勇者王ガオガイガーR   作:SS_TAKERU

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お待たせいたしました。
勇者王ガオガイガーR第3章(第4話)を投稿します。
拙い文章ですが、お楽しみいただければ幸いです。

今回も若干ではありますがPixiv掲載版から修正を行っております。
大まかな流れは変わりありません。

2018/10/06

次回予告を修正しました。話の流れに変更はありません。


-EPISODE-04~着装(前編)~

♪ザン!♪(GGGのマーク)

 

「機界4騎士よ…ゲームの準備はどうなっている?」

 恭しく跪く4人の前で、インフェルノが呟くように言った。

「はい、雑兵100体、城2隻、そしてスパイダスを囮に使い、我等26体、青の星へ無事潜入いたしました」

 そう答えるのは、あの少年である。残りの3人はただ黙って跪いていた。

「スパイダスはどうなった?」

「新たに出現した勇者王によって倒されました。残念ながら」

「そうか」

「まあ、スパイダスは我等の足元にも及ばない未熟な存在。この結果は当然と言えば当然かと…」

「…余裕だな」

「お任せ下さい」

 そう答える少年の目は、自信に満ち溢れていた。

「期待しているぞ」

「「「「ははっ! 全ては皇帝陛下の意のままに!!」」」」

 4人が畏まると、インフェルノは一瞬にして姿を消した。どうやら立体映像だったようだ。

「さて、と」

 少年が3人の方を向く。

「まずは、誰が行く?」

「俺に決まってるだろう!!」

「いえ、私が参りますわ」

「俺が行こう…」

 3人は同時に声をあげた。どうやら順番を譲る気はないようである。

「しかたないね。いつもどおりアレで決めよう」

 そう言うと少年は指を鳴らした。再び空間が切り裂かれ、その狭間から1人の女性が出てきた。白いドレスを身に纏った黒髪の美女で、年は20代前半に見える。

「来たね、ローゼス」 

「お呼びですか? ドラグス様」 

 ローゼスという名前の美女は丁寧な口調で少年…いや、ドラグスに答える。

「いつもどおり、アレを頼みたいんだけど」

「御意」

 そう言うと右手を天に掲げるローゼス。三度空間が切り裂かれ、4本の剣が取り出される。

「いつもどおり、刀身に彫られた数字で順番を決める。いいね?」

「おう!」

「はい」

「…」

 それぞれ剣を持ち、同時に引く。

「決まったようだね」

「そのようですわね」

 力のない声を放ったスティングスの剣に彫られた数字は『2』。

「俺が一番手だな」

 優越感を滲ませながら、ザイノスが剣を掲げた。その剣に彫られた数字は『1』。

「そう言う訳で、一番手はザイノスだね」

「まかせておけ!!」

 そう言うと、ザイノスは場を下がっていった。

「不覚ですわ」

「そう気に病む事ではないと思うが…」

 落胆するスティングスに声をかけるウルフェス。続いてドラグスも声をかける。

「そう、君が引いた剣の数字は『2』。ザイノスがしくじれば出番は回ってくる。しくじればだけどね…」

「それも、そうですわね。では、私も準備に入らせていただきます」

 そう言い残し場を下がるスティングス。既にザイノスの敗北を決めつけている。

 

「…ふっ」

 それを眺めながら、ウルフェスは己の手に握られた剣を弄んだ。それに彫られた数字は『3』。

「悪いね。ウルフェス」

「いつもの事だ。大した事ではない」

「まさか、僕達がこの剣に細工をしていて、必ず『3』と『4』を引くようにしているなんて、あの2人は夢にも思ってないだろうね」

「もしも知っていれば、あのようには振舞えまい…」

「それもそうだね。ところで、ウルフェス」

「なんだ?」

「この戦い、どう見る?」

「断言は出来んが、もしかすると…我らの出番もあるかもしれんな」

「やっぱり、君もそう思ったんだね」

「真に強き者と戦う事、それだけが私を満足させる」

「僕は面白ければ、どうでもいいんだけど…」

 そう言うと2人は互いに視線を交わし、静かな…だがはっきりとした笑みを浮かべた。

 

 

-EPISODE-04

 

【着装(前編)】(タイトルコール)

 

 

 クルーザーでのやりとりとほぼ同じ頃、唯斗は凱と護に連れられ、メインオーダールームに足を踏み入れていた。

「すっげー…」

 自分が予測していた通り、いやそれ以上の未来的な設備を呆然と見回す唯斗。その時、大河が笑顔でこう言った。

「メインオーダールームへようこそ。長瀬唯斗君」

「あ、えっと…よ、よろしくお願いします!!」

「うむ、元気かつ礼儀正しくてよろしい!」

「あ、ありがとうございます」 

 大河の言葉になんとか返事を返す唯斗。相当緊張しているようだ。そんな唯斗に雷牙が歩み寄る。

「久しぶりじゃの。唯斗君」

「雷牙博士! お久しぶりです!!」

「なんと、博士のお知り合いだったですか?」

「知り合いも何も…長官も覚えておるじゃろう。長瀬敬介、織恵両博士の事を」

「それはもちろ…まさか!!」

「そう、唯斗君は2人の息子じゃ」

「そうだったのですか…」

 雷牙の言葉に驚きを隠せない大河。そんな2人を横目に紫苑が正樹に小声で話しかける。

「正樹さん。長瀬敬介博士、織恵博士と言えば…」

「ああ、今は亡き麗雄博士の『右腕』と『左腕』とまで賞されていた天才科学者夫妻。木星決戦時に麗雄博士同様亡くなられたが、もしもご存命なら新生世界十大頭脳のトップ3にはいることは確実だった」

