Re:絶望の戦士から始める異世界生活   作:スーパーサイヤ人

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投稿に時間がかかって申し訳ありません。
ここからが本編になります。



王都での一日
第一話 見知らる場所


中世風の景色が広がる中、悟飯は呆然と立ち尽くしていた。

久に聞く人の足音や車の騒音が奏でる「生活」の騒音。まだ暑いに届かない心地良い久を浴びながら、悟飯はただ目の前を横断する人々を呆然と眺め続ける。

唐突過ぎて事情が飲み込めない一方、颯爽と自分の脳内にある疑問が横切った。

 

――ここは、なぜ無事なんだ!?

 

一瞥すれば、西の都にも匹敵するだろうの面積をもつこの都市?は、人造人間に襲われてない。この事実は収拾の見込みのない更なる混乱を招くになる。人造人間によって世界人口は凡そ数百万人までに減らせられた中、その数にも相当する人口が住むここが無事でいられていることはとてもじゃないが、信じられない話だ。

それだけじゃない、ここの住民は臆している様子が全くない、警戒心が皆無だ。あの二人組が今も尚殺戮を繰り返しているというのにどうしてこうも平気でいられるんだ!?

そうやって自己整理を必死に繰りかえしているなか、作業を中断させたのは、何者かによる声だった。

 

 

「兄ちゃん、どうしたよ――呆けた面して。リンガいるか?」

 

 

音源をもとに振り返ると、果物屋と言わんばかりに果実をずらりと並べ、行きわたる人々に身を晒すそれらの隣に、店長らしき厳つい顔立ちの中年が腰を下ろして此方に視線を向けていた。その手には、リンゴに酷似した赤く小さな可愛らしい果実が乗せられていた。

 

 

「はい?」

 

 

いまだ混乱から完全に抜け出してない所為か、悟飯は人の親切を間抜けた声で返してしまう。

 

 

「おい――何かあったのか? 視線が定まってないぞ」

 

 

こちらの異変を察したのか、店長は顔に汗を張り付けさらに気をかけた言葉を口にする。

彼の人間性ある言動のおかけか、穴を見つけたモグラのように俺は徐々に落ち着きを取り戻す。動揺が完全に収まった頃、自分は改まって彼の質問に答えた。

 

 

「いえ、大したことは――すみません迷惑をかけさせてしまって」

 

「なあーに、謝ることはねぇよ。ほれ!」

 

 

大したことじゃないっと会話は終わりを迎えると、店長が何かを乱暴に抛ってきた。

 

 

「うおっとっと!」

 

 

誤って握りつぶさないようそれを掴み取らずに手のひらに乗せようとすると、何度も跳ね上がる果実に自分もそれに合わせて大袈裟に動作をとっていしまい、店長に苦笑いを作らせることになる。そんな情けない自分を恥じながら、手に乗せられているものに目を通すと、

 

――これは

 

目に映ったのは先ほど店長が商品をしてあずかっていた「リンガ」と呼ばれる果物だった。あの動作と言葉からその意思は容易に読み取れるが、売り物をタダでもらうなんてことを、良心が簡単に許してくれなかった。初対面の人にこれはいけない、とは言えはっきりと断るわけにもいかない。

 

 

「え、これ、もらっていいんですか?」

 

 

とりあえず一度本人の意思を確認する。万が一に備えて。

 

 

「ああ、もらっていけ! その代わり、次は今回あげたやつの倍買ってもらうからな!」

 

 

予想を裏切らない返事のほかに、まさかの販売宣言に悟飯は若干笑みを引きずりながら。果実をもらうことにした。

 

 

――そういえば……

 

 

「あの、少し時間を頂けませんか?」

 

「ん? なんだ?」

 

 

ついさっきまで自分が抱いた疑問を思い出し、それをこの人に問おうとすると。

口を開き声帯を振動させようをした刹那ーー

 

 

「っ」

 

 

――風が揺れた

何によってそれが起こったのは定かではない、が、長年の戦闘経験により磨かれた鋭い五感が確実にそれを捉えた。行きわたる人々から生じる布同士の微かな摩擦音。それらをかき消すように風を駆け抜ける何かが確かにいた。

気を感じない敵との戦闘によりそうなってしまったのか、必要以上神経質にその正体を探る。しかし、自ら答えを導き出そうとする前に響く鈴のような声がそれを阻止する。

 

 

「っ! 待ちなさい!」

 

 

その声をもとに、俺は視線を向けると、

白いロープを羽織り、何かを追うように銀髪を揺らし駆け出す少女がそこにいた。

奇妙な焦燥に駆り立てられるその顔には、何故か必死さも現れていた。

瞬く間も無く、彼女は人ごみにかき消されそのまま姿を消した。

 

 

「今のは……」

 

 

急な出来事に、口から零れ落ちた独り言を店主は拾う。

 

 

「さー、盗みじゃねぇーか? あれ」

 

 

久し振りぶりに耳にしたからか、その言葉の意味の理解には数瞬の時が要用された。

人造人間の出現のより、時間があれば全て修行に打ち込んでいたから、日常の犯罪の感覚が鈍くなってしまうのも仕方がないかもしれない。

 

 

「盗み……か」

 

 

銀髪の少女の横顔が過る。

余程大事なものが盗まれたのだろう。

彼女の『気』は、乱れていた……

 

どの生物にも、必ず『気』という潜在的エネルギーが身に潜んでいる。

それは、個体の強さによって大きさが変化するなど、感情の動揺などによって乱れが起きる。

そのコントロールを極めつければ、他人の気を探知することもできる。

悟飯は、気で彼女の感情を読み取ったのだ。

その結果が上の通り、盗まれたものは財布なんかよりもよっぽと大事な何かだ。そして、それの持ち主はそれを探している。

 

ここまで分かれば、次のとるべき行動は何?

そんなの決まっている。

 

 

「すみません、用件を思い出しました。 リンガ、ありがとうございます!」

 

「ん? おう、次はなんか買って行けよ!」

 

「はい! ありがとうございました!」

 

 

もらったリンガを掴んだまま腕を振り、未だに乱れる大きな気を目標に俺は駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悟飯の姿が見えなくなった後、八百屋の店主は憐れみが伴った目で彼が向かった先を凝視していた。

しばらく経つと、彼はつぶやいた、

 

 

「皮肉だな――若いのに……隻腕だなんて……」




次からは、悟飯の一人称視点で書いていきたいと思います。
改善点などがあれば、質の向上につながりますのでできれば直ぐに知らせてください。
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