勇者王ガオガイガーR公式外伝第2章を投稿します。
拙い文章ですが、お楽しみいただければ幸いです。
♪ザン!♪(GGGのマーク)
『唯斗さん、聞こえますか?』
ディバイディングフィールド上でザンダクロスと睨み合うガオガイガーR。そのコクピットに響くドラえもんの声。
「聞こえてるよ、ドラえもん君。まさかザンダクロスが、バイオネットの手に落ちていたとはね…」
『はい、ザンダクロスは僕達と別の場所に飛ばされたみたいでしたから…』
「まったく、何が最新最強だよ。拾った物を勝手に使うな!」
『唯斗さん…お願いが』
「大丈夫、
ドラえもんの声を遮る様にそう言うと、気合を入れなおしたガオガイガーRは―
「いくぜ!」
ザンダクロスへ向けて突進。ここに戦いの幕が切って落とされた!
-EPISODE-8.4
【ザンダクロス奪還作戦】(タイトルコール)
「………」
真正面から突っ込んでくるガオガイガーRに対し、無言で両肩のハッチを展開。露出したミサイルポッドからミサイルを乱射するザンダクロス。十数発のミサイルが複雑な軌道を描きながら、ガオガイガーRに迫る。
「雷帝! 招来!!」
迫り来るミサイルを睨みながら足を止め、ボイスワードを唱える唯斗。同時にガオガイガーRの右前腕部が高速で回転し、青白い稲妻を纏っていく。
「サンダー! ウィィィィィップ!!」
次の瞬間、ガオガイガーRの右腕から放たれた稲妻の鞭が、ミサイル全てを撃ち落とした。両者の間で起きる大爆発。
「でやぁぁぁっ!」
その爆発の中をガオガイガーRは突進。一気にザンダクロスの懐へ飛び込むと―
「せいっ!」
踏み込みと共に左肘打ちを放つ。完全に隙を突かれる形となり、直撃を受けるザンダクロス。その巨体が僅かに揺らいだ。
「はぁっ!」
間髪いれず、右の掌底を顔面に叩き込む。強烈な衝撃にザンダクロスが数歩後退する。
「一気に決める!」
ガオガイガーRの攻撃は止まらない。水面蹴りを繰り出し、ザンダクロスの体勢を崩すと―
「でやぁっ!」
気合と共に、左バックハンドブローと右上段後ろ回し蹴りのコンビネーションを叩き込んだ。ガオガイガーRの全重量を込めた蹴りを受け、吹き飛ばされるザンダクロス。
「やったか…」
構えを解く事無く、倒れたザンダクロスを見つめるガオガイガーR。今の攻撃に手ごたえを感じてはいたが、嫌な予感が拭えないのも事実であった。そして―
「………」
予感は的中した。ゆっくりと起き上がったザンダクロスは、腹部に内蔵されていたビーム砲を展開、発射してきたのだ。
「ちぃっ! プロテクトシェード!」
咄嗟にプロテクトシェードを展開し、攻撃を防御するガオガイガーR。ビームが湾曲空間に激突し、周囲に弾き飛ばされる。
それを見たザンダクロスは再度両肩のハッチを展開し、ミサイルを発射。目から発射するレーザーも追加され、圧倒的な火線がガオガイガーRを襲う。
「くそっ! 下手に反射してザンダクロスを傷つけるわけにもいかないし…どうすりゃいいんだ!」
流石にプロテクトシェードが破られる程の攻撃ではないものの、防戦一方の展開となり、思わず悪態をつく唯斗。
「唯斗さん!」
「ザンダクロスがこれほどの力を持っているとは…」
ザンダクロスの攻撃を防ぐガオガイガーRの姿をスクリーン越しに見ながら、悲痛な声を上げるドラえもんと驚きの声を上げる凱。
「正直、装甲も火力も予想以上だね……」
「このまま防戦一方ではジリ貧です。なんとか手を打たないと…」
これまでの戦闘で得たザンダクロスのデータを解析しながら、渋面で呟く正樹と紫苑。
「リルル! 何とかザンダクロスを、ピッポを止められないの?」
「それが…さっきから呼びかけているんだけど、ジュドは答えてくれないの…」
のび太の声に申し訳なさそうに答えるリルル。それを聞いた正樹は―
「応答がない………まさかとは思うけど」
何かを思い立ち、すぐさまマイクを掴むと唯斗へ呼びかけた。
「唯斗君、Rのセンサーをフル稼動して、ザンダクロスをスキャンしてくれ!」
『スキャンですか!?」
「そうだ! 特に頭部を重点的に頼む!」
『了解です!』
プロテクトシェードを展開しながら、ザンダクロスの頭部を重点的にスキャンするガオガイガーR。その情報はすぐさまメインオーダールームへ転送される。
「Rからのスキャン映像来ました! スクリーンに出します!」
紫苑の声と共にスクリーンに映し出される頭部のスキャン映像。それを見た途端―
「あぁっ!」
「やっぱりね…」
驚きの声を上げるドラえもん達と確信を得たように頷く正樹。スキャン映像には、本来そこにいる筈のピッポの姿が写っていなかった。
「ピッポがいない…これって…」
「うん、今のザンダクロスは魂のない抜け殻みたいな物…おそらく、バイオネットの連中が遠隔操縦で操っているんだろう。唯斗君、ピッポ君がいないなら安心だ。アレを使おう!」
「アレ? あぁ…わかりました!」
正樹の声にそう答え、ザンダクロスの攻撃が途切れる僅かな隙を利用して後退するガオガイガーR。ある程度ザンダクロスと距離を取ると―
「見せてやるよ、サンダーウィップの応用技! 雷光! 狂乱!!」
これまでと違うボイスワードを唱え、高速回転する右前腕部に青い稲妻を纏っていく。そして―
「ボルト! パァァラライザァァッ!」
ザンダクロスへ右腕を突き出し、その力を解放した。ほとばしる青白い光がザンダクロスを包み込む。その直後―
「………」
ザンダクロスに異変が起きた。外見は何ら変わりないものの、その動きはまるで全身が錆付いたかのようにぎこちない。
「な…いったい何が起きているのです! 直ちに確認なさい!」
巨大な蝶を模した飛行物体。そのブリッジの中央に陣取り、余裕綽々でガオガイガーRとザンダクロスの戦いを見物していたマティーニも、これには驚きを隠せない。周囲の部下に命じて、ザンダクロスの状態をチェックさせる。
「こ、これは…」