「ええ、麗雄博士曰く『もしもこの2人がいなかったら、確実に3年は超AIの完成が遅れていた』。それほどの頭脳の持ち主だったと伺っています」

「俺も何度か教えを受けた事があるが、科学者としても人間としても立派な方々だったよ。もっと、教えて頂く事があったのにな…」

 そう言うと、フッと目を細める正樹。昔の事を思い出しているのだろうか…。

 一方、唯斗は―

「あの、凱さん。さっきのルナさんって人はどこに…」

 2人のそんな会話を聞きながら、凱に質問をしていた。すると―

「ここよ」

 見事なタイミングでドアが開き、ルナが姿を表す。

「長官、ただいま戻りました」

「現場指揮ご苦労さまです」

「紹介するよ。この人がGGG機動部隊副隊長のルナさん」

 ルナが護と唯斗の前に進み出た。

「さっきはご苦労様。改めてよろしくね。天海護君、長瀬唯斗君」

「はい、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」 

 護も唯斗もルナの姿を見るのは初めてだった。護が思わず凱に問いかける。

「凱兄ちゃん。ルナさんは何でマスクなんか被ってるの?」

 護のその言葉に虚を突かれたような表情になる大河、凱、ルナ、正樹、雷牙。だが、凱は一瞬で動揺を抑え、こう答えた。

「それは、聞かないでくれ」

「どうして?」

「ああ、ある事情があってな」

 凱の言葉に、護も唯斗もそれ以上追求する事もなかった。次に唯斗が口を開く。

「それで、さっきの化け物は一体何なんです? なんか、新種がどうとか言ってましたけど」

「あれは、機界33新種さ」

 そう言って、唯斗に機界33新種についての説明を始める凱。

「という訳で、唯斗君が操ったガオガイガーRは、対33新種の中核を背負う事も出来るほどの能力を秘めている訳だ」

「1つ、いいですか?」

「なんだい?」

「あの時、俺はネオガイガーを操ろうなんて考えてませんでした。あの時はいきなりコクピットが開いて、それで…」

 ここで、ルナが口を挟んだ。

「それは、ネオガイガーが貴方を選んだのよ」

「俺を…選んだ?」

「そう、さっきも言ったけど、ネオガイガーは操者を選ぶ機体。今まで私を含む多くのGGG隊員が、ネオガイガーを操ろうとしたけど出来なかった。ただ1人、凱隊長を除いてね」

「でも、何で俺なんですか? 俺って普通の人間ですよ!?」

 そんな唯斗の言葉に、今まで黙っていた正樹も口を開く。

「まあ、その理由は正直言って、全く不明だ。だが…」

「だが?」

「唯斗君は、リュシフェルガオーとフュージョンできる。これは紛れも無い事実だ。そう言う訳なんで、ちょっと協力してもらえるか?」

「何をですか?」

「ちょっとした検査をさせてくれ。血液検査とか…まあ、そんな所だ。もちろん強制じゃないから、拒否してくれてもかまわない」

「…いえ、お願いします。何で勇者王を操れたのか、俺も気になってますから」

「そうか。じゃあ、ついて来てくれ。紫苑、悪いがヘルプよろしく」

 そう言うと、正樹は紫苑と唯斗を連れて、メインオーダールームを後にした。

 

 数十分後、動揺した正樹の声がメインオーダールームに響く事など、この時誰一人として予想していなかった。

 

 

「何があったんだ、正樹!!」

 そんな声とほぼ同時にメディカルルームに飛び込む凱。若干遅れてルナ、護、戒道、大河、雷牙の順で続く。

「…」

 そんな凱とは反対に、無言で持っていたカルテを差し出す正樹。

「これは?」

「唯斗君の血液を採取した後、軽い気持ちで身体能力も検査してみたんだが…とにかく読んでみろ」

 正樹のその言葉に、その場にいた全員の視線がカルテに集中する。

「身長185cm、体重72kg…」

「その辺はいい。もっと先、身体能力の項目だ」

「ああ…」

 正樹の言葉を受け、再び視線を動かす凱。次の瞬間、彼の声は数オクターブ上昇した。

「握力、1.3t!?」

 凱の声、そしてその内容に、その場にいた正樹と唯斗、紫苑以外の全員が己の耳を疑った。

「そんなもんで驚くな。続きを読んでみろ」

「背筋力4.0t、ベンチプレス2.1t、100mタイム6.2秒…正樹―」

「言っておくが、計測機械はお前専用に設計した奴を使っている。数値に間違いはない」

「これだけの身体能力、オリンピックに出れば金メダルを独占できるわね」

 ルナのそんな呟きに、誰もが首を縦に振る。

「それだけの能力に加えて、唯斗君の筋組織はスプリンターの機動性、ヘビー級ボクサーの瞬発性、体操選手の柔軟性、マラソンランナーの持久性を併せ持っています…はっきり言って、サイボーグだった頃の凱さん並の身体能力です」

