レオに聞いたところ。ここは元「紐育」――――――アメリカの都市・ニューヨーク。3年前に起こった「大崩落」の影響で「異界」と混ざって再構築された霧深い街――――――現「ヘルサレムズ・ロット」、というところらしい。私が日本の東京の20区から来たことを話したが、そもそも日本という国と東京はあるが「20区」という土地はないらしい。
というかまず、私の知る限りではニューヨークはニューヨークのままで「大崩落」なんてものは起こっていない。そんなもん起こってたら喰種VS捜査官どころじゃなくなっていただろう。
このちぐはぐ具合から、私は一つの可能性を考察した。
―――もしかしてここ、私のいた世界じゃないんじゃないのか?
考えたくない回答が出てしまった。ちなみにレオはこの話と考察をすんなり信じた。・・・嘘だろとか思っていたが、異界と繋がったココでなら何が起きても不思議ではないらしい。なんだそりゃ。
とりあえず帰るためにもここで生活しつつ地道に情報を集めるしかない。情報整理に付き合ってくれたレオに礼を言うと私はその場を去った。
とりあえず金を稼ぐためにも仕事しないと、拠点はしばらく廃墟だな。
―――まあその前に、この不気味な化け物を倒さないと。
路地に入って目の前に現れた男と対峙する。
「最近、狩りしてなかったし、ちょうどいい」
後にそれが「血界の眷属」と呼ばれるものであることを知るのだが、今の私はただの人の形をした化け物にしか見えなかった。
*****
その次の日。僕はライブラの事務所で深いため息を吐いていた。
「はあ~」
「何ため息吐いてんだ陰毛頭。バカが陰気だと余計にバカになるぜ」
「あんたは人の悩んでる姿を見て悪態しか吐けんのか」
「んだよ、人がせっかく気いつかってやってんのに」
「これを気遣いとは認めねえ」
「何か困りごとかい?レオナルド君」
そんなところを見ていたクラウスさんも会話に混ざってくる。ああ、そうだ!クラウスさんに相談してみればいいかもしれない。
「実はその、昨日の帰りがけに女の子に出会って―――」
そして僕は話した。昨日カツアゲにあったところを助けてもらったこと、聞いたところによると彼女はヘルサレムズ・ロットのない、大崩落がなかった世界の日本からきた存在であること。
「昨日来たばっかりだったみたいで、この街が危険な場所だって知らないみたいだったから。大丈夫かなって」
「なるほど・・・」
「まあ、ここに来た時点で日本みてーな死ぬ危険のない安全地帯なんざねーしな」
やっぱり、そうだよな・・・大丈夫かな、アヤセ。やっぱりあの時無理にでも引き留めて僕がここを紹介すべきだっただろうか。
そんな先にも立たないような後悔をしながら考え込んでいるとなにやら慌ただしい様子のスティーブンさんが入って来た。
「クラウス!話し中のところすまないが緊急の案件だ!少年もいるなら好都合だ、全員そのままで聞いてくれ」
「なにかあったんすか?」
「「血界の眷属」が弱った状態で発見された。原因はわからないが、弱っているといってもまだ活動している。大きい被害が出る前に至急現場に急行してくれ!!」
「はい!」
ライブラの超人たちをも手こずらせる血界の眷属が弱ってる?前に来たザップさんのお師匠様でも来たんだろうか?でも当のザップさんは平気そうにしてるし、じゃあ一体誰が?自分のその疑問が解決するのはもう少し後になる。