誤字脱字はもちろん、なんかこの表現変じゃないか?ここカードの効果違うんじゃないか?みたいな所がありましたら、指摘してくれると、それはとっても嬉しいなって。
アクションデュエル。
それは、新しく進化したデュエル。
ーモンスターと共に、地を蹴り、宙を舞い、フィールド内を駆け巡るー
デュエリストが信じ組み上げたデッキの他に、デュエル開始時にフィールド内に撒かれる“アクション・カード”。デュエリスト自身も知り得ない要素を取り入れる事で、誰もが予想できないデュエルを可能にする。
リアルソリッドビジョンシステムを駆使し、モンスターだけだなくデュエリスト自身も動くアクションデュエルはまさに、観客に“魅せる”ショーなのだ。
『やい!卑怯者の息子!』
違う。
『負けるのが怖くて、逃げたんだろ。お前もそうするんだろう?』
父さんは、逃げてなんかいない。
『あいつは決闘者の面汚しだよ。』
父さんは、最高の、エンタメデュエリストだ!
遊矢「それを今ここで、俺がアンタに勝って証明する!」
これは、神さまがくれたチャンスだ。
あの日……父さん〈榊 遊勝〉がいなくなった日から、もう3年。世間は未だ父さんの事は“チャンピオンの座を失いたくなくて、逃げた決闘者”となっている。
けど、俺はそんなの認めない。
俺が憧れた父さんは、観客も対戦相手も皆、笑顔にするようなデュエルをする、エンタメデュエリスト。そんな父さんが訳もなく、防衛戦を棄権するハズがない。きっと何かしらの理由がある。第一、この3年間、家族である俺や母さん、友人であり良きライバルそして今はプロを引退し塾を経営している〈柊 修造〉のもとにだって現れていないんだ。
遊矢「魔法カード《ワンダーバルーン》、《バーバリアン・キング》の攻撃力を0にする!……これで、ワンショットキルが成立!」
バトル!ーー《オッドアイズ・ドラゴン》の攻撃が通れば
石島「っ。アクション・マジック《奇跡》を発動!」
遊矢「なっ!?」
石島「そして、永続罠《バーバリアン・レイジ》を発動。《ワンダーバルーン》の効果も切れる。これで、《バーバリアン・キング》の攻撃力は5000!さぁ、俺のターン、、」
通らない攻撃。乗り越えるべき壁は、今の俺なんかじゃ超えられない程、高く。
石島「バトル。《バーバリアン・キング》、、」
頼みのエース《オッドアイズ・ドラゴン》は手札に戻された。俺の場に逆転できるようなカードは、無い。
石島「速攻魔法《バーバリアンの奇術》、、」
石島LP3750→4000
俺が全力で削ったはずの相手ライフは回復され、初期ライフである4000に戻ってしまった。対する俺のライフは僅か400。
石島「サレンダーするか?親父のように尻尾を巻いて!」
手札にあるのは《星読みの魔術師》、《EMソード・フィッシュ》、《EMウィップ・ヴァイパー》、《オッドアイズ・ドラゴン》。
モンスターしかいないこの状況。どのモンスターも《バーバリアン・キング》の攻撃力には遠く及ばない。対抗手段は、ない。
遊矢【やっぱり、俺じゃあ、駄目なんだ。俺なんかじゃあ……】
ーーーー
遊矢は俯く。この絶望的な状況、自らの勝ち筋などないと心が折れてしまったようで。俯くと、首からぶら下げていたキラリと輝く振り子(ペンデュラム)が彼の目に入る。今はいない、父親から貰った、大切なもの。
遊勝『笑顔だ。遊矢。泣きたい時は、笑え。笑っていれば、そのうち楽しくなってくる。それが次のエネルギーになる。怖がって縮こまっていたら、何もできない。勝ちたいなら、』
遊矢「勇気を持って、前に出ろ……。」
遊矢【そうだ。そうだよな、父さん。】
父との思い出を、振り子を見て思い起こす。過去、父に励まされたあの時の言葉。その言葉で遊矢は自らを奮い立たせる。彼は前を見据える。一握りの奇跡に賭け、デッキトップに手を伸ばし、ドローをする。
遊矢「揺れろ、ペンデュラム!大きく、もっと大きく!ドローっ!」
ドローカードは、《時読みの魔術師》。……何の変哲もない、この状況を打開する事の出来ないカード、その“はずだった”。
