ハリー・ポッターと隻眼の少女   作:シャロン

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『生き残った男の子』

ミラージュside

 

お腹の真ん中辺りを引っ張られる感覚と共に、ゴムの管の中を通る感覚を数秒味わって気がつけば私とスネイプ先生は薄汚れた、なんとも言えないパブの中にいた。

 

ってか気持ち悪い。吐きそうなんですけど。割りとマジで。

 

 

「気分はどうかね、ミス・ホーエンハイム?」

 

「ミラージュでいいです。あと吐きそうなんですけど、吐いていいですか?」

 

「場所を考えたまえ」

 

「気持ち悪い…」

 

「初めて『姿あらわし』を体験した者は有無を言わずに吐くのだが、それだけ言えれば問題なかろう」

 

「……吐きます」

 

「我慢しろ」

 

 

とりあえず吐けば楽になると思ったけど、どうやらこの蝙蝠男…スネイプ先生は吐く事を許してはくれなかった。おまけに私の口を押さえて、無理やり閉じてくれたのだ。

 

 

「んー!んーー!」

 

「我輩とて吐くなと言っているのではない。然るべき場所で吐いてこい、と言っているのだ」

 

「んんーー!?」

 

「まったく。こっちだ」

 

そろそろ限界が訪れて、スネイプ先生の手の中に戻してやろうとしたけど悪あがきをしたけど、スネイプ先生に抱えられてトイレに放り込まれた。

 

 

「もう無理、オロロロロロロロ」

 

 

 

 

 

「気分はどうかね?」

 

「……なんとか」

 

 

出すだけ出してげっそりした顔で杖を突きながらトイレから出てきた私に、スネイプ先生が先程と同じ感じで聞いてくる、

 

ムカつく。すんごいムカつく。なんかわかんないけどとりあえずムカつく。

 

ぶん殴ってやろうとしたけど、フラフラとしてスネイプ先生に支えられる羽目になった。なんか恥ずかしい。

 

水をもらって口の中を濯ぎ、喉の渇きを潤して少し休憩してから、スネイプ先生に連れられてレンガの壁の前に立っていた。そしたらスネイプ先生が「一度しかやらん。よく見ておけ」といって、懐から細長い杖を取り出してレンガの壁を叩いていく。

 

すると、レンガが独りでに動きだし、人一人通れる位の穴が空いた。そこを抜けると、私の目に飛び込んできたのは

 

 

「うわぁー…」

 

 

黒いローブを着て道を行き交う男女に、様々なモノが置いてあるお店に派手な装飾が施されたお店、大小様々な鍋が並ぶ店にフクロウが大量に並ぶ店、箒が飾られてある店等々、様々な多種多様な店が軒並み揃えて並ぶ光景に、私は口を開けてぽかーんとしてしまう。

 

 

「ここがダイアゴン横丁だ」

 

「……って」

 

「どうした?」

 

「………都会って、魔法界ってすげぇえええぇえ!!」

 

「!?」

 

「先生先生!あれ!あれなに!?」

 

「魔法薬を作る際に使う鍋だ」

 

「あれはあれは!?」

 

「箒だ。あれを使って空を飛ぶ」

 

「じゃああのフクロウたちは!?」

 

「あれはペットのようなモノだ。あのフクロウを使って郵便物を届けたりする」

 

「じゃあじゃあ…」

 

「………ミラージュ」

 

「なに!?」

 

「落ち着きたまえ」

 

「あ……」

 

 

スネイプ先生に肩を叩かれてようやく気付いた。周りの視線が痛い。とりわけスネイプ先生の視線が。

 

急に恥ずかしくなって、顔が真っ赤になっていくのがわかる。でもしょうがないじゃん、初めて見る光景に興奮するなと言う方が無理だ。でも流石にはしゃぎすぎたみたい。

 

 

「ごめんなさい」

 

「……はぁ」

 

「ありゃ、スネイプ先生。こんなところでなにを?」

 

 

スネイプ先生がため息をついて歩き出そうとしたときに、でっかい影がぬっと現れて私たちに話しかけてきた。

 

 

「ハグリット、貴様こそ何をしている?」

 

「俺はあれでさぁ。例の男の子とちとダンブルドアからの頼まれ事でさぁ」

 

「なるほど…」

 

「んでその娘さんはどちらさんで?」

 

「校長の言っていたもう一人だ」

 

