ミラージュside
昨日の夜、私がクディッチの選抜に選ばれた事を話すとダフネは自分の事のように喜んでくれた。それからハリーも選ばれた事を話すと、ダフネはやっぱり、と言った顔をしていた。
どうやら私とロングボトムがフーチ先生に拉致された後、ハリーとマルフォイの間でまた一悶着あったらしく、しかも真夜中に決闘するとかなんとか。アホだアイツら…。しかもそれが明日あるらしく、ダフネがどうしよう?って言ってきた。
「知らないわよ。アイツらの好きにさしておけば?」
「で、でももし、先生に見つかったりしたら…」
「そうなのよねー。ま、いいんじゃない?ハリーには私から話しておくからさ」
一先ず、明日の朝食のときにでも話してみよ。
朝の大広間はやはり大混雑していた。私とダフネはスリザリンのテーブルの端っこ、もはや指定席に座って料理を小皿に取り分けていく。2人で他愛の無い話をしながら朝食を取っていると、私たちの前にいかにも悪そうな顔をしたヤツがデッカい態度で座っていた。
「お前がホーエンハイムか?」
「誰?」
「『マーカス・フリント』スリザリンのクディッチチームのキャプテンだ」
「あ、そう。で?」
「スネイプ先生から今朝聞いてな。お前がウチの代表チームに入るってのを」
「うわぉ、それでこんな朝早くから?」
「そうだ。と、いうわけでついてこいホーエンハイム」
「ヤダ。先にご飯食べたいし」
「時間が惜しいんだ。いいからこい!」
私が無視して朝食に手をつけようとしたのに、フリントは私の襟首を掴んでズルズル引きずっていく。あー、私の朝食がーー。
「ダフネー!私の朝食、取っといてー!」
「わ、わかったー!」
ズルズルと引きずられ、クディッチ競技場に連れて行かれて、フリントからボールの種類、役割、チームの基本方針を聞いて、授業があるからと言って始業5分前に解放された。5分前とか絶対間に合わないじゃん。ってかチームの基本方針めちゃくちゃだし。『なにをしてでも勝て』とかあり得ないし。でも『闇の魔術に対する防衛術』の授業だし、いっか。サボろっと。そうだ。ついでに例の場所でも見ておこうっと。
私は例の場所、四階のある場所へと向かった。そこは組み分けの時に校長先生が立ち入り禁止と言っていた場所。私の予想では恐らく『賢者の石』が隠されている場所だ。動き回る階段に四苦八苦しながら、誰にも見つかる事なく、私はその場所にたどり着いた。一応、いつでも抜ける様に杖の柄を3回叩いて『封』を外しておく。
そして、ゆっくりと扉を開けて中を覗くと、そこには巨大な三つの頭を持った犬が鎮座していた。ケルベロス…なのかな?こっちにはまだ気付いてないみたいだし、とりあえず眠らせておこう。私は部屋の中に入って、デッカい見3つ首の犬と目を合わせる。そして。
『
私が呪文を唱えると、3つ首の犬はスヤスヤと眠り出した。よし、これでとりあえずは大丈夫かな。あんまり時間もないし急ごう。
部屋を見渡してみるけど、3つ首の犬以外何もない。もしかして、あの犬の下?そう思って犬の足元に視線を移すと、そこに小さな木の扉があった。多分、この扉が奥へと繋がってるんだろうな。進んでみたいけど、準備も何もしてないし、今日はここまでにしておこう。ここがアタリだというのが分かっただけでよしとしておくか。
そっと3つ首の犬が眠る部屋を出て、次の授業が行われる教室に向かおうとして、ふと気になる扉があった。なんて事のない普通の扉なのに、何故か気になる。むちゃくちゃ気になる。調べておくか。その何の変哲も無い扉を開けて、ゆっくり中に入る。そこは何もない空き教室らしく、部屋の中央に鏡があるだけで、あとは特に変わった物はない。
私は鏡の前に立ってそこに映る自分を見る。うん、やっぱり何も無い。でも微かになにか感じるんだよねー。この鏡なのかな?キョトンとした顔をした自分を見つめていると、鏡の奥から人影が2つゆっくりと近づいてきた。私は咄嗟に後ろを振り向くが、そこには誰もいない。探知をかけても私とこの鏡以外、この部屋には反応がなかった。なんだ見間違いか…。そう思って鏡に視線を戻すと。
「…嘘……どうして……とう様…かあ様…」
鏡に映る私の両隣に、黒いコートを着た男性と和服に身を包んだ女性、もういないはずの両親がニコニコと笑って私に寄り添っていた。そんな、あり得ない。だってとう様とかあ様はもう…。あり得ない光景を目の当たりにして、私は自然と涙が零れてきた。もう会えないと思っていたのに…
鏡の中の両親が、私に向かって手を振ると、奥へと歩いていく。
「ま、待って!まだ、まだもう少しだけ…あと少しだけ…少しだけでいいから…一緒に…一緒にいてよ!とう様!かあ様!」
私の願いが届くことはなく、とう様とかあ様は鏡の奥へと消えていった。
