グッドスピード!!   作:夢落ち ポカ

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本日は2話投稿します。
戦闘ですよ…はい。



第04話 戦闘訓練《上》

 入学2日目、午前中は必須科目の英語等の普通の授業を行っていた。

 

 教えるのはもちろんヒーローだが、基礎科目を受け持っているヒーローは大学で教師の資格を取っているので問題はない。

 

 至って普通の授業だ。

 

 アクトとしては試験の説明をしていたプレゼント・マイクの授業が普通の枠に収まっていたので暇つぶしに滑舌が特徴的で、本場に行っても通用しないと指摘し弄っていた。

 

 午前の授業を終えると昼食、在学生が大勢いることもあって食堂はかなりの広さを持っている。

 

 食堂の主はアメリカのヒーロー界ではお目に掛かれなかったヒーロー、クックヒーロー『ランチラッシュ』がいた。

 

 和洋中何でも料理でき、作業スピードも速く、生徒たちの胃袋を支えていて、卒業後もこの食堂に通うヒーローがいるという噂もある。

 

 そして午後最初の授業、ヒーロー基礎学。

 

 クラスメイト達が昼食を終えて待ちきれなくなってソワソワしている中、彼は現れた。

「わーたーしーがー!!

 普通にドアから来た!!!」

 

『HAHAHAHA』とどこか特徴的な笑い方をしながらNo.1ヒーロー、オールマイトがやってきた。

 

 彼は技名にもアメリカ要素をよく取り入れているので、笑い方もそれに因んでいるのかとアクトは考えているのだが、今時のアメリカでこんな笑い方をしているアメリカ人は滅多にいないことをそれとなく伝えると、一瞬固まってしまった。

 

 クラスメイト達はそんなオールマイトを暖かく、興奮しながらも迎える。

 

 ヒーロー基礎学、ヒーローの素地を作る為、様々な訓練を行う科目で、単位数も学年時で最も多い。

 

 初日の授業は―――戦闘訓練。

 

 基礎訓練も無しにいきなりの戦闘訓練に首を傾げたクラスメイトが幾人いたが、オールマイトからすれば、その基礎を知る為の実戦だそうだ。

 

 アクトのいたアメリカでもこうした実践的な授業が多く―――名目は護身だが―――留学中は良くやっていた頃のことを思い出した。

 

 そして、訓練に伴い、入学前に合格者たちが雄英高校に送った『個性届』と『要望』に沿ってあつらえた『戦闘服(コスチューム)』が教室の壁が分からわれる。

 

 雄英高校は被服控除の制度があり、先の二つを送ることで学校専属のサポート会社がコスチュームを用意してくれるシステムだ。

 

 特に要望を添付―――具他的な内容を細かく記載することも含め―――すれば、それに沿った便利で最新鋭のコスチュームが手に入る。

 

 アクトは既に自分用のコスチュームを持っている為、個性届だけ提出していた。

 

 コスチュームも雄英高校には預けていない、日本とは違い、アメリカの最新鋭技術を多分に含んだアクトのコスチュームは技術の塊、情報漏洩の危険性もあり、一時的にも提出する訳にはいかなかった。

 

 オールマイトはクラスメイト達にコスチュームに着替え、グラウンドβへ来るように伝えた。

 

「格好から入るってのも大切なことだぜ少年少女!!

 自覚するのだ!!!!

 今日から自分は―――ヒーローなんだと!!」

 

 クラスメイトの誰もが待っていた授業が始まった。

 

 

 ***

 

 

 クラスメイト達がコスチュームを着てグラウンドβでお互いのコスチュームの感想を言い合っていて、その中にはアクトの姿もあった。

 

「ほう、響香のコスチュームは然程普段着と変わらない格好だな。

 だが、自分の個性の補助になる武装もされている…まぁ、デザイン重視な面が強く防御に弱そうなのが懸念事項だな。

 電気も同じだ、お前たちもう少し考えろ」

 

 耳郎と上鳴のコスチュームは細かい要望を記載して作られただろう印象を受けたものだったが、いかんせんデザインに固執するあまり防御面においての配慮が欠けているように見え、アクトはそれを指摘した。

 

 2人も今更になって気付いたのか、気まずげな表情を浮かべたがもう遅い。

 

「アクトのだってそうじゃん、ソフトハットにマントに外套…で捲ってみたら下はスーツ、んで手袋だし。

 ウチらと似たようなもんじゃないの?」

「何か一昔前の映画に出て来てたヴィランの親玉みたいな格好だな!!