「あぁ、お前さんが『ホーエンハイム』の娘さんか」

 

「初めて。『ミラージュ・ホーエンハイム』です」

 

「こいつぁご丁寧に。俺はハグリットってんだ、よろしくな」

 

「ハグリット、この娘を頼む。我輩は少しやることが出来たのでな」

 

「そいつは構わねぇんですけど、やることとは?」

 

「それは言えん。ではまたな」

 

 

そう言ってスネイプ先生はマントを翻して、人混みの中に消えていく。残された私は隣に立っているでっかいオッサン…もといハグリットとその隣にいる私と同い年の少年を見た。ってかこの子どっかで…

 

 

「あぁそうだ。とりあえず、グリンゴッツに向かおう。自己紹介はその道中でしてくれや」

 

「はーい。それじゃあ私から。さっきも名乗ったけど『ミラージュ・ホーエンハイム』っていうの。ミラージュでいいわ」

 

「僕はハリー、『ハリー・ポッター』よろしく」

 

「『ハリー・ポッター』…あぁ、あの有名な」

 

「そうらしいね」

 

「他人事みたいだね」

 

「僕はまだ赤ん坊だったからね。実感はないよ」

 

「だろーねー」

 

「それよりもミラージュ、君も魔法使いなの?」

 

「んー、ちょっと違うかな」

 

「違うの?」

 

「うん、まぁ。そのへんはあんまり聞かないでね、説明面倒だから」

 

「じゃあその杖は?」

 

「これ?これはね、見て驚かないでよ?」

 

 

私は手に持つ杖の柄の部分を指先で三度叩くと、ハグリットから見えない位置に移動して柄の部分を持ってほんの少し上に上げる。その瞬間、目に見えて怪しい光を放つ、美しい銀色の刃は現れる。ちらっとハリーを見ると目を見開いて驚いている。

 

それを確認すると、すぐさま刃を納めて、また杖の柄の部分を二度指先で叩いて左手に持ちかえる。

 

 

「いまのはなに?」

 

「秘密♪言えるのは仕込みがある。ってだけ」

 

「それも魔法?」

 

「まさか。これは魔法でも何でもない、普通のモノだよ」

 

「お前さんたち、着いたぞ。ここがグリンゴッツだ」

 

 

グリンゴッツ銀行。盗みに入るのは簡単だが、盗みに入ったが最後、二度と出てこれないと言われるイギリス魔法界の中央銀行。銀行に来るってことは目的は一つ、お金を卸すことだろう。お金を、お金、お金、金、金……あ。

 

 

「ハグリット、私お金無いんですけど」

 

「なんだ、スネイプ先生からなにも聞いちょらんのか?」

 

「一応持ってきてるんですけど使えます?」

 

「換金してくれるから大丈夫だ」

 

「なら良かった…」

 

 

本当に良かった。換金出来なかったら危うくその辺の石ころを金に変えてしまうところだった。見つかったらアウトだけど。

 

 

銀行の中には小さな小鬼(ゴブリン)が忙しなく動いている。小鬼はずる賢いがしっかりと礼節を持って接すれば大丈夫なんだとか。面倒くさいな。

 

それからハリーの金庫からお金を取り出す為にジェットコースターよりも質の悪いトロッコに乗って、右へ左へ上へ後ろへ走った後に急停止のフルコンボ。まって、また吐きそうなんだけど…

 

 

でも、そんな吐き気すらも吹き飛ぶモノが私の目に飛び込んできた。ハグリットが隣の金庫に入って出てきたのだが、手には小さな袋が一つ。それをポケットにしまうが、その時私は間違いなく感じることができた。

 

まさか、まさかまさかまさかまさかまさかこんなに早くお目にかかれるとは思わなかった。あの大きさ、なによりこの肌に感じる凄まじいまでの魔力。あれこそ私たち『ホーエンハイム』家が求めた『賢者の石』だ。

 

けど、あの石をここから持ち出すということはどこか別の場所に隠すということ。ハグリットはホグワーツの人間?だ。ってことはきっとホグワーツのどこかに隠すだろう。それも厳重にだ。でも、それで諦められるほど私は良い人間じゃない。絶対に手に入れてやる。どんな手段を使ってもだ

 

 

 





賢者の石発見。ミラージュテンションマックスです。仕込み刀は『座頭市』の持っているやつ想像してください。姿かたちはあんな感じです。
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