勇者王ガオガイガーR   作:SS_TAKERU

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編集時の操作ミスにより、第4話を削除してしまったので、再度投稿します。

2018/10/06

次回予告を修正しました。話の流れに変更はありません。


-EPISODE-03~勇者王再誕!!~

♪ザン!♪(GGGのマーク)

 

 ゾンダーキャッスル、そして機界皇帝インフェルノの影武者との戦いから1日。

 先の戦いの後、突然意識を失った護は、Gアイランドシティ内の病院に搬送され、緊急入院。そのまま静かに…だが、確かな寝息をたて、眠り続けていた。

 ベッドサイドには連絡を受け駆けつけた勇、愛、そして華が座っている。数時間前まではレイコ、末男、数納の3人もいたが、今は帰宅していた。

「護くん…」

 華はそう言うと護の手をギュッと握り締めた。溢れようとする涙をこらえながら、ぐっと唇を噛む。

「華ちゃん…」

 愛が、震えるその体をそっと抱きしめ、頭を撫でる。

「先生も仰っていたわ。今は少しパワーを使いすぎたから充電しているだけで、力が戻ったらちゃんと目覚めるから心配いらないって…」

「ママ…」

 いたわるように華の頭を撫で続ける愛に、勇が声をかける。

 その勇を見上げて、愛は優しく微笑んだ。

「パパ、信じましょ。護ちゃんを…護ちゃんは、きっと目を覚ますわ」

「うん、そうだね。僕達が信じてあげなきゃ、親として失格だね」

「私も信じてます…護君、絶対目を覚ますって…」

 そう言うと、3人は互いに頷いた…その時。

「う、ううん」

 3人が一斉にベッドに視線を戻すと目を覚まし、笑顔を見せた護がいた。

「お父さん…お母さん…」

「護ちゃん!」

「護…よく、よく帰ってきたな!」 

 本当に嬉しそうに…そして泣きそうになりながら抱き合う3人。

「護くん…」

 小さな声に、3人が声の方に一斉に振り向いた。そして、そこに立つ華の姿を見ると、勇と愛は互いに頷きあいベッドから離れると華に道を開けた。

「華ちゃん」

「護くん!」

 華は、感極まったように護の胸の中へ飛びこんだ。噛りつくようにその首に抱きつき、火がついたように泣き始める華。

 その頭を優しく撫でながら、護は囁くように言った。

「ただいま…華ちゃん」

 

 

-EPISODE-03

 

【勇者王再誕!!】(タイトルコール)

 

 

 護が目覚めてから1時間後、護の元には華、勇、愛の3人を始め、凱や命達、あわせて10名ほどの男女が集まっていた。

「それにしても…護が倒れた時は本当にビックリしたが…何事もなくて安心したよ」

「ゴメンね。凱にいちゃん。あの時、急に眠たくなって…」

「まったく、人騒がせなところはちっとも変わってないな」

 凱の呟きに周囲は笑いに包まれる。一緒に笑いながら護はある事に気づく。

「そう言えば、凱にいちゃん」

「どうした? 護」

「戒道はどうしたの?」

「ああ…彼は」

「「「「戒道(くん)!? だってぇぇぇ!!」」」」

 護の言葉に華、レイコ、末男、数納4人の声が一斉にハモった。

「どういう事なの? 護くん!」

「戒道が…ここにいるの?」

「どういう事なんだ?」

「正直に答えなさい!!」

「え、えーと。だから、その…」

 詰め寄る4人に思わず怯む護。その時。

「僕なら、ここにいる」

 静かな声に全員の視線がドアへ向けられる。そこには黒のTシャツにデニムの上下、そしてJジュエルのペンダントを身に付けた戒道少年の姿があった。

 5年ぶりに見る成長した戒道の姿に、華達4人は驚きを隠せない。

「久しぶり…だね」

「あ…ああ、久しぶり」

「本当に戒道だ…」

「い、今までどうしてたのよ?」

「そうだよ! 東京タワーで行方不明になってから、 皆ずっと…ずっと心配してたんだよっ!」

「ごめん…」

 以前は見せなかった、 はにかんだような笑みを浮かべる戒道。

「あの時…僕は本当のことを全て思い出したからね。」

「本当の事を全て…?」

「ああ」

「あ、戒道…」

「いいんだ。皆には全てを知ってほしいから」

 そう言うと戒道は話を始めた。戒道は、 自分が生体兵器であることを隠そうとはしなかった。その説明を始めた時護は止めようとしたのだが、 いずれは説明しなくてはならない事だから、 と言って彼はそれを制した。

 戒道の話に華たちは、ただただ驚いているばかり。

「じゃあ、 戒道もマモルと同じ力があるんだ」

 末男の言葉に、 戒道は頷いた。

「正確にはラティオ…天海君の持つ力を元にして作られたのが、『Gストーン』、その技術を応用したのが『Jジュエル』であり、『アベルの災い』と呼ばれた僕らなんだ」

「よく解んない…」

「そんな事どうでもいいよ。戒道君が何者であろうと、私達の友達だって事は変わらないじゃない」

 華の言葉に護達は大きく頷く。

「…ありがとう…皆」

 その時、護は戒道の目に少しだが、光る物が流れるのを見逃さなかった。

 

 

 それから2日後。無事に退院した護は1人、GGGの新たな基地へと向かっていた。

 

 先の戦闘でオービットベースを破壊されたGGGは、GGG日本支部として再建が進められていたベイタワー基地を、当面の仮住まいとして使用していた。

 名称も『エクセルベース』と改められ、GGG本部としての機能付加も急ピッチで進められている。

 

 街中の電話ボックスに偽装されたシークレットエレベーターを降り―

「こんにちは!」

 元気の良い挨拶とともに、久しぶりにメインオーダールームの扉をくぐる護。すると―

 

 パン!パパン!!

 

「「「「「お帰りなさい! 護(くん)!!」」」」」

 幾つものクラッカーによる破裂音と歓声が護を迎えた。

「うわっはぁ!」

 盛大な歓迎に思わず感嘆の声を上げる護。そこには護を出迎えるように多くの人々が待っていたのだ。

「退院おめでとう、護君。元気な姿を再び見れて、嬉しい限りだ」

 全員を代表して、大河が護に声をかける。

「また、よろしくお願いします!」

 そんな大河に一礼する護。どこか懐かしい雰囲気がメインオーダールームに漂う。

「この基地も未完成で大した事は出来ないが、護君の地球への帰還、そして退院を祝って…とりあえずは乾杯だ」 

 大河の言葉で、すぐさま全員にカップが配られる。中身は当然、命特製のコーヒーだ。

「それでは、護君の退院を祝って!」

「「「「「乾杯!」」」」」

 大河の一声に全員がカップを掲げる。そして、穏やかな雰囲気の中、談笑が始まった。護も壁際で1人コーヒーを飲んでいた戒道を見つけ、凱達との談笑の輪に加える。

「そう言えば戒道。Jさんの姿が見えないけど、どうしたの?」

「ああ、Jは今宇宙にいる」

「宇宙に?」

「軌道上で哨戒をやってもらっているんだ。この前の戦いで衛星が幾つか破壊されて、監視網に穴が開いてしまったからな」

「すぐに代わりの衛星を上げられれば良いんだけど、予算の都合でなかなかね…」 

「Jは『良い暇つぶしになる』と言っていた…」

 