「サイボーグの時の凱兄ちゃん並!?」

 紫苑の補足説明に、驚きを隠せない護。そんな護を横目で見つつ、紫苑は更に言葉を続ける。

「唯斗君の身体能力、記録をチェックしたんですが、少なくとも1ヶ月前までは常識的なレベルです。高校生としてはトップクラスですけどね」

「すなわち、この1ヶ月で身体能力が劇的に上昇したわけだ…唯斗君」

「はい」

「何か、心当たりはないか。この1ヶ月で劇的にパワーアップするような体験をしたとか、何かの事件に巻き込まれたとか」

「そう言われても…今日の事くらいしか……それに、さっき突然パワーアップしたとしか、思えないんです」

「そうだよなぁ…となると、やっぱりアレしか考えられないか」

「正樹、何か解ったのか?」

 凱のその言葉で、全員の視線が正樹に集中する。

「これは、あくまでも推測に過ぎないが…唯斗君が劇的にパワーアップした理由は、Gストーンにある」

 そう言うと正樹は、ゆっくりと言葉を選びながら、自らの仮説を語り始めた。

「皆もわかっているとおり、Gストーンは使用者の闘争心とか勇気といった、ポジティブな感情に感応する事で、莫大なエネルギーを生み出す奇跡の宝石だ…ここまではいいな?」

「ああ」

「そして今回、リュシフェルガオーに搭載していたGストーンは、唯斗君の勇気に感応し、莫大なエネルギーを生み出した。そのエネルギーは、ネオガイガーやガオガイガーRに強大な力を与えると同時に、唯斗君自身にも力を与えた」

「…たしかに、今思い出してみると、ネオガイガーやガオガイガーRを操縦している時は、こう…全身に力が漲ってる感じでした」

 唯斗のそんな言葉に、正樹は確信を得たように頷き、再び口を開いた。

「そんなGストーンの恩恵は、唯斗君が操縦席にいる間だけ。その筈だったが、ここで予想外の事態が起きた」

「予想外の事態?」

「そう、一時的に強化されただけで、操縦席から降りれば元に戻る筈だった唯斗君の身体能力。それが、何らかのきっかけから強化されたままの状態になってしまった…俺はそう考えている」

「現段階ではそう考えるのが一番妥当でしょうね。僕は正樹さんの仮説を支持します」

 正樹の仮説に賛同の意思を示す紫苑。その時―

「大河長官。お願いがあります」

 正樹の仮説を無言で聞いていた唯斗が口を開いた。

「何かね?」

「もし、許されるのなら俺を、GGGに入れてください!!」

「唯斗君…」

 沈黙が部屋を支配する中、それを打ち破るように大河が口を開いた。

「一つだけ聞かせてくれ。何故GGGに入りたいのかね?」

「さっきルナさんにも言いましたけど、勇者王を、ガオガイガーRを操る事が俺にしかできないなら、それで何かを護れるのなら、俺はそれをやりたいんです。お願いします!!」

 再び沈黙に支配される室内。だが、大河が再度その沈黙を破った!

「長瀬唯斗君!!」

「は、はい!!」

 大河は、その美声を部屋中に響かせて宣言した。

「君の特別隊員としてのGGG入隊を、ここに承認する!」

「あ、ありがとうございます!!」

「ようこそGGGへ! 新たなる勇者よ!!」

 今ここに、新たな勇者が誕生した。

 

 

 唯斗のGGG入隊から数時間後。メインオーダールームでは―

「ちょっと待ってくれよ! たったこれだけしか予算が出ないなんて、なんかの冗談だろう!?」

 正樹が国連から送られてきた書類を手に、悲痛な声をあげていた。  

 

 オービットベースの破壊に始まった、ここ数日の事件は、世界に震撼を与えた。

 ただちに国連は緊急会議を召集。驚異的なハイペースで討議が行われた結果、GGGの組織再編成や勇者ロボの強化などが決定した。

 人材育成の期間がまったくない為、人員は各分野のエキスパートを若干名補充する以外、現在のスタッフをそのまま採用しているが、今までよりも迅速、確実な活動が可能になった。また、一部スタッフは役職名が変更されている。

 そして、勇者ロボ強化の為、追加予算が捻出された訳だが…。

 

「必要額の20%弱…これじゃ氷竜達の修理したらそれで御仕舞い、スッカラカンだよ…」

 その額は正樹達の予想を大きく下回る額だった。

「今の国連の状態を考えれば、これだけの額を出してくれただけでも、奇跡に近いんですけどね」

「せめて、必要額の半分は出ると思ってたんだけどなぁ、これじゃ強化なんて夢のまた夢だよ」 

 そう言って2人して頭を抱える正樹と紫苑。如何に2人が新生世界十大頭脳と言えど、予算がなければどうする事も出来ない。

「どっかに福の神でもいないもんかねぇ~」 

 半ば自虐気味に正樹がそう呟いた時―

「正樹君、それに紫苑君宛に通信だよ」

「通信…誰からだい? ミコッちゃん」

「新生世界十大頭脳筆頭、ファング=土御門(つちみかど)博士から」

 『福の神』は彼らの元に舞い降りた。

 

 