遊矢がドローすると同時、振り子が大きく揺れ、光が放たれる。《星読みの魔術師》、《時読みの魔術師》、《オッドアイズ・ドラゴン》。それらのカードも、まばゆき光を放つ。
ーそして、カードの情報が“書き変わる”。ー
新たな、召喚方法へと、繋がる。
遊矢「俺は、スケール1の《星読みの魔術師》とスケール8の《時読みの魔術師》で、ペンデュラムスケールをセッティング!」
この世界にはそれまで、存在しないハズのもの。だが、デュエルディスクには、始めからその召喚法があったかのようにとあるゾーンが存在していて。
遊矢「これで、レベル2から7までのモンスターが同時に召喚可能!揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!」
ペンデュラム召喚!と彼は叫ぶ。観客も、対戦相手も、呆気にとられただただ彼の行動を見つめる。
遊矢「出でよ。我がしもべのモンスター達よ!」
現れたのは、《EMウィップ・ヴァイパー》、《EMソード・フィッシュ》そして……《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》。
石島「何だと、、。複数のモンスター召喚、しかも上級モンスターもリリース無しで召喚?出来るわけがない!」
だが、しかし。反応するはずの、システムエラーを報せる警報は沈黙しており。
石島「システムエラーが起きない……。召喚は、有効だと!?」
遊矢「《EMウィップ・ヴァイパー》、《EMソード・フィッシュ》の効果発動!」
石島「くっ。《バーバリアン・キング》の攻撃力が!」
遊矢「バトルだ!《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》、《バーバリアン・キング》を攻撃!」
石島「罠発動《バーバリアン・ハウリング》!」
遊矢「無駄だ!時空を見定める《時読みの魔術師》よ!その精緻なる力で我を守護せよ!インバース・ギアウィス!」
石島「っ〜!……見つけた!ならばアクション・マジック《回避》……」
遊矢「天空を見定める《星読みの魔術師》よ。その深淵なる力であだなす敵を封じよ!ホロスコープディビネイション!」
石島「!!」
遊矢「今だ、オッドアイズよ!その二色の眼で、捉えた全てを焼き払え!螺旋のストライクバースト!」
石島「だが、俺のライフはまだ、、」
遊矢「《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》の効果。モンスターと戦闘を行う場合、このカードが相手に与える戦闘ダメージは倍となる!リアクション・フォース!」
石島「に、2倍だぁ!?」
遊矢「これで、ジ・エンドだ!」
遊矢WIN!
観客は何か起こったのか頭で理解出来ていないようで。本来あるはずの歓声は、皆呆けてしまったためかまったくない。それもそのはず。まだジュニアユースの選手、有名でも何でもない、ただ“元チャンピオン〈榊 遊勝〉の息子”である者が現チャンピオンの〈ストロング石島〉を破った。誰も、見た事のない召喚法を使って。
ニコ「……ブラボー!エクセレント!コングラッチュレェエーーションッ!!」
ようやく、状況を飲み込んだMCのアナウンスによって、抑えられていた歓声が響き渡る。
ーーーー
とあるビルの1室。ソリッドビジョンによって、舞網市全体の地図、何かを示すレダーチャートや円グラフが映し出されている。カタカタと何名かのオペレーターが作業している音だけがある空間。
突如、けたたましいブザーが鳴り響く。
「市内臨海地区にて高レベルの召喚反応を確認!」
「解析結果……出ます!召喚形式、ペンデュラムです!」
オペレーターは驚愕の感情をのせ、報告する。
室内を見渡せるように高く設置された管制部分。そこには2人の男性がいた。赤いマフラーを着けメガネをかけた、大物の雰囲気を漂わせる人物と、黒服にサングラス、如何にも側近と言わんばかりの人物が。
