艦隊の咆哮~鋼鉄の傭兵団~    作:正海苔

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第2話  

 彼こと八咫烏は、かつて飛鷹と隼鷹がいたという世界に飛ばされ。さらに彼女の口からこの世界におけるすべての現状(・・)を改めて認識。これ以上、現海域にこのまま留まっても無意味と判断し八咫烏は針路を西へ向けた。

 目的地は、現在地から北西約7,600キロ(約4103.8海里)先にある。フィジー共和国ヴァヌアレウ島の東側に位置するナデウ湾に艦を隠匿し、この世界に関する情報を収集することだった目的だった。いずれにしろ。このバカでかい巨大艦が広大な太平洋を下手に彷徨いて。飛鷹が言う艦娘か、深海軍のどちらかに発見され問答無用の攻撃を受けるのは明らかだったので。八咫烏は急遽、副長や各科の長と大まかな打ち合わせを行い。乗員の休息を交代で取りながらこの世界に関する情報や深海凄艦に関する収集を集めつつ、その目的地に向けて航行しつつも時間はあっという間に2日が過ぎた。

 

 八咫烏は、現在フィジー共和国の北東約1400キロの海域を70ノット(時速129.64キロ)の速力でかっ飛ばしていた。仮に八咫烏の速力に追いつく艦がこの世界(・・)に存在したとしても、駆逐艦タシュケント(速力:42.5ノット)駆逐艦島風(速力:40.9ノット)の2隻のみ(・・)しか存在しない、仮に追いついたとしても4倍近い速力(180ノット)を有する八咫烏には、到底追いつけない。

 まぁ、例外は存在する・・・それはすなわち超兵器(規格外)、通称「B.A.F」(※用語①)という非現実的な化け物が存在している。

 

 

「なぁ副長、こう静かなのも悪くないが。変えって不気味なくらいだなぁ」

「そうですね艦長。この2日間物理的な接触もなければ、レーダーやソナーにも反応してないですし・・・その前に前方索敵で派遣したRQ-4S(※用語①)を運用している飛行管制室からも連絡なし、可笑しいくらいですね。あぁ~それとC.A.P(戦闘空中哨戒)とS.M.Cからも「異常無し」と報告が入っております」()

「・・・・収穫無しか、わかった。ご苦労さん」

 

 ()人間だった八咫烏(川嶋正之)は少しばかりため息をしながら悪態をついたが。同じく妖精になった副長や当直班、そして艦娘「飛鷹」・「隼鷹」の二人と航海艦橋でお茶やコーヒーを一緒に嗜みながら、この世界の3日目の朝日を拝んでいた。

 

 他の乗組員たちは艦載機を整備し、当直明けで睡眠を摂っていたり。士官室や兵員食堂、レストス・スペース(保養室)等に設置している50インチの大型テレビでゲームをやっているのも多数おり艦長も時々、自室以外でやっているのを目撃されている。

 さらに非番のものは、艦内に備え付けのBARで酒を飲むという嵐の前の囁かな静けさというものだった…。この艦は建前上、施設軍隊という戦闘艦艇でありながら。一様階級はあるが余り気にしていなく普通なら軍隊・大型商船なら格式があり食堂や風呂・居住区は別になっているが、この艦長は正規軍の出身ではないし。その格式を嫌っていたので、ほとんどの将校や兵と隔てることなく接しているからこそ、部下たちから慕われており全幅の信頼をおいていた。

 

「なぁ〜。本当にこのまま俺が艦長で良かったのか? いきなり全員の姿かたちは変わって、あまつさえ違う世界に来て、お前らに戦闘を強要しているんだぞ。それでも良かったのか?」()

 

 こればかりは、さすがに艦長自身も負い目を感じていたが、周りにいた者たちは皆一同に笑い出した。そして副長は周りを代表して、艦長にこう伝えた。

 

「艦長。それは無いですよ、この艦の艦長は最初から川嶋中将(八咫烏)、貴方しかいないんですよ。もし、艦長がいなければ他に誰がやればいいんでしょうか?大丈夫ですよ。この艦の乗組員全員、共に艦長の指揮下で二度の戦争(・・)を戦い抜いた者たちばかりです」

 

 その副長の言葉に、周りの者は全員首を縦に振っており。飛鷹()と同じ服装でS.M.C(※用語①)所属として黒色のジャケットを羽織った航空管制官の一人、隼鷹()(※用語④)がコーヒーカップを片手にこう話してくれた。

「そうだよ!アンタがここの艦長じゃなきゃイヤだもん!」

 飛鷹()はその言葉に『・・・もしや』と思って、隼鷹()にこんなことを聞いてみた。

隼鷹()?それはお酒が飲めないからでしょ?」

 そう言われて隼鷹()はそっぽを向きながら苦笑いしつつ・・・こんなことを言い始めた。

「・・・・・えっ?何の事だろう。お酒? そんな飲み物、飲んだことないし。知らないよ?ハハハハハ・・・・」

 