鏡の前に崩れ落ちた私は、手を伸ばし、鏡に触れようとする。もし、この鏡の中に入れたら、また、とう様とかあ様に会えるかな…?ゆっくりと伸ばした手が鏡に近づく。そして、もう少しで手が届くというところで、私は急に後ろに引っ張られ、鏡から引き離され、誰かの腕の中にいた。私はゆっくり顔を上げると、そこには白ヒゲとキラキラ輝く青い瞳の校長先生がいた。
「校長、先生?」
「間に合ったようじゃな。気分はどうかな?ミス・ホーエンハイム?」
「…大丈夫です」
「何が見えたのかは聞かんし、ここにおる理由も問わん。じゃが、この鏡は少々刺激が強くての。あまり近寄らん事じゃ」
「…はい」
手足に力が入らない。校長先生に支えられながら、私はその場に座り込んで、目を擦る。
「…校長先生、あの鏡はなんなんですか?」
「あれは『みぞの鏡』というてな、鏡の前に立った者の願いを映し出す鏡じゃ」
「…願いを…映す…」
「左様。じゃが、この鏡はタダで願いを映し出してはくれん。かわりにその者の気力を奪う」
「だから、身体中がなんかダルいんですね…」
手足に力が入らないのもそれが原因か…。なんとか立ち上がろうとするけど、全然ダメだった。自分の中に探知をかけてみると、どうやら魔力の半分以上を持っていかれたらしい。結局、この後医務室に連れていかれ、少し眠ってから昼食の時間なので大広間に向かった。
大広間にやってきた私を心配してか、ダフネが駆け寄ってきて不安そうな顔で大丈夫か聞いてくるので、私は『大丈夫、食べたら元気になるから』といって、昼食に手を伸ばす。そんな私に安心したのか、ダフネも昼食に手を伸ばし、小皿にわけて食べ始めた。私たちが昼食をある程度食べ終えるてダフネと話し込んでいると、グリフィンドールのテーブルが何やら騒がしい。私とダフネは野次馬するべく、騒ぎを見にいくと、ハリーとマルフォイが直立不動で睨み合っていた。またこの2人か…。とりあえず、近くにいたグレンジャーに話を聞いてみるか。
「どしたの?」
「あ、ミス・ホーエンハイム。またハリーがマルフォイに絡まれちゃって」
「決闘のことで?」
「なんで知ってるの?」
「ダフネに聞いたの。でも、真に受けない方がいいよ?だってあのマルフォイだし」
「ワタシは止めたんだけど、ハリーとロンが頭にきてるらしくて…」
「バカしかいないの…この学校は…」
「ホントよ…」
私とグレンジャーがため息をついていたその隣で、ハリーがマルフォイの胸ぐらを掴んで今にも殴りかかろうとした。私は手に持っていた朱色の杖でマルフォイの足を払い、払った勢いでハリーの鳩尾を杖の柄で軽く叩く。突然足払いをされたマルフォイはそのまま後頭部を床に打ち付け、後頭部を抑えながら呻いて、ハリーは鳩尾を抑えて呻いていた。
「喧嘩両成敗ってやつ?そんな下らない事してるヒマがあったら魔法の練習してたら?」
「み、ミラージュ。やり過ぎじゃ…」
「そう?」
ダフネの顔が少し青ざめてる。やり過ぎた…かな?でも、殴り合いになるより遥かにマシじゃない?
「ほ、ホーエンハイム…お前…」
「なに?文句ある?」
「ぼ、ボクはスリザリン生だぞ…!」
「関係ないし。そもそも挑発したアンタが悪いんだし、殴りかかったハリーも悪いけど」
「けどアイツはー」
「言ったでしょ、関係ないって。そもそもアンタ、なんでハリーに突っかかるのさ?」
「それは…」
「『気に入らない』とかくだらないこと言わないでよ?」
「……」
「…まったく。ほんとに下らない事してないで、魔法の勉強でもしてなさいよ」
「ホーエンハイムには関係ないだろ?」
「規則を破ろうとしてるヤツが目の前にいたら止めるでしょ?」
「でもー」
「文句ある?」
私は思いっきり殺意を込めてマルフォイを睨みつける。するとマルフォイはビクビク震え出して、その場で縮こまってしまう。それから何か言いたそうなウィーズリーもついでに睨みつけておく。
「とりあえず、決闘の話はなし。バカやってないで勉強しろ」
「ミ、ミラージュ。先生が来るよ?」
「んじゃ、そういうことで。いくよマルフォイ」
私はマルフォイを引きずってスリザリン寮のテーブルに戻る。んで、適当にマルフォイをテーブルの何処かに座らせて、私とダフネはまた指定席のテーブルの端に座って昼食を食べる。
これでとりあえず決闘の話は潰せたかな?あんまりチョロチョロ動かれると、私が動きにくくなるからやめてほしい。とりあえず今夜はマルフォイを部屋に監禁するとして、図書室にでもいこうかな。あそこにある『閲覧禁止の棚』の本に興味あるし。今夜にでも侵入してみるか。
ネタが思いつかない…決闘はミラージュが参加すると数秒で終わりそうなのでやめました。とりあえず次回は『閲覧禁止の棚』に本をとりにいきます。