赤マフラー「…………付近で、行われているデュエルは?」
黒服「社長。アクションデュエルチャンピオンであるストロング石島と榊 遊矢によるエキシビションマッチが行われています。……!?」
社長、と呼ばれた人物は冷静に、だがどこか動揺しているように黒服へと問いかける。
黒服は手元にあるタブレットで、彼の問の答えを調べる。答を淡々と述べる黒服の男。そんな彼に驚きの色があらわれる。
社長「どうした。中島?」
中島「榊 遊矢がストロング石島に勝利したと。しかも、未知の召喚方法を使って。」
ほう。と社長は眉をひそめる。現アクションデュエルチャンピオン〈ストロング石島〉。その実力はチャンピオンの座を手に入れてから3年間、その座を守り続けてきたという事実から容易に想像できる。
社長「榊 遊矢が?彼についての情報を。」
中島「市内にある遊勝塾に在籍、クラスはジュニアユース。そして、あの榊 遊勝の息子です。」
社長は、中島に提示されたタブレットの画面を見つめる。
そこに映るのは〈榊 遊矢〉のデュエルの対戦履歴。その人物がどのようなデッキを使用したか、相手は誰でいつ対戦したのか。そのような事が全て記録されているものだ。
社長「公式戦での勝率は5割程度、か。」【記録を見る限り、至って普通の中学生だ。デュエルの実力も突出している訳ではない。強いて言うなら“彼”の息子であるというくらいか。】
中島「社長……?」
社長「彼の監視をしろ。何かあれば、どんな些細なことでも良い。私に報告するんだ。」
中島「了解です。」
社長【ペンデュラム……私の知らない、召喚法を操る者、か。】
====
ーストロング石島戦の翌日ー
ここは〔遊勝塾〕。
舞網市において、デュエルとは塾で習うもの。塾に通う事で、デュエルのルール、理論等を学ぶ。どの塾に通うかで、自身のデュエルスタイルが変わっていく。だから、デュエリスト達は自分の塾はどんな特徴を持っているのか、あそこの塾ではどんな事を教えているのか、そんな情報を敏感に察知する。
〔遊勝塾〕は、アクションデュエル……いやエンタメデュエルに重きを置く塾である。がその他の部分にはあまり力を入れていないためか、それともこの塾の創始者の評判のせいなのか、繁盛しているとは言い難い状況だ。けれども、
柚子「はいはーい、押さないで下さーい!入塾希望者の方はコチラの書類にお名前をご記入下さい!」
ワイワイガヤガヤ。
先日の〈ストロング石島〉とのエキシビションマッチ。遊矢は見事な勝利を収める事ができた。そのため、彼の通う〔遊勝塾〕の名前は突如として世間に広まる事となる。この街で1番有名であり、最も多くの“召喚法”を教える〔LDS(レオ・デュエル・スクール)〕。そこでも扱っていない“ペンデュラム召喚”を指導しているらしい、塾として。
アユ「凄いね!柚子お姉ちゃん。」
フトシ「入塾希望者がこんなに……しびれるぅ〜!」
柚子「これでやっっと、赤字から脱却出来る…!」
元々、この塾に通っていた2人の子供、アユとフトシはこれから後輩が増えるという事、この塾の仲間が増えるであろう事に思いを馳せ、興奮した様子で。塾長の娘である柚子は、今までの厳しい経営の状況が好転するという喜びを噛み締めている。
柚子「今、入塾を希望されるなら!あのストロング石島を破った我が塾のエース、榊 遊矢によるデュエルを観戦する事ができます!」
入塾希望者の達からおぉ!と声があがる。
やはり皆、噂の“ペンデュラム召喚”というものをこの目で見てみたいようだ。
アユ「誰が遊矢お兄ちゃんの相手をするの?柚子お姉ちゃん。」
フトシ「昇兄ちゃんじゃないのか?」
柚子「権現坂は別の塾所属だから駄目なのよ。だから今日は私が、遊矢の相手をするわ!」
遊矢「柚子!塾長がデュエルの準備できたって。」
柚子「えぇ!もう?まだデッキの調整してないのに〜!!」
遊矢「いいからいいから!早くやろうぜ、柚子。お客さんを待たせる訳にもいかないしね。……!皆さん!今日は私のワンマンショーへようこそ!」
