勇者王ガオガイガーR   作:SS_TAKERU

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お待たせいたしました。
勇者王ガオガイガーR第6章(第7話)を投稿します。
拙い文章ですが、お楽しみいただければ幸いです。

今回も若干ではありますがPixiv掲載版から修正を行っております。
大まかな流れは変わりありません。

2018/10/06

次回予告の修正を行いました。話の流れに変更はありません。



-EPISODE-06 ~疾走~

♪ザン!♪(GGGのマーク)

 

 長瀬唯斗は春の街を家に向かい駆けていた。我が家の玄関に辿り着き、厚いドアを開けて『ただいま』と叫ぶ。すると…。

「お帰りなさい! 兄様!!」

 待ち構えていたかのようにリビングから1人の少女が駆け寄って来た。年は13歳ほど、ショートカットとセミロングの中間に位置する長さの髪をして、繊細な目鼻立ちがくっきりとした線を形づくっている。多くの男性が魅力を感じる美少女である。

 彼女の名は長瀬響輝(ながせひびき)。唯斗の5歳下の妹だ。

「ただいま、響輝」

 自分を迎えてくれる妹に笑顔でそう答え、家に上がろうとしたその時、唯斗は異様な気配を感じた。

 ゆっくりと肩越しに振り向く。本当は振り向きたくなど無かったが、説明不可能な何かの力が唯斗をそうさせたのだ。

 

 玄関が消えていた。

 

 どす黒い空間が広がって、そこを更に闇が満たしていく。その光景に息を飲む唯斗。その時。

「助けて、兄様!」

「響輝!」

 妹の声に慌てて振り向く唯斗。だが、そこに響輝の姿は無い。それどころか、自分の周囲は全て闇に覆われていた。闇は次第に唯斗を包み込んでいく。

「響輝、どこだ! 何処にいるんだ!!」

 あらん限りの声を出して妹の名を呼ぶ唯斗。だが、見えるのは無限の闇だけだ。

「助けて兄様。怖いよ…」

「響輝!」

「い、いや…助けて、助けて! 兄さまぁぁぁっ!!」 

「響輝!!」

 自らの声で跳ね起きる唯斗。その瞬間、闇は飛び散り、周りの空間も元に戻っていた。

「…夢?」 

 肩で息をしながら汗を拭った唯斗は、前髪を手で掻き揚げながらこう呟いた。

「響輝、俺は手にいれたよ。お前を助ける為の力を…」

 

 

-EPISODE-06

 

【疾走】(タイトルコール)

 

 

 ZN-02、バトラスとの戦いから3日が過ぎた。 

「「いってきまーす!」」

「はい、いってらっしゃ~い」

 護と勇の声が、朝の天海家に響く。にこやかに微笑んで手を振る愛に見送られ、おろしたてのブレザーを着た護と、スーツをきっちり着た勇は自宅のドアをくぐった。

「護、途中まで乗せていってやろうか?」

「いいよ、バス停すぐそこだし!」

「そうか? じゃあ、気をつけて行くんだぞ」

「お父さんもね! それじゃ行ってきます!」

 大きなかばんを肩から下げて、護は車に乗りこむ勇に手を振った。同じように手を振り返すと、勇は車のエンジンをかける。

 走り去る車を見送った護がバス停へ向けて歩き出した。

 

 

 ちょうどその頃、エクセルベース・長官室では、正樹が大河にある事柄に関する報告書を提出していた。

 それを一読した大河は、暫しの沈黙の後―

「ここに書かれている事は、事実なのかね?」

 と、正樹に質問した。その顔は何時に無く緊張している。

「確率、98.741%。事実と見て…ほぼ間違いありません」

「この事を知っているのは?」

「今の所は、私と長官だけです。あとで参ぼ…じゃない、副長官と雷牙博士。それと凱には話しておこうと思っています。ですが、他のメンバーには…」

「………暫く黙っていたほうが良いだろう」

「はい、特に…護君には」

 

 

 一方、護は創星学園に無事に到着していた。何故かバスではなく、バイクに乗っての登校であるが。

 バイクから降りた護は、ヘルメットを取り、バイクの運転手に頭を下げた。

「乗せてくれて、ありがとうございました。唯斗さん」 

「お礼なんかいいよ。偶然通りがかっただけなんだからさ」

 そう、バス停に向かっていた護は、偶然バイクで通学中の唯斗と出会い、そのまま唯斗のバイクに便乗してきたのだ。

「じゃあ、中等部の校舎まで案内するよ。この前はあんな事になって、案内できなかったし」

「あ、ありがとうございます」

 そんな事を話しながら歩き出す2人。少し歩いた所で戒道とも合流し、校舎へと向かっていく。

 その光景を少し離れた所から見つめる1人の男がいた。180cmを超える長身と優しい顔立ちが特徴的なかなりの美形である。

「………」

 男の右手には3枚の写真が握られており、それにはそれぞれ護、戒道、唯斗の3人が写されている。

「護衛対象である長瀬唯斗、天海護、ならびに戒道幾巳を確認。これより創星学園臨時講師、影山史狼(かげやましろう)として校内での護衛任務を開始する」

 そう呟いた男が右手を軽く振ると、写真は一瞬で炎に包まれ、灰も残さずに消滅する。そして男は、何事もなかったように学園内に姿を消した。

 この男、仮の名を影山史狼。GGGに協力する謎の人物である。彼はこの戦いにおいて大きな役割を果たす事になるが…それはまだ遥か先の事である。

 

 

 謎の男影山史狼が、創星学園の中に消えてから約2時間後、メインオーダールームでは少し早めのティータイムが始まっていた。

「うん、美味い。流石に紫苑の淹れた紅茶は天下一品だな」

 ティーカップに注がれた紅茶を一口啜り、満面の笑みを浮かべる正樹。見れば、凱や命、スワンも同様の笑顔を浮かべている。

「ありがとうございます。まあ、それなりにこだわってますからね」

 正樹の言葉に自信に満ちた顔で答える紫苑。

 

 余談ではあるが、紫苑の紅茶へのこだわりは並々ならぬものがある。

 茶葉だけでなく水や茶器、更には砂糖やミルクに至るまで納得いく物を厳選し、その日の気温や湿度によって、お湯の温度や淹れ方まで変えると言う凝りようである。

 その為、絶品のコーヒーを入れる命、日本茶ではGGG随一と言われる牛山と並んで、GGG女性隊員からの羨望を集めていたりするわけだが、それはまた別の話。

 