 護達が談笑を続けている中、正樹と紫苑の2人も―

「うん、ミコッちゃんのコーヒーには、やっぱり碧屋のケーキが一番だな」

「ええ、まったくですね。しかし、命さんのコーヒーは美味しいですけど…火麻参謀がいたら、『こういう時は酒だろ?』って、ぼやいていたでしょうね」 

「たしかに。今頃ニューヨークで、くしゃみでもしてたりして」

 命特製のコーヒーを味わいながら、そんな話をしていた。

 

 懸命な読者の方は、既にお気づきであると思うが、火麻激参謀は現在、国連事務総長ロゼ=アプロヴァール女史の要請により、ニューヨークへと出向している。

 その為、前回の戦いには参加していなかったのである。

 

 2人の前に凱が護を連れてきたのは、そんな時だった。

「GGGの新メンバーを紹介するよ。右が月村正樹。左が藤宮紫苑。2人とも凄腕の科学者さ」

 凱の紹介が終わると同時に、正樹と紫苑はカップを置き、まずは紫苑が右手を差し出す。

「はじめまして。GGG医療部部長、並びに第2研究開発部副部長の藤宮紫苑です。よろしく」

「よろしくお願いします」

 ガッチリと握手を交わす護と紫苑。紫苑に続いて、正樹も護に右腕を差し出す。

「GGG参謀部部長、並びに第2研究開発部部長の月村正樹だ。よろしく頼む」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 握手を交わしたあと、護と凱を交えて談笑を再開する正樹達。久しぶりの穏やかな時間を誰もが楽しんでいた。

 

 

 次の日、護は朝からバスに乗り、ある場所へと向かっていた。その目的地は『私立創星学園(しりつそうせいがくえん)』。護、そして戒道が明日から通う予定の私立学園だ。場所は勇から聞いて知っている。今日は日曜日だが、少しでも早く学校の様子を見ておきたかったのである。

「わっはぁ…」

 バスを降りた護は、目の前に広がる光景に思わず声をあげた。海岸沿いの広大な敷地に立ち並ぶ様々な施設。

 中高一貫校であると勇が言っていたが、ここまで広いとは考えていなかった。護は校門を通り、舗装された道路を通って少し先にある校庭まで行ってみようと歩き出した。すると、道路の脇の芝生から威勢の良い声が聞こえていた。

「ハッ! ハッ! セヤッ!!」

 声の主は長身の青年だった。185cmはあるだろうか。黒のスポーツウェア姿で拳法の演舞を行っている。

「凄く…綺麗な動き…」

 護は青年の演舞に見とれていた。地球を旅立ってから5年の間、護は宇宙で様々な戦士に出会ったが、ここまで美しい演舞を行える者は、そう多くはなかった。

 青年は更に演舞を続ける。時には流れる水のように緩やかに、時には荒れ狂う風のように激しく、変幻自在の演舞を繰り広げる。

「ハァァァ…セイッ!」

 そして、青年が演舞を終えた時、護は思わず拍手をしていた。その音に気づき、青年は護の方へ振り向いた。

「あ…おはようございます」

「おはようございます」

 護に爽やかな笑顔で挨拶を返す青年。

「見かけない顔だけど…君、転校生?」

「はい! 明日からここに通うことになった天海護です!」

「天海、護…」

 護の名前に聞き覚えがあるのか、暫し考え込む青年。

「もしかして、凱さんが言ってたマモル君って、君の事?」

「えっ!? はい、そうですけど…」

 突然の質問に驚き、ちょっと間の抜けた返事をする護。

「あ、そうなんだ! 君が! くぅ…ラッキー!!」

 ガッツポーズを決め、喜ぶ青年。護はただキョトンとするばかり…。

「あの、凱にいちゃんを知ってるんですか?」

「ああ、俺の両親…獅子王麗雄博士の部下だったんだ」

「部下…だった?」

「うん。5年前、木星で…」

「あ…ごめんなさい!」

 迂闊な事を聞いた事に気づき、慌てて謝罪する護。だが、青年は言った。

「気にしないで、もう5年も前のことだからさ」

「はい…」

「あ、自己紹介がまだだったね。俺は高等部3年の長瀬唯斗(ながせゆいと)。よろしく!」

 そう言うと唯斗は右腕を護に差し出した。

「あ、よろしくお願いします!」

 ガッチリと握手を交わす2人。その時、2人は妙な感覚を同時に覚えた。

「えっ!?」

「あっ!?」

 同時に声をあげる2人。

「どうか…した?」

「い、いえ…(なんだろう…この感じ)」

「そう、ならいいんだ…(何なんだ? この感覚は…)」

 初めて感じる感覚に2人は一瞬戸惑ったが、また何事もなかったように話し始めた。

「そう言えば、天海君って…」

「護でかまいません」

「そう…じゃあ、護君。この学園の事は、もう誰かに聞いたりした?」

「いえ、あんまり…」

「そっか、じゃあ俺が案内してあげるよ」

「いいんですか?」

「あぁ、どうせこれから暇だし」

「…じゃあ、お願いします」

「任された」

 唯斗に付いて歩き出した次の瞬間―

「ッ!!」

 護は背中に強烈な悪寒を感じた。インフェルノの物に比べれば弱いが、かなり強烈なゾンダーの気配である。

「ゾンダー!」

「え?」

「すみません! 僕、行かないと…失礼します!」

 そう言うと護は瞬時に浄解モードに変わり、飛び去った。

「護くん! ちょっとまっ…」

 引き止めようと手を伸ばした途端、激しい眩暈に襲われ、思わず膝を突く唯斗。頭の中で光が弾け、見た事もない景色が残像のように浮かんでは消えていく。

「何だ、この景色…俺は、何を…」

 

 

 護がゾンダーの気配を感知する数分前、メインオーダールームでは、凱、正樹、紫苑の3人がティータイムを利用して、昨日護から聞いた話を仲間達に話していた。

「地球を旅立って2ヶ月を過ぎた頃、護は…人間によく似た異星人に…遭遇した」

「正確には幾つかの星系…何種類かの異星人の集合体だったんですが、彼等もゾンダー…正確には機界皇帝インフェルノ率いる機界33新種の軍勢に苦しめられていて、護君は自らが持つGパワーでゾンダーを退けた…」

「そして、彼らは護君に協力を求めた…まあ、当然の成り行きだな」

 凱の言葉を補足する形で紫苑、続いて正樹も口を開く。

「それからどうなったの?」

「護は彼ら、組織の名前は『星間連合(せいかんれんごう)』と言うそうだが、彼等にGストーンを与えた。彼等は地球よりも優れた科学文明を持っていた為、Gストーンを大量生産して戦力を整え、ゾンダ―への反撃を開始した」