 この二人も艦娘という立場に甘えず。それぞれの仕事をこなしているし、さらに二人の夫である八咫烏(川嶋)とはなるべく一緒に過ごせるように、それぞれの長たちが調整と手配してくれていたのを艦長は知っていた。

 

「そうだな、野暮なことを聞い…」

 話を遮るように、航海艦橋に設置されているスピーカーを通してS.M.Cから「ビィィー!!」という警報音と共に音声が流れ込んできた。()

「艦橋こちらS.M.C。偵察報告が2つあります。1つ目はソロモン諸島、ガダルカナル島とフロリダ諸島付近の海域に大小の空母42隻、戦艦34隻、巡洋艦95、駆逐艦240隻さらに双胴型航空戦艦18隻と潜水艦60隻を含む大艦隊と80隻規模の輸送船団。ガダルカナル島・マライタ島の2島に、大規模な飛行場を確認出来ました。恐らくこれから先における大規模な攻勢が予想されます。

 2つ目はソロモン諸島マキラ島から東、約1200キロの海域で。チューク諸島(トラック諸島)方面から来た艦娘艦隊と深海軍の小競り合いがあったようで、ソロモン諸島方面へ向かおうとしていた艦娘艦隊が結果、全滅に近い損害を出し敗走。またその海域には、現在も数隻の艦艇が航行不能な状態にて漂流(・・・)し続けています」

 

 その報告を聞いて八咫烏は、折り返しS.M.C管制員に聞いてみた。

「その漂流している艦種は、特定できるか?」

 この質問にS.M.Cを統括する戦術戦闘科科長は急遽。これまでの戦闘や存在していた第二次大戦時代から現代艦艇のデータを全てとS.M.Cのメイン・サーバーに記録されている記録サーバーを検索し。RQ-4Sから発するレーダー波と映像画像から艦名は特定できなくとも、漂流している艦艇艦種の特定は可能だった。

「少々お待ちください・・・出ました! 駆逐艦は夕雲型。巡洋艦は大淀型、古鷹型、高雄型。戦艦は伊勢型の計5隻のみ確認していますが、全艦艇に炎上しているような光景は見受けられず。以上です!」

「了解・・・。さぁて、どうしますかね~本当に」

 

 この八咫烏の言葉に、周りに居た乗員たちは・・・。

 

「艦長、行きましょう!」

「艦長!」

「正之・・・」

 八咫烏は周囲を見据えながら見渡した。彼の顔にはいつになく、彼の眼光には鋭い光を放ち。八咫烏の顔は一瞬、ニヤリと笑った。

「・・・・・しがない無法者軍団の頭領だが、たまには綺麗なネェちゃんを助けてもいいと思うがな、ワハハハ!」

 そんな様子を見て二人は・・・。

「見掛け倒しだけど、軍人よりか海賊が似合うむさ苦しい集団にしか見えないね」

「そして私たちの旦那様は、海賊の頭領だね」

 飛鷹が隼鷹を見て笑い、隼鷹は今の雰囲気を見てツッコミを入れた。

「主なものを至急召集してくれ。作戦会議開くわ」

「了解!」

 副長は大急ぎで幹部召集の指示を行ない。飛鷹()隼鷹()はS.M.Cの通信管制室の赴き、漂流している艦娘と通信によるコンタクトをお願いした。

 

 それから30分後。ブリーティングルームには八咫烏の主な幹部や各科の長が全員揃い終わり。八咫烏は大福顔をした幹部たちを見回して言った。

「我々はこれより。現時刻をもって、艦娘と深海軍の戦争に参戦する!」

 これを聞いて、乗員達の心に一瞬で火が着き。全員がこれを待ち望んだかのように、数名は互いに顔を見合わせていた。()

「おぉー!いよいよか」

「腕が鳴るわい」

 八咫烏はその前にやるべきことを乗員達に向けて話した。

「その前に!ソロモン諸島近海にて、漂流中の艦娘たちを救出活動を行ない。その後ソロモン諸島に展開する、深海凄艦を一掃する!」

 

 ブリーティングルームに設置されているテーブルからホログラム映像が出現し。壁に設置れている大型モニターには、現在までに収集済みの情報が開示されており最優先攻撃目標の選出を行っていたが・・・。

 

 ビィィー!ビィィー!ビィィー!

