FGOの周回とかしながら書いてまして…はい。
夏の福袋はヒロインXさんがキマシタ・・・・・・・・・・・ははっ(泣)
ダビンチちゃん(騎)来たからいいけどネ!!
そしていつも誤字脱字の報告をしてくださった
N-N-N 様
さっとん 様
凍さん 様
弓ヶハマー 様
たくぽ 様
名も無き一読者 様
皆様、ありがとうございます。
今後とも拙作をよろしくお願いします。
コンクリートの舞台上で、爆豪勝己は呆然として倒れていた。
騎馬戦が始まって15分が経った頃、クソ眼帯野郎──―グッドスピードが半分野郎──―轟が放った氷の包囲壁を粉砕してそれをショットガンのように放って舞台上を砲撃した。
即座に反応して特に大きかった氷塊を爆破跳躍によって避ける事には成功したが、馬になっていた3人は避ける事が出来ずに場外へ弾かれてしまった。
この時点で既に絶体絶命の事態に陥った彼は更に飛び上がり周囲を俯瞰できる上空にまで上がった。
初撃を避けられた生徒は一握りで、その後の対処は一刻の猶予もない。
だが──―そこまでだった。
「──―がはっ!?」
突如として襲った身体の異常、勝手に落下しようとする速度に抗えずそのまま墜落した。
解っていたのは、これが通常の落下速度ではなく『拘束した上で地面に
軌道修正する為に強引な爆破を何度もするが、軌道が変わることはなく、手こずる様子も無くアクトは爆豪を蹂躙した。
意識もはっきりしていて、身体も大怪我をしている訳でもない、個性も良い具合に温まって来て全力の一撃も使える、すぐに起き上がることも可能だ。
だが、立ち上がる様子はない。
立ち上がるよりも先に、脳裏に溢れ出した事実の処理が優先されていたのだ。
──―俺があのクソ眼帯野郎に負ける筈がない。
──―あんな一方的にこの俺が負けるなんてありえない。
大雑把に纏めると、プライドエベレスト級の彼にとって、人生でここまで圧倒的な敗北を経験したことがなかった爆豪勝己の人生において、初めての『言い訳しようのない敗北』を味わった目の覆いたくなるような
現実逃避と否定を繰り返していき、ふと自分の現状を振り返ると起き上がるより先に固まってしまう、というループを地面に背を付けてからずっと続けていたのだ。
プライドに見合った才能と努力を16歳という若さで実現し、彼の中学時代に口にしたトップヒーローとなり長者番付に載るという大言も決して誇大妄想というわけではない。
それだけの才能が彼にはあり、それを実現する為の努力を続けていき雄英高校へ
雄英高校ヴィラン襲撃事件において彼はその類まれな戦闘センスを遺憾なく発揮した。
それに比例して性格が歪んでいて小心な面もちらりと見え隠れしてはいるが、それでも彼には自負があった。
──―トップになれるだけの
それが、こんな碌な抵抗も出来ず蹂躙される等生まれてこの16年間で初めての出来事を受け入れる事が出来ないでいた。
少し離れて普段から馬鹿にしていたデク──―緑谷出久も倒れている。
別の方向には半分野郎──―轟焦凍も同様に倒れている。
誰1人として、アクトの前に立っている者はいなかった。
──―認めねぇ、こんなクソみてぇな結果が認められるわけがねぇ!!
アナウンスが響く、緊急会議が開かれ、1年の部の本選出場者の名前が挙げられて自分の名前が呼ばれた時、彼は起き上がり、その瞳には闘志の炎が宿っていた。
***
──―また一方的にやられた。
──―自分の中で何かにヒビ割れる音がした。
轟焦凍は生まれついてのサラブレットと様々な陰口を叩かれた事は多かった。
個性婚で生まれてきた子供、生まれなんて選べる訳でもないのに子供の彼に謂れのない言葉を投げてくる連中を、当時の幼かった少年の感情は表現できない『何か』で埋め尽くされていた。
表現出来ない感情は不安と言う形になり、よく泣いていた彼を守っていたのはヒーローである父親──―No2ヒーロー・エンデヴァ────ではなく母親だった。
優しい人だった、昔話をせがんだ時も困り顔だけども話してくれて、だけども嬉しそうに語る母の横顔を見て幼少期の彼は育った。
幼かった彼にとって、父親は痛い事ばかりしてくる酷い人で、母親はいつも自分を守ってくれていた、そういう感覚で育ってきていた。
だが、何時しか母親は外と中の圧力に精神を病んでしまい、幼かった我が子に煮え湯を浴びせた。
守ってくれる母親がいなくなって、家に帰ると酷い事ばかりしてくる父親の理不尽さに幼かった彼に怒りや憎しみが芽生えたのは自然の成り行きだったのだろう。
兄や姉はいたが父が恐ろしくて近付けない、ただ遠目から眺めているだけで話すことは幼少期は殆どなかった。
訓練という名の虐待が一通り落ち着いてからは話すことは若干だが増えてきてはいるが、過去の事もあり会話が弾むことは限りなくゼロに近い。
淡々とした感情の乏しい話し振りでは、弾む会話もないだろうが。
──―俺と
同じ個性婚と言う人倫無視の間で生まれてきたモノ同士、個性も複合個性の強個性。
育ってきた環境が、価値観が、辿ってきた軌跡が。
何が自分と相手を隔てた絶壁を形成しているのか。
開始と共に周囲を氷の壁を作って拘束して全方位からの圧殺を狙った一撃に手応えは無かったが攻防一体の状況を作り出した以上、何かあればすぐに感知できると他の生徒に向かった。
アクトが行動を開始するアナウンスが放送されたと同時に自分が放った氷塊が返ってくるとは終ぞ思わずに。