「ちなみに、ギャレオンもVギャレオンに強化・改造され、護君が操るVガイガー、ネクストガオガイガーにも星間連合のテクノロジーが随所に盛り込まれています」

 すかさず紫苑が凱の言葉に補足を加える。

「戦況は…さすがに序盤は苦しんだらしい。護も先頭に立って戦ったそうだ」

「辛かったでしょうね、護君」

「ああ…だが、戦いが始まって3ヵ月後…大体4年半ほど前のことだが、突如、キングジェイダーが出現した事で戦局は大きく変わった」

「キングジェイダー…」

 命の言葉の後、メインオーダールームは暫しの沈黙に包まれ、そこにいた全員がコーヒーを一口飲み、フッと一息つく。

「じゃあ続けます。キングジェイダーはZマスターとの最終決戦の際、Zマスターの内部でザ・パワーを開放。Zマスターを絶対崩壊に導きましたが、自身もその爆発に巻き込まれ、行方不明になっていました。で、合ってますよね?」

「うむ」

 紫苑の言葉に大きく頷く雷牙。

「護くんの話ではその際、膨大なエネルギーの流れが時空の歪みを生み出し、キングジェイダーはそれに吸い込まれた…半壊状態ながらも、何とかその歪みから抜け出したキングジェイダーでしたが、出た先は…」

「星間連合とインフェルノの軍勢との戦いの真っ只中。というわけか」

「ええ、空間を飛び越えた際、半年ほど未来へ飛んでしまったようです」

 大河の言葉に紫苑は頷きながら答える。

「星間連合はキングジェイダーを保護し、船の修復、ついでに強化も行った」

「それがネオジェイアーク。そしてネオキングジェイダーと言う訳か…」

 雷牙の言葉に今度は正樹が頷く。

「Jは護曰く『命を助けてもらった借りを返す為、そして33新種を殲滅する為』に星間連合に参加。一騎当千の働きをしたそうです」

「Gストーンの物量に勝り、戦力の面でも、護君のネクストガオガイガー、そしてネオキングジェイダーという強力な助っ人を得た星間連合は徐々にゾンダーを圧倒。2ヶ月前の決戦で遂に完勝した」

「だが、そこで倒したのはインフェルノの持つ軍勢のホンの一握り、氷山の一角に過ぎなかった」

「そして、インフェルノは目標をこの地球に変更し、進軍を開始した」

「その事を仲間からそれを聞いた護、そしてJたちは危機を知らせるため、地球へと戻ってきた。と、護から聞いた話はこれで終わりです」

 凱の言葉の後、暫しの間沈黙が場を支配した。だが、その支配も長くは続かない。異常を告げるサイレンがけたたましく鳴り響く。

「何事だ!!」

 大河の声に命が答える。

「長官! 護君からの緊急連絡です!」

 護からの緊急連絡、それはゾンダー関係の事が殆どである。メインオーダールームは一気に緊張に包まれた。

 ビッグオーダールームへ移行する間も、猿頭寺とグラナートがキーボードを叩きながら、淡々と報告を行う。

「監視衛星、月方向より地球へ接近する物体を確認。形状などからゾンダーキャッスルと推定されます」

「ゾンダーキャッスルが、このままの速度で進むと…あと30分ほどで地球が射程圏内に入ります」

「軌道上を哨戒中のネオジェイアークから電文。『先行し、城を攻撃する』との事です」

「ったく、氷竜達がまだ動けないってのに…敵さんは容赦ないよ」

 2人の報告に思わず呟く正樹。

 『ガザートス事件』の皺寄せを受ける形で行われたGGGの予算削減は、交換用パーツの備蓄量などに大きな影響を及ぼした。

 それでも、オービットベースにはある程度の備蓄があったのだが、そのオービットベースが破壊されてしまったので、先の戦いでダメージを受けた勇者達の修理は、思うように進んでいなかった。

「玄武王に搭載していた資材をかき集めて、ブレイブは何とか修理出来ましたけど、氷竜達は応急修理しか出来ていませんからね…」

「仮に修理が出来ていても、武器がないんだ。まさか素手で戦わせる訳にもいかないだろう」

 今、GGGにある交換用パーツは、十分な数ではない各ビークルロボの装甲板や動力部関係のパーツくらいである。

 雷竜の電磁荷台(デンジャンホー)や光竜のメーザー砲といった武装を始めとする、特定のビークルロボにしか必要のないパーツに関しては、現在一切備蓄がない。その為、勇者ロボの殆どは今、ほとんど丸腰に近い状態だった。

「とにかく、J1人を戦わせるわけにはいかない。長官! 俺もブレイブで―」

「僕も行くよ!!」

 凱の言葉を遮るように響く声。凱が思わず声の方向に視線を送ると―

「僕も行くよ、凱にいちゃん」

 そこには護の姿があった。その目からは確固たる意思が感じられる。

「護…そうだな、一緒に戦おうぜ!!」 

「うん!」

「よし! ブレイブガオガイガー、及びネクストガオガイガーの2機は至急発進し、ネオジェイアークと合流! ゾンダーキャッスルを殲滅―」

 その時、大河の声を遮るようにサイレンが再度けたたましく鳴り響いた。

「千葉県野島崎沖120kmで重力異常を検知! これは、ESウインドウです!」

「なんだと!?」

「現地からの映像、出ます!」

 紫苑の声と共に現場の映像がモニターに映し出される。そこには、ESウインドウから続々と出現するゾンダーレギオンの姿があった。

「ゾンダーレギオン! そうか、ゾンダーキャッスルは囮だったのか…」

「宇宙からはゾンダーキャッスル、ESウインドウからはゾンダーレギオン…まさに泣きっ面に蜂って奴だね」

「長官、ネオジェイアークから再度電文『地上の状況探知、増援は無用』との事です」

「となると、宇宙の方はJさんに任せて、凱さんと護君は千葉へ向かった方が得策ですね」

「同感だね。それにゾンダーキャッスルは、今の所1隻しかいない。1対1の勝負なら、ネオジェイアークの負けはない」

 紫苑、そして正樹の言葉を聞いた大河は、一瞬の沈黙の後―

「作戦変更! ブレイブガオガイガー、及びネクストガオガイガーの2機は、蒼龍王、朱雀王と共に発進し、ゾンダーレギオンを殲滅せよ!!」

 高らかにそう宣言した。

 大河の指示から数分後、エクセルベースから2隻の船、高速汎用射出母艦"蒼龍王"と超級機甲戦術艦"朱雀王"が分離し、海上に浮上。そのまま現場へ向けて発進した。

 

 

