ナルトの巻   作:村椿征

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私でございます、少し空きましたがどうぞお楽しみあれ!


霧の巻

タズナの護衛任務が再開した頃、空には太陽の光いっぱいであった。

あたりは鬱蒼と木が生い茂っており、いよいよ一面の最終ボスが出てくるに相応しい状況になっている。まぁ、ボスなんかがそう簡単に出てくるわけではないのだが。

気持ち的には、妄想で作られたボスに挑むパターンを五百回ほど繰り返し、その全部で勝利を収める。

インスピレーションというのは大事だ。何事もまず形から入らねばならない。形を作り出し、その身のない骨にイメージといったもので肉付けしていく。

かといって、全部が全部インスピレーションを行うと良い、というわけでもない。

インスピレーションの他に大事なことは実践。やってみるということと一緒にやらなければ、人間というものは決して前には進めないだろう。

…………俺は完璧なので、そんなものは必要はないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

ナルト達が歩いている一方で、裏で蠢くものたちがいる。

その蠢くものたちは小さく目を光らせ、獲物を確実に殺すという信念だけを置き、静かに狙っていた。

 

「おい、ー。あの三下クソ忍者どもはまさかしくじりやがったのか」

 

「はいーーーさん。あのものたちはあいつらを止める実力がない上にただの捨て駒です故、さして負けても問題ないかと思われましたが、何か気に障ったのでしょうか」

 

と、一人の少年が答えると、もう一人の男はまるで何日も飲み食いをしていない猛獣のような笑みを浮かべ、こう答える。

 

「違う、そうじゃねぇ。ただ、この首斬り包丁が疼いてやがんのさ。早くその三下どもを瞬殺した奴らを喰わせろってな。……ククク、ここまで首斬り包丁が疼いてきやがんのは、あの水影と殺り合った以来の話だ」

 

その猛獣は目をギラギラさせながら、水影と殺し合いをした日のことを鮮明に思い出していた。

手を開けては閉め、開けては閉め、猛獣はもうナルト達のことをどうやって殺すかしか考えていないのである。

 

「フフフ、ーーーさん。とても楽しそうな声で笑っていらっしゃる。嗚呼、貴方がそこまでいうほどの相手、どういった具合で鳴くのか、俄然興味が湧いてきました。僕も、どうやら血が滾る様です」

 

猛獣の側にはやはり猛獣しかおらず、その少年ですらナルト達のことを殺すかを考えている始末である。

そこへ、あのガトーカンパニーの社長、ガトーである人物が、猛獣を保管している"檻"に足を踏み入れる。

 

「おい貴様ら!あの抜忍の屑どもは失敗したじゃぁないか!貴様首を掻っ切って責任を取ったらどうだ!?そしたら、お前たちも愛しの仲間の元へ旅立てるぞ?」

 

などと素っ頓狂なことを言うのである。

猛獣に煽りは逆効果。寧ろ焚き付けにすらならず、その煽りは自分に返ってくるのである。

そんなことも知らず、したり顔のガトーであるが、数秒前に言った言葉を後悔するのである。

まず、素っ首を掴まれた後宙に飛ばされて、首斬り包丁の先で器用に体に何重もの傷をつけ、受け止めて地面に叩きつけを何十回か繰り返された。

 

「おい、さっきの威勢は何処へ行った?空か地か、やめて欲しかったならまず顔を地面に擦り付けて謝れ。許すとは限りではないが。許して欲しくないのなら、そのままその不細工な顔に傷を何重にもつけた後、頭、手、足、体の順にバラバラにして、飢えた鮫にでも食わしてやる」

 

猛獣が如何に恐ろしいか、もう十分に理解したであろう頃には、自分の体はズタボロで痛覚すら機能してはくれなかった。

ガトーは胸の内に思う。

何故この様な猛獣を飼ってしまったのだろうか、他にも人材はいたはずではないか、とてもではないがまともではない。

しかしいくら嘆こうとも、その悲しみをツラツラと綴ろうとも、それを聞き入れるものはおらず、後悔の波という波に流されるのである。

なんとかその猛獣から離してもらったガトーは、胸に仕舞えない恐怖の感情を前面に出し、か細い声でこう囁く。

 

「もう、獲物はお前たちの方で好きなことをして構わない。だから、もう二度と関わらないでくれ」

 

切実に願った訳である。

そんなことを聞いてか、二人の猛獣は笑みを込めて嫌だと言った。

人の困ることをしてこその生き甲斐、生き心地とでもいうのだろうか、ガトーは立ったまま気を失った。

 

 

 

 

 

あまり面白い進展はなく進んでいく護衛。

俺にとってこの何もない、何もしないという時間が無駄に思えて仕方ない。

完璧である俺が、何かの鍛錬をするということは到底ないが、知識欲を満たすために読書をしたりすることがある。

完璧とは、何かをしていなくても満たされる、ということではない。

出題された提出物等を完膚なきまでにこなすことこそが、完璧と呼ばれるものである。

こんな思考を延々と繰り返していくうちに、さくらちゃんから声が漏れたのを聞き取った。

 

「彼処に、白い兎が一匹いる。あれは、ユキウサギ。でも、おかしいわね」

 

ユキウサギとは、春と冬の日照時間で色が分かれていると言う、とても不思議な兎だ。

春は茶色、冬は白色。さくらちゃんの言動から察するに、冬ではない日照時間のに、何故ユキウサギが白色になっているのかと言うことだろう。

 