柚子「遊矢だけじゃないのよ!デュエルは1人でできないでしょう!?あぁもう分かったから!デュエル場へ行くわよ。」
グイグイと遊矢の背を押す柚子。2人はデュエル場へと向かう。
柚子「お父さん!こっちの準備できたわ!」
修造『よし。じゃあ行くぞ!アクション・フィールド、セット!』
デュエル場で相対する柚子と遊矢。天井は高く、周りに、2人以外の物、人はない空間。塾長〈柊 修造〉の合図が壁面に埋め込まれたスピーカーから響く。
システム音『フィールド魔法、《プレイン・プレーン》』
遊矢「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が、」
柚子「モンスターと共に、地を蹴り、宙を舞い、」
遊矢「フィールド内を駆け巡る!」
柚子「見よ!これぞデュエルの最強進化系、」
遊矢「アクション〜」
遊矢&柚子「「デュエル!」」
遊矢 LP 4000 VS 柚子 LP 4000
システム音が鳴る。すると2人以外何もないはずのデュエル場が、突如として草原となる。小川が流れ、中央部分と思しき所にはちょっとした広場がある。壁があるはずの所には青空が広がっており。どこからともなく爽やかな風が吹いてくるのではないかと、錯覚してしまう程。
これこそ、リアルソリッドビジョンシステム。そこにあるはずのないものを、質量までも持って再現する技術。
ーーーー
柚子「私のターン。《幻奏の歌姫ソロ》を召喚!カードを1枚伏せて、ターンエンドよ。」
幻奏の歌姫ソロ ATK1600
柚子のちょうど正面から、美しい歌声が響き渡る。そこに現れた女型のモンスター。更に、大きく投影されたカードが、モンスターの後ろに裏側で1枚置かれる。
遊矢「俺のターン!ドロー!」
柚子【遊矢、ペンデュラム召喚、やってくれるわよね。】
遊矢【うーん。今の手札にはオッドアイズしかいないからペンデュラム召喚出来ないんだよな?さっきテレビで確認した時は、“こんな”見た目のカードを2枚使ってたし。なら。】
遊矢「俺は、《EMウィップ・ヴァイパー》を召喚!」
EMウィップ・ヴァイパー ATK1700
出てきたのは、ムチのようにしなやかな身体を持つヘビ。鎌首をもたげ、相手を威嚇をする。その首には蝶ネクタイ、頭にはシルクハットを被っており、尻尾には持ち手らしき装飾。シャーとひと鳴きし終えると、遊矢の右腕に巻き付く。
遊矢「《EMウィップ・ヴァイパー》の効果!1ターンに1度、表側表示のモンスター1体の攻撃力・守備力を入れ替える。」
ソロ ATK1600→1000
《EMウィップ・ヴァイパー》の巻き付いた右腕を《幻奏の歌姫ソロ》に向ける。すると、《EMウィップ・ヴァイパー》は《幻奏の歌姫ソロ》へと勢いよく飛び出してゆく。
遊矢「さぁ、バトルだ!《EMウィップ・ヴァイパー》、《幻奏の歌姫ソロ》に攻撃!」
柚子 LP4000→3300
柚子「《幻奏の歌姫ソロ》の効果!このカードが戦闘で破壊された時、デッキから新たな《幻奏》モンスターを呼び出す事ができるわ。来て!《幻奏の音女ソナタ》!」【えっ。ペンデュラム召喚しないの!?ど、どうしよう。】
幻奏の音女ソナタ ATK1200
破壊された《幻奏の歌姫ソロ》は光の粒子となって消えてしまう。だが、残った光の粒子は別のモンスターのカタチを創ってゆく。光の中から、新たな歌声が響く。
柚子「《幻奏の音女ソナタ》の効果。特殊召喚したこのカードがフィールドに存在する限り、自分フィールド上の天使族モンスターを強化!」
ソナタ ATK1200→1700
遊矢「俺はカードを2枚伏せて、ターンエンド。」
観客一同「えぇ……。ペンデュラム召喚は〜?」
遊矢「まぁまぁ。皆さん落ち着いて。次のターン、お見せしますよ!」
柚子「その言葉信じていいんでしょうね……?」
遊矢「だ、大丈夫だって!柚子!それより、このデュエルをもっと盛り上げよう!」
柚子「もう…。私のターン、ドロー。」
