ぐだ子のぐだぐだ旅   作:魂魄せんむ

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この作品には近鉄沿線市町村に対する作者の偏見が随所で見られますが、悪意は全くありませんので、どうかご了承ください。


第2話 カルデアマスターは北へ征く

 奈良県桜井市。奈良市の南部に位置し、まちの至るところに重要文化財などが点在している。桜井駅はまちの玄関口のようなもので、JR桜井線と近鉄大阪線が乗り入れる。もちろん、特急は通過する。

 

 午前9時、私はまさにそこにいた。

「スゴーイ!何もなーい!!」

 駅の北口。小さなロータリーがあるが、しんとしている。

 静かだ。東を望めば見えるは緑の山。駅前はお洒落なお店が並んでいる…、訳ではなく古びた木造建築の商店がところどころ開いているだけだ。例えるなら、The 田舎。某テレ東の番組に出てきそうな雰囲気だった。

 駅前の駐輪場でレンタサイクルを借りた私は、最初の目的地に向かって、線路伝いに東に自転車を漕いだ。

「きもちいー!」

 涼しい秋風が私の顔を撫でていく。しばらくすると、学校が見えてきた。奈良県立桜井高校だ。古い校舎に広い校庭、まさに田舎だ。坊主頭の野球児達がバットで素振りをしたり、監督に怒鳴られながら走ったりしている。

 学校の角を曲がり、住宅街のなかをとばしていく。やはり静かだが、人の姿はない訳ではない。家と家の間のあちらこちらに三輪素麺(みわそうめん)の看板が見える。

 三輪素麺はこの地域の名産品で、日本三大素麺にも数えられるらしい。本来なら買おうか買うまいかさぞ迷っただろうが、今は11月である。素麺の時期ではない。

「また今度来たときにしよっと」

 独り言をつぶやきながら住宅街を抜ける。

 抜けた先にあったのは小さな川だった。名古屋とは違い、水が澄んでいる。

 川に架かる小さな橋を渡った先に大きな石碑が立っている。『仏教伝来の地』と書かれているこの石碑の他には川沿いには何もなかった。ただ小さな橋が幾つも架かっているのが見えるだけである。

 この石碑の詳細は省くので、是非とも自分の目で確かめてきてほしい。ここに書かないのは、決して面倒くさいからではない。

 石碑を通り過ぎ堤防を下ると、先程までの道よりもさらに細い道になっていく。

 本当にこの道で合っているのか心配になってくる。何度も何度もグーグル先生に聞いてみるが、一向にその道を先生は指している。

 先生を信じて私はどんどん進んでいく。またまた急に道が狭くなっていく。両側は家ばかり。まさに住宅密集地帯だ。

 しばらく進むと、突然看板が現れた。その看板通りに自転車を漕ぐ。坂道になっていて進むのがキツい。

 登りきると、そこが目的地だった。

  海柘榴市観音(つばいちかんのん)。海柘榴市は古代から栄えた交易市で、「源氏物語」などの古代小説や歌垣にも登場している。建物自体は新しく、まだ建て替えたばかりのようだった。

 観音には、自分以外は誰も居なかった。駅前よりも静かだ。鳥の囀る声が聞こえる。

 自分はお賽銭箱に5円玉を入れた。そして、「早く人理修復が終わりますように」と、お願いしておいた。

 

一休みし、私はまた自転車を漕ぎ出した。次に向かう場所はさっきの場所からはさほど遠くない。しかし、道はエグいほどキツくなっていった。

 坂道が続き、住宅街が雑木林になり、しまいにはアスファルトが砂利道に変わっていた。気分としては山の中を自転車で駆け抜けているようだった。

【挿絵表示】

 

 10分ぐらいして、ようやく着いた。距離はないのに、私はもうヘトヘトだった。

 大神神社(おおみわじんじゃ)だ。周りには神社以外に何もないが、立派な本堂が見える。境内にはたくさんの人がいた。時期も時期なので、袴や振り袖を着た子どもたちが、千歳飴を持って境内を走りまわっていた。

 私は、おみくじがあったので引いてみることにした。引いた番号を社務所の巫女さんに伝えると、細長い紙切れが渡された。

 ゆっくりとおみくじを開いて見てみる。

 大吉だ。

 ああ、何でこういうところだけ良いのが出るんだろう。ピックアップガチャでは☆5サーヴァントはほとんど出たことがないのに。

 大吉を引いたのに、何か余計な運を使ってしまったような気がして、私は複雑な気持ちになった。

 

 また自転車を漕ぐ。ひたすら北に向かって。風もほとんどなくスイスイ進む。

 住宅街を抜け、やっと車の通りが多い大きな道に出た。しかし、景色はあまり変わらなかった。

 畑、畑、畑、1つとんでまた畑。人通りも信号も少ないので、次の目的地には3キロほど離れていたにもかかわらず、15分足らずで到着した。

 大和神社(おおやまとじんじゃ)だ。ここはかの有名な戦艦「大和」と深い結びつきがある神社として、一部の人たちの間では名の知れた場所だ。戦死した「大和」の乗組員、約2000人もの御霊を祀っている。

 境内にはそれほど人の姿はなく、静かだった。どこからか列車の通る音が聞こえる。

 境内の端の方に、大和の資料室のようなところがある。中に入ると、私のテンションは一気に上がった。

「すごい…!」

 木で作られた大和の模型だ。主砲、副砲、艦橋に至るまで緻密に作られている。しかも大きい。私が腕をめいっぱい広げても、それよりも大きかった。なかには木製のものもある。

【挿絵表示】

 

 それ以外にも資料室の中は大和の模型で埋め尽くされていた。

 私は15分ほどまじまじとそれらを見つめていた。

「かっこいい…。」

 それしか言葉が出なかった。




 魂魄せんむです。
 第2話である今回は奈良の北をメインに書いてみました。
 読んでみて、どこか行ってみたい場所はあったでしょうか?私のオススメは大和神社です。資料室、好きな人は本当にテンション上がりますよ。JR桜井線 長柄駅から徒歩数分なのでよかったら行ってみてくださいね。
 また3話の後書きで会いましょ。
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