 同じ頃、ネオジェイアークはゾンダーキャッスルとの戦いを開始しようとしていた。

「各ミサイル装填、反中間子砲、全砲門開け!!」

「リョウカイ」

 Jの指示に答え、トモロが迅速に攻撃準備を整えていく。

「目標! 前方敵戦艦! 反中間子砲、撃てぇ!!」

 そして、ネオJアークの砲塔から強力な反中間子ビームが発射され、戦いの火蓋が切って落とされた。

 ネオJアークから放たれる幾筋もの光条と、ゾンダーキャッスルから放たれる幾筋もの光条とが交差し、互いの目標へと向かっていく。それを片方は悠々と回避し、もう片方は強靭なバリアで無効化する。

 ゾンダーキャッスルが射出した無数のゾンダーレギオンを、ネオジェイアークは小型ミサイルの一斉発射で、まとめて吹き飛ばす。両者一歩も譲らぬ戦いは続いていく。

 

 

 一方、ゾンダーレギオン殲滅に出撃した凱達も、千葉市の手前数kmの地点で壮絶な空中戦を繰り広げていた。

「GFシステム起動!」

 凱の声が響くと共に、ブレイブガオガイガーの四肢が緑の光を纏う。  

「うぉぉぉっ!!」

 そのままスラスターを全開にして、前方のゾンダーレギオンへと突進。放たれる怪光線を類稀な機動性で回避しつつ、肉薄すると―

「はぁっ!」

 緑の光を纏った右拳を叩き込んだ。その拳はバリアを突破し、ゾンダーレギオンの頭部を打ち砕く。

「ドリルニー!」

 そのままの勢いで膝のドリルを叩き込み、今度はその胴体に風穴を開けた。直後、爆発するゾンダーレギオン。

 それを見た他のゾンダーレギオンは距離を取ろうとするが―

「ブロウクンマグナム!!」

 間髪入れずに放たれた勇者王の鉄拳が、それらを纏めて薙ぎ払っていく。

「全武装展開、マルチロック!」

 ネクストガオガイガーの全身に装備された火器が、それぞれ目標を捉えていく。そして―

「フルブラスト! いっけぇぇぇっ!!」

 次の瞬間、それらが一気に放たれた。無数の火線に十数体のゾンダーレギオンが貫かれ、爆発していく。

「貴様ら皆、ここで打ち砕く!!」

「街には1体も近づかせない!!」

 凱と護の叫びが轟く中、戦いは続いていく。

 

 

「……何か妙だねぇ…」

 モニターに映し出される戦況を見ながら、そう呟く正樹。

「月村君、何か腑に落ちない点でも?」

「ええ、ちょっと気になるんですよね。奴らが本当に本命なのか? って事が」

「…どういう意味かね?」

「いや、最初は俺も奴らが本命だと思ったです。でも、奴らが本命だとするならば…出てくるのがあまりにも早すぎるんですよねぇ…」

「正樹さんの言うとおりです。仮にあいつらを本命とした場合、戦略的に見て、こちらが何らかのアクションを起こした後に、不意を突く形で出してくるのがベストなんです」

「人間の指揮官ならば、進軍のタイミングを間違える可能性もあります。ですが、そんなミスを機界生命体が犯すとは、到底思えません」

 正樹の言葉に揃って同意の意見を述べる紫苑とグラナート。

「つまり、このゾンダーレギオンの群れも囮に過ぎず、これから本当の本命が出てくるのでは? そう言う事かね?」

「ええ、そう言う事です。俺や紫苑、グラナートの考え過ぎでなければ…」

 次の瞬間、異常を告げるサイレンがビッグオーダールームに三度鳴り響く。

「Gアイランドシティ郊外に巨大生命体が出現! 現地の映像、出ます!!」

 紫苑の声と共に現場の映像がモニターに映し出される。そこでは、蜘蛛と人間を組み合わせたようなグロテスクな怪物が市街地へと進んでいた。

「コイツは…」

「明らかにゾンダーレギオンとは違います。恐らく…」

「機界33新種の1体…」

「…現時点を持って、あの機界生命体をゾンダーナーセント、ZN-01と認定呼称する!」

「こっちの戦力が全て出撃した後に現れるとは…正樹さんの予測が現実になりましたね…」

「このままじゃ、Gアイランドシティが好き勝手に荒らされちまう…ミコッちゃん! 凱達を呼び戻せる?」

「通信は送ったけど、すぐには無理みたい。向こうもゾンダーレギオンが残ってるし…」

「ネオJアークのほうも同様です。ゾンダーキャッスルが更に1隻出現…暫くは膠着状態ですね…」

「くそっ! 何か無いのか…奴を倒せなくてもいい。何か時間を稼げるような…」

 髪の毛を掻き毟りながら、必死に考える正樹。その時―

「リュシフェル…」

 このエクセルベースで眠る機体が、不意に脳裏へ浮かんだ。

「そうだ、ここにはあれがあった! 長官! 『リュシフェルガオー』を出撃させます!」

 突然の正樹の言葉に、少なからず驚きを見せる大河。

「月村君、あの機体はパイロットが決まっていないのでは?」

「はい…ですが、遠隔操縦で飛ばす事は出来ます。凱達が戻るまでの時間稼ぎくらいなら!」

「……うむ。リュシフェルガオー、出撃承認!」

「了解!」

 大河の承認を受け、正樹はすぐさまキーボードを操作する。

「リュシフェルガオー…全封印解除。システムを遠隔操作に切り替え! …リュシフェルガオー! 起動!!」

 正樹の声が響いた直後、エクセルベースの格納庫で眠る機体『リュシフェルガオー』が目を覚ます。同時に格納庫のゲートが開き、誘導用のランプが灯る。

「発進!!」

 声と同時にリュシフェルガオーは空へ飛び出し、そのまま現場に急行する。白い機体が青い空に良く映えていた。

 

 

「クククッ、こうも簡単に策に嵌まるとは…」

 Gアイランドシティへゆっくりと近づきながら、不敵に呟く機界生命体。

 邪魔な勇者は出払い、自らを阻むものは何も無い。ゆっくりと街の破壊を楽しもう。

 リュシフェルガオーが轟音を上げて上空に現れたのは、そう思った矢先の事だった。

「それ以上やらせるか!!」

 メインオーダールームでの正樹の叫びと共に、両翼の付け根部分に装備された25mm機関砲で攻撃するリュシフェルガオー。しかし、バリアに阻まれ、機界生命体の体に傷1つつける事が出来ない。

 機界生命体も鬱陶しげに4つの目から怪光線を放つが、リュシフェルガオーもそれを回避する。そんな攻防が数分続いたが―

「本当に五月蝿い蝿だ!」

 遂に、機界生命体の怪光線がリュシフェルガオーに直撃した。機体のバランスが崩れ、みるみるうちに高度が落ちていく。

「くうっ! 市街地にだけは落ちるなよ!!」

 正樹の必死の操作により、市街地への墜落は避けられた。だが、それが限界だった。数秒後、創星学園の校庭に不時着するリュシフェルガオー。

「なんとか、市街地には落ちずにすんだか…」

「猿頭寺君、彼女に連絡を、リュシフェルガオーの回収に向かわせてくれ」

「了解」

「5分ちょっとか。もう少し時間稼ぎしたかったが、これからどうする…」

 正樹の呟きはメインオーダールーム全体の空気を表していた。 

 

