レルゲン、ターニャ、ヴァイスの3角関係です。
性描写はありません。
こちらはpixivのヴァイタニャ纏めの2にも
掲載しています。
三葉
自分の所属している部隊は彼から命令を受けとる事が多い。しかし、自分とレルゲン中佐殿とは階級が違いすぎて直接の接点はなかった。
彼女と中佐殿が2人きりで屯所の一室へと消える。そこでは命令のやり取りをなされているだけの場所だったが、自分では立ち入る事の出来ない領域であり、そこへは超えてはいけない自分に悶えるしか無かった。
部屋の外で待機して待っていた。
連れ添って出てきたレルゲン中佐に敬礼を
する。彼女は自分に並び彼を見送る。
自分の前を通る瞬間、彼は言葉を口に、いや正確には声にそれは出てはいなかった。
『カノジョニナニカアッタラユルサナイ』
自分に一瞥だけして立ち去る男もまた妖精と悪魔の使徒であったか。故に、自分だけが彼が抱いていた物を理解する事が出来てしまった。
隣にいる自分の胸ほどにも背丈がない彼女の横顔は険しい顔をしていた。それを見てまた次の仕事も困難を極めるものなのだと震えてくる。
だが彼女と自分がいれば………。
「どうしたヴァイス」
そう言い、自分を見上げる顔にはすぐに我々を安心させるかのような無邪気な笑顔に変わっていた。
伝令役の中佐殿などに言われなくとも、彼女は我々のいや自分の大切な………。
その場で抱きしめなくなる衝動を抑えながら、彼女の口より発せられた命令を自分はこなしていく。
この命がある限り自分は貴女の側に………。
………
淡々と目の前の幼女に参謀本部の命令を伝えていく。好物の珈琲を飲みながら、私の口から発せられる厳しい命令を全てを理解し、即座に反応と対応を見せる彼女。
その時見せる小さな仕草さえも私の頭に忘れる事のない記憶として刻み込んでいく。
次はいつ会えるか分からない。これが最期かもしれない。いつも彼女を危険な死地へ送り込むのはこの私。
少しでも彼女を見ていたい。いつまでも同じ場で同じ空気に触れていたいが、彼女への仕事は緊急性が高い。即座の出撃の為に連れ添って部屋を出る。ふわりと動きに合わせて舞う金の髪から私の煙草の匂いが漂ってきた。
廊下で部隊の副長が敬礼をしていた。
彼女の側にいることを許された男。
つい口に出そうになったセリフをその男は間違い無く理解をしていた。
そうか、この男もまた………。
私の持つ感情を理解をしながら表情を変えないその男に、待つことしか出来ない私の気持ちが側にいる貴様に分かるものか。
そう叫びたい衝動に駆られながら彼女の元を去る。
彼女の煙草の匂いは次に会うときはあの男と同じ硝煙の匂いに変わっている。いつもの事だ。
いつもの………。
………
2人の男が入れ替わりに側を離れ、側にいる。私は間を揺れながら、煙草の煙を纏い、硝煙の匂いのする戦場を駆ける。