「何事ですか! 早く報告なさい!」
「ビ、Bカイゼルの遠隔操縦システムが、損傷しています!」
「損傷!?」
「さ、先程勇者王が放った攻撃は、強力な電磁パルスと思われます! それで遠隔操縦システムが損傷を…」
「な、何という事を…」
部下の報告を聞き、バタフライマスクの下で顔を歪ませるマティーニ。
「見たか! これぞガオガイガーRの隠し技の1つ、ボルトパラライザーだ!!」
そんなマティーニの様子を知ってか知らずか、右手を掲げて勝ち誇る正樹。
ボルトパラライザー。それは強力な
「今のザンダクロスなら、取り押さえる事も容易い筈。唯斗君、確保を頼む!」
「了解です!」
正樹の声に答え、ザンダクロスへと近づこうとするガオガイガーR。その瞬間、唯斗は悪寒に首筋を撫でられた。
「ちぃっ!」
反射的にその場を飛び退くのとほぼ同時にビームが地面をなぎ払う。
「決闘じゃなかったのかよ。横から手を出すのは反則だぜ!」
舌打ちと共に攻撃の主である上空の蝶型飛行物体に悪態をつく唯斗。だがマティーニは―
「たしかに決闘とは言いました…が、1対1と言った覚えはありません!」
悪びれる事無くそう答えると攻撃再開を命じた。飛行物体の全砲門からガオガイガーRへ向けてビームが乱射され、同時に5機の巨大ロボットがディバイディングフィールドへ降下した。バイオネットが運用する大型機動兵器『AT』だ。
「何だよ、その小学生レベルの言い訳は!」
マティーニの言い訳に呆れながらも、雨の様に降り注ぐビームをホバー移動で掻い潜り、AT群へ向かっていくガオガイガーR。
「………」
それを見たAT群も、5機中4機が左腕を突き出しながら前進。ガオガイガーRに向けて小型ロケット弾を連射する。
「なめんな! このアッ○イもどきども!」
だが、その程度の攻撃でガオガイガーRは止められない。次々と命中するロケット弾を物ともせずにATへ接近し―
「でやぁっ!」
その鉄拳で、AT4機を次々と撃破していく。
「あと1機!」
4機目を打ち倒し、残る1機を睨みつけるガオガイガーR。すると―
「………」
戦闘体勢をとっていたATが、突然それを解除したかと思うとザンダクロスの元へ移動。背後から羽交い絞めにするとそのまま上昇を開始した。
「待ちやがれ!」
すぐさま追いかけようとするガオガイガーRだが、飛行物体から放たれるビームがその行く手を阻む。
「ちぃっ!」
行く手を阻まれ舌打ちするガオガイガーRの目前で、飛行物体に格納されるATとザンダクロス。
「この勝負、ここまでにさせていただきます。今回受けた屈辱は、近いうちに必ずお返ししますわ。それでは、ごきげんよう」
マティーニの声を残し、最高速度で空域を離脱する飛行物体。当然、ガオガイガーRも追跡しようとするが―
『唯斗君、追う必要はないよ』
正樹からの通信が、それを止めた。
「何故です? 正樹さん」
『奴らの行き先は、間違いなくバイオネットの基地だ。こちらも相応の準備をしていかないと万が一って事がある。それに基地にはピッポ君が捕らえられているだろうからね。救出作戦も考えないと』
「なるほど…」
『とりあえず、こっちに戻って来てくれ。作戦会議をしよう』
「わかりました。エクセルベースに帰還します」
それから約30分後。メインオーダールームにて、作戦会議が開始された。
「作戦の目的は3つ。ザンダクロスの奪還、ピッポ君の救出、そしてバイオネット基地の破壊だ。基地の破壊に関しては、余裕があれば…という条件付だけどね」
「まずは奪還と救出に専念って事ですね。バイオネット基地の所在は?」
「サテライトサーチによる飛行物体の追跡は、途中で振り切られました。しかし、諜報部がこれまでに入手していた情報や飛行物体の進行方向、その他諸々のデータを総合した結果…」
紫苑の言葉と共にスクリーンへ映し出される地図に、全員の視線が集中する。
「Gアイランドシティから南に約1400km。南硫黄島の先にある東西3km、南北2kmの無人島。ここが最有力候補です」
「衛星写真を見る限り、普通の島ですね…まぁ、カモフラージュしてるんでしょうけど」
「ここが怪しいって言うなら、早速乗り込もうぜ! 違ったならその時考えればいいんだ!」
「そうだね。ここは行動あるのみだよ」
ジャイアンの言葉に同調するドラえもん。のび太達も大きく頷き、同意の意を示す。
「決まりだね。それじゃあ、作戦に参加するメンバーだけど…」
「私に…行かせてください」
正樹の声を遮る様に手を上げるリルル。
「私、ジュドの信号をキャッチして、素早く見つける事ができます。だから…」
「…かなり荒っぽい事になるかもしれないよ。大丈夫かい?」
「…はい!」
「よし、1人目は決まりだ」
「私も行くよ。バイオネット絡みなら本職が必要だしね」
「あぁ、こっちから頼むつもりだった。暴れてもらうぜ、ルネ」
「僕も行きます!」
「俺も!」
「志願します!」
続けて手を上げたのは、のび太とジャイアン、そして唯斗。
「唯斗君はともかく、のび太君とジャイアン君。荒っぽい事は…」
「「大丈夫です!」」
「…OK、じゃあ2人にもお願いするよ…その代わり」
「その代わり?」
「俺も行くぜ」
「正樹さんが!?」
「あぁ、
「でも、正樹さん…荒っぽい事は…」
「心配御無用! こう見えても、荒事は得意な方でね」
唯斗の不安な声に不敵な笑みを返す正樹。彼の武勇伝を唯斗が知り、大いに驚くのはまた別の話。
「これで6人…あと2人ほど参加してほしいな。そう言う訳で、頼めるかい? ドラえもん君、ルナちゃん」
「なんとなく、僕も呼ばれる気がしてました。もちろん行きます」
「私もお供します」
「よし、長官! この最強パーティーで、バイオネット基地に乗り込みます!」
「君達の能力ならば心配はいらないと思うが、十分に気をつけて行動してほしい! 私からの命令はただ1つ! 生還せよ! 以上だ」