柚子「私は伏せていたカードを発動するわ!永続罠《リビングデットの呼び声》。墓地の《幻奏の歌姫ソロ》を特殊召喚!」【盛り上げる、か。……それなら。】
ソロ ATK1600→2100
遊矢「おぉっと!それなら、《EMウィップ・ヴァイパー》の効果を発動。対象は、《幻奏の歌姫ソロ》!」
ソロ ATK2100→1500
柚子「ふふっ、それは読めていたわ!私は《幻奏の歌姫ソロ》と《幻奏の音女ソナタ》リリースし、アドバンス召喚!天上に響く妙なる調べよ。眠れる天才を呼び覚ませ。いでよ!レベル8《幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト》!」
幻奏の歌姫プロディジー・モーツァルト ATK2600
2体のモンスターが歌う。2つの歌声は、重なり、共鳴し、新たなモンスターを呼び起こす。
スッ。2体のモンスターは消える。代わりに現れるのは琴のような羽、手には指揮棒を持つ、女型のモンスター。
柚子「《幻奏の歌姫プロディジー・モーツァルト》の効果!1ターンに1度、手札から天使族・光属性のモンスター1体を特殊召喚できる!出番よ《幻奏の音女オペラ》!」
幻奏の音女オペラ ATK2300
《幻奏の歌姫プロディジー・モーツァルト》がすい、と指揮棒を振り始める。指揮棒を振るごとに光で作られた楽譜が宙に浮かぶ。楽譜が一際強く輝くと、そこに新たなモンスターが現れる。
遊矢【いいね、盛り上がってきたよ!】
柚子「バトル!《幻奏の音女オペラ》で《EMウィップ・ヴァイパー》に攻撃よ!」
遊矢「くぅ…。」
遊矢LP4000→3400
柚子「《幻奏の歌姫プロディジー・モーツァルト》!遊矢にダイレクトアタック!グレイスフル・ウェーブ!」
柚子の合図と共に、《幻奏の歌姫プロディジー・モーツァルト》は遊矢に向かい攻撃体制をとる。
琴のような羽が開かれる。そして、羽に模様が、鍵盤の模様が浮かびあがる。《幻奏の歌姫プロディジー・モーツァルト》は歌い始める。その歌は、声は、指向性を持つ衝撃波となって遊矢に襲いかかる。ドカァン!フィールドに土埃が舞う。
柚子「さぁ、これであなたのライフは残り僅か。覆せるものなら覆してご覧なさい!…………ってライフが減っていない!?」
遊矢「俺は罠カード《EMコール》を発動していたのさ!」
柚子「何ですって!?」
柚子は勝ち誇った声で叫ぶ。
目の前にはもくもくと舞う土埃。だが、ライフが減った事を示す音声は一向に流れず。その事実に困惑し、動揺を隠せない柚子。そして、それに答える遊矢の得意げな声。
少し時間が経つと、土埃が晴れ。
柚子の目線の先、その辺り地面は抉れている。が遊矢の周辺のみ傷1つない状況であった。
遊矢「《EMコール》の効果は、相手の直接攻撃宣言時、その直接攻撃を無効にする!さらに!守備力の合計が直接攻撃してきたモンスターの攻撃力の数値以下の《EM》モンスター2体までを手札に加えられる!」
EMソードフィッシュ、EMセカンドンキーを選択
柚子「手札増強……!」
遊矢「そして、速攻魔法《イリュージョン・バルーン》を発動する!」
まだまだこれからだ!そんな気持ちを込めたように腕を振り上げる遊矢。突如、遊矢の周りに5つ、風船(バルーン)が出現する。
遊矢「自分のデッキトップから5枚、カードをめくり、その中から《EM》モンスター1体を特殊召喚できる!」
柚子「でも、その5枚の中に《EM》モンスターがいなかったら、その効果に意味は無いわ!」
遊矢「それはどうかな?さぁ、運命のドローだ!1枚目、罠カード《ドタキャン》。……ハズレだ。2枚目、魔法カード《ツインツイスター》。これもハズレ。そろそろ来る頃か?3枚目……《EMディスカバー・ヒッポ》。当たりだけど、今コイツを出してもなぁ。4枚目、罠カード《EMリバイバル》。うーん、今日は運が悪いのかな?最後!5枚目……よっし、大当たりだ!《EMロングフォーン・ブル》!俺は《EMロングフォーン・ブル》を選択して、特殊召喚する!」
EMロングフォーン・ブル ATK1600