『やあ、正樹に紫苑。元気そうで何よりだよ』

 スクリーンに映る落ち着いた雰囲気の青年。彼こそが音響科学の天才にして、新生世界十大頭脳筆頭を務めるファング=土御門博士である。

「元気と言えば、一応元気だが―」

『予算の件で悩んでいる。違うかい?』

「…知ってたのか」

『まあ、国連にも知り合いは多いからね』

「あぁ、なるほど。で? 今日は世間話するつもりで、通信送ってきたのか?」

『まさか、資金援助だよ』

「資金援助?」

『ああ、詳細はそっちにメールで送った』

 ファングのその言葉に、自前のノートパソコンを開き、メールソフトを起動させる正樹。

「ファ、ファング…これって」

 ファングから送られたメールを開いた途端、言葉を失う正樹。そこには300人近い科学者の名前と、それぞれの出資額が記載されていた。

『君と紫苑以外のU.S.Nメンバー全員から、一口300万$で出資を募った。皆、快く出資してくれたよ。勿論、僕も出資させてもらった』

「…やっぱり、持つべきものは友達だね。国連からの追加予算とこれをあわせれば、必要額の7割に届く…氷竜達の強化改造、どうにか形になりそうだ」

 そう言うと、予算内に必要経費を納めるべく、プランの絞込みを始める正樹。そんな正樹を横目に見ながら紫苑は―

「ファングさん、ありがとうございます。おかげで助かりました」

 スクリーン越しのファングに深々と頭を下げた。

『大した事はしていないさ。これで地球防衛がより堅固な物になるのなら、十分に価値のある出資だよ』

 そう言って笑顔を見せるファング。 

「ファング、この借りは近いうちに必ず返すからな」

『それじゃあ、今度日本に行った時にでも、美味しい和食をご馳走してもらおうかな』 

「任せろ、寿司にすき焼き、天ぷら。鰻に河豚。胃袋がパンクするまで喰わせてやるよ」

『楽しみにしているよ。じゃあ、また近いうちに』 

「おう、またな」

 

 

 その日の深夜。

「うん…うん、へぇ~」

 1人の女性が、自分の車の横に立ち、携帯で話しあっていた。自分を見つめる者がいるとも知らずに。

 そして、その者は舞い降りた。女性へと向かって…。

「それでね―」

 そこまで言いかけて、その者に女性は気付いた。そして…。

 

 

 次の日の早朝。夢の中にいた唯斗は突然、無機質なアラームの音に起こされた。

「う、う~ん、何だ? 目覚まし、じゃないよな…」

 半分寝ぼけた唯斗が辺りを見回すと机の上に置いていたGコマンダーからその音が出ていた。

「Gコマンダー…って、まさか!!」

 一気に目が冴えた唯斗が、慌ててGコマンダーを手に取ると、Gコマンダーの上部右にあるボタンが赤く点滅していた。

「ここを押せって事?」

 そう呟きながら唯斗はボタンを押した。すると。

『おはよう、長瀬君』

「ル、ルナさん!? あ、おはようございます」

『朝早くにごめんなさい』

 そう言われて唯斗が時計を見てみると、午前5時を少し過ぎた所だった。

「いえ、いつもこの時間帯に起きてますから」

『そう、悪いけど、エクセルベースに来てくれないかしら?』

「何かあったんですか?」

『ええ、学校の方には、こちらから連絡を入れておくわ』

「あ、大丈夫です。今日から3日間休校にするって、昨日の夜連絡がありました」

『休校?』

「はい、昨日の騒ぎが原因で」

『こう言ったら不謹慎だけど、好都合だわ』

「たしかに。わかりました。すぐに行きます」

『そんなに焦らなくてもいいわ。まだこっちも情報を収集してる状態だから』

「そうですか」

『そうね。9時にそっちに迎えを出すわ』

「あ、自分で行きます。道はもう覚えましたから」

『そう、じゃあ後で会いましょうね』

 そう言うとルナからの通信は切れた。

「さてと、走ってくるか」

 そう言うと唯斗はスポーツウェアに着替え、朝の日課であるランニングに出発した。

 

 

 ルナからの通信から約4時間後。唯斗は宇宙開発公団ビル近くの駐車場に来ていた。

「ここか」

 乗ってきたバイクから降り、近くの電話ボックスに歩き出す唯斗。

「誰も、いないな」

 近くに誰もいない事を確認して電話ボックスに入った唯斗は、受話器を取り、ひとつひとつ確認しながら、前以て教えられた10桁のコードを入力した。

 入力を終えた瞬間、電話ボックスはシークレットエレベーターに姿を変えた。瞬く間にエレベーターは地下深くに降下していき、暫くすると地下とは思えない広い空間に止まった。

「よし、ついたっと」

 エレベーターから降り、通路を暫く歩くと扉が見えた。

「あそこか」

 扉の前まで歩くと、扉の上部にあるスピーカーから電子音の声が聞こえた。

『名前と所属、職名を仰ってください』

 唯斗は、昨日凱に教えてもらったとおりの返事をしてみた。

「長瀬唯斗、所属はGGG、職名はありません」

『声紋等諸調査完了しました。お通りください』

「ご苦労様です」

 そして、扉は開かれた。

 

 

