ぐだ子のぐだぐだ旅   作:魂魄せんむ

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 この小説には、近鉄沿線市町村に対する作者の偏見が多数含まれておりますが、悪意は全くもってございませんので、ご了承ください。


第8話 東大寺と生駒線と

 苦しい…。

 ふんッ、という掛け声とともに力を入れ、なんとかしようとする。が、どうにもならないでいた。

 

 事は遡ること少し前…。

 1日乗車券を手に入れた私は、そのまま東大寺方面行きのバスに乗り込んだ。

 東大寺に来たのはとても久しぶりで、来たことがあるのに、なんだか無いような気もしてきた。

 紅葉のシーズンでもあってか、境内は観光客で溢れかえっていた。

 ゆっくりと参道を歩き、本殿に入る。かの有名な大仏は入ってすぐのところに鎮座していた。

 大仏は本当に大きい。下から見上げて,やっと顔が見えるといった感じだ。

 薄暗い本殿内を歩き、大仏の後ろを通ってあの柱のところに着く。

 その柱には、大仏の鼻の穴と同じ大きさの穴が大きく空いている。

 私は小学生のときと同じような感じで、穴をくぐり抜けようとした。

 しかし、途中でつっかえてしまった。という訳だ。

 

 完全に忘れていた…。

 そう、昔の私と今の私とはでは大きく異なるところが1つある。

 それは胸だ。

 たわわに育った胸は穴をくぐり抜けるうえで、とても邪魔になっており、私がいくら力を入れようとも、身体は動かなかった。

 悪戦苦闘すること5分。結局、係員の人に引っ張ってもらいなんとか抜け出したが、一部始終を見ていた他の人々は私を見て、クスクスと笑っていた。私の顔はきっと赤くなっていたことだろう。

 あと、私の衣服は少し汚れてしまった。白い服だったのだが、引っ張ってもらった際にできてしまった、引っ掻いたような木の色が残ってしまった。

 

 薄暗かった大仏殿から出ると、柔らかな陽射しが眩しい。

 鹿は気持ち良さそうに道の端で寝ている。

【挿絵表示】

 

 私は近くのバス停まで行くと、バスに乗り、JR奈良駅を目指した。

 本当はまだ興福寺(こうふくじ)などにも行く予定だったが、東大寺で想定外に時間を使ってしまったので、そこは我慢してスケジュール通りに進める。

 駅に着くと、私はすぐに改札口を通り、まっすぐ関西線のホームに向かった。

 大和路(やまとじ)快速 の難波(なんば)行きが停まっており、発車ベルが鳴り始めていた。

 私が乗り込むと同時に後ろでドアが閉まり、動き出す。

 3つほど通過すれば、昨日も来た王寺(おうじ)に着く。

【挿絵表示】

 

 王寺で乗り換え、近鉄生駒(いこま)線に乗る。

 時間は17時頃でちょうど帰宅ラッシュだったが、客はあまり乗っていなかった。

【挿絵表示】

 

 発車すると、列車はすぐにカーブに差し掛かる。悲鳴にも似たような音を出して、ゆっくりと曲がる。

 私は暗くなりつつある景色を眺めていたが、特に変わり映えしなかったので、なんとなく眺めていたが、途中で景色はすっかり変わってしまい、そこから先の風景はさっきとは違って、しっかりと眼に焼き付いていた。

「何…、これ…?」

 見えるのは嫌と言うほど見てきた田んぼではなかった。ブルーシートだ。一面がブルーシート。そして列車はそれらを見せつけるようにスピードを落とす。

 これは後から知ったことだが、この区間ではつい最近土砂崩れが起きたそうだ。原因は台風で、数日間は近鉄生駒線も不通となっていた。そして、このブルーシートはその爪痕を物語っていたのである。

 近鉄生駒線は私が乗る2日ほど前にひとまず復旧し、完全復旧を目指して工事の真っ最中だった。

 ブルーシートの区間を抜けると、そのあとはなんら変わらない普通の見慣れた風景が続いた。

 

 終点の生駒に着き、私は奈良線に乗り換えた。そして急行列車に揺られ、夜の鶴橋(つるはし)にやってきたのだった。




 作者の魂魄せんむです。
 今回は今までで1番短くなってしまいました。でも、こうしないとなんか区切りが悪そうだったので、分けました。
 その分、次回も早めに投稿したいと思います。
 では、また次回の後書きでお会いしましょ。
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