ぐだ子のぐだぐだ旅   作:魂魄せんむ

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 この作品には、近鉄沿線市町村に対する作者の偏見が多数盛り込まれておりますが、悪意はございませんのでご了承ください。


第6話 ミケとブル

 11月4日、7時過ぎ。

 私は特急列車に揺られていた。やっぱり特急は楽だ。乗り換えせずに大和八木(やまとやぎ)まで行ける。

 大和八木で橿原(かしはら)線に乗り換えて、私は奈良を北上する。さらに普通列車を大和西大寺(やまとさいだいじ)で乗り換えて、生駒(いこま)を目指す。

 大和西大寺駅は奈良線、京都線、橿原線が乗り入れる大きな駅ということもあり、乗り換えに少し手間取った。

 奈良線の快速急行 神戸三宮(こうべさんのみや)行きは8両編成でやってきた。クロスシートで灰色の車体は、名古屋では見られないものだ。

 私が乗り込むと、後ろでドアが閉まった。

 列車はぐんぐんスピードを上げ、気がつけば生駒に到着することを知らせる放送が流れていた。

 列車を降り、階段を上がって改札を通る。

 私は生駒ケーブル線の駅を目指した。生駒ケーブル線の駅は、生駒駅からほど近い場所にあり、駅名は鳥居前(とりいまえ)。ぶっちゃけ駅名一緒でいいじゃんとか思うが、それには何か事情があるんだろう。

 生駒ケーブル線の改札は自動改札ではなく、係員が立っていた。改札前には子供向けの顔出しパネルが置かれている。ホームは子供らで溢れていた。

「乗れるかなぁ?」

 生駒ケーブル線は本数がマジで少ない。また車両も1両編成なので、この人数が乗れるのか不安だった。乗れなかったら、20分待たなければならない。

 ゆっくりと、何かがホームに入ってくる。いや、車両に間違いないが、何かと表現したのは、普通の車両ではなかったからだ。

 ブルドッグを型どった車両は実にユニークだ。子供たちはキャッキャとはしゃいでいた。

【挿絵表示】

 

 車両はどちらかといえば小さめで、座席は階段状に配置されていた。

 ドアが開くと、我先にと子供たちは車内に駆け込んでいく。座席はあっという間に子供たちだけで埋まった。

 だけど、何でこんなに子供たちがいるのだろう?この先に何かがあるのか?

 生駒ケーブル線は生駒〜宝山寺(ほうざんじ)と宝山寺〜生駒山上(いこまさんじょう)の2つの区間に分けられる。鳥居前から宝山寺までは1駅で、宝山寺から生駒山上の区間は途中駅が2つほどある。

 発車すると、車体は大きく上下に揺れはじめた。それに合わせて私のモノも揺れる。

 生駒ケーブル線は日本で1番古いケーブル線なのだが、線路が古いのか知らないが、今まで乗ってきたどの列車よりも揺れる。乗り物に弱い人はきっと乗れない。

 ちょうど中間地点あたりで1本だった線路が2本に分かれ、そこで反対側の列車とすれ違う。

 こちらがブルドッグに対して、反対側の列車はネコだった。名前があるらしく、私が乗っているのが「ブル」、あちらが「ミケ」というらしい。

 5分ほどで宝山寺に到着すると、皆一斉に階段を昇り、生駒山上方面へと向かう。

 次に待っていたのは、ケーキのデザインが施された、なんとも可愛らしい車両だった。

【挿絵表示】

 

 反対側の列車はどのようなデザインなのだろうか?少し、楽しみになってきた。

 このケーキも先ほど同様に、めちゃくちゃに揺れる。

 周りが私の一部分に注目しているのは気のせいだろうか?

 やがて、反対側の列車とすれ違う。反対側の列車は楽器や音符がデザインされていた。コンセプトは「森の音楽」らしい。

 途中の2駅では誰も乗らないし、そして誰も降りなかった。

 終点の生駒山上駅に着くと、ホームからは麓の民家や生駒駅などが見える。

 ドアが開くと同時に子供たちは駅の改札をダッシュで抜けていった。

「子供は元気だなぁ…」

 そう呟きながら、私も改札を出る。

 なるほど、子供が多いのはこのためか。

 駅の前に広がる光景を目の当たりにし、ようやく合点がいった。

 遊園地だ。しかも、かなり広い。

 しかし、なぜか列車は40分に1本ほどしかない。不便な場所だなぁ。

 そんなことを思っていると、駅の時刻表には

「11月3日から5日までは10分おきに運転します」

 という紙が貼られていた。

 私は次の列車で折り返し、鳥居前まで戻った。

 帰りも行きと同じ2両に乗った。帰りの列車は寂しいぐらい静かで、ただただ車輪が線路を通過する音だけが車内に響いた。




 どうも、魂魄せんむです。
 ようやく新章突入です!いやぁ、長かった。
 今回は生駒ケーブル線を中心に書きましたが、いかがだったでしょうか。少し短い気もしますね。
 生駒ケーブル線は乗ってるだけでも楽しいので、大阪にお出かけの際はぜひとも乗ってみてくださいね。
 また次回の後書きでお会いしましょ。
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