同じ質量の氷をぶつければ防げると出遅れてしまったが放った氷塊はあっけなく砲弾と化してやってきた氷塊にぶつかりあっけなくは介されそのまま自分たちに衝突。
衝撃は幾分か軽減されていたお陰か舞台の場外には出なかったが背が地面に触れたと同時に掲示板に自分のチームの失格が点灯された。
たった一撃で一蹴されたという信じられない事実に、これまでの自分の努力はなんだったのかと答えの出ない迷宮に入り込んでしまった彼は動きが固まってしまっていた。
無理をすれば起き上がることは出来るだろう、ただ、心は別の方向に向いたまま動くまでに時間がかかりそうだった。
──―答えが出ない。
──―答えが出ない。
──―答えが出ない。
──―答えが出ない。
──―答えが……出ない。
これでは駄目だと、もう1つの個性である炎──―父親から受け継いだ忌まわしい個性を使えば事態を攻略出来るのではと考えてしまいそうになるが即座に考えるのを止め、出口の無い答えを求めた。
いつの間にか立っていた者はいなくなり、結果として優勝がこの段階で決まってしまった。
証明出来ていないのに、父親を否定する為に努力してきた力を知らしめていないのに、終わってしまった。
「──―う……あ……」
言葉にならない呻き声が上がる。
全体アナウンスが掛かり、本選出場者に名前を挙げられるが、当の本人にその声は届く様子は無く、強制的に起こされない限り、気付くことはなかった。
***
一番有利な状況で何をされたのか解っていながら、碌な対策も立てられずに終わった自分は『無様』以外の何者でもないだろうと、緑谷出久は舞台の上で嗚咽する。
騎馬戦が始まったと同時に他チームからの攻撃から逃げる為にサポートアイテムを使って舞台上空へと逃げた。
作戦としては空中戦に対応できたのは爆豪と轟の2人以外におらず、一番の警戒対象であるプロヒーロー、グッドスピードの攻撃を如何にして回避するのか考える時間に当てられたのは各チームを比べると絶大なアドバンテージといえよう。
轟の放った氷塊は瞬く間にグッドスピードを包囲して本人が視界から消えていく。
氷塊で舞台が狭まった所為で戦闘が更に激しさを増したのは仕方ないとはいえ、慎重に行動すれば本選出場はチーム合計点数を見れば範囲内と計算し、グッドスピードが動き出す瞬間を見守った。
──―まさか、轟君の氷を適度に割断して即席の砲弾にするなんて。
サポートアイテムに被弾して墜落してしまう懸念はあったが、まさかここまで全方位に放たれるという想定外の事態に──―常闇の個性であるダークシャドウは防御性能に優れてはいるが数と質量に圧倒され──―全てを捌き切ることが出来ず、墜落しながら打開策を捻り出そうと全身に力を薄く広く流した。
──―
襲撃事件から暫くして、全身へOFAを流す発想を得たデクは前身への負荷を軽減させることに成功した。
とはいえ、発動時間は数秒が限界の未熟なものでしかなく、腕を振るって落下の衝撃を相殺するので精一杯だった。
サポートアイテムが破損して空中への移動手段が無くなると守り易い角へと逃げるよう指示をデクは出すが、それを許すほどアクト──―グッドスピードは甘くなかった。
アクトが腕を振るうと彼を中心に竜巻を複数発生させるという埒外の力を振るったのだ。
まだ舞台上に残っていた一部の氷塊をも巻き込んだ竜巻はいっそう凶悪さを増していく。
正面の騎馬である常闇のダークシャドウは竜巻を真っ先に防ぐ役割になってしまうが、凶悪な竜巻を目の当たりにして『ヤダヤダコワイ』と誰もが同意する泣き言を上げていた。
再度OFAを全身に流して拳を放って衝撃が竜巻に激突する。
だが、氷塊が邪魔をして一瞬竜巻が揺れはするが破壊するまでに至らず、個性が上手く発動できていなかった反動なのか解除されてしまった。
目前には勢いを取り戻した竜巻が迫っていて──―
天変地異さえも生み出す『個性』という枠を大きく超えた
満足に抵抗出来ず、何とか麗日の個性で衝撃を軽減するがデクが騎馬から崩れて地面に顔面から落ちてしまった時点で失格が確定してしまった。
──―負けちゃった。
──―個性も通じなかったし……オールマイトに申し訳が立たない。
師であるオールマイトに自らの存在を知らしめるという課題をこれでは達成できたとはいえない、デクはそう考えた。
明らかに個性の出力に天と地ほどの差がある。
グッドスピードの本領は高速機動による空中戦闘の筈が、これだけのハンデを強いておきながら結果は圧倒的な敗北という形に終わってしまった。
周りを見てみると、憎らしくも尊敬の対象であるかっちゃん──―爆豪が呆然と倒れている。
他には自らに宣戦布告をしてきて、グッドスピードに牽制の氷塊をぶつけた轟も同様に倒れていた。
あの竜巻の試練を乗り越えられた者はいなかった。
その後、プレゼントマイクから協議の結果グッドスピードの初撃を耐え抜いた4チームの
本戦出場が決定したが、誰1人として喜ぶ者はいなかった。
本戦は1対1の戦い。
それはつまり、この惨状を生み出したグッドスピードと戦わないといけないということ。
この騎馬戦で戦闘意欲が減退しなかった本戦出場者を除いてリベンジに臨めると意気込む者は──―殆どいなかった。
グッドスピードは1人舞台を下りて退場口へと向かっていく。
少し遅れて耳郎が退場口へと向かっていったのだが、それを気にするほどデクに心の余裕は無かった。
読んでいただき、ありがとうございました。