遊矢がドローする毎に風船が割れてゆく。
5つの風船の内2つに、デフォルメされたシルクハットを被ったカバと、同じくデフォルメされた、角の代わりに古い電話の受話器のような物がついた牛が出てくる。どちらも首周りに可愛らしい蝶ネクタイをつけ、片方の目元の部分に星の模様がついている。遊矢はその2匹の内、牛の方に手を伸ばす。途端、デフォルメされていた牛は大きくなってゆく。本来の大きさに戻った《EMロングフォーン・ブル》が遊矢のフィールドへと現れる。
柚子「当ててきたわね!」
遊矢「特殊召喚された、《EMロングフォーン・ブル》の効果発動!デッキから好きな《EM》モンスター1体を手札に加えるよ!」
EMハンマーマンモを選択
柚子「使ったはずの手札が回復した……。カードを1枚伏せてターン、エンド。」
悔しそうに、でもどこか楽しいそうに、柚子は笑い自身のターンを終える。
遊矢「俺のターン、ドロー!」
ドローしたカードをチラッと確認する遊矢。
ドローしたカードは《時読みの魔術師》。今まで出してきたモンスター達とは少しだけ異なるカード。
遊矢【来た!……チェックしたようにやれば、大丈夫!】「レディースエーンジェントルメン!お楽しみは、これからだ!」
観客一同「ペンデュラム!ペンデュラム!」
チャンピオンとのバトルの時に、遊矢が使ったセリフ。いよいよ、噂のものをこの目で見られる!と、観客の期待は最高潮に達する。
柚子【来るっ!】
柚子は身構える。1度見た事があるとはいえ、こうして目の前で、デュエル内で改めて出されるのは、やはり緊張するようだ。
遊矢「俺は、スケール4の《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》とスケール8の《時読みの魔術師》でペンデュラムスケールをセッティング!」
デュエルディスクに“PENDULUM”の文字が浮かびあがる。テレビで見た通りだ、と遊矢から喜びの笑みが溢れる。
遊矢「いくぞ!ペンデュラム召喚!」
ーーERRORーー
遊矢「えっ……。」
4枚のモンスターカードを掲げ、勢いよくフィールドにセットする。同時に何体ものモンスターが、上級でさえもリリースなしに、召喚する……ハズだが。現実にあるのはデュエルディスクから鳴るエラー音のみ。試しに繰り返し同じ動作をしてみるが、デュエルディスクは同じエラー音を返すのみ。
おかしい、と遊矢は呟く。
柚子「遊矢!どうしたの!?」
どうしよう。遊矢は驚愕の表情を浮かべ。何故デュエルディスクは反応しないのか、どうしてだ?そんな顔。……固まっているのを訝しんだ柚子が声をかけてくるが、遊矢は全く反応できない。予想し得ない自体にどう対処すればいいのか、彼は完全にパニック状態に陥っていたようで。
遊矢【どうしようどうしよう。なんで、なんで、できないんだ!?】
柚子「遊矢ー?ゆうやぁー!?」
観客一同「おい……どうなってるんだ?」
観客達も突然止まってしまった状況に困惑している。待望の“ペンデュラム召喚”を見れると思っていたら、実際はエラー音が鳴るのみ。何が起こっているんだ?とざわめきが広がる。
遊矢【……まさか。ピンチにならないと使えない、とかか?いや、そうだきっとそうだ。だって必殺技はピンチで発動する。なら!】
遊矢「俺は、魔法カード《EMキャスト・チェンジ》を発動する!《EMハンマーマンモ》、《EMフレンドンキー》を見せ、デッキに戻してシャッフル。そして戻したモンスターの数+1枚だけドローだ!」
言うやいなやフィールドを駆け出す遊矢。
遊矢と共に、《EMロングフォーン・ブル》もドテドテと走りだす。
柚子「ちょっ!待ちなさい、遊矢〜!!」
遊矢「ふふん。俺は《EMソード・フィッシュ》を召喚。効果発動!」
EMソード・フィッシュ ATK600
遊矢を追いかける柚子。そんな柚子の進む道に、
剣のような物が大量に突き刺さり柚子の行く手を阻む。剣のような物……それは頭部に鋭い突起を持つ細長い魚。サングラスをかけ、頭部の突起は黒いためかどことなくリーゼントに見える、いかにも不良だ!といったフォルム。