「そう言えば、正樹さん」

「ん?」

「さっき、イヤスさんとマリアさん、それとファングさんから連絡がありました。勇者ロボ各機、それぞれの目的地に無事到着。だそうです」

「そうか、氷竜達もつくばの方に移動したし、Jさんは火星宙域まで足を伸ばしての哨戒任務中。ここも寂しくなったねぇ」

 そう言いながら、お茶請けのクッキーを齧る正樹。

 

 国連からの追加予算、そしてU.S.Nメンバーからの融資で、なんとか資金を調達した正樹達は、早速機動部隊の能力強化計画、通称『GNプロジェクト』を発動した。

 資金の関係上、計画の見直しを余儀なくされたものの、それでも原種クラスの敵であれば、十分に対抗できるだけの能力強化を施せる。 

 正樹を始めとする新生世界十大頭脳メンバーは、そう確信していた。

 

「正樹君、ちょっと聞きたいんだけど」

「何だい? ミコッちゃん」

「『GNプロジェクト』について、私達は詳しく知らないわけだけど…やっぱり、氷竜達は外見からガラッと変わったりするの?」 

「うんにゃ、予算の都合もあるし…外見はそう変わらないねぇ。変わるのはむしろ…中身の方かな」

「ブレイブやR、それからネオディビジョン艦に搭載している新型GSライド『GSNEXT-RIDE』と、新型ウルテクエンジン『ウルテクドライブ』の装備、新型装甲材への換装に、駆動系の強化…これを各勇者ロボ共通の改修項目にしています」

「武装の方も、基本的に今の装備のバージョンアップでいく事になってる…予算があれば、他にも色々とやりたかったんだけどねぇ~」

 カップ片手にしみじみと呟く正樹。自分が設計した多種多様な『カッコイイ武装』を装備させるつもりだっただけに、今回の予算不足による計画変更はかなりショックだったりする。だが―

「僕としては、予算が削減されたのは『ある意味』幸運でしたね」

 紫苑の思いは正樹と少々異なっていた。

「…どういう意味かな? 紫苑君」

 なにやら含みのある言い方の紫苑に対して、視線を送る正樹。すると紫苑は―

「だって、予算が余ったりしたら…正樹さん、何するか解らないですから」

 正樹へのツッコミを開始した。

「ブレイブが良い例じゃないですか。僕達に何の相談もしないまま、ブレイブハートを放てるようにするなんて」

「そ、それは……悪かったと、思ってるよ。うん…」

「今回の『GNプロジェクト』だって、予算が余ったら色々と付け足すつもりだったんでしょう?」

「え、あ、いや…その…はい」

「まあ、正樹さんが付け足す物に無駄な物はありませんけど…付ければ良いってものでもありませんし」

「………ごもっともです」

 紫苑の淡々とした突っ込みにただただ小さくなってしまう正樹。

「正樹君、相変わらず紫苑君には弱いんだね」

「正樹を言い負かせる数少ない逸材だからな。色んな意味で貴重だよ。紫苑は」

 そんな光景を見ながら、小声で会話する獅子王夫妻。

 こうして、メインオーダールームでのティータイムは過ぎていくのだった。

 

 

 それから約2時間後、Gアイランドシティ郊外にある廃工場へ男4人、女1人合計5人の男女が集まっていた。

 彼らは何かを話し合っているようだ。だが、その内容は聞き取ることができない。その時―

「おい! そこで何してんだ!」

 そんな声と共にバイクに乗った5人組の男が現れた。ここを根城にしている不良グループだ。

「ここはなぁ、俺らがアジトに使ってんだ! 何勝手に入ってんだよ! あぁ!?」

 リーダー格の男が彼らを睨みながらいちゃもんをつけ始めた。だが、彼らはそれを無視するように出口へ歩き始める。

「なんだ、その態度はおめぇらよぉ? なんか文句あんのかぁ!?」

「痛い目あわねぇとわかんねぇのか!」

 それを良く思わなかったのか、男達は持っていたナイフを抜きながら彼らに駆け寄っていく。その次の瞬間、それは起きた。

 彼らの中の1人、黒いレザーの上下に身を包んだ短髪の女がいきなり振り返ったかと思うと、男の1人を蹴り飛ばしたのだ。

 蹴り飛ばされた男は数十m先にある壁に激突し、地面に落ちた。

 そして、口から血を流し……動かなくなる。

「え?」

 目の前で起きた光景が理解できず、一瞬思考が停止してしまう男達。それが彼らの命取りとなった。

 女は棒立ちとなった男達に次々と攻撃を繰り出していく。

 

 1人はハイキックで首を圧し折られた。

 1人は強烈な突きで頭部が吹き飛んだ。

 1人は貫き手で心臓を抉り出された。

 

 仲間が心臓を抉り出された瞬間、唯一生き残っている男が我に返った。

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 目の前の惨劇に半狂乱となり、恐怖の悲鳴をあげながらバイクへ戻り、猛スピードで走らせる。

 それを見た女は、その姿を豹と人間を合わせたような怪人へと変えると、驚異的なスピードでバイクに乗った男を追い掛けた。

 バイクはものの数秒で追いつかれ…数秒後、絶叫が周囲に響いた。

 その場に残された4人は…ただそれを見届け、そしてその場を去っていった。

 

 

 廃工場での惨劇とほぼ同じ頃、午前中の授業を終えた護達は、昼食を取る為に学園内のテラスに移動していたが―

「一杯だね…」

「ごめんね、護君、戒道君。私が先生に呼ばれたりしたから…」

「気にしなくてもいいよ、華ちゃん。昼休みは長いんだから」

「そうだよ。暫く待つか、別の場所へ移動すればいいだけだ」

「うん…」

 ほんの10分足らずの間にテラスは満員となっており、暫く待つ事になってしまっていた。

「公園の方に行ってみようか。あっちなら空いてるかも」

「そうだね」

「そうしよう」

 護の提案で3人が移動を開始しようとしたその時―

「護君!」

 護を呼ぶ声が聞こえた。護が声の方に視線を走らせると、そこには―

「唯斗さん!」

「長瀬先輩!」

 4人がけのテーブルに1人でいる唯斗の姿があった。

「昼飯食う約束していた奴らが全員急用出来てね…よかったら、座る?」

 唯斗の言葉に3人は同時に頷いた。

 

