ぐだ子のぐだぐだ旅   作:魂魄せんむ

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 この小説には、近鉄沿線市町村に対する作者の偏見が多く含まれておりますが、悪意はございませんのでご了承ください。


第4話 吉野行って御所行って

 私が乗った特急 吉野行きは2両編成だった。リニューアル工事を終えた古い車両だ。

 列車は緩やかなカーブを描きながらゆっくりと進んでいく。特急とは思えないほどのゆっくりさである。カーブを抜けても、依然として列車のスピードは変わらない。

 岡寺(おかでら)駅を通過し、飛鳥(あすか)駅に到着する。飛鳥駅は思ったより大きな駅ではなかった。どこにでもあるような、いたって普通のまちの駅だった。

 列車が再び動き出すと、私は座席の肘掛けからテーブルを出して、その上に橿原神宮前駅の売店で買った、柿の葉寿司を広げた。箱を開けると、柿の葉のいい香りがする。

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私が買った柿の葉寿司は6個入りで、鮭、鯛、鯖の寿司がそれぞれ2個ずつ入っていた。口いっぱいにほうばると、自然と笑みがこぼれる。美味しい。やはりそこらの100円寿司とは格が違う。ゆっくりと走る特急列車内から自然の風景を見ながら食べる柿の葉寿司は絶品だ。ああ、これが旅情というものか。そう思いながら景色を眺めていると、ごはんが喉に詰まった。

 

 近鉄吉野線は山あいに沿って走るため、カーブが多い。スピードこそ出ないが、停車駅が少ない分すぐに終点の吉野駅に着いてしまった。所要時間は約30分ほどだ。

 私はホームに降り立つと、ゴミ箱に空の柿の葉寿司の容器を入れた。幸せな時間は実に短い。

 吉野駅はそれほど大きな駅ではないが、終着駅特有の風情が漂う。

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駅前には土産物店が並んでいるが、人の姿は少なく、どこか寂しさを感じた。桜のシーズンなら、きっとすごく混んでいるのだろう。

 私は立ち並ぶ土産物店の1つに入り、お土産を探した。カルデアのみんなには何を買っていこう?思い切って店員に聞いてみることにした。

「すみませーん。お土産を探しているんですけど、何か吉野名物的なものはありませんか?」

 店員は少し考えて、

「そうねぇ、吉野葛(よしのくず)とかどうかしら。きな粉をかけて食べると美味しいんよ」

「じゃあ、それを1つください」

 お金を渡して受け取った箱は、かなり大きかった。この大きさなら、みんなも満足だろう。

 他にも柿を使った最中などを買い、私は店を出た。

 

 吉野駅に戻ってきたのは、改札を出てからわずか20分後だった。もう少し長く居たい気もするが、今回の旅はなるべく多くの列車に乗ろうと、心の中で密かに決めたのだ。気持ちを抑え、私は急行 大阪阿倍野橋行きに乗り込んだ。

 定刻通り列車は発車した。急行といえども、橿原神宮前までは各駅にとまる。

 左右に揺れながら、列車は山あいを進んでいく。ガタンゴトンという音が気持ちいい。次第に眠くなってくる。ふわぁ〜、と大きなあくびをすると、私の記憶はそこから途切れた。

 

 目が覚めたのは私が降りる駅の1つ前、薬水(くすりみず)駅を発車したときだった。そのとき、私は何もわかっていなかったので、多少焦った。しかし、流れた放送でホッと安心した。

 駅に着いてホームに降りる。私が降りた駅は吉野口(よしのぐち)駅だ。JR和歌山線に乗り換えるために下車したが、不思議な駅だ。改札口までまわると、JRと近鉄の駅舎が同じだ。それに自動改札機が無い。券売機は縦長の簡易的なもので、近鉄とJRは別になっていた。私は御所(ごせ)までの切符を買った。ICカードは持っているが、JR和歌山線では未だ非対応区間がある。吉野口はその区間に含まれる。2018年の春から使えるようになるらしいが、使えない今はとても不便に感じる。

 和歌山線のホームは近鉄の隣だった。地下通路で乗り換え自体はすぐだ。

 列車はもう着いていた。青い塗装の古い車両だ。2両編成の短い列車は乗り込むとすぐに発車した。

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昼間だが、かなり人が乗っていた。のどかな田園風景の中をガタンゴトンと走る。約10分ほどで、目的地の御所駅に着いた。

 

 御所駅は小さな駅である。駅員はこの時間不在だった。駅前にはタクシーが2台ほど停車しており、客がいないからか、運転手同士で煙草をふかしながら談笑していた。

 駅前から続く商店街を歩いていく。ほとんどの店がシャッターが下りており、唯一やっていたのはヤマザキストアぐらいだった。乗ってきたJR線の線路の手前で、商店街は途切れていた。踏切から向こうは個人商店が並び、まだ営業していた。どこの店も昔から続いている風な古い店だった。

 狭い道から広い道に出ると、信号を渡った先に駅らしき建物が見える。その建物こそ、近鉄御所線の御所駅である。駅前はJRに比べれば賑やかだった。バスが発着する小さなバスのりばがあり、駅員も配置されている。2両編成の短い列車が20分に1本のペースでやってくる。

 私は改札を抜けると、停車していた列車に乗り込んだ。車内は混んでいなかった。

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 ロングシートに腰をおろし、窓から外を見る。駅舎の裏側には住宅街が広がっている。

 やがて列車は動き出した。単線の線路を進む。わずか数駅で終点の尺土(しゃくど)に到着した。

 尺土駅のホームは人で賑わっていた。南大阪線との乗り換えもあるためか、今まで見てきた駅の中で1番活気があった。

 私は反対のホームに移り、再び御所に折り返した。近鉄御所線に乗った意味は特にないが、乗るだけでも充分楽しかった。




 どうも、魂魄せんむです。
 いつもあとがきをみっちりと書くせいか、ここに書くことがなくなってきました。早すぎますね(笑)。
 さて、いよいよ奈良の南編、クライマックスですね!あまり字数はないですが、書いているこちらとしては、会話が少ない分、とても厳しいです。次は3000字超えられるように頑張ります。
 では、また次回。
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