グッドスピード!!   作:夢落ち ポカ

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遅くなりました。

ガチャとイベ頑張ってます、作者です。

今回は幕間と雄英体育祭直前です。

なんかしっくりこなければ幕間の方はいじる予定です。

そして直前の方は…相変わらずのアンデルアクト君降臨中。

なんだろう、言いたいことを躊躇なく言うって素敵ですね。

では、どうぞ。



第014話 雄英体育祭開催 上

 ―――東京某所

 

 

 

 夜も更けた頃、アクトは部下を引き連れ夜の東京、それもスラム街に近い無法地区へと向かっていた。

 

 ここに目的の人物(オール・フォー・ワン)がいるという情報を得た訳ではない。

 

 今回はアクトに同行している日本政府―――警視庁からの依頼で凶悪なヴィランの協力要請があった為だ。

 

「てーか、俺たち全員で行く必要ある?

 かじょー戦力だぜ、かじょー戦力。

 アクトちゃん俺おねむだから帰ってもいい?」

 

 不満の声を上げているのはヴァーリだ。

 

 任務外の協力要請に律儀にチーム全体で協力するなど以前のアクトではありえなかったことだとふて腐れているヴァーリは戦線離脱(サボり)を希望するが、速攻で却下された。

 

「―――ダメだ、日本の警察と連携する為にも、まずはこちらからの誠意を見せなくてはならない。

 信頼を勝ち取る為には結果を積み重ねていくしかない、今後は無理のない範囲で要請に対応する。

 そうだな、塚内刑事?」

 

 以前アクトとぶつかった塚内刑事はアクト達の監査役に抜擢された。

 

 主席監査として彼はアクト達の個性の限定許可をその場で裁可を下す権限を持った、日本においての上司になったのである。

 

 本来ならば明らかな越権行為だと認めない気でいたが、むやみやたらと日本政府と事を構えても余計な摩擦しか生まないと感じ取ったアクトはとしては塚内のパーソナルデータの収集に専念をしつつ、こちらの都合に良い状況を作り出す為に裏で活動をすることにした。

 

 現状チーム全体で協力しているが、要請をこなしていくうちにヴァーリの言った通り過剰戦力ではなく適正戦力を投入するよう促していき、次第に1人、2人と数を減らしていこうと考えていた。

 

「その通りだ、加減捜査官。

 お手柔らかに頼むよ、こちらも日本政府からしっかりと隠蔽工作(フォロー)して欲しいとプッシュされているからね」

 

 トゲのある表現だということはこの場にいる誰でも分かっていた。

 

 日本政府からもアメリカとの関係を維持、あるいは向上させる為の配慮(ヒイキ)をして欲しいと警察庁から通達が来ていることが不機嫌な理由なのだろうとアクトは気付いていたが、口にする気はない。

 

「クハハ、あまりこちらの捜査妨害にならない程度に頼ってくれ。

 なんならイベントの案内係役でもいい、着ぐるみを着て一般人に風船を配る仕事も最高だな」

「監視官、私汗だくになるの嫌なんですけど・・・」

「ホロを使えばならないだろう?」

 

 ギーノがリンジーのぼやきを慰めていたが、アクトとしては冗談のつもりだったので本当に要請が来ても断る気でいた。

 

「もうすぐヴィランが潜伏しているとされる場所だ、静かに。

 ここからはハンドサインで行動する、ゴーグル着用」

「へーい」

 

 気の抜けた返事をするヴァーリを除き、塚内を含んだ全員がゴーグルを着用する。

 

 実はこのゴーグル、塚内に渡したゴーグルだけ通信機能が壊れている不良品(・・・)だった。

 

 それに加えて、そもそもこのゴーグルについて、アクトは塚内に暗視ゴーグル(・・・・・・)としか伝えていない。

 

 ドミネーターが使えない以上、通信面において一部制限がかかった以上、必要な処置だった。

 

「―――現時刻を以て、加減アクトに30分の個性限定使用許可を承認する」

 

 ぼそりと、塚内は小声でアクトの個性使用の許可を下した。

 

 たった30分の使用許可だが、アクトにとってはそれで十分だった。

 

「さて、今日も世界を縮めてしまおうか」

 

 傲慢に宣言するアクトに、ヴァーリたちは遅れまいと付き従っていく。

 

「ああん?

 何だテメェら?」

「―――良い夜だな(グッドイヴニング)、ヴィランども?