 

「「「「いただきます」」」」

 食前の挨拶をキチンと済ませ、それぞれの弁当を食べ始める護達。護、戒道、華の弁当は、それぞれに見合った大きさの弁当であったが―

「唯斗さんのお弁当…すごいですね」 

 ただ1人、唯斗の弁当だけが一線を画していた。

 五段の御重にギッシリと詰められたご飯やオカズ。例えるならば行楽に来た家族が食べる弁当。そんな表現が相応しいであろう。

「いやぁ、元々俺って痩せの大食いだったんだけど…最近、それに拍車がかかってね」

 照れくさそうにそう言いながら、弁当を胃に収めていく唯斗。

「前は三段の御重で足りてたんだけど、今はこの五段で…腹八分って所なんだよね」

「は、腹八分…」

 唯斗の言葉に唖然となる護達。だが、唯斗はそれに気付かずに話し続ける。

「ちょうど食欲が増した時期がさ。リュシフェルに乗り込んだ時と重なるから、正樹さんに聞いてみたんだよ。そしたら…」 

「そ、そしたら?」

「『強化された身体能力を維持する為に、体が大量のカロリーを欲している。だからじゃないか?』だってさ」

「あ、なるほど…じゃあ、大変ですね。ご飯の準備とか」

「そうでもないよ。10年近く自炊してれば、色々とコツも掴めちゃったりするし」

「唯斗さん、自炊してるんですか!?」

「してるんですよ。こう見えても、料理には結構自信あるんだなぁ」

 そんな事を話しながら、昼食を続ける護達。やがて食事を終えた4人は―

「そういう訳で、『ミラ☆ツイ』ってのは、物凄く良い作品なんだよ。護君」

「は、はぁ…」

「そうだよ護君。アレは見たほうが良いよ。見ないと絶対に損だよ」

「初野さんに同感だね。僕も昨日、偶然アレを見たんだけど…良い作品だ」

「そ、そうなんだ…」

「物は試し、騙されたと思って見てみなよ。そういう訳でコレ」

「コレは…」

「第1期が全話収録されたブルーレイセット。返すのはいつでもいいから」

「あ、ありがとうございます…」

 他愛のない雑談(?)に花を咲かせていた。だが―

「12:30定時報告。護衛対象3名に異常なし…」

 あの影山史狼が、超遠距離から3人を監視している事には気付いていなかった。

 

 

 その日の夜。Gアイランドシティでは、あの豹の怪人が、罪もない人々を路地裏に引きずり込み、惨殺を繰り返していた。

 そして、今も2人の酔っ払いが路地裏へ引きずりこまれ―

「ぎゃぁぁぁっ!!」

 1人が鋭い爪で切り裂かれ、そしてもう1人も…

「うぎゃぁぁぁっ!!」

 断末魔の叫びを上げ、物言わぬ骸と化した。

「…ふん」

 爪についた血を振り落とし、その場を立ち去ろうとする怪人。そこへ―

「見つけたぞ!」

 鋭い叫びと共に、数台の車両がけたたましくサイレンを鳴らしながら怪人を取り囲むように停車した。

「…誰だ」

 興味なさげに己を取り囲む者達へ問う怪人。それに答えたのは― 

「GGGだ! 大人しくして貰おうか…機界33新種!!」

 一般のGGG隊員とはややデザインの違う、諜報部専用の制服に身を包んだ20代後半の男だった。それと同時に10人ほどの諜報部隊員が、アサルトライフルやサブマシンガンを手に車から降り、それぞれ配置に付く。

 男は部下達が全員配置に付いたのを確認すると―

「撃てぇ!!」

 発泡を許可した。耳を劈くような轟音と共に無数の弾丸が怪人に襲い掛かる。だが―

「…無駄な事を」

 呟きと共に怪人はバリアを展開し、弾丸を受け止めていく。

「銃弾じゃ効果が無い! グレネードを使え!!」

 男の指示ですぐさまグレネードランチャーが用意され、怪人に銃口を向けられる。

「撃てぇ!」

 次の瞬間、数発のグレネード弾が怪人へ放たれる。だが、怪人は―

「シャアッ!」

 着弾の寸前、驚異的なジャンプ力で近くのビルの屋上へ跳び上がり、姿を消した。

「しまった!」

 すぐさま、追いかける隊員達。だが、彼らが屋上に到着した時には怪人は姿を消していた。

「…メインオーダールーム。こちら、諜報部第3小隊長池田です。33新種を発見、戦闘に入りましたが…逃げられました」

『了解しました。引き続き、付近の捜索をお願いします』

「了解」

 通信を終えた池田小隊長は通信を終えると―

「行くぞ!!」

 他の隊員達と共に捜索活動を開始した。

 

 

「それじゃあ、行ってきます!」

「いってらっしゃい。護ちゃん」

「気をつけてな」

「うん!」

 勇と愛に見送られながら家を後にする護。目の前には紫苑が運転する黒いスポーツカーが待機している。

「お待たせしました、紫苑さん」

「夜遅くにすみませんね。護君」

「新種が出てきたんですから、仕方ないですよよ」

 申し訳無さそうな紫苑の言葉に、笑顔で答える護。

「ラティ…いや、天海君の言うとおりだ…」

 と、そこへ現れる戒道。まさに『いつの間にか』という表現がふさわしい登場である。

「戒道!」 

「すまない、遅くなった」

「いえ、とにかく乗ってください」 

 紫苑の勧めで乗車する護と戒道。それから直ぐに紫苑は、夜の街へ車を走らせた。

 

 

 Gアイランドシティ全体が新種の恐怖に包まれ、紫苑が護達を迎えに車を走らせていた頃、あるビルの屋上には―

「パンジャスの進行状況はどうなっている?」

「今のところは順調だ。このペースでいけば余裕を持ってクリアできるだろう」

 あの廃工場にいた4人の男とローゼスの姿があった。 

「『制限時間内に60の獲物を己の爪で斬殺する』これがパンジャスの課したルールだったな」

「時間を半分残して、仕留めた獲物は34…何事もなければ十分達成可能なペースだが…GGGが出てきたようだ」

「雑魚ばかり殺していっても面白くあるまい。やはり少しは手ごたえのある敵がいなければな」

 目下に広がるGアイランドシティの街並みを見ながら、口々に呟く男達。その様子は文字通り『ゲームの観客』そのものであった。

 