 俺らとはまた違ったオシャレじゃねえか!!」

 

 上鳴の言ったとおり、アクトのコスチュームは一昔前の映画に登場していたヴィランが着ている様な格好だった。

 

 黒を基調としたソフトハット・マント・外套・スーツ・手袋・ブーツに至るまで全てが黒。

 

 他の色といえば靴下やシャツの白とネクタイの赤位だ、比率にして黒9、赤0.5、白0.5という圧倒的黒。

 

 上鳴の言っていたヴィランの親玉というのは、おそらくはマフィアの首領のことを指していたのだろう。

 

「クハハハハ!!

 確かにオシャレはしているぞ、ヒーローにとって印象というのは大事だからな!

 だが、俺のマントと外套は防刃・衝撃・防火・防水・対電に対応しているし、下のスーツ一式も同様だ。

 ソフトハットもいざとなれば変形して防刃・ガスマスクにも変わる。

 他にもギミックはあるが…まぁ、これ以上は伏せておこうか、開けてみてのお楽しみだな。

 まぁ俺が言いたいことはだな…オシャレをするのなら万全でいて、且つ優雅に見せてみるのだな!!」

 

 と、バサリマントをたなびかせるアクトに、耳郎は若干だが残念なものを見る目で見たのに本人は気付かずにいた。

 

「ヴィランの親玉っていうのには否定しないんだ…」

 

「単純に被っただけだ、他意は無い。

 …あれは、出久か?」

 

 全身をジャンプスーツに身を包んで遅れてやってきたのは出久だった。

 

 オールマイトをリスペクトしているのか、特徴的なマスクをしたのが出久と気付いたのはアクトと麗日だった。

 

「あ、デクくん!?

 かっこいいね、地に足ついた感じ!」

「デク…?

 ああ、そのまま字を読んだのか、蔑称にも聞こえるのだが、いいのか?」

「い、いいんだ、ぼ、僕…頑張れって感じの、デクだから…」

「…ほう、ならば頑張るといい。

 色んな意味で、応援しているぞ、デク(・・)

 

 アクトはデクがちらちらと麗日の方を気にしながら小声で伝えてきていた様子を見て、大体の事情を察した。

 

 それに乗じてだが、アクトも出久のことをデクと今後呼ぶことにしたのだ。

 

 ことさら変な動きをして恥ずかしがるデクと、察し切れていない麗日の2人を見てアクトは邪魔をすまいと離れていく。

 

「いいじゃないか皆、カッコイイぜ!!」

 

 全員揃ったところで、オールマイトが声を上げた。

 

 シルバーエイジ時代のコスチュームをした彼に興奮しているデクを見たアクトだが、戦闘訓練の内容を聞くため集中していた。

 

「先生!

 ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!」

「いいや!

 もう二歩先に踏み込む!

 屋内での対人戦闘(・・・・)訓練さ!!」

 

 飯田の質問に、オールマイトが笑顔で答えた。

 

 ヴィラン退治は主に屋外で見られるが、統計でいえば屋内の方が凶悪なヴィラン出現率は高いというのがヒーロー間での常識だ。

 

 真の敵は屋内(やみ)に潜む、長年の経験もあるのか、オールマイトの言葉には重みがあった。

 

「君らにはこれから『ヴィラン組』と『ヒーロー組』に湧かれて、2対2の屋内戦を行ってもらう!!」

「基礎訓練もなしに?」

「その基礎を知る為の実践さ!」

「勝敗のシステムはどうなります?」

「ブッ飛ばしてもいいんスか?」

「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか………?」

「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか」

「このマントヤバくない?」

「クハハハハ、響香、敵になっても恨むなよ?」

「味方になるのが一番なんだけどね…」

「んんん~~~聖徳太子ィィ!!!」

 

 アクトたちがそれぞれ好き勝手に質問や私語をし始めて、オールマイトは慣れない教師役をしてか、ポケットから小さな紙を取り出した。

 

 いわゆる、カンペである。

 

「いいかい!?