 唯斗がメインオーダールームに到着した時には、全員が既に集合していた。

「護、唯斗君。平日なのに来てもらってすまなかったな」

「いえ、ルナさんには話しましたけど、今日から3日間学校は休みになりましたからかまいませんよ。凱さん。」

「そうか、そう言ってくれると助かるよ」

「さて、本題に入ろうか。皆、これを見てくれ」 

 そう言うと正樹はキーボードを操作し、メインスクリーンにGアイランドシティの地図や、複数の事件現場などを映し出した。

「昨日の夜10時から11時までのわずか1時間の間に、若い女性ばかり8人何者かに殺された。しかも、ただの殺しじゃない。被害者の死因は全員、体から急激に大量の血液を抜き取られた事によるショック死だ」

 その事実に騒然となるメインオーダールーム。続いて紫苑が口を開く。

「補足しておきますと、被害者に目立った外傷は殆どありませんでした。唯一あったのは首筋に2つの噛み傷だけです」

「吸血鬼を地で行ってますね…」

「ああ、パニックを避ける為、マスコミには報道自粛を要請しているが、犯人はほぼ間違いなく新種だね」

 正樹の言葉の後、全員の視線が自然に護と戒道へと向けられる。だが。

「昨日はあの戦いの後、何も感じなかった。戒道は?」

「僕も同じだ…新種の気配らしき物はまったく感じなかった」

「護君や戒道君が感知できないのでは、こっちのZセンサーも感知できませんね」

 ポツリと呟く猿頭寺。それに続くように再び紫苑が口を開く。

「恐らく、敵は自らの能力を抑える事で、護君や戒道君の探知を掻い潜っているものと思われます。新種が本気になって行動したならば、被害はこんな物じゃすまない筈ですからね」

「じゃあ、敵が能力を開放して行動を開始すれば、護君達の探知が可能になるって事ですよね。でも、それだと…」

「被害の拡大は避けられないって事だ。厄介だな…」

 そう凱が呟いた次の瞬間、護と戒道は背中に強烈な悪寒を感じた。かなり強烈なゾンダーの気配である。

「「ゾンダー!」」

 2人の叫びと重なるように異常を告げるサイレンがけたたましく鳴り響く。

「Gアイランドシティ、ショッピングエリアで素粒子Z0を大量感知! 反応から、新種と見て間違いありません!!」 

「なに!!」

「ショッピングエリア、まさか!」

 そう言うと護は、メインオーダールームを飛び出した。

「護君!」

 咄嗟にその後を追いかける唯斗。間一髪、上昇寸前のシークレットエレベーターにスライディングで滑り込む。

「唯斗さん!?」

「ギ、ギリギリセーフ……かな?」

 無言で頷く護。

「そんなに焦って、どうしたんだい?」

 ズボンの埃を払いながら、笑顔で問いかける唯斗。顔を真っ赤にしながら護は答えた。

「もしかしたら、華ちゃんが…そこにいるかもしれないんです」

「華ちゃん…ああ、中等部の初野華さんのことだね」

 再び無言で頷く護。

「昨日、電話があったんです。学校が休みになったから一緒に買い物に行かないか? って…」

「デートのお誘いか…それで?」

「でも、朝になって凱にいちゃんから電話があったから…」

「断った…の?」

 再び無言で頷く護。

「あ~なるほど。それで初野さん1人で行ってる可能性があると思ったわけだ」

「…はい」

「充分にありえるな…」

 唯斗が更に言葉を続けようとした時、シークレットエレベーターが地上に到着し、2人は外に出た。

「よし、護君、行くよ!!」

「え?」

「まさか、走っていく気かい?」

 そう言うと唯斗は自分のバイクを指差した。

「あ…」

「乗っていくだろ?」

「お願いします!!」

 

 

 その頃、ショッピングエリアは混乱の巣窟と化していた。突如現れた人と蝙蝠を足したような異形の怪物が手当たり次第に破壊活動を開始したのである。

 人々の絶叫が周囲に響き渡る。

「た、助けてくれぇ!」

 ひときわ高く絶叫が轟く。声の主である中年の男性の前には怪物が舞い降りていた。

「た、助け―」

 絶叫はそこで止まった。怪物の右腕が唸り、その男性を殴りつけたからだ。

 男性の頭部は柘榴のように弾け、頭部を失った体は血の噴水を吹き散らしながらそのまま地に倒れた。

 ついでもう1人、近くにいた男性が頚骨を粉々に砕かれ、同じように地に倒れる。

 風に血の匂いが混じり、怪物は狂った笑い声を轟かせた。

「ヒャーハッハッハッハッ!! 下等生物ども、せいぜい逃げ惑え! 俺様が1人残らず狩ってやるからよぉ!!」

 そんな声を聞きながら華は必死で走っていた。

「怖くない…怖くない、怖くない、怖くない」

 そう呟きながら必死で走る華の視界に、1人の少女が映る。

「ママ…どこ、ママ」

 どうやら迷子のようだ。華はその子に駆け寄ると優しく問いかけた。

「ママとはぐれちゃったの?」

 泣きながら頷く少女を華は優しく抱きしめこう言った。

「だいじょうぶだよ。私が一緒にお母さんを探してあげる」

「ほんと? ありがとう、お姉ちゃん」

 そう言って、満面の笑顔を見せる少女。華も笑顔で答える。だが、その笑顔も長くは続かなかった。

「見つけたぜ~」

 異形の怪物がいつの間にか2人のすぐ近くに迫っていたのである。

「あ、ああ…」

 咄嗟に少女を庇うように抱きしめる華。

「すぐ楽にしてやるよ。死になぁ!!」

 怪物が右腕を振り上げ、2人に迫る。

(護君…)