「「「「了解!」」」」
「へへ、腕がなるぜ!」
大河の言葉に敬礼を返す正樹、ルネ、ルナ、唯斗の4人。それを見たジャイアンもまた、声を上げる。
「それじゃあ、早速準備だ!」
正樹の声が高らかに響き、作戦会議は終了した。
それから2時間後。どこでもドアで南硫黄島まで移動したドラえもん達は、そこからバイオネット基地があると思われる無人島へ向けて、タケコプターで飛行していた。
「しかし、タケコプターで空を飛ぶ日が来るなんて…こういう状況じゃなければ、もっと良いんですけどね」
タケコプターの最高速度で無人島を目指しながら、しみじみ呟く唯斗。
「まったくだねぇ…まぁ、作戦が完了したら改めて飛ばせてもらおう。ドラえもん君、良いかな?」
「それは構いませんけど…正樹さん、このまま近づいて大丈夫なんですか? レーダーとかに引っかかるんじゃ…」
「うん、引っかかるよ。でも大丈夫。俺達くらいの大きさだったら鳥と殆ど区別つかないし。何よりコレを被ってるからね」
そう言いながら、自分の頭に被せられた『石ころぼうし』を指差す正樹。
「目視で監視している奴がいても、これを被っていれば気づかれる事なく潜入できる。いやぁ、実に便利だねぇ」
「島が見えてきたわ!」
リルルの声に全員の視線が前方の島に集中する。あれこそが目的地の無人島だ。
「よし、皆高度を下げて。左手の方に岩場が見えるね? あそこに降りるよ」
数分後、岩場に降り立ち、すぐさま装備の最終点検を行う唯斗達。ドラえもん、のび太、ジャイアンの3人も秘密道具を装備する。
ちなみに装備の内訳は、ドラえもんが空気砲、のび太はショックガンと瞬間接着銃、そしてジャイアンはスーパー手ぶくろである。リルルは指から熱線を放つ能力があるため、武器は必要ないと断った。
「正樹さんも何か使いますか?」
「あぁ、大丈夫。自前を幾つか持ってきたから」
ドラえもんの声にそう答えると、左腕にはめたオメガの腕時計を見せる正樹。
「腕時計…まさか正樹さん。007ですか?」
「唯斗君、大正解。俺、ああいうの好きでさ。だから、武器に関しては問題ないよ」
「そうですか…でも、必要になったら遠慮なく言ってください」
「あぁ、その時は遠慮なく使わせてもらうよ。さて、そろそろ行こうか。皆準備は良いね?」
正樹の言葉にその場の全員が頷く。
「よし、じゃあルネ。手筈通りに頼むよ」
「あぁ、ドラえもん。ポルコートを」
「あ、はい」
ルネの言葉に急いで四次元ポケットに手を突っ込むドラえもん。すぐさま、予めスモールライトで縮小しておいたポルコートが取り出され、スモールライトの復元光線で元の大きさに戻される。
「小さくなった感想はどうだい? ポルコート」
「なかなか貴重な体験だったね。今度ルネも経験すると良い」
「興味ないね。それよりも害虫駆除だ。派手に暴れるよ!」
「了解!」
ルネが乗り込むと共に走り出し、一気に海へ飛び込むポルコート。派手な水飛沫を上げながら海上を走り、少し離れた砂浜から再上陸。
「攻撃開始!」
「了解!」
上陸するや否や武装を展開し、巧妙に隠されていたトーチカに攻撃を仕掛けるポルコート。小型ロケット弾がトーチカを吹き飛ばし、それを合図に異常事態を告げるサイレンが周囲に鳴り響く。
『緊急事態! GGG、
『総員! 直ちに迎撃体制を取れ! モタモタするなぁ!』
岩に偽装したスピーカーから怒鳴り声が響くと、すぐさま岩壁の一部が自動ドアのように開き、そこから10体ほどの簡易ハイブリットヒューマンが飛び出していく。
「…あそこから入れるようですね」
「調べる手間が省けたよ」
獣人達が見えなくなったのを確認し、岩壁へ近づく唯斗達。
「上手く偽装してますね。さっき開いたのを見てなかったら、これが開くとは思えませんよ」
「問題はどうやって開けるか…だね。恐らく、パスワードを打ち込む入力装置か何かが、どこかにある筈だよ」
「探す必要はないですよ。これを使えば……通り抜けフープ!」
そう言うと四次元ポケットから通り抜けフープを取り出し、岩壁に取り付けるドラえもん。あっという間に中へと続く抜け穴が完成する。
「………ホント、秘密道具って便利だねぇ」
心底関心した様子で呟きながら、抜け穴を通って内部に侵入する正樹。ドラえもん達も後に続き、監視カメラに見つからないよう、素早く重機の陰に隠れる。
「第1段階、内部への侵入は成功。これからが第2段階。ここの見取り図を手に入れるよ」
「見取り図って…どこで手に入れるんですか?」
「一番手っ取り早いのは、ここのコンピューターシステムから頂いちゃう…だね。詰め所を探そう。そこならシステムと繋がった端末がある」
そう言うと正樹は、着ているコートの内ポケットから携帯電話を取り出すと―
「まずは、邪魔なカメラを壊さないとね」
収納されていたグリップを引き出し、下へと曲げた。それに連動して収納されていた銃口が飛び出し、携帯電話が小型のビームガンへと早変わりする。
「おぉっ!」
「すごい…」
「月村正樹特製、光線銃兼用携帯電話。カッコ良く名付けるならモバイルフォンブラスター…略してフォンブラスターってところかな」
そう言うと重機の陰から監視カメラを狙い撃つ正樹。ルナとのび太もウィルブラスターとショックガンで、周囲の監視カメラを破壊していく。
「これでよし…監視カメラが壊れたから、すぐに下っ端どもが様子を見に来る。さっさと移動しよう」
正樹の声に早速移動を開始する唯斗達。監視カメラを壊しながら進む最中、何度もバイオネット構成員と遭遇するが―
「やぁやぁ、お仕事ご苦労さん…悪いけど、暫く寝ててもらうよ」
石ころぼうしの効果で、こちらの存在がまったく認識されないのを良い事に、次々と打ち倒していく。
その頃、ルネは砂浜で獣人達を相手に大立ち回りを繰り広げていた。
「くらいな!」
ダダダダダダダダダダン!
ドグォン!ドグォン!ドグォン!