 

 一方、護と戒道、そして紫苑は、愛用のバイクで新種捜索に参加していた唯斗と合流していた。

「しかし…蜘蛛、蝙蝠と来て、今度は豹か……特撮番組の怪人じゃないんだから…」

 誰に言うでもなくそう呟く唯斗。その体は既に『Gクラステクター』に包まれ、腰には『ウィルブレード』が鞘に収められて装備されている。戦闘準備は万全だ。

「護君。新種の反応…どう?」

「駄目です…まだ何も感じません。戒道は?」

「僕も同じだ…どうやら敵は能力を抑えて行動しているようだ…」

「そっか…」

 護と戒道の言葉に唯斗がため息をつきかけたその時、Gクラステクターに内蔵された通信機に通信が飛び込んできた。

『こ、こちら第5小隊! 捜索中の新種と遭遇! 戦闘に入りました! 直ちにぞうえ…ぎゃぁぁぁっ!』

「ッ! こちら長瀬、応答してください! もしもし…もしもし! ……くそっ!!」

 第5小隊が全滅した事を悟り、近くの標識に拳を打ちつける唯斗。護と戒道が同時に叫びを上げたのはそんな時だった。

「「新種だ!!」」

「何だって!」

「反応が少しずつ強くなってる…こっちに近づいてるんだ!!」

「どっちから来る?」

「西からです!」

「こっちのセンサーにも反応が出ました。このままならあと27秒で新種と遭遇します」

「了解…返り討ちにしてやります!」

 声と共にウィルブレードを抜刀する唯斗。やがて、新種が目視出来る距離まで接近してきた。

「行くぜ!!」

 声と共に怪人めがけて走りだした唯斗は、100mを僅か3.5秒で走るその脚力で新種へ迫り― 

「喰らえっ!!」

 気合と共にウィルブレードを横一文字に振るった。振るわれた刃は寸分違わず新種の胴に直撃し、大きなダメージを与える……筈だった。

「うわぁぁぁっ!!」

 しかし、悲鳴を上げながら吹き飛んだのは、なんと攻撃を仕掛けた唯斗の方だった。数回地面を転がり、跳ね起きる唯斗。

「一体どうなってるんだ…」

 体勢を立て直した唯斗は、ウィルブレードを構え直し、新種を睨みつける。だが―

「…我が名はパンジャス。下等生物如きが我が前に立つな…」

 そう言い残すと新種=パンジャスは再び逃走した。

「あ、待て!!」

 咄嗟に追いかけようとする唯斗。だが、パンジャスのスピードは驚異的で、一瞬の内に唯斗達の視界から姿を消してしまう。

「なんてスピードだよ…」

 敵の驚異的なスピードに思わず感嘆の声を上げる唯斗。そこへ―

『敵に感心してどうすんの…』

 と、若干呆れ気味の通信が飛び込んできた。Gキャリアーの正樹からである。

「あ、正樹さん…」

『まあ、その気持ちもわからなくも無いがな…奴の最高速度は分析の結果、軽く320kmは出ている』

「さ、320km!? 新幹線以上じゃないですか!」

 正樹の口から出た言葉に驚きを隠せない唯斗。

『ああ、並のマシンじゃ追いかけることすら出来ん…Jさんが宇宙にいる今、太刀打ちできるのは、ルナちゃんが乗ってるGストライカーくらいだな』

「る、ルナちゃん!?」

 正樹の言葉に再び驚く唯斗。だが、正樹はそれを無視し、話を続ける。

『とにかく、そっちに合流するよ。奴に対抗する手段が無い訳じゃないからね』

「は、はぁ…」

『じゃあ、また後で』 

 そこで通信は切れた。だが、唯斗はその場に呆然と立ち尽くし…そしてひと言だけ呟いた。

「正樹さんって……やっぱり、凄い人だ…」

 

 

 それから数分後、唯斗達のもとにGキャリアーが到着した。同時にGキャリアーの後部ハッチが開き、正樹が顔を出す。

「お待たせ! さあ皆、Gキャリアーの中へ!」

「え? あ…はい!」

 正樹に促され、Gキャリアーの中に入る唯斗達。

 そこにあったのはバイクだった。しかも、ピカピカの新車である。

「すげぇ……こんなバイク見たことないですよ。これって…」

「Gチェイサー。こんな事もあろうかと…そう、こんな事もあろうかと。密かに作っておいたスーパーバイクだ」

「密かにって…正樹さん、何時の間にこんな物を……」

「いやぁ、前々からポケットマネーを使ってコツコツと…ね。それで新種が出てきたもんだから、一部改造を加えてここに堂々御披露目って訳」

「凄いですね…これ何kmくらい出るんですか?」

 感心しながら、自信満々の顔の正樹に返事をしつつ、バイクを見回す唯斗。

「こいつの最高速度は340km、瞬間的になら355kmまで出せる」

「って…ことは?」

「コイツならあの新種と張り合える。いや、圧倒できる!!」

 正樹の声の後、互いに笑みを交わす2人。その笑顔は勝利を確信した会心の笑顔だ。

 捜索活動を行っていた諜報部から通信が飛び込んできたのはその時だった。

『第3小隊より通達! 現在、捜索中の新種と戦闘中。周辺の全小隊ならびに機動部隊に救援を求められたし。繰り返す―』

「唯斗君!」

「わかってます!」

 すぐさま唯斗はGチェイサーに跨るとエンジンを起動させ―

「凱達も向ってるし、俺達もすぐに追いかける!」

「はい!!」

 フルスピードで発進した。

 

 

 諜報部第3小隊とパンジャスとの戦闘は、第3小隊の圧倒的不利に進んでいた。

 銃弾はバリアで防がれ、まったくの無力。効果があると思われるグレネードは、パンジャスのスピードの前に狙いをつける事すらままならない。

 1人、また1人と殺されていき……残るは池田小隊長ただ1人となった。

「うわぁぁ!!?」

 パンジャスによって投げ飛ばされ、地面に激突した池田小隊長。その衝撃で動けなくなったところに、パンジャスが迫る。

「…死ね」

「くっ…」

 必死に起き上がろうとする池田小隊長だが、ダメージが大きく体が動かない。徐々にパンジャスが近づく。その時― 

「待ちやがれぇ!」

 1台のバイク=唯斗が操るGチェイサーが、猛スピードで接近してきた。

「喰らえ!!」 

 叫びと同時にアクセル全開のウィリー走行で、体当たりを仕掛ける唯斗。

「…そんなもの」

 当たる訳が無い。そう言いたげな表情でバイクを避けるパンジャス。しかし― 

「甘い!」

 体当たりが回避された次の瞬間、唯斗は咄嗟に前輪を地面に付けたかと思うと―

「おりゃぁ!」

 前輪を軸にしたターン(ジャックナイフターン)を行い、後輪をパンジャスに叩きつけた!!