遊矢「相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力を600、下げる!」
モーツァルト ATK2600→2000
オペラ ATK2300→1700
最初は、キョロキョロと辺りを見渡しながら走っていた遊矢。だが、あるものを見つけるとそれに向かって一直線に。
遊矢「アクションカード見っけ!バトルだ!《EMロングフォーン・ブル》、《幻奏の音女オペラ》に攻撃!」
柚子「攻撃力の低いモンスターでバトル?……いいえ、アクション・カードね!?」
遊矢「その通り!アクション・マジック《パワーライズ》!俺のモンスター1体の攻撃力をこのターンの間アップ!」
ロングフォーン・ブル ATK1600→2600
柚子「くっ…!でもなんでオペラに攻撃したの?」
柚子 LP3300→2400
柚子の疑問は当然だ。《幻奏の歌姫プロディジー・モーツァルト》は柚子のエースモンスター、強力な効果を持っている。このターンで彼女を倒し切る事が出来ないのは明確。ならば、後々厄介となる方を攻撃した方が良いに決まっている。
遊矢「俺はカードを2枚伏せて、ターンエンド!柚子!全力で俺に攻撃しろ!」
柚子「速攻魔法《サイクロン》、発動。あなたの伏せたカード、1枚破壊させてもらうわ!……ってえぇ!?」
遊矢「っ。《エンタメ・フラッシュ》が!」【よし。いい感じに追い詰められている!】
ロングフォーン・ブル ATK2600→1600
柚子「……よく分からないけど。そう言うのなら全力でいくわ!ドロー!」
遊矢の頼みをひとまず聞くことに決めた柚子。柚子は遊矢を追うのをやめ、他の場所へと駆け出す。
柚子「よし。《幻奏の音女ソロ》を通常召喚。さらに、私は《幻奏の歌姫プロディジー・モーツァルト》の効果発動。《幻奏の音女エレジー》を手札から特殊召喚!特殊召喚されたエレジーは、私のフィールドの天使族モンスターの攻撃力をアップさせるわ!」
幻奏の音女エレジー ATK2000→2300
モーツァルト ATK2000→2300
ソロ ATK1600→1900
自らの場を整えてゆく柚子。この状況、そう簡単に崩すことは出来ない。柚子は、この場を更に盤石にするため、走る。
柚子「見つけた!アクション・カード!」
遊矢「!!」【さぁ、どう出てくる!?】
柚子「まずは、その邪魔な牛と魚に退場してもらうわ。バトル!《幻奏の音女ソロ》で《EMロングフォーン・ブル》に攻撃!」
遊矢「っぅ!」
遊矢LP3400→3100
遊矢「罠カード!《EMリバイバル》!」
柚子「させないわ!アクション・マジック《トラップ・イレイサー》!罠カードの発動を無効にして、デッキに戻す!」
遊矢【くっ!だけど、これで!】
柚子「さぁ、《幻奏の音女エレジー》!《EMソード・フィッシュ》に攻撃!」
遊矢「ぐぁっ!」
遊矢 LP3100→1800
柚子【ちょっと!?これ本当に大丈夫なの!?】
ここで、《幻奏の歌姫プロディジー・モーツァルト》でダイレクトアタックをすれば、遊矢の負け。
遊矢の場にはもう、抵抗出来るカードは残っていないように思える。
遊矢「柚子!!」
柚子「っ〜!どうなっても知らないわよ!?《幻奏の歌姫プロディジー・モーツァルト》でダイレクトアタック!」
大丈夫に見えない!柚子の表情はまさにそれを反映しており。けれども遊矢は柚子に攻撃を催促してくる。半ばヤケクソで、柚子は攻撃宣言を行う。
遊矢「来た!さぁ、今だペンデュラム召喚!」
遊矢は手札に残った最後のモンスターカードを掲げ、ディスクにセットする。が、
ーーERRORーー
遊矢「へっ!?」
柚子「グレイスフル・ウェーブっ!」
遊矢「ウッソだろぉ!?うわぁぁぁぁぁっ!」
遊矢LP1800→0
柚子WIN!
柚子&観客「「えぇ!?」」
結局、遊矢は最後何も抵抗する事なく。
デュエルは終了したのだった。
ーーーー
バチンッ!