ルネの声と共に、彼女の持つ2丁のウィルスナイパーが同時に火を噴き、無数の弾丸が発射される。
瞬く間に射線上にいた簡易ハイブリットヒューマン3体が蜂の巣となり、息絶えていく。だが、その場にいた全ての敵を倒すには至らない。何体か弾幕から逃げ延びたのだ。
「ルネ! 残りは4体!」
「わかってる!」
迫り来る小型無人攻撃機を30mmリヴォルバーカノンとショットガンで次々と撃墜しながら、自分に声をかけてきたポルコートにそう答えると、ルネは銃を握る両手の力を込め直す。
「死ねやぁっ!」
直後、生き残った個体の1体が、ルネへと跳びかかった。右腕に装備した超振動カッターを起動し、ルネの体を斬り裂こうとするが―
ズバァ!
それよりも早く、ルネがウィルスナイパー01を振り上げ、銃身下部のブレードで相手の右腕を斬り落とした。
「うぎゃぁぁぁぁぁっ!!」
傷口から噴水のように血を噴出しながら、悲鳴を上げて地面をのた打ち回る相手に、ルネはウィルスナイパー02の銃口を突きつけ―
ダダダダダン!
脳天に弾丸を撃ち込み、止めを刺す。
「クソがぁっ!」
それを見たもう1体が、槍を振り回しながら突進。
「くらえぇっ!」
ルネを貫こうと鋭い突きを繰り出した。
「甘いんだよ!」
だが、ルネはその突きを正面から受け止め―
「はぁぁぁっ!!」
咆哮と共に槍ごと相手を投げ飛ばした。一瞬宙を舞い、地面に叩きつけられる簡易ハイブリットヒューマン。
ドグォン!ドグォン!ドグォン!
間髪入れず、ルネはウィルスナイパー01の大口径弾を撃ち込んで止めを刺すと―
「さぁ、どんどんかかってきな! 全員地獄に送ってやるよ!」
残る2体の簡易ハイブリットヒューマンにそう啖呵を切るのだった。
一方、詰め所を目指して基地内部を進んでいた正樹達は、詰め所の前に到着していた。
「ドラえもん君、中に何人いる?」
「えっと…4人ですね。監視カメラが次々壊されているから、だいぶ慌てているみたいです」
正樹の問いに秘密道具『透視メガネ』で中を確認するドラえもん。
「よし、唯斗君とのび太君。ドアを開けるから制圧よろしく」
「はい!」
「わかりました!」
「じゃあ、いくよ。5、4、3、2、1、0!」
カウントゼロと共に開かれるドア。突然開いたドアに構成員達が振り向いた直後、のび太は目にも止まらぬ速さで引き金を引いた。ショックガンから放たれた光線が、3人を連続で気絶させ―
「はぁっ!」
残る1人も、一気に間合いを詰めた唯斗が振るうウィルブレードの一撃をくらい、壁まで吹き飛ばされる。
「ぐへぇ…」
猛烈な勢いで壁に叩き付けられ、蛙の潰れたような声を出して崩れ落ちる構成員。
「安心しろ、峰打ちだ」
そう言いながら、ウィルブレードを鞘に収める唯斗。その場にいた構成員全員を倒した事を確認し、中に入ってくる正樹達。
「唯斗君、お見事。のび太君も神業を見せてもらったよ」
「そんな…このくらい大した事ないですよ」
正樹の言葉に照れながら、ショックガンをクルクルとガンスピンしながらポケットに収めるのび太。
「さて、さっさと情報をいただくよ」
気絶した構成員達の拘束を唯斗達に任せ、端末と向き合う正樹は深呼吸を一つすると―
「やりますか」
物凄い勢いでキーボードを叩き始めた。
「外部からのサイバー攻撃には相応の備えをしているようだけど、内部からのアクセスには無用心だねぇ…よし、見取り図発見。スクリーンに出すよ」
直後映し出される基地の見取り図に全員の視線が集中する。
「今俺達がいる詰め所がここ。ザンダクロスのいる格納庫がここ」
「ピッポは、ピッポはどこに?」
「ちょっとお待ちを………見つけた。どうやら、資材置き場の中に放り込まれているみたいだね。場所は…ここだ」
詰め所と格納庫に印が付けられていた見取り図に新しく印が付けられる。
「格納庫とは、かなり離れてますね」
「これは二手に分かれるのが最善かな…時間もないんで、俺がチーム分けしてもいいかい?」
全員が頷いたのを確認し、チーム分けを行う正樹。その割り振りは、ザンダクロス奪還組が唯斗、ドラえもん、ジャイアンの3人。ピッポ救出組が正樹、ルナ、のび太、リルルの4人である。
「正樹さん、スペアポケットを渡しておきます。何かあった時はこれから秘密道具を」
「ありがとう。役立たせてもらうよ」
ドラえもんから受け取ったスペアポケットをコートのポケットに収めた正樹は―
「あ、そうそう。唯斗君にこれを渡すの忘れてた」
そう言いながら、5.56×45mmNATO弾によく似た形のアイテムをポケットから取り出した。
「…これは?」
「前に話したよね。ウィルブレードとウィルブラスター、そして凱のウィルマチェットに組み込んだ特殊システムの事」
「えーと…たしか、カートリッジシステム」
「そうそう、それそれ。システムの調整は済んでたんだけどね。肝心要のGPカートリッジの方に手間取っててさ。とりあえずこれが最終試作品。実戦データ取りたいから、使ってみて」
「了解です」