 次の瞬間、まばゆい光にあたりは包まれた。少女を抱きながらギュッと目をつぶる華。

 

 

「ギャァァァァァッ!!」

 苦痛に満ちた怪物の声に恐る恐る目を開く華。そこに映ったものは右肘から先を失い倒れこんだ怪物、そして。

「大丈夫? 華ちゃん」

「護君!!」

 華の前には、護が立っていた。光輝く翼を開いたまま華を優しく見つめている。

「天使さんだぁ」

 少女はいつの間にか泣きやみ、瞳を輝かせながら護を見つめている。

「テメエ、ふざけた真似してくれたなぁ!!」

 声と共に怪物は勢いよく立ち上がり、護を睨み付ける。護も睨み返す。

 じっと睨み合いを続けている2人の間に、異様な緊張感が広がっていく。

「その紋章…そうか、お前がラティオだな!!」

「機界33新種、華ちゃんに手を出す事は…僕が許さない!!」

 両手をいっぱいに広げて、護は言った。怒りの表情を剥き出しにし、緑のオーラに包まれたその姿は、まさに断罪の天使のようである。

「俺様の名はバトラス! 腕を吹っ飛ばしたくらいで、いい気になるなよ!!」

 次の瞬間、あっという間に再生するバトラスの右腕。

「死ねぇ!!」

 叫びとともに突進するバトラス。護は華と少女を背中に庇いながら、迎え撃とうと構えた。その時!!

「ちょっと待ったぁ!!」

 その声にバトラスは動きを止め、声の方向を睨みつけた。バトラスの目に映った物。それは、猛スピードで自分に向かって来るバイクだった。

「唯斗さん!?」

「喰らえ!!」 

 叫びと同時にアクセル全開のウィリー走行でバトラスに体当たりを仕掛ける唯斗。

「そんなもの!」

 当たると思っているのか。バトラスはそう言いたげな表情でバイクをかわした、筈だった。 

「甘いぜ!!」

 体当たりが回避された次の瞬間、唯斗は咄嗟に前輪を地面に付けたかと思うと―

「おりゃぁ!」

 前輪を軸にしたターン(ジャックナイフターン)を行い、後輪をバトラスに叩きつけた!!

「ぐわぁ!!」

 これには不意を突かれたのか、後輪を顔面に喰らい吹き飛ぶバトラス。

「どうだ!!」

 そう言うと唯斗はバイクから颯爽と降り、ファイティングポーズをとった。

「唯斗さん!」

「パーティーには間にあったかな?」

「はい!!」

「おい、そこの蝙蝠野郎! そんなもんじゃねえだろ!!」

 声高にバトラスを挑発する唯斗。その声に答えるようにバトラスは立ち上がった。

「下等生物の割には、味な真似をするじゃねえか」

「お褒めいただき光栄の至り、今度はそちらからどうぞ」

「その減らず口、永遠に使えなくしてやる!!」

 怒り狂った叫びと共に唯斗へ突進するバトラス。

「マジかよ!?」

 唯斗は咄嗟に近くに落ちていた拳大のコンクリート片を掴むと、小さく鋭いモーションで投げつけた。剛速球が唸りをあげてバトラスに迫る。

「ぬおっ!!」

 コンクリート片が下腹部にめりこみ、苦悶の声をあげるバトラス。

 驚異的な身体能力を持つ唯斗が投げつけたコンクリート片は、軽く時速300kmを超えていた。それがまともに命中すれば、いかに高い防御力を持つ新種と言えどダメージは大きい。

「この程度の、ダメージ!!」

 体を『く』の字に曲げながらも、体勢を立て直し、再び唯斗に突進しようとバトラスが顔を上げたその時、今度は顔面にコンクリート片が炸裂した。

「ぐはっ!!」

 流石にこれには耐え切れなかったのか。数m吹き飛ばされ、地面に倒れるバトラス。

「す、すごい」

 護の呟きに唯斗はサムズアップで答える。

(しかし、あんな安っぽい挑発に乗るとはなぁ…)

 あの程度の挑発にバトラスが乗るとは、唯斗は正直思っていなかった。だが、バトラスは一瞬で沸騰した。

(相当プライドが高いようだな。まだその気配はないが、こういう類の奴って逆上すると、何するかわからないんだよなぁ…)