 状況設定は『ヴィラン』がアジトに『核兵器』を隠していて、『ヒーロー』はそれを処理しようとしている!

『ヒーロー』は制限時間内に『ヴィラン』を捕まえるか、『核兵器』を回収すること。

『ヴィラン』は制限時間まで『核兵器』を守るか、『ヒーロー』を捕まえること

 そして、コンビ及び対戦相手は…『くじ』で決める!!」

 

 カンペを読むオールマイトに一部の生徒が反応しているが、それ以上にコンビや対戦相手をくじで決めるという適当さに飯田は驚いていると、デクがオールマイトのフォロー―――急場でコンビを組むのは当たり前ということ―――を入れる事で事なきを得ていた。

 

 アクトは教師に慣れていないオールマイトに特に思うことはなく、くじの結果がどうなるかが気になって眺めるのみだ。

 

 くじの結果、アクトは耳郎と上鳴の3人―――G組となる。

 

 このクラスは21人、必然的に一人あぶれてしまう事になるのだが、あえて3人組というハンデ戦をする羽目に遭う相手は不運としか言いようがない。

 

 くじの結果に耳郎はほっと一息を付き、上鳴は『うぇーい』と反応に困る喜び方をしていた。

 

「ほとほと縁がある様だな響香よ?」

「…ほんと、ウチとアクトって縁があるみたいだね」

「ラッキーだな3人組だなおい、勝率が上がったよなこれ!?」

「最初の対戦相手は…こいつらだ!!」

 

 オールマイトが組み分けしたくじに両手を突っ込む。

 

 第一試合は―――、Aコンビ対Dコンビの対決だ。

 

 Aコンビにはデクと麗日が、Dコンビには爆豪と飯田がいて、初戦から波乱の予感を感じさせた。

 

 オールマイトは爆豪と飯田にヴィランの思考をよく学ぶようにと助言を行う。

 

 度が過ぎれば中断するが、基本は実戦である。

 

 リカバリーガールという頼もしい保健医がいるからこそ、オールマイトも多少の怪我は大丈夫と言った様であった。

 

 アクトにとっての『多少の傷』はアメリカ仕込の瀕死一歩手前である為、アクトとしてもこれが多少の傷とは思っていない。

 

 個性を使った圧倒的な制圧を駆使し、圧倒することにした。

 

 その後、アクトはデクへ声をかける。

 

「デクよ、あまり怪我はするなよ?

 怪我をするにしても最小限だ、いいな?

 ヒーローがそうポンポン怪我をしていては助けられる数がどんどん減っていく、デクの場合は最終的に他のヒーローに救ってもらう羽目になる、それでは本末転倒だ。

 分かるな?」

 

 入学1日目の個性把握テストでの『醜態』はヒーローらしからぬ行為と厳しく嗜めたのだ。

 

「う、うん、わかったよ!!

 ところで加減君の格好って、アメリカの…」

 

 厳しくもプロと過ごした半年間を思い返し、アクトはいらぬお節介ではあるが、デクにヒーローという存在のあり方を示した。

 

 デクも厳しく言われて心当たりがあるのか、苦々しい頷きだった。

 

 他にも聞きたいことがあったのか、アクトに質問しようとしていたが、麗日の声掛けでその機会は別の機会となるのだった。

 

「―――あれ、加減君あたしには?」

「お茶子にはそうだな…慌てたりせず、着実に進んでおけ、コンビを…デクを信じろ」

「…うん!!」

 

 アクトは2人に声を掛けると、2人と別れた。

 

 その後、初戦で勝ちを拾ったデクたちだったが、結果としては散々な講評を受けた。

 

 デクと爆豪は幼い頃からの想いで独断専行が逸り、麗日は中盤の気の緩みや終盤の乱暴な攻撃が目立ったこと。

 