カートリッジを受け取った唯斗は、早速ウィルブレードの柄を引き伸ばし、露出した補給口からカートリッジを装填する。
「それじゃあ、ドラえもん君、ジャイアン君。行こうか!」
「はい!」
「おう!」
その声と共に詰め所を飛び出す唯斗達。それを見送った正樹は―
「のび太君達。悪いんだけど、あと3分だけ待ってくれるかな?」
そう言って、再び端末に手を伸ばした。
「良いですけど…何をするんですか?」
「あぁ、ちょっとしたプレゼントを贈ろうと思ってね…すこぶる
「コンピューターウイルスって、そんな物持って来てたんですか?」
「持って来てたよ…頭の中に。ウイルスプログラムくらい暗記してるって」
リルルの驚きの声に、自らの頭を指で突付きながらそう答えた正樹は、物凄い勢いでキーボードを叩き始めた。そしてジャスト3分後。
「これでよしっと。ウイルスは段階的に基地の機能を破壊していく。監視カメラの無効化に始まり、外に出ている小型無人攻撃機の無力化、格納されているATの無力化etc…」
ウイルスを完成させ、端末からシステム中枢に感染させた正樹は、これ以上ないほど邪悪な笑みを浮かながら端末から離れると、のび太達を連れ、詰め所を後にした。
その頃、唯斗達は―
「どけどけどけぇ!」
立ち塞がる構成員達を次々吹き飛ばしながら、格納庫への最短距離を突っ走っていた。
「ったく! 石ころぼうし脱いだら、10秒たたずに敵が殺到かよ!」
「敵の目を正樹さん達から逸らす為に囮になろう。そう言ったのは唯斗さんですよ! ドカン!」
「それはそうなんだけどね! はぁっ!」
「とにかく目の前の奴、全部ぶっ飛ばしゃ良いんだ!」
そんな会話を交わしながら、どんどん格納庫へ近づいていく3人。その背後には打ち倒された構成員が山積みとなっている。そして―
「格納庫、到着!」
3人は格納庫に到着した。目の前には数十機のATが整然と立ち並び、その奥にはザンダクロスの姿もある。
「ザンダクロスだ!」
「急いで乗り込もうぜ!」
「あぁ、だけどそれは、ちょっと待ったほうが良いかもね…いるのは解ってるんだ。出て来いよ」
ザンダクロスに乗り込もうとするドラえもんとジャイアンを制し、1機のATへ向けてそう言い放つ唯斗。すると―
「気配は消していたつもりだったが…よく解ったな」
ATの陰から漆黒のマントを纏った1人の男が現れた。
「どうやら、ゴール前の番人って所だな…」
「その通り、我が名はギブソン。マティーニ様専属のボディーガードにして、この基地の警備隊長だ」
ギブソンと名乗った男は、唯斗達へ歩み寄りながら腰に下げた2本の剣を抜き、その切っ先を突き付ける。
「一応確認なんだけど、黙って通しては…くれないようだな」
「当然だ」
「なら、仕方ない。2人とも下がっててくれ…あいつは俺が倒す」
ドラえもんとジャイアンを下がらせ、唯斗もウィルブレードを抜いた。沈黙の中、2人が対峙する。そして―
「いざ、尋常に!」
「勝負!」
2人は同時に地を蹴り、剣を交えた。
キィン!
甲高い金属音が響き、2人は睨み合う。
「今は新種だけじゃなくて、鉄人兵団も相手にしてるんだ。お前らにまで付き合ってられるか!」
「なら、ここで俺に斬られろ。楽になれるぞ」
「お断りだね!」
直後、2人は互いに距離を取った。すかさず、唯斗が叫ぶ。
「ウィルブレード! バイパーフォーム!!」
「System change[システムチェンジ]」
「
バイパーフォームに変形したウィルブレードで放つ必殺の一撃をギブソンへ放った。唯斗が刃の龍と例えた強力な攻撃がギブソンへ迫る。
「ちぃっ!」
咄嗟に2本の剣をクロスさせ、攻撃をガードするギブソン。だが、そのガードもすぐに弾かれ、そのまま後方へ吹き飛ばされる。数秒後、高速で壁に激突し、崩れ落ちるギブソン。
「やったか…」
ウィルブレードをブレードフォームに戻しつつ、倒れたままのギブソンを睨む唯斗。
「My Master. In response to that attack, it does not seem to be safe[マスター。あの攻撃を受けて、無事だとは思えません]」
「あぁ、あいつが普通の人間ならね…」
ウィルブレードの言葉に唯斗がそう答えると―
「フッ、残念だが、俺は普通の人間ではないぞ」
ユラリ…とギブソンは立ち上がった。纏っていた漆黒のマントは散り散りに吹き飛び、その中に隠されていた体が露になる。そこにあったのは生身の肉体ではなく…
「メタルサイボーグか…嫌な予感がしたんだよ」
「生身の体は、もはや脳と内臓の一部のみ…だが、変わりに得たこの強靭なる機械の体。その強さを見せてやる!」
そう叫び、唯斗へ跳びかかるギブソン。
「ちぃっ!」
ウィルブレードでギブソンの剣を受け止める唯斗。だが、それを皮切りに、ギブソンの猛攻が始まった。
「くっ…」
時に左右に動き、時に後退しながら、その攻撃を凌ぐ唯斗。攻撃を防ぎながら、ギブソンの攻撃を分析する。
(2刀流、だけどその練度は達人って程じゃない…だったら、いける!)