 

 突然、警報音が鳴り響き渡り。八咫烏はこの警報音(・・・)戦闘用意(・・・・)だと認識し、すぐさま幹部たちに戦闘準備の指示を命じ八咫烏は早足でS.M.Cに赴いた。S.M.Cの一角にある統合戦闘情報センターに到着した八咫烏は、戦術作戦科長秋山少将から状況報告を受けていた。

 

「状況は?」

「はい、良いニュースと悪いニュースありますが・・・。どちらからお聞きに?」

「悪いニュースから聞こうか」

 S.M.C内には、戦闘指揮所だけでも大型スクリーンが前面にだけでも五台され。さらに中型スクリーンも八台設置されている。その大型スクリーンの一台には、どこかの大国が所有していたと思われる偵察衛星を技術情報センター所属のオペレーターが無断借用(ハッキング)という非合法をしていた彼曰く『久しぶりに腕がなります。なにせN.S.A(米国安全保障局)所有のスパイ衛星ですから・・・』。その海域の画像を映し出してくれた。

 だけど八咫烏は通信情報長に向けて険しい目つきをしながら睨むと、こちらの意図に気づいて『気にしたら負けです・・・』と言われてしまい。

(このオペレーター。スゴイ場所へ衛星をハッキングしたなぁー、大したもんだよ。だからCIAやモサド(イスラエル)が彼をブラックリスト上位入りしてまでも消し去り(暗殺)したがるわな)

 

 この八咫烏に乗艦している大福顔の情報オペレーターはかつて、世界各国の諜報機関から国際手配を受けていた伝説のハッカーだったが・・・流石に逃げ場がないと理解したのか。彼はある場所に電話をした、他ならぬA.O.S.Cの裏ボスにあたる八咫烏艦長『川嶋正之中将』だった。彼の正体がハッカーだと知っていたが、まさか世界各国の諜報機関から今も追われていることは知らなかったで、彼には申し訳なかったが一度死んでもらう(・・・・・・)必要があった。後日、偽の戸籍や氏名を変えて情報センター所属・電子技術オペレーターとして八咫烏乗り組んでいた。

 

「まず本艦の進路上。約700キロ先、単機にて高度8000M上空を飛行中の<B-36J:ピースメーカー>がこちらに向かってきておます。後70分ほどで本艦の視認可能距離内に入ります。また、戦艦や空母を含む14隻前後で編成した。5個艦隊が南太平洋一帯を哨戒警備を行っています。これは先の戦闘における残敵掃討も含まれているかもしれません・・・・。また良いニュースは、漂流している艦娘達とようやく連絡が取れました。通信を試みた凛中佐からの報告によりますと・・・・。『現在は、航空戦艦<伊勢>ならび軽巡洋艦<大淀>の2隻のみが速力12ktまでに機関復旧し、残りの艦艇は自沈処分。また両艦共に多数の負傷者を乗船させ、現在バヌアツ共和国エスピリトゥサント島ビック湾に自力退避し。八咫烏の救援を待つ・・・』とのことです」

 

 この報告を聞いて八咫烏はいささか渋い顔付きになり。左脇にいた八咫烏副長”松田少将”と今後、あらゆる事態にも対応できるよう話し合っていた。八咫烏は既にエスピリトゥサント島に向けて移動を開始しており、場合によっては戦闘になる可能性も考慮して戦闘準備をさせていた。

 

「艦長、如何いたしますか?」

「副長・・・。第8教導航空軍司令”ガーランド中将”を呼んで来てもらえるか?」

「ガーランド中将ですか?」

「あぁ・・・、ちょっとばかりこの戦場を引っ掻き回してもらう為にね」

 

 この八咫烏は面白げにほくそ笑みながら話しているが。副長は何かを察したかのようにマイクに向かって空母航空管制センターにいるガーランドを呼び出した。数分後に彼は統合戦闘情報センターへ姿を現した。

 

「お呼びですか艦長!」

「ちょいとばかり仕事してもらうよ・・・戦艦、空母を含む17隻前後で編成した、2個艦隊を大急ぎで殲滅してもらいたい!可能か?」

「分かりました。お任せ下さい!」

 この八咫烏の言葉にガーランド中将はニヤッ・・・と顔を喜ばせ、旱魃入れずに即答した。

「頼むよ・・・」

 その一言だけ話すと八咫烏は、ガーランドに敬礼をし。彼もまた八咫烏に敬礼を返すと空母航空管制センターに戻っていった。その時無人機航空管制センターから連絡が来た。

「偵察飛行中のゴースト1(・・・・)が母艦から560キロ先に戦艦2隻、航空戦艦2隻、空母1隻、巡洋艦4隻、駆逐艦8隻の有力な艦隊が毎時25ノットでエスピリトゥサント島北側15キロ地点に向けて移動中!!」

