隻眼の少女
イギリスのとある山奥、人里離れたその場所に小さな武家屋敷の前に大きな蝙蝠のような人物、セブルス・スネイプは立っていた。
武家屋敷の側に立つ立派な門の隣、木彫りの表札には『ホーエンハイム』と書かれている。それを手に持つ一枚の羊皮紙と照らし合わせてスネイプは軽くため息をついた。
いくら校長の命とはいえイギリスの、ましてやこんな山奥に住む子供を迎えに行け、というのはかなり面倒だった。『姿あらわし』もできず『
スネイプは今すぐ帰って眠りたい衝動をなんとか抑え込み、門を三回叩いた。
「んー、こんな夜更けに一体全体どちら様なのだ?」
門が開くとそこには薄いピンク色の髪を束ねてケモ耳をぱたぱたさせた少女が出てきた。というか、今は午前9時だ
「お前がここの主か?」
「なんだご主人の客人か…うむ、では客間に案内せねばな。ついてくるがいい蝙蝠よ。いやカラスか?」
「人間だ」
「むむ、狸ではないのか」
「……」
「とりあえずついてくるがいい。いまご主人は少し忙しい故にな」
ケモ耳の少女がくるりと回って武家屋敷の中へと入っていく。その後ろにはなんと尻尾まで生えていた。
客間に通されたスネイプは座布団の上に座り、出されたお茶を一口飲み、懐から一枚の手紙を出して机の上に置くと同時に襖が開いて先ほどのケモ耳の少女に引っ張られながらもう一人少女が入ってくる。
キレイな腰の辺りまで伸びた黒髪に薄い緑の和服、ぱっちりとした目にキレイなエメラルドの色をした瞳。その反対の左目には黒い眼帯をしていた。スネイプは僅かに年端もいかぬ少女に見とれてしまった。
「ご主人だ。可愛いだろ?」
「ちょっとタマ!?」
「なんだ。可愛いではなくキレイと言った方が良かったか」
「そうじゃないから…」
「……君がここの主か?」
「はい。ミラージュ・ホーエンハイムです。あなたは?」
「我輩はセブルス・スネイプ。ホグワーツ魔法学校で教鞭を振るっている」
「ホグワーツ……あぁ、アルバス・ダンブルドアが校長をしている」
「左様。そして君はそこへの入学が許可されたのだ」
「私が、ですか?」
「然り。しかし、入学するかどうかは君次第だ」
「断ることも出来る、のですね?」
「そうだ。どうする?」
「………」
少女、ミラージュは顎に手を添えて考えていた。スネイプはお茶をすべて飲み干してミラージュの返答を待つ。
そして、ミラージュの出した結論は
「行きます。今年入学するって事は例の『生き残った男の子』もいるんですよね?」
「左様。では親御さんにも話をーー」
「両親はいません。殺されました」
「……それは、すまなかった」
「大丈夫です。それに私には目標がありますので、悲しんでいる暇なんかないです。」
「目標、とな?」
「はい。私の目標、それは『闇の帝王』への復讐です」
スネイプは目を見開いて、目の前に座る少女を見た。少女、ミラージュのエメラルドに輝く瞳には今にも爆発しそうな怒りが露になっていた。
「それは、両親の復讐か?」
「はい。その為に魔法界の事を調べました」
「ならば知っている筈だ。『闇の帝王』は滅したと」
「私が調べた限りでは生きていますよ。まぁ、生きているかどうかも怪しいかもですけど」
「なん…だと…?」
「恐らくダンブルドア校長もたどり着いた答えだと思いますよ」
「…君の両親が殺されたのは?」
「いまから六年前、ですね。ヤツとヤツが取り憑いたヤツにです」
「……復讐するために魔法を学ぶと?」
「いえ。魔法を学ぶのは純粋に興味があるからです」
「そうか…」
スネイプは考えた。この娘はいずれは復讐の為に魔法界に攻めこんで来るだろう。単独であろうが複数であろうが、間違いなく来るであろう。そして、それを隠すこともなく堂々と言ってくる辺り、余程腕には自信があるのだろう。
この娘はこちらで保護しておくのが一番だ。そして誰も殺させてはならんし、殺されもさせん。手元に置いて見張っておくのが一番楽だろう。
「スネイプ先生。やはり復讐なんて考えていては、入学なんて無理ですよね…」
「いや。こうしてこの手紙がホグワーツから君に届いた以上、君は入学することが出来る」
「それじゃあーー」
「ただし、君が『闇の帝王』に復讐するというのは、隠しておくことだ」
「分かりました。約束します」
「うむ。では、行くとしよう」
「行くってどこに?」
「ホグワーツの入学式は明後日だからな。いまから入学に必要なモノを買い揃えに行く」
「ち、ちょっと待って!せめて着替えさせてください」
「……すぐに済ますのだぞ。我輩も忙しいのでな」
ミラージュは急いで立ち上がるとケモ耳の少女を連れて奥へと消えていった。スネイプは肩をすくめるとローブを翻して、武家屋敷の入り口である門の前に向かった。
それから十数分して、先ほどの薄い緑の和服から白に様々な花模様をあしらった和服に自身の三分のニ程の長さの朱色の杖を持って門から出てきた。
「それは?」
「あぁ、これが無いと落ち着かなくて」
「そうか。では我輩の腕に捕まるといい」
ミラージュがスネイプの腕を掴むのを確認すると、スネイプは『姿あらわし』をしてダイアゴン横丁へと跳んだ。
ミラージュ・ホーエンハイムにとって復讐など正直いってしまえば『どうでも良かったか』のだ。両親が死んだのは自業自得だし、なにより『魔法』という非現実をこれから学ぶことが出来るのが楽しみでしょうがなかった。それに復讐が目的だと思わせておくのがミラージュにとっての、もっとも重要な部分でもあった。
ミラージュ、いやホーエンハイム家にとってもっとも優先すべき項目、それは『賢者の石』を手に入れることだった。
どうもはじめまして。他の方々のハリポタ作品読んでたら自分もやってみたくなったので、やっちゃいました(笑)映画を主軸にしていく予定です。
オリ主の設定
ミラージュ・ホーエンハイム
左目に眼帯を着けた隻眼の少女。古くから続く聖28一族に名を連ねることが出来る『ホーエンハイム』家の現当主。
勉強は好き、というか誰かから何かを学ぶのが好き。
最近は使い魔の『タマ』からのセクハラ紛いの行為が悩みの種。
タマ
ピンクの髪を適当に束ねたポニーテールにケモ耳に尻尾の生えたミラージュの使い魔。自由気ままで何を考えているかよくわからないネコのような性格。fateのタマモキャットがモデル。