軽快な音が鳴り響く。ここは先程デュエルしていたデュエル場ではない。観客達が観戦していた部屋である。
柚子「ちょっと遊矢!どういう事なの!?」
遊矢「ったぁ……。そんなの、俺だって知りたいよ!」
柚子はデュエル終了後、もはや相棒と言ってもいい程に手に馴染んでいるハリセンで遊矢を叩く。
遊矢「どうして……。ちゃんとテレビで観た通りやったのに……。」
ヒリヒリと痛む後頭部をさすりながら、遊矢は俯き、自身のデッキを、カードを見つめる。
柚子「……!ねぇ遊矢。ちょっとそのカード、見せて。」
柚子が遊矢の見つめているカードを見て、気づく。彼が見つめているカードは、《時読みの魔術師》。そのモンスターカードは、彼女の知っているモンスターカードと違う点があった。
まず1つ目、効果欄が2つ存在する。
そして2つ目、2つある効果欄のうち、上部分にある効果欄の両端に8という数字が書かれている。
最後3つ目、カードの下部分が魔法カードであることを示す、緑色となっている。
柚子「遊矢……これ、何?」
遊矢「あぁ、“ペンデュラムカード”って、勝手に呼んでる。」
柚子「もしかして、これが、“ペンデュラム召喚”に必要不可欠なものなの……?」
困惑した様子の2人を気にしてか、先程観戦していた入塾希望者の内何人かが近寄ってくる。柚子は、片手に自身の持つモンスターカード《幻奏の歌姫ソロ》を、もう片方の手にはペンデュラムカード、と呼ばれた《時読みの魔術師》を表面を見せられるように持つ。こうして比較すると、違いがよくわかる。
「それじゃあ、ペンデュラム召喚はこのカードじゃないとできないってこと?それ、ズルじゃん!」
入塾希望者の1人が苛立たしげに言う。
「つか、ペンデュラム召喚なんて最初からないんじゃねぇの?チッ、期待して損したぜ。」
1人、また1人と退出していく人々。
「そんなことしてまで、チャンピオンに勝ちたかったのかしら?」
「やっぱり卑怯者の息子ね。帰りましょ。」
がらん。先程までぎゅうぎゅうに人がいたのに、今は、この塾の関係者のみを残すだけになってしまった。
遊矢「っ…………。」
遊矢は思わず、頭につけていたゴーグルを下ろす。
新しい1歩が踏み出せた。そんな矢先、大きく失敗し、更には過去の事を掘り返される始末。
もう嫌だ。逃げたしたい。そんな気持ちが彼の心の中いっぱいに広がる。
???「遊矢さんはズルなんかしてない……卑怯者なんかじゃない!」
遊矢「えっ?」
タツヤ「ペンデュラム召喚だってちゃんとあるんだ!」
柚子「あの子……。もしかして、前、ウチに見学に来てた。」
権現坂「そうだぞ。遊矢!お前は正々堂々戦い、チャンピオンに勝ったんだ!それに、ファン第1号を泣かせてどうする!」
アユ「昇お兄ちゃん!?」
フトシ「来ていたの!?」
遊矢「ファン第1号……。」
権現坂「あのエキシビションマッチの時、会場で観ていたそうだ。」
タツヤ「っはい。凄かったです、ペンデュラム召喚!」
遊矢「うぅ………。」
純粋な、称賛の言葉。何よりも、彼が望んでいたもの。
権現坂「だから、頑張れ。ファンの為に!」
遊矢「……おう!」
遊矢はゴーグル上げ、権現坂達の方を向く。その表情は、暗く後ろ向きなものではなく、辛い事があっても前に進んでいく、そんな決意を込めた笑顔だった。
遊矢「柚子、権現坂。頼みがある。……特訓に付き合ってくれないか?」
権現坂「この男権現坂。友の頼みとあらば当然、了承する!」
柚子「まったく。いいわ、やりましょ。遊矢。」
それから夜中まで、俺はペンデュラム召喚の特訓をした。最後まで付き合ってくれた柚子と権現坂には感謝しかない。
そして、練習すること、271回目。遂に俺は、ペンデュラム召喚を成功させる事ができたんだ。
この時の俺は、何も気付いていなかった。いや気付こうとしなかった、か。なんで俺に、ペンデュラム召喚なんてものが出来るようになったのか。
なんで、ペンデュラム召喚が生まれたのかを。
第1話、となっていますがこの先の更新は未定です。デュエル構成どころか全キャラのデッキ構成、回し方の把握すら出来ていないので。
しかし序盤は原作コピーになってくる。うごごご。
展開が明確に変わるとこまで飛ばしたほうが良いのだろうか……。
※アクションデュエル、アクションカードに関して。
現状、アニメ版と同じルールです。
ただ1ターンにそれぞれ1枚しか使えない(拾えない)という制限を設けようか悩み中。《EM五虹の魔術師》を使うかどうかで変わってくるかと。
アクションカードはアニメのと漫画(VJ、最強)のを混ぜて使っていきます。