「……のくせに…」

「ん?」

 唯斗が再びバトラスの方を向くと、いつの間にかバトラスが立ち上がっており、ぶつぶつと何かを呟いていた。

「…のくせに、下等生物のくせに、下等生物のくせに…生意気なんだよ!!」

 怒りの叫びと共にバトラスの体からエネルギーが溢れ出す。

「案の定キレやがったか。護君!」

「は、はい!」

「俺が囮になる。その間に初野さんとその子を安全な場所まで連れて行くんだ」

「そ、そんな! 唯斗さん1人じゃ」

「大丈夫! 俺はサイボーグだった頃の凱さんと、同等の力があるって正樹博士が言ってただろ。凱さん達が来るまでの時間稼ぎくらいはできるよ!!」

 あっけらかんと答える唯斗。だが、護は不安を隠し切れずに食い下がる。

「で、でも」

「護君、俺だってGGGの勇者だ。俺を信じてくれ!!」

「…わかりました。華ちゃん。大丈夫?」

「うん、でも護君。なんで長瀬先輩が…」 

「詳しい事は後で話すから、僕にしっかり捕まって!」

 護の言葉で、華と少女は護にしっかりと抱きついた。

「それじゃ、行くよ!!」

 声と同時に護は2人を安全な場所へと連れて行く為に飛び立った。

「逃がすかよ!!」

 それを見たバトラスも背中の羽根を羽ばたかせ、護を追いかけようとするが―

「お前の相手は俺だ!!」

 咄嗟に唯斗はバトラスに飛びつき、1m程浮かび上がったバトラスを地上に引き摺り下ろした。

「テメエ、邪魔するな!!」

「やなこった! どうしてもって言うなら、俺を倒してから行きな!!」

「そんなに死にたいのか。なら、望みどおりにしてやるよ!!」

 バトラスの言葉に再びファイティングポーズをとる唯斗。だが、バトラスの行動は予想と大きく外れていた。

「ゾンダーシード!!」

 そう言うとバトラスは右腕を唯斗に向けた。すると右腕から無数の黒い種子状の物体が唯斗に向け、撃ち出される。

「おおっと!!」

 咄嗟に横っ飛びでその物体を避ける唯斗。爆弾か何かかと唯斗は思ったが爆発も何もしなかった。

「不発か?」

「出でよ! ゾンダーソルジャー!!」

 その叫びと同時に、物体がグネグネと蠢き人型を形成していく。

「何!?」

 そう、バトラスが撃ち出した種子状の物体は攻撃の為ではなく、ゾンダーソルジャーと呼ばれる機動兵器の基となる物だったのだ。

 身長2m、針金のような体と大きな1つ目。ゾンダーレギオンを細身にして縮小したような形だ。レギオンとの体型以外の違いはただ1つ。レギオンは両腕がブレードになっていたが、ゾンダーソルジャーは右腕がブレード、左腕はマシンガンになっている。

「「「「「ゾォンダァァァァァ!!」」」」」

 天に向かって咆哮するとゾンダーソルジャーは一斉に動き出した。

「嘘だろぉ」

 その光景に唯斗は思わず呟いた。30体を越すゾンダーソルジャーが一斉に同じ動きをする光景は、シュール以外の何物でもない。

「よーし!! お前ら、そいつの始末は任せた! 俺はラティオを始末する!!」

 そう言い残し、護を追う為に飛び去るバトラス。

「待て!!」

 唯斗も追いかけようと走り出すが―

「「「「「ゾォンダァァァァァ!!」」」」」

 叫びとともにゾンダーソルジャーが、一斉にマシンガンを発射した。銃弾の嵐に晒される唯斗。

「やば!!」

 咄嗟に物陰に隠れて攻撃をしのぐが、これでは身動き1つできない。

「くそっ! どうすりゃいいんだ!!」

 唯斗が何とか突破口を開けないかと考え始めた時、何やら異様な音が近づいてきた。それは地響きであった。

「な、今度はなんだよ!!」

 地響きの正体を知った時、唯斗は仰天した。巨大なトレーラーが、猛々しくサイレンを鳴らしながら突っ込んで来たのである。

「「「「「ゾォンダァァァァァ!!」」」」」

 ゾンダ-ソルジャー達は一斉に方向転換し、今度はトレーラーに攻撃を開始した。だが、その巨体を覆う装甲はとてつもなく強固で、銃弾をことごとく弾き返していく。それどころか、その巨体でゾンダーソルジャーを次々と跳ね飛ばしていく。

 そしてトレーラーは唯斗の前で徐行しつつ停車し、後部のハッチを開いた。

「唯斗君乗って!!」 

「ま、正樹博士!?」

 ハッチから出てきた正樹に驚きを隠せない唯斗。そんな唯斗に正樹は再び声をかける。

「早く!!」

「あ、はい!!」 

 その声に促され、唯斗は飛び込むようにトレーラーに乗り込んだ。

 

 