 

 その頃唯斗は、校庭に不時着したリュシフェルガオーに向けて走っていた。

「パイロット、助けないと!」

 そう言いながら機体に辿り着くと、あっという間に機首によじ登り、コクピットの中を覗き込む。

「誰もいない。無人機なのか…よかった」

 安心した唯斗はキャノピーに手を置き、ホッと一息つこうとした。だが、突然キャノピーが開き―

「えっ?」 

 頭からコクピットへ吸い込まれた。

「うわっ!」

 直後、鈍い音が響き、悲鳴を漏らす唯斗。

「いっ…てぇー。何でいきなりキャノピーが開くんだよ…」

 ぶつくさ言いながらも体勢を立て直し、シートに座る唯斗。珍しそうに周りを見渡す。

「凄い、これがGGGのメカニックか…」

 そう言いながら、唯斗が何気なく操縦桿に触れた瞬間、機体から強烈な光が迸る。

「こ、これは…」

 それと同時に唯斗の脳裏へ先程同様、見た事もない景色が浮かんでは消えていく。

「一体、何なんだ…」

 次の瞬間、唯斗の心にある言葉が浮かび上がってきた。唯斗の意思とは関係なく、口からその言葉が紡ぎ出される。その言葉とは。

「フュージョン」

 その言葉の直後、機能を停止した筈のリュシフェルガオーが再起動し、一気に天空へと舞い上がった。

 そして、そのまま変形を開始、戦闘機からロボットへと変わると同時に、2つの目が緑の光を宿し変形を完了した。

 

 

 リュシフェルガオーが変形を完了した直後、その現場に1台のバイクが到着した。バイクの名前は『Gストライカー』。

 極限まで流線型にこだわった濃紺のボディラインが特徴的で、最高速は370kmにもなる。今搭乗している女性のために設計された特別モデルである。

 女性の名前はルナ。ヘルメットからしなやかな金髪が伸び、目元を覆ったマスクの為に素顔は見えないが、双眸の部分から澄んだ瞳がのぞいている。

 そして、彼女の服は全て黒で統一されていた。ボディラインを強調したレザースーツも、ロングブーツも、そして、上から羽織っているロングコートも。

「リュシフェルガオーが…」

 Gストライカーから降り、変形したリュシフェルガオーにルナが近づこうとした瞬間、マスクに内蔵された通信機が作動した。

『ルナ君っ、いまどこかね?』

「現場です長官。そちらに画像は送られていると思いますが…」

『うむ、リュシフェルガオーが…』

「はい。パイロット、資格者がいたという事ですね」

 リュシフェルガオーを操ることはそう簡単な事ではない筈。声は冷静だったが、意外な事態にルナは驚きを隠せなかった。大河もそれを察したように、興奮と困惑を抑えて言った。

『そのとおりだ。しかも選ばれたのは、普通の青年のようだ』

 普通の青年。大河の言葉にルナは唇を噛みながら、慎重に言葉を紡ぐ。

「とにかく、今は信じるしかありません。コクピットの映像をこちらにまわしてください。ここから私がその青年と話してみます」

 ルナのマスクのアイスクリーンに、コクピットにいる唯斗の映像が送られた。

 

 

 その頃唯斗は、コクピットの中で現在の状況を整理していた。

「今、俺は墜落してきた戦闘機のコクピットにいる。それから操縦桿に触れたら、頭の中が真っ白になって…気がついたら、こんな風になってて…つまり、今俺はロボットの中にいる?」

『正解よ』

 コクピット内に響く女性の声に、唯斗は思わず周りを見渡した。

「え、なに…ここが見えてるの?」

『ええ。今、貴方が乗っているのはGGG機動部隊所属のメカノイド『ネオガイガー』のコクピットなの』

「ネオ、ガイガー…」

『そう。さぞ驚いたでしょうけど、それはお互い様。でも、こうなったからには今からやって貰わなくちゃならないことがあるの』

「あー、それって…あそこに見えている化け物と戦えってことですか?」

『そういうこと。わかっているみたいね』

「それはまあ、ずっと見てましたから」

『やってくれる?』

「…いいですよ」

 ルナの要請を唯斗はアッサリと了承した。説得にてこずると思っていただけに、少々肩透かしを食らった気分になるルナ。

『随分、アッサリと決めるわね』

「だって、俺が動かさなきゃいけないんでしょ? これ」

『ええ、そのネオガイガーは操縦者を選ぶ機体…凱隊長が既にブレイブガオガイガーを操っている以上、今のGGGには、貴方以外にそれを操れる人間が存在しないわ』

「なるほど。これが俺にしかできない事だったら、俺…やります」

『ありがとう。あ、それとネオガイガーはもう貴方に連動しているわ』

 ルナの言うとおり、唯斗の動くままににネオガイガーは動いた。

「なるほど…こりゃいい」

『ネオガイガーに搭載された戦略コンピューター『Lucifer』が、状況に応じて必要な情報を貴方に教えてくれる。あとは、戦闘システムを完全起動させて』

「起動って、どうするんですか?」

『目の前に点滅しているボタンがあるでしょう? それを押してみて』

 言われるまま唯斗がボタンを押すとパネルの一部が開き、掌サイズの白い携帯ゲーム機のような物が出てきた。

「はい、ありますけど…」

『それはGコマンダー。いい? それのジョグダイヤルを回してモードを『BATTLE』に切り替えて』

「はい!」

『それをボイスコード入力後にコマンド送信端末に差し込んで! ボイスコードはブレイブ・インよ!!』

「わかりました! ブレイブ! イン!! 」

 叫びとともにGコマンダーをコマンド送信端末に差し込む唯斗。戦闘システムが完全起動したネオガイガーの全身から緑の光がこぼれ、エネルギーが漲っていくような感覚を唯斗に与える。

「それじゃあ…いきます!!」

 そのまま唯斗。いや、ネオガイガーは大地を蹴り、機界生命体へ向かって飛翔した。

「頼んだわよ」

 ルナもまたGストライカーを起動し、猛スピードで現場へと向かった。

 

 

「クククッ、今からこの街は火の海となる。私の手によって!」

 恍惚の声を上げながら最大出力の怪光線を放つ為、充電を始める機界生命体。

「さあ、歓喜の時間の幕開けです!!」

 そして、街へ向けて怪光線が放たれようとした、まさにその時!