「どうした? 防ぐのが精一杯か!」
「冗談!」
唯斗はギブソンの攻撃を撥ね退け、一気に後方へ回り込んだ。そのまま、渾身の一撃を叩き込もうとする。
「っ!」
直後、唯斗は言いようの無い悪寒に首筋を撫でられた。それと同時にギブソンの背中の一部が動き出す。
「ちぃっ!」
反射的に唯斗が回避運動に入ったのと、ギブソンの背中の一部が跳ね上がったのは、ほぼ同時だった。
「……隠し腕かよ」
そう呟きながら、ギブソンと距離を取る唯斗。
「いい反応だ…褒めてやるぞ」
唯斗のの動きを褒めながら、唯斗の方へ向き直るギブソン。その背中からは1対のサブアームが伸び、それぞれ剣を握っている。
「2刀流から4刀流かよ…数増やせば良いってもんじゃないぞ!」
「ククク…何とでも言うが良い…この4本の剣で、貴様をバラバラに切り刻んでやる!」
狂気に顔を歪め、唯斗へ跳びかかるギブソン。4本の剣を使った連続斬撃が唯斗を襲う。
「くそっ!」
さすがに4本の剣を防ぐ事は難しいのか、回避に徹する唯斗。その時―
「うぉりゃぁ!」
そんな声と共に、ドラム缶がギブソン目掛けて投げつけられた。
「甘い!」
自らへ向かって飛んでくるドラム缶を剣の一振りで両断し―
「小僧、何の真似だ? 自殺志願なら叶えてやってもかまわんぞ」
物騒極まりない言葉を攻撃の主であるジャイアンにぶつけるギブソン。
「うるせぇ! ジャイアンズのエースで4番、このジャイアン様にそんな脅しが通用するかよ!」
だが、ジャイアンはその脅しに怯む事無く、近くにあったドラム缶を次々と投げつける。
「馬鹿なガキだ。こんな物何個投げつけようと、俺には通じん!」
飛んでくるドラム缶を次々と両断するギブソン。その間にギブソンと距離を取る唯斗へ―
「唯斗さん! これを!」
ドラえもんが何かを投げた。咄嗟に手を伸ばし、それをキャッチする唯斗。
「これは!」
「名刀“電光丸”。使ってください!」
「2人ともサンキュー! さぁ、仕切りなおしといこうか!」
ウィルブレードと電光丸の2刀流で、ギブソンへ向かっていく唯斗。
「馬鹿め! 4対2で勝てると思うか!」
4本の剣を振るい、迎え撃つギブソン。だが―
「はぁぁぁぁぁっ!」
「ぬぅぅぅぅぅっ!」
2刀流の唯斗と4刀流のギブソン、その攻防はまったくの互角だった。いや、僅かに唯斗が押しているようにも見える。
「1本でお前の2刀流とやりあえたんだ。こっちが2刀流になれば、4刀流とだってやりあえるに決まってるだろ!」
正直、非論理的にも程があるのだが、自信満々の口調で言い放つ唯斗に思わず気圧されるギブソン。
「隙あり!」
その隙を見逃す唯斗ではない。ウィルブレードを振るい、ギブソンのサブアーム、その1本を切り落とす。
「ぬぉっ!」
サブアームの切断面からオイルを噴出し、苦悶の表情を浮かべるギブソン。
「おのれぇ!」
3刀流で唯斗へ斬りかかろうとするが、それよりも早く唯斗の追撃がもう1本のサブアームも切り落とす。
「これで、腕の数は互角…そろそろケリをつけてやる!」
電光丸を床に突き刺し、ウィルブレードを構え直した唯斗は軽く息を吸い、叫んだ。
「ウィルブレード! GPカートリッジ、ロード!」
「Roger.Cartridge system starting.Load Cartridge[了解。カートリッジステム起動。ロードカートリッジ]」
ウィルブレードの声と共にシステムが起動。GPカートリッジに内包されていた高密度のGパワーが開放され、ウィルブレードの刀身を緑色の炎が包み込む。
「おぉっ! こりゃ凄いな…」
「From a system startup to 5 second progress.This system is forced simultaneously with progress for 60 seconds to terminate.Remaining time, 50,49,48,47…[システム起動から5秒経過。このシステムは60秒経過と同時に強制終了されます。残り時間、50、49、48、47…]」
「っとと、ウィルブレード、カウントダウンはまだしなくて良い…そうだな、残り15秒になったらカウント再開。出来るか?」
「Roger.Countdown is resumed from remaining 15 seconds[了解、カウントダウンは残り15秒より再開します]」
「よし…待たせたな。再開といこうか!」
唯斗とウィルブレードのやり取りを警戒し、動けずにいたギブソンへ意地の悪い笑みを浮かべ、そう言い放つ唯斗。
「ちぃっ! そんなこけおどしが通じると思うなぁ!」
そんな唯斗の態度に怒りを露にしたギブソンは、両手の剣を振り上げ、唯斗へ斬りかかった。
「いくぜ!」
迎え撃つ唯斗。ウィルブレードとギブソンの剣がぶつかり合う。直後―
「なっ…」
熱したナイフでバターを切るように、刀身の真ん中から切り落とされるギブソンの剣。あわててもう片方の剣を振るうが、こちらも同じ結果に終わる。
「ちぃっ!」
使い物にならなくなった剣を捨て、手甲に仕込まれていた予備の剣を抜こうとするギブソン。だが、それを許す唯斗ではない、
「でやぁ!」
気合と共にギブソンの腹へ渾身の力で蹴りを見舞い、壁に向けて吹き飛ばす。
「ぐはぁ…」
猛烈な勢いで壁に叩き付けられ、蛙の潰れたような声を出すギブソン。
「My Master.Remaining time 15 seconds.Countdown is resumed[マスター。残り時間15秒。カウントダウンを再開します]」
「よし、これで決める!」
再開されたカウントダウンを聞きながら、フラフラのギブソンへ突進する唯斗。最高速に達した所で地面を蹴り、空中前転―
「はぁぁぁ…せいやぁぁぁぁぁっ!」
気合と共に、空中からの落下で勢いを増した袈裟切りを放った!
「ぎぃゃぁぁぁぁぁっ!」
ガードを試みた両腕は見事に切り落とされ、左肩から右の脇腹にかけて深い傷を負ったギブソンは、最大級の悲鳴を上げながら、床をのた打ち回る。それを見ながら、ウィルブレードを振るい、刀身についたオイルを落とす唯斗。
「3,2,1,0.The end of the time limit.It goes into compulsive cooling of a system from this[3、2、1、0。制限時間終了。これよりシステムの強制冷却に入ります]」