「ぐほっ!!」

 これには不意を突かれたのか、後輪を顔面に喰らい吹き飛ぶパンジャス。

「どうだ!!」

 パンジャスが吹き飛んだのを確認した唯斗はGチェイサーから降り、池田小隊長を助け起こした。

「大丈夫ですか?」

「ああ…助かったよ」

 唯斗の声に返事を返す池田小隊長。口調こそ軽いが、その声から余裕は感じられない。 

「あとは、俺に任せてください!」

 それを察した唯斗は、池田小隊長を後ろに庇うとウィルブレードを抜刀し―

「たしか、パンジャスとか名乗ってやがったな…さっきみたいにはいかないぜ…かかって来い!」

 と、パンジャスを挑発した。だが―

「………」

 パンジャスはその挑発に乗ることなく、無言で逃走した。

「だぁ! だから、正々堂々と勝負しろよ!!」

 再び逃走したパンジャスに悪態をつく唯斗。すぐさまGチェイサーに跨り―

「だがな…今度は逃がしゃしないぜ!!」

 追跡を開始するのだった。

 

 

『機界33新種は現在、驚異的な速度で埠頭方面へ向かっています』

「了解! Gキャリアー、直ちに急行する!!」

 無線を返し、すぐさま現場へとGキャリアーを走らせる正樹、そして護達。

 別ルートで凱達も向っている。新種の包囲網は確実に狭まっていた。

 

 

 その頃、唯斗とパンジャスは―

「………」

「逃がすかぁ!」

 埠頭へと続く道路を舞台に、壮絶なデッドヒートを繰り広げていた。

 自らを大きく蛇行させ、階段を一気に飛び降り、様々な障害物を飛び越えて、なんとかGチェイサーを振り切ろうとするパンジャス。

 しかし、Gチェイサーも階段を一気に駆け降り、様々な障害物をいとも簡単に飛び越えていく。

「いける…このバイクならいける!!」

 Gチェイサーはあらかじめ引かれた線の上をなぞるかのように、ぴったりとパンジャスの後ろを追走する。

「…下等生物が!」

 湧き上がる苛立ちを押さえきれず、思わず呟くパンジャス。

 今まで数え切れないほどの獲物をこの『速さ』で仕留めてきた。誰もがこの『速さ』の前に成す術なく死んでいった。

 だが、数分前に下等生物と蔑んだ筈のこの男は、いつの間にか自分と互角の速さを得て、生意気にも自分の背後を走り続けている。それがパンジャスには許せなかった。激しい怒りがパンジャスの心を徐々に支配する。

「殺す!」

 埠頭まで2kmを切った所で、パンジャスは遂にその走りを止めた。Gチェイサーも同様に急停止する。 

「どうした? 追いかけっこはもう御仕舞いか?」

「殺す!」

「殺すって…もう少し、マシな言い方は無いのかよ。そんな在り来たりの台詞なんて、いちいち覚えていられないんだけど…」

「殺す! 殺す! 殺すぅぅぅぅぅっ!!」

 唯斗の軽口で更に逆上したのか、半ば狂乱状態となり、唯斗へ飛びかかるパンジャス。次の瞬間―

「ファイア!」

 声と共に放たれた光弾が、空中のパンジャスへ襲い掛かった。

「ぐぎゃぁぁぁぁぁっ!!」

 光弾に全身を打ちのめされ、苦悶の叫び声をあげながら、無様に落下するパンジャス。

「It hits all bullets.It is splendid[全弾命中。お見事です]」 

「ありがとう、ウィルブラスター」

 それと同時に攻撃の主=ルナの操るGストライカーが後方から接近し、Gチェイサーの横に停車する。少し前から密かに後を付いて来ていたのだ。

「ナイスタイミングです。ルナさん」

「私とウィルブラスターのコンビなら、この位簡単よ」

「流石ですね」

 そんな会話を交わしながらも、倒れたままのパンジャスに視線を送り続ける2人。すると―

「下等生物が…ふざけた真似を!」

 怒りに満ちた声と共に、パンジャスが立ち上がった。怒りと殺意に満ちた視線で2人を射抜きながら、呪詛の台詞を吐き始める。

「2人纏めて殺し―」 

 だが、その台詞はGストライカーの体当たりによって、あっさりと中断させられた。衝突の衝撃を何とか堪え、Gストライカーにしがみつくのがやっとのパンジャス。

「少しの間、そのままでいてもらうわよ!」

 言うが早いか、ルナはGストライカーのスピードを上げ、埠頭へと向かう。唯斗のGチェイサーも後に続く。

 

 

 その頃、埠頭の北端では、凱達と合流した正樹達が、その時を待っていた―

「見えた!」

 正樹の声に全員が視線を送ると、そこには埠頭へ猛スピードで迫るGチェイサーとGストライカーの姿が。

 唯斗達も正樹達の姿を確認すると、それぞれのマシンを急停止させる。

 パンジャスだけが急停止の反動に耐え切れず、無様に吹き飛び、地面に墜落する。

「ぐっ…下等生物どもに…これほどの屈辱を……」

 何とか立ち上がるパンジャスの目に映ったのは、それぞれの武器を構えた凱、唯斗、ルナの姿。

「下等生物、下等生物って…お前、人間舐め過ぎなんだよね!」

「人間の力、たっぷりと見せてやるぜ!」

「今の内に降参した方が、身の為よ!」 

「ふ…ふざけるな! この下等生物どもぉぉぉっ!!」 

 3人の言葉で完全な狂乱状態になったパンジャスが、3人に襲い掛かる。だが、それはあまりに無謀と言うものだった。

 

 

「シャァァァッ!!」

 数十人の罪無き人々を惨殺したパンジャスの鋭い爪が唯斗に迫る。だが、唯斗はその爪をウィルブレードで受け止め―

「でやぁっ!」

 逆にがら空きのボディへ蹴りを叩き込む!