「こいつぁ、光があまり当たらないところで飼育されたユキウサギ。つまりは偵察用の兎ということになる。早速、敵さんのお出ましということだ。…………伏せろ!!」

 

カカシ先生がタズナさんを下に伏せた形にしたと同時に、俺ら三人も伏せる。

そこに一つの太く、長い長刀が投げっぱなしブーメランの如く真っ直ぐ殺意を持って向かってくる。

伏せて置いて正解だった。あの長刀は間違いなく首斬り包丁。忍刀七人衆が一人、桃地再不斬のそれである。

あの猛犬、人を殺すのに喜びを感じるとか、もう変態すぎて手に負えない。

割とサイコパ○過ぎてあいつとはまともにはやりたくないが、そこは完璧である俺。

正直弱点という弱点はないので、まぁ余裕である。

 

「フン。ゴミが四匹、上忍が一匹。食い甲斐がありそうなのは、上忍の畑カカシただ一匹か。チッ、雑魚だけじゃねぇか。こんなのにあのカスどもは負けたわけか。まぁ、テメェらなんぞ二分もいらねぇ。かかってこい、遊んでやるよ」

 

では、お望み通り全力で遊んでやるとしますか。

宣戦布告を受け、腕を鳴らしたところでカカシ先生が俺の肩を抑え、再不斬の野郎にこう言い放つ。

 

「これはこれは、鬼人ならぬ奇人、桃地再不斬君じゃありませんカ。こういう時の会話って、あまり自分を過大化させるもんじゃないと思ったんだケド、どうやら実力差も分からない奴が鬼人ならぬ奇人と呼ばれていたとは、驚きで目が飛びでそうダヨ。お前が侮ったそこの三人より、お前は弱いヨ」

 

猛獣の尊大である心の木に火をつけるには、その言葉はとてもよい火種となって、音を立てて轟々と燃え盛る。

これでもかというぐらいに猛犬は目を見開き、瞳孔が完全に開ききっていて、今にでも襲い掛かってきそうな具合だ。

 

「フッ…………いいだろう!!!!その素っ首跳ね飛ばして俺のコレクションの一部としてやる!!!」

 

その猛獣の言葉が幕開けの合図となり、二人とも距離を取る。

意外にも、あの猛獣には考える脳というものが存在していたようだ。馬鹿正直に突っ込んでくるのかと思ったが、どうやらそこは戦闘狂。相当の場数を踏んでいるらしい。

 

「馬鹿正直に突っ込んでくると思ったんだけどナァ。どうやら俺の浅ましい考えは勘違いに終わったらしイ。まぁ、お前ほどの戦闘狂が突っ込んでくるはずもないケドね」

 

そうカカシ先生は漏らし、しっかりと苦無を投げる。

五個、いや影に隠れて十個か。しかし、それは首斬り包丁を盾にし阻まれてしまう。

次に物凄い勢いでカカシ先生の懐に入った猛犬が横の大振りで包丁を振り抜く。

それを跳躍で難なくかわした後、*火遁・業火の術を繰り出す。

それに対抗すべく、猛獣は*水遁・清流の術で軽くいなしていく。そうすることによって水蒸気が出て、奴つまりは猛犬の得意とする戦法、サイレントキリングをしやすくするのである。

辺りに霧が深く立ち込め始めてきて、俺達三人はタズナを取り囲むように守りを固める。

こんな時でも考察する癖が俺にはあり、割とこいつらの戦闘を見ると考察がスムーズに進む。

流石に場数を踏んでいるだけあってか、動きに無駄がなく、以下に少ない労力で人を殺すか追求してある。

俺はこいつのヒットした発言が理解はできないが、戦いに関しての行動というものは理に適っていて、流石に戦闘狂なだけはあると、関心できるものがある。

 

「流石に白い牙はやる。だが、この場を切りにしてしまったことを後悔するといい。何せ、俺はこの霧の中でお前を捉えることができる。微かな風の違い、物体がそこにいるという、確かな呼吸音。どれを取っても容易くわかる。お前はもう終わりだ……!」

 

そう告げる猛獣に対し、カカシ先生は静かに笑う。

何故、カカシ先生はこんなに余裕があるのだろうか。秘策、何か隠しているのであろうか。

俺が思いつくカカシ先生の秘策といったら一つである。

 

「吠える前にかかってこい。お前は御託より行動で示す人間だろう。ならば向かってくるがいい。その天まで伸びた長い鼻、叩き折ってやる」

 

そう言ったのを皮切りに、戦況が大いに動く。

ばっと音がし、後ろから包丁を丁寧に首の所へ横にスライドさせる。が、そのどこからともなく包丁が来たにもかかわらず、まるで見ていたかのように避けてしまったのだ。

カカシ先生の秘策、それは写輪眼であろう。

額当ての目をあてがっていた位置が、左から右になっている。

さらに追撃は続く。かわしたところへと、もう一回包丁を有り得ない速度で振り回すのだ。

その有り得ない速度の攻撃を片手で掴み、包丁ごと猛獣を地面へ叩きつけるのと同時に、猛犬を地面に埋め込んだのだ。

その僅かな隙で印を組み、風遁・大突破で濃霧をはらす。

 

「さて、と。第2ラウンドといこうじゃない。鬼人(奇人)再不斬」

 

「…………ッ!!!!」

 

こうして、この戦いは更なる深みへ入っていくわけである。




*火遁・業火の術 燃え盛る炎を口から出す。火炎放射器に近い形である。
*水遁・清流の術 綺麗で清い水がなだれ込む。勢いのある、レーザーに近い形である。
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