度で泣くとはその程度か嘲笑されるだけだろうが。

 

 ちなみに、アクトのクラスメイト達はとばっちりを受け一部の生徒が両手で顔を覆っていた。

 

「妄言も大概にしておけ、人生をドブ川に捨てているという自覚のない愚か者どもめ。

 こんなところで地面と睨めっこしている暇があるのなら少しでも努力しましたという言い訳作りにでも励んでいろ」

 

 言い終えると、アクトは教室に入り耳郎に声を掛ける。

 

「響香、出るぞ。

 負け犬どもに用など無いだろう?

 ・・・どうした、泣きそうになっているぞ、何があった?」

 

 どの口が、と耳郎も言うつもりはない。

 

 単にアクトの剣幕に当てられて涙腺が緩んだだけだ。

 

 とはいうものの、アクトの言葉に全て自分が当て嵌まっていないと言い切れるほどの自信もなく、少しばかり打ちひしがれていたのだ。

 

 当のアクトは耳郎ほどの者が泣き掛けるほどの精神状態になった理由が1つしか浮かばなかったが、まさかと振り払った。

 

 先程の暴言は彼女には当て嵌まらないと考えているアクトだが彼女を慰めにかかる。

 

 一度気に入ってしまった人間に対して甘くなってしまうのはアクトの悪い癖と同僚から指摘されているが、やめられないのが悪癖というものだ。

 

「腹が減ったのか?

 以前言っていた美味いと評判のクレープ屋があったな、時間があるのなら一緒にどうだ?

 何なら奢りだ、喜べ」

 

 どことなく傲慢さを感じさせる誘いに耳郎もクレープと聞いて心が揺らいだ。

 

 気になっているクレープ屋の事を覚えてくれていたというのもあるが、拙いながらも自分に気を掛けてくれているという事が分かるアクトの心配りに先程の暴言についてはいったん棚上げすることにした。

 

「・・・・・・・・・絶対、奢りだからね」

 

 地の底から這うような、低音の暗い声がようやく上がる。

 

 反応した、と勝機を見たアクトは畳み掛ける。

 

「まかせろ、食べ切れなくなったら俺も手伝おう。

 それにもうすぐ体育祭だろう?

 食後の運動も兼ねて見てやる、プロヒーロー監修のトレーニング、byグッドスピードだぞ?」

 

 だから機嫌を直せ、と言わんばかりの表情に耳郎は先程のしんどかった思いはどこかへ行ってしまった。

 

「すぐにカバンにノートとか入れるから、少しだけ待って」

「無論だ、ところで、先程は何で機嫌が悪かったんだ?」

 

 アクトの右目も万能ではない、簡易的な色相判定で相手の精神状態の把握こそできるが、精度に関してはまだ発展途上の道にあった。

 

「―――絶対言わない!!」

 

 べーっと、恥ずかしげに舌を出す耳郎にアクトは「女は分からんものだ」と思考放棄したのだった。

 

 ―――余談だが、爆豪よりもヘイトを稼いだアクトは精神状態の落ち着いた生徒たちに目の敵にされ、体育祭当日まで彼の写真が飛ぶように売れたというのは、本人のあずかり知らぬ話であるし、何に使ったのかは、それこそ買った者にしか分からない。

 

 

 




読んでいただきましてありがとうございました。

後半のアクトの罵倒・・・アンデルセンを意識した毒舌です

本家はもっとつらいでしょうが、今の作者だとこれが精いっぱい。

次はもう少し早めに投稿する予定です。

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