「させるかぁ!!」

 機界生命体の上空に到着したネオガイガーが、そのまま重力に身を任せながら落下し、その後頭部に強烈な蹴りを喰らわせた。

「ヌオッ!」

 他に戦力がいないと思い込み、バリアを解除していた機界生命体は、その蹴りをまともに喰らい、顔面を地面に埋める形で倒れこんだ。更に最大出力の怪光線が暴発し、爆発する。

「ギャアアアアア!」

「ざまーみろ!!」

 ネオガイガーは、蹴りの反動を利用した前方宙返りを決めつつ見事に着地し、そのままクラウチングスタートの構えを取ると―。

「いくぜぇ!」

 機界生命体が立ち上がった瞬間にあわせてダッシュ、そのまま体当たりをしかけた。

「ぐっ、まだ邪魔者が―」

 思わぬ敵に出現に虚を突かれた機界生命体は、この体当たりもまともに受けてしまう。

「うぉぉぉぉぉっ!!」

 ネオガイガーは、そのまま機界生命体に掴みかかり、全てのスラスターを全開にして、機界生命体を市街地から遠ざけていく。

 

「ネオガイガー、市街地から埠頭の方へ移動中!」

「市街地の被害を防ぐ為か。どうやら、こちらが指示するまでもないようだな」

 命の報告に微笑を浮かべる大河。モニターが、ネオガイガーと機界生命体を追って、めまぐるしく切り替わる。

 

「うぉぉぉぉぉりゃあ!!」

 埠頭まで来たネオガイガーは、そのままの勢いで海へ機界生命体を押し倒し、素早く距離を取った。

「っしゃぁ! ここなら暴れても被害は出ない! かかってきやがれ! 蜘蛛野郎!!」

「クククッ、面白い事を仰る方だ…先ほどは不意をつかれましたが、同じ手は効きませんよ」

 そう言いながら立ち上がる機界生命体。その顔には他人を見下すような笑みが浮かんでいる。

「一応、名乗らせていただきます。私はスパイダス、偉大なる機界皇帝、インフェルノ様にお仕えする32の新種が1つ! 貴方を地獄へ送る死神です…さあ、覚悟しなさい!!」

 そう言い放ち、4つの目から連続で光線を放つスパイダス。

「おおっと!!」

 ネオガイガーは咄嗟の横っ飛びで光線を回避、それと同時に、唯斗は機体のスペックを呼び出す。

 画面に映し出されたネオガイガーの簡易図は、両側頭部と両肩の装甲、そして両腕と両太腿、左腰が点滅しており、更に武装の名が現れる。

「片っ端から試していくか…まずは、Gクレッセント!!」

 唯斗の声と共に、ネオガイガーの右腕が左肩装甲を掴むと、装甲の一部が切り離され展開、同時に鋭い刃が飛び出す。

「いっけぇ!!」

 小型のブーメランとなった肩装甲『Gクレッセント』を気合と共に投げつけるネオガイガー。

 刃の部分が高熱を帯び、赤熱化したGクレッセントは、独特の軌道を描きながらスパイダスに迫り、背中の蜘蛛の足を1本切り落とす。

 どうやらスパイダスはバリアを展開していないようだ。しかし、切り落とされた蜘蛛の足はすぐに再生してしまう。

「ちぃっ! 威力が低いか…なら、これはどうだ!!」

 Gクレッセントを収納したネオガイガーは、頭部の『17.5mmCIWS』を連射した。放たれた弾丸は、スパイダスの全身を風穴だらけにしていくが、その風穴は開けられる端から再生し、塞がっていく。

「くそっ! 埒が明かねぇ!」  

 そんな叫びと共にネオガイガーは跳躍し、両腕の『グレネードランチャー』を連射しながら、スパイダスと距離をとる。

 放たれたグレネードはスパイダスを炎で彩るが、決定打には至らない。

「残った武器は2つ、効いてくれよ!」

 次の瞬間、ネオガイガーの両太腿のパーツが一部展開、中に収納されていた大型ハンドガンが、飛び出すようにして両手に握られる。

「Gブラスター!!」

 気合と共に2丁の大型ハンドガン=『Gブラスター』を発射するネオガイガー。だが、スパイダスはバリアも張らず、余裕の表情だ。しかし―

「ぐおっ!」

 Gブラスターから放たれた弾丸を受けた瞬間、スパイダスが苦悶の声を上げた。更にその体が僅かによろめく。

「効いてる…よし!」

 効果があった事で更にGブラスターを連射するネオガイガー。しかし―

「無駄ですよ!」

 その弾丸の全ては、スパイダスの展開したバリアに防がれてしまう。 

「くそっ! バリアか!!」

「少々、貴方の事を見くびっていました。ですが、その銃ももはや弾切れ…」

「くっ…」

 スパイダスの言葉どおり、Gブラスターの残弾は0だった。舌打ちをしながらGブラスターを両太腿内部に収納するネオガイガー。

「これで、フィナーレです!」

 次の瞬間、スパイダスの背中の足が伸び、鞭のようにネオガイガーに襲い掛かる。装備された火器が通用しないネオガイガーに、もはや打つ手はないかと思われた。しかし!

『ガイガースラッシャーを使うのよ!!』

「ガイガースラッシャー、これかぁ!」 

 ルナからの通信に従い、ネオガイガーが左腰の『鞘』から抜刀した。

 それはロングソードタイプの『剣』だった。刀身から放たれる光が、かなりの業物である事を感じさせる。

「でやぁ!」

 白刃一閃。気合と共に振るわれたガイガースラッシャーは、ネオガイガーに襲いかかった蜘蛛の足全てを見事に斬り裂いた。

「なに!? もしかして、これが必殺武器なのか!?」

 ガイガースラッシャーの凄まじい切れ味に、感心したような声を上げる唯斗。そして、その顔に余裕の表情が浮かぶ。

「っしゃあ! 勝負はこれからだぜ、化け物!!」

 そう言うと唯斗は、ガイガースラッシャーを正眼に構えた。

「そんなナマクラで…私を斬れるとお思いですか?」

「当然だ!!」

「たいした自信だ…ですが、そんなナマクラ1本では私を倒すどころか、私の糸すら切れませんよ。もっとも、私の糸は特別製でしてねぇ。伸縮自在、強度抜群、弾力充分の逸品です。そんなナマクラで切れるような代物では…」

「ペラペラ喋りやがって、相当自信があるようだな?」

 スパイダスの言葉に、半ば呆れた感じで反論するネオガイガー。

「当然です! 貴方達のような下等生命体に、この宇宙の支配者たる我等機界33新種の力を打ち破れる筈がない!!」

「あっ、そう。じゃあ、試してみるか!!」

 そう言うと同時にスラスターを全開にして、スパイダスに突進するネオガイガー。

「真正面から来るとは、命知らずですねぇ!!」

 ネオガイガーの突進を嘲笑いながら、口から無数の糸を放つスパイダス。糸はそれぞれが生き物のように動きながら、ネオガイガーに絡み付こうと押し寄せる。

「でやりゃぁぁぁっ!!」

 だが、ネオガイガーは、ガイガースラッシャーを縦横無尽に振り回し、その糸全てを切り裂いていく!