「ぐほぉ!」

 強烈な衝撃に体を『く』の字へ曲げながら、10m近く後ずさるパンジャス。何とか、体勢を立て直すが―

「「はぁぁぁっ!!」」

 間髪入れずに凱と唯斗の同時攻撃が放たれた。

 パンチ、キック、そしてマチェットとブレードの同時斬撃。まるで長年のコンビのようにピッタリと息の合った動きで、パンジャスを攻める2人。

 そして、2人が離れると―

「たぁぁぁっ!!」

 今度はルナが攻撃を仕掛けた。

 流れるような動きで、上段回し蹴りを連続で叩き込む。半ばサンドバック状態で蹴りを受け続けるパンジャス。更にルナは、ウィルブラスターの銃口をパンジャスの腹部に押し付け―

「ファイア!」

 容赦なく引き金を引いた。銃口から光弾が放たれる度に、パンジャスの体には風穴が開き、そこから体内の生体マシンやオイルが噴出していく。

「あ、が、ぐぁ…」

 声にならない声を搾り出しながら、ヨロヨロと後ずさり、体内の再生を開始するパンジャス。だが、それを許すルナではない。

「止めを刺すわよ。ウィルブラスター!」

「Yes,Master」

「システムチェンジ! バスターフォーム!!」

「System change」

 次の瞬間、ウィルブラスターは姿を変えた。収納していたセンサーユニットを展開、更に折りたたまれていた銃身を追加した長距離戦闘形態『バスターフォーム』へと!!

 ルナは変形を完了したウィルブラスターの銃口をパンジャスへ向け―

「これで終わりよ! ファイア!!」

 その引き金を引いた。次の瞬間、今までとは比べ物にならない程強力な光弾が放たれ、パンジャスを飲み込んだ。

「うぎゃぁぁぁぁぁっ!!」

 強力なGパワーの塊である光弾を喰らったパンジャスは、断末魔の叫び声を上げながら倒れ、直後大爆発を起こした。

「お見事です、ルナさん」

「ありがとう。でも、私とウィルブラスターのコンビなら、この位簡単よ」

「そうでしたね」

 燃え続けるパンジャスの残骸を見ながら、そんな会話を交わすルナと唯斗。だが―

「「新種だ!!」」

 穏やかな雰囲気も護と戒道の声で一気に吹き飛んだ。

「パンジャス…ゲームオーバー」

 そして、何処からともなく響く冷たい呟き。

「この声は!!」

 全神経を集中して周囲を見回す凱達。その声の主はすぐに見つかった。

「機界33新種、ローゼス!!」

 そう、声の主はあのローゼスであった。

「………プログラム再構成…無差別破壊モードに移行」

 そう言って左腕を天に掲げるローゼス。次の瞬間、空間が切り裂かれ、そこから今倒したパンジャスを巨大化したようなロボット。そして新種核が出現した。

 それを見た唯斗は、すぐさまウィルブレードを『バイパーフォーム』に変え―

「巨大化なんかさせるか!」

 ローゼスへ攻撃を仕掛けた。風を切る音と共に刃の鞭がローゼスに迫る。だが―

「無駄だ」

 そう呟いたローゼスが右腕を軽く振るうと、その攻撃はあっさりと弾き飛ばされ―

「うわっ!」

 それどころか、攻撃を仕掛けた唯斗自身も強烈な衝撃波に吹き飛ばされてしまう。

「お前達はまだ、私と戦う時ではない…」

 冷たくそう言い放つローゼスの背後で、パンジャスの残骸を吸収した新種核は巨大ロボットの元へ飛び、一体化した。

「…破壊と混沌の使者よ。この地に災厄をもたらしたまえ…」

 そしてローゼスはそう言い残すと、空間に溶け込み、そして消えた。

「待て! くそっ!!」

「奴の事は後回しだ。唯斗君、まずはアイツを何とかするぞ!!」

「了解です!」

「来いっ! ブレイブガオーッ!!」

「リュシフェルガオー! スクランブル!!」

「ギャレオーンッ!!」

 それぞれの主の声に応え、3機のメカがエクセルベースから飛び出した。

 

 

 埠頭から市街地へ移動しようとするパンジャスに、3体のメカノイド=ガイガーEX、ネオガイガー、Vガイガーが立ち塞がる。

「ゾンダーレギオン!」

 パンジャスもESウインドウを開き、ゾンダーレギオンを召喚した。その数30体。すぐに大乱戦が始まった。

 

 

「GFシステム起動!」

 凱の声が響くと共に、ガイガーEXの四肢が緑の光を纏う。  

「うぉぉぉっ!!」

 そのままスラスターを全開にして、前方のゾンダーレギオンへと突進。放たれる怪光線を類稀な機動性で回避しつつ、肉薄すると―

「はぁっ!」

 緑の光を纏った拳を左右連続で叩き込んだ。その拳はバリアを突破し、ゾンダーレギオンの胴体に拳の跡を刻みつけていく。

「たぁっ!」

 そのままの勢いで上段回し蹴りを放ち、今度はその頭を蹴り砕いた。直後、爆発するゾンダーレギオン。

『凱、ステルスとライナーの修理が終わってないから、ブレイブにはなれない。そのつもりで』

「わかってる!」

 

 先のバトラスとの戦いで中破したライナーガオーEXとステルスガオーEX。

 資材不足の為に修理できずにいたが、昨日になってようやく資材が到着。修理が開始されていた。

 その為、この戦いには投入できないのである。

 

『Jさんは火星軌道まで哨戒に行ってるし、新種は唯斗君と護君に任せて、バックアップに回った方が良いかもね。今回は』

「ああ、2人になら安心して任せられる!」

 正樹からの通信に答えながら、更に3体のゾンダーレギオンを撃破したガイガーEXは、5体目の目標目掛けて突進した。

 

 

「はぁっ!」

 スラスター全開で目の前のゾンダーレギオンに突撃するVガイガー。迎撃の為にゾンダーレギオンが放った怪光線を易々と回避すると―

「レーザーチャージングブレード!」

 声と共にVガイガーの両腕に装備されたブレードを光の刃に変え―

「でやぁっ!」

 気合と共に振るった。一瞬の間を置き、胴体を斬り裂かれたゾンダーレギオンが爆発する。

 それを見た別のゾンダーレギオンが距離を取ろうと後退するが―

「ブレードキャノン!」

 Vガイガーはブレードの柄に装備されたビームキャノンを連射。その火線はバリアを一瞬の拮抗の後突破。ゾンダーレギオンを蜂の巣にしていく。

 

