ぐだ子のぐだぐだ旅   作:魂魄せんむ

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 この小説には、近鉄沿線市町村に対する作者の偏見が多数含まれておりますが、悪意は全くもってございませんので、あらかじめご了承ください。


第11話 おかげ横丁?ナニソレオイシイノ??

 近鉄山田(やまだ)線をご存知だろうか?伊勢中川(いせなかがわ)宇治山田(うじやまだ)間は鳥羽(とば)線ではなく、正式には山田線である。一方の鳥羽線は宇治山田〜鳥羽間にあたる路線のことだ。2つの路線は一体化して運転されることが多いので間違われることがしばしばある。

 わざわざ区切っているのは、何故なのだろうか?私は正直、「一体化して鳥羽線でいいじゃん」とか、カルデアに帰ったあと路線図を眺めながら思ったのだが、多分歴史的背景があるのだろう。深くこの小説では突っ込んではいけない気がしてきた。

 そして、いま私は山田線の普通列車に揺られている。

 ろくに放送を聞かなかった私が悪いのだが、たった今あとから発車した急行列車に追い抜かされていった。少し無駄な時間を過ごしているみたいで、若干後悔している。私は目的地には早く行きたい派だ。

 伊勢市(いせし)を過ぎれば宇治山田に到着する。

 宇治山田は伊勢神宮の最寄り駅である。駅前のバス乗り場からは、内宮(ないくう)へのバスがたくさん出ている。

 伊勢神宮といえば、多くの人はおかげ横丁がある内宮を思い浮かべる。しかし、私は外宮(げくう)に行くことにした。何故なら、内宮は遠いからだ。

 時間は16時を過ぎていた。今からバスで行っても、内宮は本殿に辿り着くかさえあやしい。

 外宮は、内宮に比べればバスの本数は少ないが、宇治山田から近いので、本殿までなら行ける。

 駅を出て、乗り場でバスを待つ。乗り場からは、歴史ある宇治山田の駅舎がよく見える。

【挿絵表示】

 

 宇治山田駅舎は、重要文化財に指定されている。

 綺麗な駅舎だが、実は私が訪れる1週間程前に台風の影響で、駅舎内が浸水してしまっていたらしい。

 しかし、そんなことは無かったかのように、爪痕は残っていなかった。私が見つけられなかっただけで、実はあったかもしれないが。

 やがて、三重交通のバスが来た。だが、それはただのバスではなかった。

 何かデザインが施されている。それはまるで昔の路面電車のようだった。

【挿絵表示】

 

 後ろの扉が開き、車両に乗り込む。

 車内も木を基調としており、青いソファがまた懐かしく感じる。

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 照明も、ノスタルジックな丸いものになっていた。

【挿絵表示】

 

 やがて扉が閉まる。そのときも、路面電車のように「チンチン」という音がする。

 あとから調べたのだが、このバスは神都(しんと)バスといい、昔この伊勢を走っていた三重交通の路面電車•神都線をイメージして2013年の式年遷宮(しきねんせんぐう)のときに造られたそうだ。木製の車内はもちろん、パンタグラフなどもしっかり再現されている。イベント時には、運転士の制服も路面電車時代を再現したものになるらしい。

 バスには、私以外の客は乗っていなかった。

 伊勢市駅を経由して、約10分ほどで外宮前に着いた。

 閉門時間ギリギリということもあってか、外宮前の人通りは少なく、静かだった。

 信号を渡り、薄暗い外宮の杜に入っていく。参道には行灯があまり設置されていないので、奥に進むにつれてだんだんと暗くなっていく。

 参道を抜けると、授与所がある。穏やかな明かりがついていて、それがどこか幻想的である。

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 授与所を過ぎると立派な門があり、その奥には拝殿が建っている。

 門をくぐって拝殿前まで行き、賽銭箱に5円玉を入れる。

 ゆっくりと2礼•2拍手•1礼をする。

 一連の動作が済むと、私は入り口に引き返すのだった。

 

 外宮前からまっすぐに延びる参道は、伊勢市駅まで続いている。道の両脇には飲食店や土産物店が立ち並んでおり、昼間なら賑わいを見せていたことだろう。しかし、時間は17時を過ぎ、陽も沈みかけていた。

 もうあとは名古屋に帰るだけなのだが、せっかくなので伊勢名物でも食べていくことにした。

 伊勢名物と言っても、伊勢うどん、てこね寿司、赤福、お福餅などいろいろある。

 私は、安易に店が見つかるだろうと思っていたが、ほとんどの店が神宮と同じ時間で営業しているため、20分ほど探して歩いた。

 迷った結果、奮発しててこね寿司を夕食にすることにした。

 入ったのは、大きな生け簀がある海産物店だった。

 券売機で食券を買い、席につく。

 てこね寿司には、大きく2種類が存在する。1つ目はカツオのてこね寿司である。てこね寿司は、もともとカツオで作っていたものがはじまりとされている。

 2つ目はマグロのてこね寿司である。これは観光客向けの店に多い。

 しばらくして、運ばれてきたてこね寿司はマグロのてこね寿司だった。

 鮮やかな赤色が食欲をそそる。

【挿絵表示】

 

 一緒にあおさの味噌汁がついて950円なら、安いものだ。

 私はゆっくりとてこね寿司を味わった。

 美味しいものを食べているときが、今は1番の幸せだ。

 

 伊勢市駅から列車に乗る。急行 名古屋行き。

 楽しかった3日間はあっという間だったと、流れていく車窓を見つめながら私は思っていた。

 この静かな車内も、しばらくの間お別れだ。

 津からは、また客が大勢乗ってくる。

 伊勢市から1時間と30分ほどで車内放送が終点を告げる。

 ドアが開き、客が一斉に降りていく。

 私もあとに続いて、改札を目指す。

 改札まで来たとき、私は改札の外に見覚えのある姿を見つけた。

「おかえりなさい、先輩」

 改札を抜けると、私はマシュの胸に飛び込んだ。

 マシュの胸のなかは、ほんのりと温かかった。

「ただいま、マシュ」

 

 

 私たちと近鉄は、いつまでも走り続ける…。

 

 

                     完 




 どうも、魂魄せんむです。
 ついに最終回を迎えることができました!書いてる方は結構あっという間だったな、という感じがしてます。
 次回作も書きますので、また読んでくださいね。
 では、また!
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