近鉄
わざわざ区切っているのは、何故なのだろうか?私は正直、「一体化して鳥羽線でいいじゃん」とか、カルデアに帰ったあと路線図を眺めながら思ったのだが、多分歴史的背景があるのだろう。深くこの小説では突っ込んではいけない気がしてきた。
そして、いま私は山田線の普通列車に揺られている。
ろくに放送を聞かなかった私が悪いのだが、たった今あとから発車した急行列車に追い抜かされていった。少し無駄な時間を過ごしているみたいで、若干後悔している。私は目的地には早く行きたい派だ。
宇治山田は伊勢神宮の最寄り駅である。駅前のバス乗り場からは、
伊勢神宮といえば、多くの人はおかげ横丁がある内宮を思い浮かべる。しかし、私は
時間は16時を過ぎていた。今からバスで行っても、内宮は本殿に辿り着くかさえあやしい。
外宮は、内宮に比べればバスの本数は少ないが、宇治山田から近いので、本殿までなら行ける。
駅を出て、乗り場でバスを待つ。乗り場からは、歴史ある宇治山田の駅舎がよく見える。
宇治山田駅舎は、重要文化財に指定されている。
綺麗な駅舎だが、実は私が訪れる1週間程前に台風の影響で、駅舎内が浸水してしまっていたらしい。
しかし、そんなことは無かったかのように、爪痕は残っていなかった。私が見つけられなかっただけで、実はあったかもしれないが。
やがて、三重交通のバスが来た。だが、それはただのバスではなかった。
何かデザインが施されている。それはまるで昔の路面電車のようだった。
後ろの扉が開き、車両に乗り込む。
車内も木を基調としており、青いソファがまた懐かしく感じる。
照明も、ノスタルジックな丸いものになっていた。
やがて扉が閉まる。そのときも、路面電車のように「チンチン」という音がする。
あとから調べたのだが、このバスは
バスには、私以外の客は乗っていなかった。
伊勢市駅を経由して、約10分ほどで外宮前に着いた。
閉門時間ギリギリということもあってか、外宮前の人通りは少なく、静かだった。
信号を渡り、薄暗い外宮の杜に入っていく。参道には行灯があまり設置されていないので、奥に進むにつれてだんだんと暗くなっていく。
参道を抜けると、授与所がある。穏やかな明かりがついていて、それがどこか幻想的である。
授与所を過ぎると立派な門があり、その奥には拝殿が建っている。
門をくぐって拝殿前まで行き、賽銭箱に5円玉を入れる。
ゆっくりと2礼•2拍手•1礼をする。
一連の動作が済むと、私は入り口に引き返すのだった。
外宮前からまっすぐに延びる参道は、伊勢市駅まで続いている。道の両脇には飲食店や土産物店が立ち並んでおり、昼間なら賑わいを見せていたことだろう。しかし、時間は17時を過ぎ、陽も沈みかけていた。
もうあとは名古屋に帰るだけなのだが、せっかくなので伊勢名物でも食べていくことにした。
伊勢名物と言っても、伊勢うどん、てこね寿司、赤福、お福餅などいろいろある。
私は、安易に店が見つかるだろうと思っていたが、ほとんどの店が神宮と同じ時間で営業しているため、20分ほど探して歩いた。
迷った結果、奮発しててこね寿司を夕食にすることにした。
入ったのは、大きな生け簀がある海産物店だった。
券売機で食券を買い、席につく。
てこね寿司には、大きく2種類が存在する。1つ目はカツオのてこね寿司である。てこね寿司は、もともとカツオで作っていたものがはじまりとされている。
2つ目はマグロのてこね寿司である。これは観光客向けの店に多い。
しばらくして、運ばれてきたてこね寿司はマグロのてこね寿司だった。
鮮やかな赤色が食欲をそそる。
一緒にあおさの味噌汁がついて950円なら、安いものだ。
私はゆっくりとてこね寿司を味わった。
美味しいものを食べているときが、今は1番の幸せだ。
伊勢市駅から列車に乗る。急行 名古屋行き。
楽しかった3日間はあっという間だったと、流れていく車窓を見つめながら私は思っていた。
この静かな車内も、しばらくの間お別れだ。
津からは、また客が大勢乗ってくる。
伊勢市から1時間と30分ほどで車内放送が終点を告げる。
ドアが開き、客が一斉に降りていく。
私もあとに続いて、改札を目指す。
改札まで来たとき、私は改札の外に見覚えのある姿を見つけた。
「おかえりなさい、先輩」
改札を抜けると、私はマシュの胸に飛び込んだ。
マシュの胸のなかは、ほんのりと温かかった。
「ただいま、マシュ」
私たちと近鉄は、いつまでも走り続ける…。
完
どうも、魂魄せんむです。
ついに最終回を迎えることができました!書いてる方は結構あっという間だったな、という感じがしてます。
次回作も書きますので、また読んでくださいね。
では、また!