「すっげー…」

 トレーラーの車内を見回しながら、呆然と呟く唯斗。トレーラーの内部は、メインオーダールームを縮小したような近代的な設備で埋め尽くされていた。

「これこそ、GGGが誇る移動指揮車両『Gキャリアー』さ」 

「Gキャリアーか…カッコイイなぁ、こう言うのはやっぱり男の浪漫ですよね」

「唯斗君、なかなかわかってるねぇ。っと、脱線はここまで。唯斗君、これを使うんだ」

 そう言うと正樹は、近くに置かれていた2つのトランクの内、1つを開いた。

「これは、鎧ですか?」

 そのトランクには、白銀色に輝く特殊装甲が収納されていた。その輝きに目を奪われる唯斗。

「Gクラステクター、アルティメットアーマーの正統な後継型として開発した特殊装甲だ。本来は凱用に開発したんだが、唯斗君用にもう1つ作ってみた」

「すっげぇ、これがあれば外の奴らなんかに負けないぜ!」

「いやいや、Gクラステクターはあくまでも防御の装備。これに見合う武器を装備してこそ、勇者は更なる高みに辿り着くわけだよ」

「と、言う事は」

「勿論、得物も準備してますとも!」

 そう言うが早いか、もう1つのトランクを開く正樹。そこには少し変わった形状をしたロングソードタイプの長剣が収められていた。

「ロングソード、ですね」

「ウィルブレード。俺が作った武器の中でも、傑作の1つにあげられる逸品だよ」

 正樹のその言葉に、唯斗はすぐさまウィルブレードを手に取り、鞘から抜こうとした。だが―

「あれ? この剣、鍵でもかかっているんですか? 全然ビクともしない」

 唯斗の力を持ってしても、ウィルブレードを鞘から抜く事は出来なかった。 

「あ、肝心な事を言うの忘れてた。そいつを抜くには『契約』が必要なんだ」

「契約…ですか」

「ああ、唯斗君のDNAをコイツに登録するんだ。そうすれば、コイツは君を主として認める」

「なるほど、DNAの登録はどうすれば?」

「唯斗君の血液をコイツのここ、赤い宝玉に垂らせば良い」 

 そう言って、小さなナイフを唯斗に渡す正樹。唯斗はそのナイフで左掌を軽く切り、流れ出たその血をウィルブレードに垂らした。すると―

「DNA recognition.Please teach your name.My master[DNA認識。名前を教えてください。我が主よ]」

 女性の声でウィルブレードが喋りだした。突然の事に、文字通り目が点になる唯斗。

「喋った…この剣、喋るんですか?」

「ああ、ウィルブレードはAI搭載によって、意思を持たせた武器『インテリジェントアームズ』だ」

「インテリジェントアームズか、GGGの科学力って本当に凄いな」

 自分の想像を超えるGGGの技術に、ただただ感心する唯斗。そこへ―

「Please teach your name.My master[名前を教えてください。我が主よ]」

 再び、ウィルブレードが唯斗の名を聞いてきた。

「あ、ごめん。俺の名前は唯斗。長瀬唯斗だ」

「My master's name was registered.[我が主の名前を登録しました]」

「よし、これで契約完了。ウィルブレードは唯斗君、君だけの武器になった」

「ありがとうございます、正樹博士」

 そう言うと唯斗はウィルブレードを鞘から抜き―

「これからよろしくな、ウィルブレード」

 鋭く輝く刀身を見つめながら、相棒にそう呟いた。

「Only here[こちらこそ]」

「さて、これで準備完了な訳だが…唯斗君に1つ言っときたい事がある」

「何ですか?」

「その博士ってのはやめてくれないかな…むず痒くなる。さん付けしてくれればそれでいい」

「わかりました、正樹さん」

 唯斗はウィル・ブレードを鞘に収めながら、照れくさそうにそう言った。

「それでOK。さあ外の雑魚どもを蹴散らして来なさい!!」

「はい! …あ! 正樹さん、護君―」

「大丈夫! 皆まで言うな!!」

「え?」

「もう最強のメンバーが向かってるでね」

「最強のメンバー。あ、なるほど」

 唯斗は納得した表情で頷き―

「長瀬唯斗、出撃します!!」

 声と共に、外へと飛び出した。

 

 

「「「「「ゾォンダァァァァァ!!」」」」」

 外へ飛び出した唯斗を迎えたのは、ゾンダーソルジャーの一斉射撃だった。

「甘い!」

 だが、唯斗はそれを横っ飛びで回避すると、持っていたトランクを上へと蹴り上げた。

 上空を滞空するように回転するトランク。そして― 

「着装!!」

 唯斗の叫びに反応し、トランクが爆発したように展開すると、内蔵していた白銀の装甲が一気に射出された。

 射出された装甲は、唯斗へと向かって行き、その体に装着されていき―

「イーク! イィィィップ!!」

 その掛け声を合図として、装甲の各所からガスが抜け、身体に密着すると戦闘形態への移行を完了した。

 この瞬間、Gクラステクターはただの装甲ではなく、勇者の纏う白銀の鎧へと変化したのだ。

「さて、と」

 戦闘体勢を整えた唯斗は、手にしていたウィルブレードを左腰に装着し―

「さっきまでのお返しだ。お前ら全員、覚悟しやがれ!!」

 勢い良く抜刀。ゾンダーソルジャーの群れと戦闘を開始した。

 

 

 

君達に最新情報を公開しよう!!

 

勇者達との戦いの中、その真の姿を現したバトラス。

あらゆる物を切断する不可視の刃が、大地を、ビルを、そして勇者達をも切り裂いていく。

だが、どんなに傷つこうとも、勇者達に敗北の文字はない!

3体の勇者王よ、力を合わせて敵を討て!!

 

勇者王ガオガイガーR -EPISODE05-

 

『着装(後編)』

 

次回もこのURLにネオ・ファイナルフュージョン承認!!

 

 

これが勝利の鍵だ!!

 

『ウィルブレード・バイパーフォーム』

 

 

 

勇者王ガオガイガーR用語辞典

 

第5回『U.S.N』

 

正式名称、Unaited・Scientist・Nations(国際科学者連合)

機界31原種の地球襲来をきっかけに、科学技術の更なる発展の為、国境、人種、言語の壁を越えて誕生した科学者集団で、現在所属している科学者はおよそ300人。

10代後半から30代前半の若き天才達が、日々科学技術の研鑽に励んでいる。

また、新生世界十大頭脳を襲名している科学者は全員、この組織の創立時からのメンバーでもある。




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