 

「Gクレッセント!」

 声と共に、ネオガイガーの右腕が左肩装甲を掴むと、装甲の一部が切り離され、小型のブーメランに変化する。

「いっけぇ!!」

 気合と共に放たれたブーメランは、独特の軌道を描きながら目の前にいるゾンダーレギオンに迫り、その左腕を切り落とす。

「ゾォンダァァァー!」 

 左腕を切り落とされた事に一瞬怯み、咆哮をあげるゾンダーレギオン。当然、その時に生じる隙を見逃すネオガイガーではない。一気に間合いを詰めると―

「ガイガースラッシャー!」

 左腰の鞘からガイガースラッシャーを抜刀した。胴体を両断され、爆発するゾンダーレギオン。

 

 

 約5分後、そこにいたゾンダーレギオンは、全てがスクラップに変えられ、地面に積まれていた。この3人にとっては準備運動程度の感覚である。それでも5分かかったのは数が少々多かったからである。

「ぬ、ぐ…」

 召喚したゾンダーレギオン全てを撃破され、怒りで言葉を失うパンジャス。その時、地面を突き破り『何か』が飛び出してきた。

「な…」

 突然の事態に、パンジャスが状況を理解するのに一瞬の間を要した。そして、その一瞬が最悪の結果を招く事となる。

 地面から飛び出してきたのは、それぞれ前面に鋭いドリルを装備した2機の戦闘車両。ネオドリルガオーとストライクガオーだった。飛び出した2機はそのまま一直線に宙を舞い、パンジャスの腹部に激突する。

「げほっ…」

 無防備状態での激突に苦悶の声を漏らすパンジャス。そこへ追い討ちをかけるかのように、2機はそれぞれが装備するドリルを回転させる。

「うぎゃぁぁぁぁぁっ!!」

 高速回転するドリルに容赦無く腹部を抉られ、悲鳴をあげるパンジャス。同時に2機はパンジャスから素早く離れ、第2陣に攻撃を任せた。 

 第2陣として飛来したのは、ネオステルスガオー、ネオライナーガオー、ウイングガオー、ソニックガオー、ブリッツガオーの5機だ。

 ウイングガオーは、機首の大型ビーム砲と機体上部の2連装反中間子砲で、ソニックガオーとブリッツガオーは両翼のポッドから放つマイクロミサイルで猛攻撃を仕掛けた。瞬く間にパンジャスの全身が炎で彩られる。

 そこへ追い討ちをかけるように、ネオステルスガオーとネオライナーガオーが最高速で体当たりを仕掛けた。

「ぐほぁっ!」

 口から苦悶の声を漏らしながら、地面を転がるパンジャス。同時にVガイガーとネオガイガーが一気に飛びあがる。

 

 

「長官! Vガイガー、ネオガイガーから要請シグナルです!」

「うむっ! ネクスト! ネオファイナルフュージョン、承認ッ!!」

「了解! NEXTFUSION!」

「ネオファイナルフュージョン…」

「「プログラムドラーイブッ!!」」

 大河の承認とほとんど同時に、スワンの拳とグラナートの手にしたハンマーが、それぞれのセーフティーカバーを叩き割る。

 

 

「ネクスト!」

「ネオ! ファイナル!」

「「フュージョォォォォォン!!」」

 その咆哮と共に、Vガイガーとネオガイガーが発した電磁竜巻の中へ、それぞれのガオーマシンが突入した。同時に、各々のマシンが変形を始め、合体が開始される。そして、電磁竜巻を吹き飛ばし、2体の鋼の巨人が名乗りをあげた。

「ネクスト! ガオ! ガイ! ガァァァァッ!!」

「ガオ! ガイ! ガァァァァッ!! アァァァァルッ!!」

 名乗りを終えると同時に大地へ降り立った2体の勇者王は、パンジャスとの激闘を開始した。

 

 

「反中間子砲!」

 最初に動いたのはネクストガオガイガーだった。背面部の2連装反中間子砲を展開し、反中間子ビームを連射する。

「遅い!」

 矢継ぎ早に放たれる反中間子ビームを、次々と回避していくパンジャス。すると―

「マイクロミサイル、発射!」

 今度は両脚のミサイルポッドから放たれた無数のマイクロミサイルが、パンジャスへ襲いかかった。

「この程度!」

 当たる訳が無い。そう言わんばかりの動きで、マイクロミサイルを全て回避するパンジャス。だが―

「この程度の攻撃で仕留められるなんて、思ってないよ」

 それは護の予想範囲内だった。

「そう言う事!」

 マイクロミサイルを回避したパンジャスの目の前に、突如現れるガオガイガーR。弾幕を隠れ蓑にして、密かに接近していたのだ。 

「でやぁっ!」

 護達の真の狙いに気付いたパンジャスが何かを言うよりも早く、ガオガイガーRの拳がパンジャスの顔面に叩き込まれた。

「ぐほぁっ!」 

 鼻を潰されたパンジャスの口から苦悶の声が響き、同時に折れた牙が飛び散る。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」

 ガオガイガーRの攻撃は止まらない。マシンガンのように放たれる突きのラッシュが、パンジャスを滅多打ちにしていく。

 完全にサンドバック状態となり、殴られ続けるパンジャス。そして―

「オラァッ!!」

 渾身の右アッパーがパンジャスの顎に炸裂した。顎を完全に潰され、粉々になった牙やオイルを周囲に撒き散らしながら、宙を舞うパンジャス。そこへ―

「ハァァァッ!!」

 駄目押しと言わんばかりに、ガイガーEXが渾身の力を込めた蹴りをがら空きのボディへ叩き込んだ!