 さぁ、蹂躙の時間だ」

 

 この日、勢力拡大中だった人身売買組織『ハゲタカ』の本部は警視庁が協力要請をしていたアメリカ所属のヒーロー『グッドスピード』と共に解決したと速報がお茶の間を騒がせ、朝一番のニュースでアクトたちの活躍が報道された。

 

 

 

 ***

 

 

 体育祭当日、雄英高校1年は今、どの学科も熱気に溢れていた。

 

 先日のアクトの口撃を受けた生徒たちが雄英体育祭で一矢報いようとクラス総掛かりで鍛えていたのだ。

 

 放課後もTDLと呼ばれるトレーニング場の使用権を巡ってクラス規模で軽い騒動が起きるほどに白熱している事態に偶然目にした委員長飯田が狼狽したほどである。

 

 アクトに言わせれば付け焼刃の訓練など生兵法にしかならないと切って捨てられるのがオチだが、それ以上にアクトの物言いに反骨真が沸き上がったのか、ヒーローに向かない個性を持つ生徒までもが時間が空けばクラスメイト達とアイデアを出し合い、打倒アクトを掲げ団結していった。

 

「―――言い訳作りに余念がないな連中は?

 そんな事をするよりも学業に励めばよいものを・・・」

 

 SHR中、飯田からの情報を聞いてアクトが思った感想がこれである。

 

 ある意味爆豪よりもヘイトを稼ぎに稼いだアクトは無駄な努力をしていると切って捨てた。

 

 それを聞いたクラスメイトもアクトの情け容赦のない物言いに一部が総毛だっていて、峰田に至っては「余計なことしやがってちくしょおおおおおぉ!!」と絶叫していた。

 

「ほらアクト、意地悪なこと言わない。

 努力が期待通りの結果を生み出す訳じゃないけど、努力そのものを否定するような発言は良くないよ」

「ふんっ」

 

 耳郎が窘めるがアクトが反省した様子はなかった。

 

 アクトと耳郎は時間があれば共に訓練をしていた。

 

 訓練中もペアを組んで効率よく個性の使い方を指導していき、普段のトレーニングメニューもアクト監修の元アレンジを加えていく。

 

 食生活にも指導が入り、栄養学も強制的に学ばされた耳郎は気付かない内に部屋の本棚に栄養学の参考書が占拠していた。

 

 とはいえ、劇的な変化はなく、体育祭にすぐにでも反映されるほどでもない。

 

 だが、無茶をして体を壊すようなメニューではなく、長期的スパンで見たトレーニングを作成してくれたアクトに感謝した耳郎は万全の状態で体育祭当日を迎えた。

 

 体操服に着替えたアクトたち1年A組は控室で緊張する者、くつろぐ者とでごった返している。

 

 アクトのメンタルはシビュラシステムの基準値でクリアブルー、正常値を維持しており教室下から見える喧騒を眺めていた。

 

 門の外はテレビ報道関係者たちがセキュリティチェックを終え、指定された報道ポジションへと向かって行くのが見えたアクトはオリンピックに代わる高視聴率を叩き出すこの雄英体育祭に掛ける熱量に冷めた目で見ていた。

 

 アメリカではこうした催しは殆ど―――否、エリアストレス―――その区画が人々のサイコパスに悪影響を与える度合を数値化したもの―――が上昇するような催しはあまり推奨されておらず、粛々と定期試験をこなしてきたアクトとしては早く終わって仕事がしたいと内心でぼやいていた。

 

 日本人の血の為せる業なのか、弱冠15歳にして仕事中毒者(ワーカーホリック)の言である。

 

「もうすぐ入場だぞ、準備はいいか!?」

 

 飯田が声を掛けると、クラスメイトの芦戸がヒーロースーツが使いたかったとごちていたが、公平性を期す為に一部の学科を除き、アイテムの使用許可は難しく、A組で申請が通ったのは青山だけだった。

 

「アクト、時間だってさ」

「分かっている」

 

 飯田の声が聞こえていたアクトも会場へと向かう為に席を立った。

 

 耳郎もアクトの隣で若干だが呼吸の荒い様子が見られ、緊張しているのだろう。

 

 コンディションの調整は老若男女と人それぞれだ。

 

 自己完結するもの、人からの声掛け、大別するとこの2点に絞られる。

 

 アクトは前者、耳郎は後者だった。

 

「―――響香、力むな。

 普段のペースで行け、お前のパフォーマンスを十全に活かせば予選程度何とかなる」

「わ、分かってる!!