「・・・恐らくソロモン海海域の哨戒警備だと思うが、艦娘狩りもありえるなぁ・・・」

「どうします?」

 この副長を言葉聞いて八咫烏は考えた。何しろ後4~5時間の距離にまで狭まっており、このまま先に到着して救助活動をしても深海軍艦隊と鉢合わせする可能性が充分高かった。 

「・・・航海長、敵艦隊がエスピリトゥサント島近海に到着するのと。我々とどちらが早い?それと今捕捉した艦隊は、これよりグループ(アルファ)として認識する」

「しばしお待ちを」

 航海艦橋で指揮を取っていた航海長森下大佐は、艦長から予測データを受け取り急ぎ両艦隊の予測位置を割り出した。

「本艦が先に到着しますが・・・。その8時間後に、敵艦隊と会敵します。会敵予想時刻は1600時前後と思われます!」

 

 壁に設けられているデジタル時計を見て現在時刻が『09時25分』と確認し八咫烏は、S.M.C無人機航空管制センターに聞いてみた・・・。()

「先の艦隊の他に、発見できた艦隊はいたか?」

「いえ、まだ発見できておりません」

「発見次第、すぐ教えてくれ!」

「了解!」

 八咫烏はここの指揮を秋山少将に委託し、自分は副長と共に航海艦橋へ戻っていき。その後、航海艦橋に到着した直後、八咫烏は近くのドアから左舷ウィングへ向かい、外の景色を見渡しながら視点を見下ろすと、既に左舷側B飛行甲板には黒色のカラーリングで統一したSu-60Ω(※用語①)を装備する第404戦闘航空旅団所属、第12戦闘飛行隊(ナイトメア)と。AR-405(重艦上攻撃機)(※用語①)を装備する第464戦闘攻撃大隊所属、第11・14戦闘攻撃隊(デュランダル・スコーピオン)2個攻撃隊。右舷側C飛行甲板には洋上迷彩で統一したSu-60Ωを装備する第405戦闘航空旅団所属の第15戦闘飛行隊(ノーバディ)と、Su-46MFN/G(多用途艦上攻撃機)(※用語①)を装備する第261戦闘攻撃大隊所属、第1戦闘攻撃隊(ブラックバード)。さらに航空隊の空中警戒管制を請け負うP-1AWACS(艦上空中警戒管制機)の1機。セイレーン1(第1早期空中警戒完成班)がすでに出撃準備を終えており。一部の艦載機は既にリニアカタパルトにセットされていた。その時、無人機航空管制センターから連絡が迷い込んできた。

「偵察飛行中のゴースト2(・・・・)が母艦から西北西760キロに。戦艦2隻、空母2隻、巡洋艦8隻、駆逐艦10隻で編成された有力な艦隊と。さらにニューカレドニア島西部300キロ洋上を飛行中のゴースト3(・・・・)が戦艦2隻、空母3隻、巡洋艦6隻、駆逐艦8隻で編成された有力な艦隊を捉えました」

「・・・残りの艦隊は、補足できたか?」

「後の2個艦隊は、ソロモン諸島北側と北東側に展開し、哨戒にあたっている模様です」

 

 八咫烏はイヤーマフタイプのヘッドセットを被り直し、各グループの長やS.M.Cを通じて指示を出していった。

 

「<ゴースト2>が発見した艦隊をB(ブラボー)グループ、さらに<ゴースト3>が発見した艦隊をC(チャーリー)グループの敵勢力として今後認識する。飛行デッキに待機する航空隊は以下のグループを攻撃してもらう。第11・14戦闘攻撃隊は第12戦闘飛行隊と共にB(ブラボー)グループへ攻撃、第1戦闘攻撃隊は第15戦闘飛行隊と共にC(チャーリー)グループへ攻撃を実施せよ! 本艦は攻撃隊全機発艦完了後と同時に熱光学迷彩を使用し、敵重爆の哨戒飛行を回避しつつ。超伝導電磁推進装置を用いた最大船速でエスピリトゥサント島ビック湾に退避していると思われる艦娘達を救出、その後ソロモン諸島に展開する深海軍艦隊と飛行場、港湾施設に対し攻撃を敢行し。一切合切全て破壊する・・・以上!」

 

 この放送を聞いた瞬間、乗組員たちは一斉に慌ただしく持ち場に付き始めていった。リニアカタパルトにセットされていた艦載機は順序よく標的にむけて発艦し、その後約50分ほどで攻撃隊すべて発艦を完了し八咫烏はその後。まるで何もなかったかのように姿を隠した。

 

 

 八咫烏という。先程まで2度の世界大戦を戦い抜いて、この平行世界にやって来た八咫烏率いる無法者(アウトロー)傭兵軍団に対し。彼らにとってこの世界を相手に損はない、そしてこの世界に巣喰う深海軍艦隊に先手必勝を仕掛け、敵を討ち滅ぼすのだ!!

 

 

 

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