「なんだと!」

 思わず驚愕の声を発するスパイダス。その隙にネオガイガーは一気にスパイダスに肉薄し―

「もらったぁ!」

 ガイガースラッシャーの逆袈裟切りで、スパイダスの左腕を切り落とした。オイルを噴出しながら、宙を舞うスパイダスの左腕。

「凄いわね。この短時間であそこまで動けるなんて…」

 目の前で繰り広げられる光景に思わず呟くルナ。

「馬鹿な…私の糸が、腕が切られるとは…おのれ、このままでは…済まさんぞ! 貴様、この世から消してやる!!」

 瞬時に腕を再生させたスパイダスは、先程までの口調とは一変、怒りを前面に出して暴れだした。

「喰らえ!」

 スパイダスの目と口から、今までとは比較にならない程の強力な怪光線が乱射される。

「ちいっ!」

 咄嗟の横っ飛びで避けるネオガイガーだが、回避に精一杯で反撃する事が出来ない。

「何か、何かないか。こいつを倒す為の方法が―」

 その時、唯斗の脳裏に1つの単語が浮かび上がる。

「ッ! これは、そうか! こいつが、ネオガイガーが俺に教えてくれる。こいつを倒す、最適の手段を!!」

 そう言うと唯斗は空に右手を掲げ、力の限り叫んだ。

「来い! ネオ・ガオーマシン!!」

 

 唯斗の声と同時に、エクセルベースからステルス爆撃機、ロケット式戦闘機、ドリル戦車が現場に向けて飛び出した。リュシフェルガオー同様、エクセルベースに封印されていたネオガイガー用のガオーマシン『ネオ・ガオーマシン』である。

「長官! ネオガイガーから、ネオ・ファイナルフュージョン要請シグナルが出ています!」

「なんだと!!」

 命の言葉に流石の大河も驚きを隠せない。

「ZN-01、スパイダスを倒すなら、現時点ではそれが最善の策。じゃが…リスクが大きすぎる」

「雷牙博士、仮にネオ・ファイナルフュージョンを実行したとして、成功の確率は?」

「プログラムは完璧、シミュレーションでも問題なし。じゃが、実戦で…しかもこの状況じゃからのぉ…まぁ、20%と言った所かのう」

「20%か…」

 その時、今まで沈黙していた正樹が口を開いた。

「長官、やってみましょう」

「月村君…」

「確かに、これは賭けです。失敗すれば俺達の負け。ですが、彼はいきなりフュージョンに成功し…しかも、この短時間であそこまでネオガイガーを使いこなしている。素質は充分にあります」

『私も月村博士と同意見ですわ』

「ルナ君!」

『上手くは言えませんが、彼ならやってくれる。そんな気がします』

 数秒の間沈黙に包まれるビッグオーダールーム。それを打ち破ったのは、やはりこの男であった!

「やってみよう」

「長官!」

「勇者とは、平和を愛する勇気ある心を持つ者だ! ならば、彼も立派な勇者。私は新たな勇者の可能性を信じる!!」

「ネオ・ガオーマシン現地到着!!」

「よぉし! ネオ・ファイナルフュージョン、承認!!」

「了解! ネオ・ファイナルフュージョン、プログラムドラーイブッ!!」

 間髪入れず、命がカバーを叩き割る。

 

「よっしゃあ!!」

 叫びとともに上空へと飛び上がるネオガイガー。それを見たスパイダスは、怪光線を放とうとネオガイガーを睨み付ける。

「邪魔はさせないっ!!」

 ルナは咄嗟にGストライカーに装備されたロケットランチャーで攻撃した。スパイダスのボディにロケット弾が次々と炸裂する。

「ぐわぁ!」

 スパイダスが悲鳴をあげている間にプログラムが実行され、合体が開始される。

「ネオ! ファイナル! フュージョォォォン!!」

 叫びと共に展開された電磁竜巻を突き破って、3機のネオ・ガオーマシンがネオガイガーの元に集結。それと同時に、各々のマシンが変形を始め、合体が開始される。

 ネオ・ドリルガオーとネオ・ライナーガオーは2つに分割してそれぞれ両脚と両肩に、そしてネオ・ステルスガオーは両腕と背面部そして頭部に。そして、電磁竜巻を吹き飛ばし、白い巨人が名乗りをあげた。その名は。

「ガオ! ガイ! ガァァァァッ!! アァァァァルッ!!」

 

「ネオ・ファイナルフュージョン、成功です!!」

「なんと…」

「やってくれたよ…」

「うむ、やはり彼も勇者だった!!」

 

 ガオガイガーRはファイティングポーズを取り、スパイダスを睨み付ける。

「待たせたな、始めようか!」

「合体したからといって、私に勝てるとでも思っているのか?」

「あぁ、思ってるけど…それが何か?」

 挑発交じりに放ったその言葉がスパイダスを沸騰させた。

「貴様、一瞬でスクラップにしてやる!!」

 叫びとともにスパイダスは、腕を振り上げ襲いかかった。スピード、威力共に強烈な物であることは一目で解る。だが、ガオガイガーRはその場から一歩も動こうとはしない。

「死ねぇ!」

 叫びを上げながら、スパイダスはガオガイガーRに腕を振り下ろす。そして、そのまま直撃……しなかった。

 紙一重のところでガオガイガーRは上体を逸らし、スパイダスの攻撃を回避したのである。

「おのれ、小癪な真似を!」

 スパイダスは先程以上のスピードで攻撃を繰り出してくる。だが、その攻撃はあと一歩のところでガオガイガーRに届かない。

「何故だ! 何故、私の攻撃が届かない!」

 焦りを隠せないスパイダス。自分は機界33新種が1つ。宇宙を支配する存在。だが、今自分の目の前にいる生命体は自分を畏怖しようとしないばかりか、自分の攻撃を紙一重ではあるが、かわし続けている。

「こんな筈では、こんな筈では!!」

「隙有り!」

 次の瞬間、ガオガイガーRの強烈なストレートが、カウンター気味にスパイダスの顔面へ炸裂した。

「ぐほぉ!」

 顔面が拳の形に陥没し、オイルを噴出しながら海へと吹き飛ぶスパイダス。

「よくも、よくも私の顔に傷を…」

「ん?」

「許さん、許さんぞぉぉぉぉぉっ!!」

 顔面を殴られ、更に逆上したスパイダスは、立ち上がると同時に再びガオガイガーRへと突進する。

 ガオガイガーRも、それを待ち構える形で構えを取る。

「ファントムリング!!」

 叫びと同時にガオガイガーRの胸部が展開し、エネルギーリングが飛び出す。

「ブロウクン! ファントォームッ!!」

 次の瞬間、ファントムリングを撃ち抜く形で、ガオガイガーRが右腕を射出した。射出された右腕は一直線にスパイダスに向い、再度顔面に直撃した。

「ぐわぁぁぁぁっ!!」

 突進をアッサリと迎撃され、再び海へと吹き飛ぶスパイダス。

 それを見たルナはガオガイガーRに呼びかける。

「今よ! あいつの核を摘出して!!」

「摘出、そうか! この機体もガオガイガーなら!」

 声と同時にガオガイガーRは両腕を交差させ、一気に左右に広げ構えを取る。

「ヘル! アンド! ヘブン!!」

 叫びと同時にガオガイガーRの両前腕部は高速回転を開始。

「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ…」

 反発力に逆らってガオガイガーRが両手を合わせた瞬間、ガオガイガーRの両腕が紅蓮の炎に包まれる。更に巨大なEMTフィールドが発生し、スパイダスの体をその場に縛り付けた。