「ゲボォッ!」

 蹴りを食らった直後、何かが潰れるような音と共に地面へと落下するパンジャス。

「げ、ご…がぁ…」

 原形を留めない程グシャグシャに潰された顔面を、そして大きなダメージを負った体を再生させながら、ヨロヨロと立ち上がるが、唯斗達がそれを黙って見逃す筈が無く―

「再生なんか、させるかよ!」

 止めを刺す為に、ガオガイガーRが飛びかかった。

 

 再生途中のパンジャスを再度殴り倒し、核を摘出する。

 

 誰もが、数秒後に繰り広げられるであろう光景を容易に想像できた。だが―

「っ!」 

 止めの鉄拳を振り下ろす寸前、唯斗は言いようの無い悪寒に首筋を撫でられた。それと同時にパンジャスの両手から光が迸る。

「ちぃっ!」

 反射的にガオガイガーRが回避運動に入ったのと、パンジャスが光の迸る右手を振り上げたのは、ほぼ同時だった。

「………危なかった」 

 そう呟きながら、パンジャスと距離を取るガオガイガーR。そのヘッドギアは一部が破損し、左側の鍬形が半ばから切り落とされていた。あと一瞬でも回避が遅れていたら、この程度のダメージではすまなかっただろう。

「下等生物ども…褒めてやるぞ」

 再生を終えたパンジャスが、ニヤリと笑いながら構えを取る。その両手からは光が迸り、光の刃を形成していた。

「私に…この切り札を使わせるのだからなぁ!」

 次の瞬間、光の刃を振るい、ガオガイガーRに斬りかかるパンジャス。2振りの光の刃が唸りを上げてガオガイガーRを襲う。

「舐めんな!」

 自らを斬り裂こうと襲い掛かる光の刃を、ガオガイガーRは紙一重で避け続け―

「でやぁっ!」

 攻撃の合間に生じる僅かな隙を突いて、パンジャスのボディに蹴りを叩き込み距離を取る。

「マイクロミサイル、発射!」

 そこへネクストガオガイガーが、マイクロミサイルの連射で追い討ちをかけるが―

「無駄だ!」

 パンジャスは左手の五指から光線を放ち、全てのミサイルを撃墜する。

「剣だけじゃなく、飛び道具もありかよ…」

 忌々しげに呟く唯斗。正樹からの通信が飛びこんできたのはそんな時だった。

『皆、聞こえるか?』

「正樹、あいつの両手はどうなっているんだ?」

『一言で言ってしまえば、全距離対応のマルチウェポンってところだな。両手の指1本1本が高出力のビーム砲であり、指先を揃える事で高出力のビームソードになる』

「なるほど、見下してた相手にボコボコにされたもんだから、慌てて切り札投入ってわけか」

『身も蓋も無い言い方だけど、そうなるね』

「どっちにせよ、切り札が何か解れば戦いようはある!」

「ええ、切り札の1つ位で俺達に勝とうなんて、大間違いだって事を教えてやりましょう!」

 そう言うが早いか、パンジャスへ突撃するガイガーEXとガオガイガーR。

「馬鹿め、真正面から来るとは…蜂の巣にしてくれる!」

 次の瞬間、ガオガイガーRとガイガーEXに無数の火線が襲いかかった。一発でも食らえば、大ダメージは避けられない。そんな怒涛の攻撃を掻い潜り、パンジャスに肉薄する2体。

「シャァァァッ!!」  

 それに反応し、パンジャスも光の刃を両者へ振り下ろす。次の瞬間―

「な…馬鹿な!」

 パンジャスは己の目を疑った。何故なら、己の切り札として絶対の自信を持っていた光の刃。それが、目の前の目標に届く寸前で受け止められていたから。

「一度に2つの白刃取りは無理でも!」

「1つずつなら、何とかなる!」

 数秒後『グシャッ』『ボキィッ』という音が周囲に響く。ガオガイガーRが、渾身の力でパンジャスの右腕を圧し折ったのだ。

 声にならない叫びを上げるパンジャスを無視して、ガオガイガーRは左腕も圧し折る。そして―

「今だ! 護!!」

 凱の声と共に2体がパンジャスから離れると―

「フルブラスト! いっけぇぇぇっ!!」

 ネクストガオガイガーが、その全身に装備された火器を開放した。

 背面部に装備された『2連装反中間子砲』。

 両腕に装備された2連装メーザー砲『ツインメーザーキャノン』。

 両足に装備された『マイクロミサイルポッド』と『パルスレーザー砲』。

 それら全てが一斉に火を噴き、圧倒的な火線が豪雨のようにパンジャスの元へ降り注いだ。瞬く間にパンジャスの周囲の地面が大きく抉れ、大爆発を起こす。

「ぐぉぉぉ…」

 爆発が収まった時、爆発の中心部には体のあちこちを吹き飛ばされ、苦悶に満ちた呻き声を上げるパンジャスがいた。

「止めだ! 護君!!」

「はい!」 

 間髪いれずにネクストガオガイガーは両腕を交差させ、一気に左右に広げるとあの技の名前を叫ぶ!!

「ヘル! アンド! ヘブン!!」

 ネクストガオガイガーの両腕に異なる2種類の光が輝く!

「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ…」

 呪文の詠唱と共に両腕を徐々に合わせていく。そして両手が合わさった瞬間、神々しい光が周囲を包む。

「ウィータッ!!」

 次の瞬間、凄まじい光の奔流がパンジャスへ放たれ、そこで勝負は決した。

 

 

 激闘に終止符が打たれた直後。あの廃工場には、あの男達4人とローゼスの姿があった。

「敗れたか…パンジャス」

「速さだけが取り柄の奴だったからな。ある意味当然の結果だろう」

 会話を交わす5人の表情からは、倒された仲間への憐れみなど一欠けらも感じられない。あるのはただ、弱者への侮蔑のみ。

「次のプレイヤーは?」 

「…俺だ」

「ゲームのルールは?」

「すでに決めている…」

 そう言うと、1枚のカードをローゼスへ投げ渡す男。今、新たなゲームが始まろうとしていた。

 

 

 

君達に最新情報を公開しよう!!

 

来日した獅子の女王の前に立ちふさがる謎の影

その恐るべき能力に一度は敗れる獅子の女王

だが、敗れたままの彼女ではない!!

愛する者の生み出した新たな力で、今こそ逆襲のスタートだ!!

 

勇者王ガオガイガーR -EPISODE07-

 

『復活』

 

次回もこのURLにネオ・ファイナルフュージョン承認!!

 

 

これが勝利の鍵だ!!

 

『ウィルスナイパー01&02』

 

 

 

勇者王ガオガイガーR用語辞典

 

第7回『私立創星学園』

 

護達が通う中高一貫の私立学園。

創立3年と歴史の浅い新設校ではあるが、全国トップクラスの施設と豊富な講師陣を有しており、学業・スポーツ・芸術の各分野で優秀な成績を残している。

校舎はGアイランドシティ郊外にあり、護の家からだとバスでおよそ20分の距離。




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