 これでもこの2週間で個性の使い方にも幅が広がってきてるんだから」

「だったら自信を持て、震えているぞ?」

「む、武者震いだし!!」

「なら心配はないな、行こうか」

「―――ありがと」

「気にするな」

 

 気恥ずかしいのか、アクトの顔を見れない耳郎は小さくだが感謝の言葉を口にした。

 

 それを少し離れた場所で見ていた峰田と上鳴は更に小さな声で話し合っていた。

 

「…知ってるか上鳴、あいつら、付き合ってないんだぜ?」

「ああ、知ってるぜ峰田。

 席が近くだとたまにあの甘々空間に巻き込まれて砂糖吐き出したくなるんだ」

「クッソ、チビでも顔が良ければモテるのか!?

 チクショオオオオオッ!!」

「いや、お前はまずエロを控えろよ」

 

 好き勝手に言っている2人に気も止めず、アクトと耳郎は控室を出ていく。

 

 少しすると轟が出久に宣戦布告をしている場面に出くわしたアクトは、いつもより闘争心むき出しな轟に若干の違和感を覚えつつも、開会式の時間を待った。

 

「―――加減、今いいか?」

 

 すると、轟が出久との話を終えたのかアクトに声を掛けた。

 

 アクトは轟の方へと振り返ると、その表情を見て何が言いたいのかすぐに分かった。

 

「どうした轟、デクへの宣戦布告の次は俺もか?」

「ああ、緑谷については伝えているが、お前にもと思ってな。

 個性把握テスト、はじめての模擬戦闘、その後の授業でも他の追随を許さないその圧倒的なセンスと個性。

 現状、最大の壁はお前だけだからな」

「おいおい轟、まるで俺の個性が強いからお前を圧倒したような言い方はよせ。

 俺の個性が圧倒的に見えるのは、それに相応しいだけの努力をしたからだ。

 もちろん才能という点も考慮するが、それにしたって俺が一番よく知っている。

 お前のような甘っちょろい制限しているガキ(・・)が分不相応な対抗意識を持つのは止めてほしいものだな、不快だ」

 

 触れたら切らないとすまない妖刀なのか、アクトの口撃は遂ににクラスメイトにまで標準を合わせて発射された。

 

 直撃した(本人)からすれば、触れられたくない心の内への急襲に心が瞬時にざわめいた。

 

「…なんだと?」

 

 表情に険しさも加わった轟に、不穏な空気を感じたのか、切島がアクト轟の間に割って入った。

 

「ちょっ、待てってお前ら!!

 開会式前でカリカリしてんのは分かるけど落ち着けって!!

 お互いに不用意な発言はよせよな!?」

「切島、そこの現在進行形で反抗期のガキと俺を一緒にするな。

 俺は至って落ち着いている、そこの身の程知らずが不遜にも挑戦状を叩き付けようとしてきたから身の程を知れと払いのけた、ただそれだけのことだ」

「てめぇっ!?」

 

 遂に逆上してしまった轟に慌てて切島がアクトから離し、我に返った耳郎もアクトを轟から距離をとるように離れた。

 

「はぁ、これだから強個性とばかりに慢心したバカは救いようがない。

 欠点を補える個性を持っていながら、それを研ぎ澄まそうともしないとは…」

「アクト、開会式が始まるまで暇だからって人が嫌がることしない」

「そういうな響香、あれは煽り耐性のない轟が悪い」

「嫌なことを直接突かれたらそりゃ怒りもするよ、ワザとな分アクトの方が悪いね」

「…ワザとではあるが言ったことについては不当なものではないから、やはり俺は悪くない」

「頑固だなぁ…はぁ」

 

 アクトから見て、轟という男は初対面の時から気に入らなかった。

 

 競争心を持つことは悪いことだとは思わない、アクトには縁がなかったが、互いを高め合うという行為は爆発的な成長を生み出す。

 

 最初はアクトも轟のことを競争心の強い増長したガキと思っていたが、次第にその評価は変化していった。

 

 轟の視線の先に、クラスメイトではない何かが映っているように感じたのだ。

 

 しかも性質の悪いことに、その目つきは大よそヒーローを目指す者がしてはいけない類の、いわゆるマイナス面に直結した代物で。

 

「何にイラついているかは何となくだが予想はついている。

 だが、目の前の競争相手を無視して…当然のようにマナー違反をした相手に尽くす礼儀はないぞ」

「ん?

 アクト、なんか言った?」

 

雄英体育祭!! 我こそはとシノギを削る年に1度の大バトル!!

 

「いや、なんでもない。

 …時間だ」

 

 プレゼントマイクのアナウンスが響いてくる。

 

 耳郎はアクトが何か言っていたと思い声を掛けたが、そっぽを向いてしまったアクトがそれ以上口にすることはなかった。

 

 雄英体育祭が、始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございました。

次も、なるべく早く投稿したいです。
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