 今戦のベストは状況設定に最も順応していた飯田であると、八百万はそう分析していた。

 

 4人の問題、改善点を上げ、その説明にクラスメイト達も八百万の解説になるほどと頷いていた。

 

 オールマイトも言うだけ言われてしまって表情が硬くなっている。

 

「まぁ…正解だよ、くぅ…!」

 

 この時すでにデクは小型搬送用ロボ―――ハンソーロボ―――に保健室へと連れられてこの講評を聞くのは後になるのだが、この講評を聞いて表情の険しかった爆豪の表情が更に硬くなったのに気付いたのは極僅か―――オールマイトとアクトの2人だけだった。

 

 爆豪の攻撃がビルを半壊させたことにより、次の場所は別のビルとなった。

 

「次の対戦は…この組だ!!」

 

 オールマイトがくじを引き、ヴィランチームの組が呼ばれた。

 

「G組…俺たちの番だな!!」

「相手は…轟と障子のB組だね」

「…俺たちはヴィラン側、つまりは防衛戦だな。

 響香、電気よ、早めに現地入りしてビルの構造を把握するぞ、ついて来い」

 

 アクトは2人を早目に連れていくと、ヒーロー組のB組より早く現地入りして1階から屋上まで隅々まで確認していった。

 

「アクト…何かいい作戦考えついた?」

「俺が防衛、響香と電気が攻撃だな。

 相手を見たところ、今のお前たちでは轟の相手は出来ないだろうから、障子を2人がかりで狙え。

 幸い、階段は二手に分かれている。

 障子の体格からして、轟と比較にならんほど足音に差があるだろう。

 響香は障子の足音が階段のどちらから来るか確認次第奇襲しろ。

 電気、奇襲の第一撃目はお前だ、余力を残せる程度に放電して障子の動きを止めて、耳郎はその後から追撃を仕掛けろ。

 轟が先に来たら通してもいい、隠れて見過ごせ。

 お前たちは障子に奇襲を成功させることに集中しろ。

 ちなみに、奇襲が無理だと思ったら二人同時ではなく、間隔を若干空けて襲い掛かれ。

 同時攻撃より間隔を空けた方が、対処する際に若干の遅れもあるからな。

 障子の反射速度は反復横とびを見ていてある程度把握している…お前たち2人ならまぁ何とかなるだろう。

 無理なら俺が轟を倒すまで持ち堪えろ、制圧次第ゆっくりと俺のいる階へ誘導して3人がかりで制圧だ」

「…うわ、なんかすげえ手慣れている感のある作戦だなおい。

 けど…アクトは1人で大丈夫なのか?

 轟って、八百万と同じ推薦入学者の1人だろ?」

「心配はいらん、俺に手傷を負わせられる相手など世界にそうはいないからな!!

 それより、試合開始までは俺の近くに居ろ、開始直後の奇襲対策だ」

「アクト、障子について何か対策しておくことある?」

「そうだな、どの異形型でもそうだが、彼らは大概体格もよくパワーもとんでもない。

 握力540キロから来る一撃は受けたら間違いなくお前たち2人の体格だと致命的になる、絶対に避けろ。

 ヒット&アウェイだ、分かるな?」

「了解」

「おう!」

 

 上鳴がアクト1人を残すことに気が引けているが、アクトは傲慢ともとれる発言で会話を打ち切った。

 

 耳郎が声を上げなかったのは、入試時のアクトの実力を知っていたからだ。

 

 あの常識外れの個性ならば、轟の個性も難なく圧倒出来ると確信していた。

 

 そして試合開始のベルが鳴る。

 

 アクトはいつも通り、どこから攻撃が来てもいいように個性を発動する。

 

「―――ゼロフィールド、展開」

 

 アクトの個性開始と同時に、ビルが凍る。

 

 第2試合の火蓋は、今切られた。

 




戦闘訓練…とタイトルにありながら…実は殆どないという暴挙!

主人公の格好?
ええ、とあるアプリゲームにいる英霊の格好ですが何か?
笑い方もリスペクトしてます。
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