同時にウィルブレードもシステムの制限時間を迎え、峰の付け根にあるダクトパーツからカートリッジを排出、水蒸気を噴出して強制冷却に入る。
「な、なぜだ…脆弱な人の体を捨て……無敵の体を手に入れた…それなのに、なぜ、お前のような……」
「人の体を捨て、力を得た。その事に慢心し、技を磨く事を忘れた。そんな奴に負けるわけねえだろ。いつでも相手になってやる。腕磨いて出直してこい」
息も絶え絶えなギブソンの呟きをそう切り捨て、ウィルブレードを鞘に納める唯斗。
「唯斗さん、ソイツは…」
「あぁ、大丈夫。命まではとってないよ。さぁ、ザンダクロスへ急ごう」
ドラえもんの不安そうな問いに答えると2人を促し、ザンダクロスへ走り出す唯斗。2人もあわてて後をついていく。その足音を聞きながらギブソンは―
「あのような若造に負け、情けをかけられるなど……なんと言う屈辱!」
屈辱に顔を歪ませると、奥歯に仕込んでいたスイッチを噛み砕いた。そして、5秒後。
「唯斗さん! アイツ!」
「……馬鹿野郎が…」
背後で響く爆発音を聞きながら、3人はザンダクロスへ一直線に進んでいった。
その頃、正樹達は―
「…ここだ」
ピッポが閉じ込められていると思われる資材置き場の前に到着していた。
「ジュド! ジュド!」
友の名を呼びながら、扉を叩くリルル。だが、中からは何の反応もない。
「たぶん、石ころぼうしの効果で、ピッポ君も気がついてないんだね…帽子を脱ぐよ。ルナちゃん、のび太君、帽子を脱いだら、すぐに敵が来る。扉を破る間、迎撃よろしく」
「「はい!」」
正樹の言葉に答え、前後を固めるルナとのび太。そして、4人が一斉に石ころぼうしを脱ぐと―
「いたぞぉ! 侵入者だ!」
「捕らえる必要はない! 即刻射殺しろ!」
5秒たたずに構成員が接近してきた。それぞれの銃を撃ちまくり、それを阻むルナとのび太。
「2人とも30秒だけ持ち堪えてくれ!」
そう言いながら、正樹は左腕の腕時計を操作。レーザー光線を発射し、扉を溶断し始める。リルルも指からの熱線でそれを手伝った事で、扉の溶断は20秒ほどで殆ど終わり―
「おりゃ!」
正樹の蹴りで、完全に破られた。
「えっと、ジュド君…いるかな?」
そう言いながら、資材置き場に侵入する正樹。直後―
「こんのぉ!」
ぬいぐるみのような物体が、正樹に体当たりを仕掛けてきた。
「ぐほぉ!」
「どうだ! 参ったかピヨ!」
どてっ腹に衝撃を受け、ひっくり返る正樹を見て、勝ち誇るぬいぐるみ。その姿にリルルが声を上げた。
「ジュド!」
「リルル……リルル!」
声を上げてリルルに飛びつくピッポ。そのまま声をあげて泣き始める。
「リルル! よかった、無事だったピヨ!」
「えぇ、貴方も無事でよかった…」
「いやはや、無事再会出来て何よりだよ…」
そう言うと、腹を摩りながら立ち上がる正樹。敵を片付けたルナとのび太も駆け寄ってくる。
「ピッポ! よかった! 無事だったんだね!」
「のび太!」
「この子がピッポ君? 想像していたより可愛いわね」
「失礼な! 僕はこう見えても男だピヨ! って言うか、誰ピヨ!」
「僕達の強い味方だよ。この人達のおかげで、助けに来れたんだ」
「そうだったピヨ……さっきは悪かったピヨ」
「いいって、気にしなさんな。さぁ、早く唯斗君達と合流しよう」
そう言いながら全員を外へ促す正樹。そして、出口に差し掛かった所でコートのポケットから少し大ぶりのUSBメモリを取り出すと、側面に備えられた小さなボタンを連続で5回押した。
「Blasting system starting[爆破システム起動]」
USBメモリから電子音声が流れたのを確認し、それを資材置き場の奥に投げ捨てる正樹。それから10秒後、USBメモリは大爆発を起こし、資材置き場を火の海に変えた。
「月村正樹特製、高性能爆薬内臓USBメモリ。名付けるなら…ボムメモリってところかな」
資材置き場に置かれていた様々な火気厳禁の資材各種。炎がそれらに引火し、次々と爆発炎上する音を聞きながら、不敵に呟く正樹。
かくして、ピッポを加えた正樹達は、遭遇する構成員達を次々倒しながら、基地の奥へと進み始めた。
一方、唯斗達は―
「さぁ、いくぜ!」
無事にザンダクロスのコクピットに辿り着き、格納庫の破壊を始めていた。
「ザンダクロス! パンチ!」
威勢の良い声と共にボタンを押す唯斗。だが、ザンダクロスはパンチを放つ事はなく、代わりに両目からレーザーを発射した。放たれたレーザーは前方にあったATに直撃し、破壊する。
「あ、間違えた…」
「唯斗さん、大丈夫なんですか? やっぱり、サイコントローラーを使った方が」
「なぁに、大丈夫大丈夫。ここならどれだけ壊しても問題ないし、こう言うのは実際に動かしてこそでしょう!」
気を取り直して、レバーを前に倒す唯斗。すると、ザンダクロスが前進を始めた。
「OKOK、大体わかった。伊達にガオガイガーRの操縦とゲームで鍛えてる訳じゃない!」
そう言いながらレバーやボタンを操作する唯斗。それに従い、ザンダクロスはパンチやキック、腹部のビーム砲を次々と放ち、起動前のATを破壊していく。
「あのロボットが動いているぞ! 侵入者が動かしているんだ!」
「迎撃システムはどうした! ATを早く動かせ!」
「だめだ! システムが滅茶苦茶に破壊されてる! ウイルス攻撃を受けたんだ!」
ザンダクロスが暴れまわる格納庫。何とか状況を改善しようと奮闘する構成員達だが―
「おい! お前ら! さっさと逃げないとまとめて吹っ飛ばすぞ!」
ザンダクロスからの脅しめいた言葉を聞き、我先に逃げ始める。格納庫内が無人となったのを確認した所で唯斗が叫ぶ。
「仕上げだ! ザンダクロス! フルバースト!」
その声と共に全身の火器を一斉発射するザンダクロス。ミサイル、ビーム、レーザーの嵐が、残っていたATを次々とスクラップへ変えていく。
「よし、これでATは全部撃破っと…ジャイアン君、操縦交代。格納庫、派手に壊しちゃおう」
「おう! 任せとけ!」
唯斗から操縦を代わり、凶暴な笑みを浮かべるジャイアン。すぐさま、ザンダクロスによる派手な破壊活動が再開された。
「無人攻撃機、全機制御不能!」
「迎撃に出た簡易ハイブリッドヒューマン、全機反応ロスト!