「うぉぉぉぉぉぉっ!!」

 それをめがけ、ガオガイガーRの白い巨体が突貫。

「でやぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 装甲をぶち抜き、体から無数のパイプを引き千切って、必殺の両腕が新種核を抉り抜く。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!」

 核を抉り出され苦悶の叫びを上げるスパイダス。次の瞬間、核を失ったスパイダスの体に火がつき巨大な火柱と化した。瞬く間に全身が炭化し崩れていく。

 その火柱をバックにガオガイガーRは自分の両腕を見つめていた。

「さっき、俺の両腕は炎に包まれていた。炎のヘルアンドヘブン…よし! あの技の名前は『バーストヘルアンドヘブン』だ!!」

 ガッツポーズを決めながら喜ぶ唯斗。そこへルナからの通信が入る。

『ご苦労様。よくやってくれたわ』

「いえ、ところで、これってゾンダーなんですか?」

『そうね。何から話せばいいのかしら』

「…えーと、まず1ついいですか?」

『何かしら?』

「お姉さんは、誰なんですか?」

 唯斗の言葉にルナはフッと苦笑しながら言った。

『ゴメンなさい。自己紹介をしてなかったわね。私はGGG参謀部所属、機動部隊副隊長のルナよ』

「ルナさんですか…俺は長瀬…長瀬唯斗です」

『ええ、よろしくね。長瀬君』

「いえ、こちらこそよろしくお願いします」

 2人がそんな会話を交わしていると―

「ガオガイガーR!? 誰が操縦しているんだ?」

 そんな声と共にブレイブガオガイガーとネクストガオガイガーが、ガオガイガーRのすぐ近くに降り立った。

「凱さん! お久しぶりです!!」

 高らかに響く唯斗の声。聞き覚えのあるその声に凱、そして護は驚きを隠せない。

「唯斗さん!?」

「唯斗君!? まさか、唯斗君なのか?」

「はい!」

「どうして、どうして君が、ガオガイガーRに乗っているんだ?」

「それは、成り行きと言うか、なんと言うか…とにかく、詳しい話は後で…まずはこれを…何とかしてもらえます?」

 そう言って、右手の新種核を差し出すガオガイガーR。

「あ、ああ…護、浄解を頼む」

「う、うん!」

 フュージョンアウトした護は瞬時に浄解モードへ変わり、スパイダスの核へと向かっていくと、浄解を開始する。

「クーラティオー! テネリタース…セクティオ! サルース……コクトゥーラ!!」

 詠唱の終了と同時に、新種核の表面に波紋が走る。眩いばかりの緑の光が、護の両手からほとばしり、新種核が何度も波打ちながら変形をはじめる。緑の光が核を埋め尽くす。そしてそれが晴れた時、新種核は一枚の石板へと変貌していた。

「石板か…」

『凱、聞こえるか?』

「どうした、正樹」

「まずはご苦労さん。その石板はこっちで調査するから、持って帰ってきてくれ」

「わかってる」

『それと、長瀬…唯斗君だったよね?』

「あ、はい」

『君も一緒に来てくれないか? 色々と聞きたいこともあるし…』

「あ、わかりました」

「よし…皆、帰還するぞ」

 凱の声と共に、3体の勇者王はエクセルベースへ向け、飛び立った。

 

 

 勇者達がその場を離れるのを見計らったかのように、一隻の大型クルーザーが埠頭に接近し、停泊した。その甲板に立つ1人の少年。細い体に整った顔立ち。透きとおるような銀髪。いわゆる『美少年』である。

「ふーん、ガオガイガーRか…スパイダスをあそこまで一方的に倒すなんて、結構やるね」

 少年は飛び立った勇者達が作り出した飛行機雲を見上げながらそう呟いた。

「どう思う? ザイノス、ウルフェス、スティングス」

 自分以外誰もいない筈の甲板に少年は甲高い声で呼びかける。次の瞬間、少年の眼前の空間に切り裂かれたような穴が開き、そこから3人の男女が姿を表した。

「ボク、3人の観想を聞きたいなぁ~」

 甘えるような少年の言葉に、右端に立つ長身の男性が口を開く。

「所詮スパイダスは、人数合わせで入れられた補欠。口だけは達者な未熟者に過ぎん…そんな奴に圧勝したからといって、真の実力を見抜く事など出来ん」

 その言葉に続くように真ん中に立つ細身の美女が、その長い栗色の髪を指で触りながら口を開く。

「ウルフェスは相変わらず慎重ですわね。でも、城や雑兵との戦いで、カインの遺産やアベルの残せし災いが、相当の実力を持つ事は充分にわかりましたわ。ザイノス、あなたの意見は?」

「まあ、ゲームの障害としてはちょうどいいかもな」

 ザイノスと呼ばれた筋肉質の男性は、ぶっきらぼうにそう答えた。

「そうだね。この星でのゲームは楽しくなりそうだよ。本当にね…」

 少年はそう言うと、これ以上無いような冷酷な笑みを口元に浮かべ、再び空を見上げた。

「ずっと退屈だった…今度は楽しめるといいな…」

〈機界四騎士よ…〉

 突如、空から響き渡る声。それは、4人の精神に直接響く声だった。

「インフェルノ様!」

 声をあげ跪いた少年に倣い、後ろの3人も跪く。その次の瞬間、4人の前に機界皇帝インフェルノが姿を表した。

 

 

 

君達に最新情報を公開しよう!!

 

3体目の勇者王、ガオガイガーRの活躍で勝利を手にしたGGG。

しかし、その戦いはほんのプロローグに過ぎなかった。

本格的な侵攻を開始する機界33新種。

彼等が言う『ゲーム』の正体とは?

全てが謎に包まれたまま聖戦の幕が今開かれる。

 

勇者王ガオガイガーR -EPISODE04-

 

『着装(前編)』

 

次回もこのURLにネオ・ファイナルフュージョン承認!!

 

 

これが勝利の鍵だ!!

 

『Gクラステクター』

 

 

 

勇者王ガオガイガーR用語辞典

 

第4回『碧屋』

 

2年前、キッチンHANAの近くにオープンしたケーキ屋。

それほど大きな店ではないが、近隣の女の子は勿論、遠方からもわざわざ訪れるお客が居るほどの名店。

GGGの隊員にもファンが多く、命や正樹は常連客である。




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