ミラージュside
スリザリンの寮はなんとまぁ辛気臭い場所にあるんだろう。ってかなんで地下牢なのよ。ふざけんなよマジでよー。しかも合言葉が『純血』とかないわー。マジないわー。
地下牢の扉が開いて中に入ると、これまた趣味の悪い場所だった。エメラルド色を基調としたカーテンに絨毯、灯を灯すランプは天井から鎖で吊るされてるだけだし。おまけに寮専属のゴーストが『血みどろ男爵』とかいうなんかよく分かんないヤツだし…入る寮間違えたかな…?しかもデッカい窓の外にデッカいイカがいるし。あ、美味しそう…
部屋割りは割と良かった。どうやら『ホーエンハイム家』には専用の部屋があるらしい。そこに案内されて入ってみると、部屋の中には畳が敷かれていて、真ん中には囲炉裏、襖や掛け軸なんかも飾ってある。その下には何故か日本刀が飾られていて、その横には大きな黒い箱が置かれている。襖を開けると布団が一式と私の荷物があった。これ絶対とう様の趣味だ。とう様学生の時はやたら権力持ってたとか、かあ様言ってたもんなー。
とりあえず、囲炉裏に火をつけて荷物の中から水晶玉を漁り出す。
「よし。問題はこれが繋がるかどうかよね…『
水晶玉に魔力を送ってみる。すると水晶玉の中で渦が巻き始めて、見慣れた景色が浮かび上がる。そして、その景色のなか、ピンク髪の女の子が満面の笑みでこちらをみていた。
「久しぶりタマ」
『おーご主人、無事に着いて無事に使えたようだな』
「まぁなんとか。それよりそっちはどう?変わりない?」
『うむ。特にはないのだな』
「そっか。了解。またなにかあったら連絡するね」
水晶玉に魔力を送るのをやめて、布を被せる。良かった…。どうやら術は問題なく使えるみたい。とりあえず、当初の目的を果たしますか。
トランクの中から一枚の紙と筆と本を取り出して、その中心に魔法陣を描く。それをテーブルの上に置いて、探知の魔術を起動させる。とりあえずはホグワーツ全体を把握しておかないと。起動した魔法陣の上に本を置いて準備完了。
「さぁて、やりますか。久しぶりだから上手くいくかな?『記すはかの地、写すはかの城、描くは書物、この地に記されし、写されし、描かれしもの、細かく、鮮明に、淡々と、この書物に刻み込め』」
呪文を唱え終えると、魔法陣の真ん中に置いた本が勝手に開き次々とページをめくっていく。そしてパタン、という音と共に本は動かなくなった。その本を手に取って、パラパラとページをめくる。先程まで白紙だったページは全て文字や地図で埋め尽くされていた。
「うん、成功。よかったー、これ出来なかったら泣いてたよ」
さて、地図も出来たし明日の準備して寝よう。そう思ってゴソゴソしてたら部屋の扉がノックされた。誰だろう?
用心の為に杖をいつでも抜ける状態にして扉を開けるとそこには、トランクを引っさげた可愛らしい女の子が立っていた。ま、私には負けるけど
「どちら様?」
「え、えっと初めまして、『ダフネ・グリーングラス』っていいます」
「それで?」
「えっと、わたし自分の部屋が無くて、その…」
「部屋がない…?」
「か、監督生に聞いたら、ここが空いてるって」
「残念。でも、私と一緒でいいならここにいる?」
「いいの?」
「貴女の部屋が見つかるまではね」
「あ、ありがとう…」
可愛らしい女の子、グリーングラスはビクビクしながら部屋に入ってくる。やっぱり『ホーエンハイム家』って魔法界ではいい噂はないみたいだ。この子に詳しく聞いてみようか?いや、やめよ。明日は初めての授業があるし、話が長引きそうだから今度にしよう。とりあえず、布団を敷いてグリーングラスを布団に、私は部屋の隅でローブを布団代わりにして丸くなってその日は眠った。
明日は早起きして、軽く鍛錬して、少し城を探索しよう。例の場所に行くのは無理そうだけど、ある程度行き方を把握しておかないと。それと逃げ道も確保しておかないとね。
校長室。夜も更けてきたこの時間に、校長室にはダンブルドア、マクゴナガル、スネイプの三人が揃っていた。話題はもちろん、『ミラージュ・ホーエンハイム』の事だった。
「あれが『ホーエンハイム』の娘ですか」
「左様。してセブルス、ワシに話しておきたいこととはなんじゃ?」
「あの娘、『ミラージュ・ホーエンハイム』は『闇の帝王』への復讐を行おうとしております」
「なんと、まだ11歳の子供が復讐ですって?」
「両親の仇だそうだ。5年前に『闇の帝王』とその配下の者に殺されたそうだ」
「5年前ですって?それはあり得ません。その時には『闇の帝王』はその力を失っているはずです」
「吾輩にも詳しくはわからん。それが事実なのか虚言なのか。だが『闇の帝王』への敵討ちを行うのは事実だ。その為ならば手段は選ばんだろう」
「セブルス、『ホーエンハイム家』については何か分かったのかの?」
「恐らくですが、魔法、魔術、錬金術、その3つの『根源』へと至るのが目的かと」
「そんな事が可能なのですか、アルバス?」
「不可能ではない。じゃが、そこに至るにはかなりの年月を要する。たとえ『賢者の石』を用いたとしてもじゃ」
「それをあの娘が目的の一つとしているのかは分かりません。ですが、もし、あの娘が『根源』へと至ったのならば…」
「うむ。予言の通りになるやもしれん」
ダンブルドアは懐から弱々しい青白い光を放つ小さな水晶玉を取り出す。それをテーブルの上に置き、杖で軽く叩いてやると水晶玉から煙が上がり、ヒトの形を成して唄を歌い始めた。
『闇の帝王去りし時、魔の瞳を持つもの生まれん、瞳を持つもの、闇の帝王を葬り、生き残りし男の子を超え、いずれ根源へと至らん、瞳を持つもの、根源へと至りし時、我らは選択を迫られる、瞳を持つものに滅ぼされるか、瞳を持つものを討滅するか、瞳を持つもの、数えて15の年、月が赤く染まりし時、その力、覚醒せん、覚醒し時、我らは選択を迫られん』
歌い終えると、ヒトの形をした煙は消えていった。
「予言にある『瞳を持つもの』これが恐らくあの娘である事は、間違いないじゃろ」
「では選択といつのはやはり…」
「そうならぬ為にワシらがおるのじゃ、ミネルバ。セブルス、あの子のことを頼むぞ」
「承知いたしました」
スネイプは軽く頭を下げると、ローブを翻し、校長室を後にする。自分の部屋への帰り道、スネイプは予言のことについて、一人考察をしていた。
仮に『瞳を持つもの』がミラージュだとして、本当にそのような選択をしなければならないのか。『根源』へと至るのが魔法界にとってそれ程までに危険なのか、ただ『根源』へと至っただけの娘に、なにが出来るのかを。そしてなにより、自分にとって友と呼べる者の娘を、手にかけることができるのかを。
ミラージュは夢を見ていた。両親と楽しく過ごした日々の夢。そして、それが唐突に終わりを告げ、一人取り残される夢。両親はきっと復讐なんて望まないだろう。それでもミラージュは復讐の道を行く。それが
両親の敵討ちに対するミラージュの覚悟的なものと、ミラージュに関係する予言でした。
ミラージュが唱える呪文は単語の時はギリシャ語と、ミラージュ父は日本大好き設定です。