「監視カメラ、未だ機能回復しません! ウイルスに基地内のシステムの52%が侵食されています!」
司令室の中央に陣取り、次々ともたらされる凶報を苦虫を噛み潰したような顔で聞き続けるマティーニ。つい30分前まで抱いていた余裕などもはや欠片も残っていない。そこへ―
「マ、マティーニ様!」
「今度は何事です!」
新たな凶報がもたらされた。怒りを隠す事無く、マティーニは目の前の構成員を怒鳴りつける。
「は、はい…ギ、ギブソン様が…」
「ギブソンがどうしたのです!」
「格納庫内で侵入者と戦闘に入り……撃破されました」
「な、ギブソンが…」
「はい、侵入者はその後、Bカイゼルに搭乗した模様で………」
「それから? 早く続きを報告なさい!」
「は、はい! Bカイゼルの攻撃で、格納されていたAT24機は全て大破! 格納庫自体も滅茶苦茶です!」
「な、なんという事を……どこから侵入されたかわからない。侵入者が何処にいるかもわからない。お前達は何をやっているのです!」
怒りの言葉を喚き散らしながら、手にした鞭で目の前の構成員を殴り倒すマティーニ。その時―
「ファイア!」
そんな声が聞こえると同時に扉が吹き飛ばされ、4人の男女が踏み込んできた。同時に、それぞれの武器でマティーニを除いた構成員全員を倒してしまう。
「Bonjour Mademoiselle.Comment allez-vous?[こんにちは、お嬢さん。お元気ですか?]」
気絶した構成員を容赦なく踏みつけながら、流暢なフランス語でマティーニへ問いかける正樹。その顔はこれ以上ないほど意地悪な笑みを浮かべている。
「侵入者とは貴方がたでしたか…プロフェッサー月村」
「俺達以外にも、あと3人いるけどね。今、格納庫破壊の真っ最中。そして、俺達は…お前を逮捕しに来たんだよ」
そう言うとフォンブラスターの銃口をマティーニへ向ける正樹。ルナ達もそれぞれの武器を向ける。
「大人しく投降するならそれで良し、抵抗するなら容赦無く撃つ」
真剣な顔つきでマティーニに投降を促す正樹。だが、マティーニは―
「生憎、投降の意思は欠片もございません!」
そう言うと同時に正樹達に背中を向け、走り出した。
「逃がすか!」
正樹達も警告なしで発砲するが、天井から降りてきた透明な隔壁が銃撃を防いでしまう。
「厚さ15cmの特殊隔壁。そんな豆鉄砲では破る事などできません。それでは、ごきげんよう」
芝居がかった動きで正樹達に一礼すると、壁に偽装されていたスロープで司令室から脱出するマティーニ。
「皆下がって! ウィルブラスター! システムチェンジ! バスターフォーム!!」
「System change[システムチェンジ]」
正樹達を下がらせると同時に、ウィルブラスターをバスターフォームへ切り替えるルナ。
「ファイア!!」
次の瞬間、放たれた強力な光弾が隔壁に巨大な穴を開ける。
「逃がしたか…大方、この先に脱出用の飛行機か何かがあるんだろう」
舌打ちしながらスロープを覗き込む正樹。スロープの中は真っ暗で何も見えないが、微かにエンジン音のようなものが聞こえる。
「逃げられたのは痛いが仕方ない。唯斗君達と合流して、ここから脱出しよう。そろそろ仕込んだウイルスが最後の悪さをする頃だ」
『機密保持の為、自爆システムが起動しました。この基地は30分後に自爆します。機密保持の為、自爆システムが起動しました。この基地は30分後に自爆します。機密保持の為―』
「始まったか。皆、急ごう!」
基地中に響き始めたアナウンスを聞き、3人を促す正樹。4人が司令室を後にするのはその直後だった。
それから10分後。
破壊されつくした格納庫で唯斗達と合流した正樹達は、すぐさまザンダクロスに乗り込み基地を脱出。
ルネとポルコートを回収し、エクセルベースへの帰路についていた。
「マティーニは逃がしてしまったが、ピッポ君もザンダクロスも無事奪還。あの基地もあと20分足らずで木っ端微塵。作戦は大成功だね」
「まったくですね。リルルちゃん、ピッポ君と再会できて良かったね」
「えぇ、ありがとうございます」
唯斗の言葉に笑顔を浮かべてそう答えるリルル。
「それにしても、ホッとしたら腹が減ったぜ!」
「ホント、随分暴れまわったから、お腹ペコペコだよ!」
「家に帰ったら、腕によりをかけてご飯作るから、もう少し待っててね」
「メニューは何ですか? 唯斗さん」
「そうだな…あんかけ焼きそばなんてどうだい?」
「うわぁ、美味しそうですね」
コクピット内で交わされる賑やかな会話。その時、突然ザンダクロスの動きがガクンと止まり、空中に静止した。
「っと、なんだ?」
正樹が計器をチェックするが、反応しない。その時―
『リルル…』
コクピット内に響くピッポの声。
「ジュド、どうしたの?」
『レーダーを見てほしいピヨ』
その声に全員の目がレーダーに向けられる。そこには、何かの影が大量に映っていた。
「これは、まさか…」
正樹がそう呟いたその時、ザンダクロスが方向転換し、メインカメラの最大望遠で影の正体を捉えた。
「鉄人兵団!」
無数の影の正体。それは、我が物顔で空を飛ぶ鉄人兵団だった。
「あれは…本隊だわ。でも、どうしてこんなところに…」
「進行方向から考えて…あの基地に向かってるんじゃないかな?」
「基地に? どうして?」
「きっと、基地を確保する為…」
のび太の問いに静かに答えるリルル。
「私を地球に送り込まれたのも、地球に前線基地を建設させる為……侵略には足がかりとなる前線基地。それも出来る限り大きな基地が必要になるわ」
「なるほどね。どこで知ったか知らないけど、あそこを攻め落として、自分達の基地にする。そんな所だろう」
「基地の自爆に巻き込まれて全滅してくれたら助かるんですけど…」
「自爆まであと17分…多分、プログラムは解除されるだろうね。鉄人兵団ならそれこそお手の物だろう。ま、構う事は無いさ。エクセルベースに戻ろう」
「大丈夫なんですか?」
「あの基地の機能は相当低下している。いくら鉄人兵団でも、基地の機能を回復させるには相当な時間が必要だ。こっちもその間に対策を練ろう。第一、この戦力差じゃ分が悪すぎる」
「そうですね…」
「それじゃあ、ピッポ君。全速で飛ばしてくれ」
『わかったピヨ』
その声と共にエクセルベースへの飛行を再開するザンダクロス。
基地へと向かっていく鉄人兵団は、これから先起こるであろう戦いの激しさを感じさせるに十分だった。
君達に最新情報を公開しよう!!
ザンダクロスの奪還。それは、鉄人兵団との決戦の幕開けでもあった。
決戦に備え、大改造が施されるザンダクロス。
刮目せよ!生まれ変わったその勇姿を!
一方、鉄人兵団にもある変化がおきようとしていた。
勇者王ガオガイガーR公式外伝
ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団~はばたけ 天使たち~AnotherStory
-EPISODE8.5-
『誕生! ザンダクロス・ブレイズ!!』
次回もこのURLにネオ・ファイナルフュージョン承認!!
これが勝利の鍵だ!!
『ザンダクロス・ブレイズ』
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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