ふくろう便
トンボが行き交う森の中をオスカーは進んでいた。どうしてこんなにトンボが多いのか小さいころのオスカーには分からなかったが、この森の傍には小川と小さな池があり、そこでトンボは生まれている様だった。
森の中を無言で進んでいたが、オスカーはいつかしたようなリンゴの様な香りを感じることはできなかった。いつかの記憶のように木漏れ日が差し込んでもいなかったし、記憶と同じなのは木々と飛び交うトンボだけだった。
倒木の上に座り込んで少し考え込んでいるオスカーだったが、ふいに周りを飛んでいたトンボがいなくなったのが分かった。
オスカーの眼の間にドサッと言う音をたてて何かが落ちてきた。
「エロール?」
落ち葉の上で悲し気な鳴き声を上げているのはウィーズリー家のフクロウ、エロールだった。疲労困憊で地面や木々に立つどころか、完全に寝転んで荒い息をたてている。
エロールを掴んでなんとか倒木の上にとまらせてやると、エロールは右足を差し出した。ウィーズリー家からの便りがやっと届いたようだった。
内容はやっぱり夏休み中、みんなを泊めるのは隠れ穴に検知不可能拡大呪文をかけないとだめだろうということで、順次オスカーの家に向かうということだった。
オスカーが手紙を読んでいると倒木になんとか立っていたエロールを吹っ飛ばして、違うフクロウがオスカーの隣にとまった。全身真っ黒いこのフクロウはドロホフ邸のフクロウのローガンだった。
ローガンは褒めろとばかりに左足を差し出した。オスカーは手紙を足から取ってから頭を撫でてやり、後ろで悲しげな声をあげているエロールをもう一度ローガンの横にとまらせてやった。
ローガンはエロールを一べつした後、ドロホフ邸の方向へ飛び去って行った。オスカーはホグワーツ魔法魔術学校と蝋印が押されている手紙を開けた。
手紙にはオスカーがホグワーツに入る前に一度だけ見たことのある、細長い奇妙な文字が書かれていた。
オスカーがダンブルドア校長に頼んだこと、記憶を思い出すことは可能かということと、それの方法を教えて欲しいという内容に対する返答だった。
手紙にはホグワーツが始まった週のある曜日に校長室へ来て欲しいと書かれていた。
オスカーは具体的な方法が書かれているか、不可能だと書かれていると思っていたので、少し拍子抜けした。しかし、ダンブルドア校長が時間をとってくれると言うことは期待できるかもしれないと思い直した。
まだ疲れて息が荒そうなエロールを掴んで、オスカーはドロホフ邸への帰り道を進み始めた。
最近、何度も行き帰りとしていた道を進みながらオスカーは考えていた。記憶を思い出して何になるのかということだった。オスカーは自分が思い出せない記憶があることは分かっていたし、そもそも何が思い出せないのか分からない記憶すらあると思っていた。
しかし、思い出さないといけない記憶があることは確かだった。オスカーは彼女の名前を思い出すことが出来なかった。オスカーを尋問した厳しそうな魔法省の人間を除いて、あのときいた魔法省の人達や聖マンゴの癒者たちも辛い記憶ならば思い出さない方がいいと言っていた。
キングズリーも、自分が思い出さないといけないと思うまでは思い返すべきではないと言っていたことをオスカーは覚えていたし、これまでそれにオスカーは従ってきたのだった。
しかし、周りのみんなのことや、守護霊の呪文、まね妖怪のことを通して、オスカーは思い出さないといけないと考えていた。それも誰かに教えられるのではなく、自分で思い出さないといけないとそう思っていた。
オスカーが思考の渦の中を回っている間に家についていた。手の中ではエロールが悲し気な声をあげていた。どうやらいつの間にか手に力が入っていたらしかった。
「ああ、ごめんなエロール。ペンスが水とエサを用意するからちょっと待っててくれ」
扉を開いて家の中に入ったオスカーはちょっとおかしいと感じた。いつもの通りなら、ペンスがすぐにでも現れて、服を預かったりするはずだったからだ。
広間の方へ歩いていくとよく聞こえなかったが、誰かの声が聞こえるようだった。
「ほら、ペンスにオスカーの好きなモノを聞いとけばいいのよ、オスカーポイントの稼ぎ時よ」
「確かに、オスカーはあんまり好き嫌いしないの、ごはんの時は全部食べてるし」
「オスカーお坊ちゃまの好きなモノですか?」
もう誰かが来ているらしかった。オスカーは複数人の声が聞こえることからキングズリーではないと考えた。
「オスカーお坊ちゃまが小さいころは色んなお菓子を作って欲しいと言われたことがあります」
「オスカーがお菓子ですか? トンクスが糖蜜パイばっかり頼むならわかりますけど……」
「オスカーはハニーデュークスに行ってもあんまりお菓子買わないからなあ」
まだ遠くてあまり声が聞えなかったが、いつもの四人が先に来たのだろうとオスカーはあたりをつけた。
「はい、こういったお菓子なのですが……」
パチンという音が廊下を進んでいるオスカーの方にも響いてきた。
「あんまり見たことないお菓子だよね? ホグワーツとか隠れ穴でも食べたことないの」
「ほんとだ、僕も食べたことないや、外国のお菓子かな?」
「私も食べたことないですね、あ、でも結構いけますねこれ、手がかかってる感じのお菓子ばっかりですし」
「え? みんな食べたことないの?」
オスカーは広間のすぐそこまで来ていた。
「トンクスは食べたことあるの?」
「そりゃ何度もあるわよ…… ってそういうことね、これマグルのお店、スーパーとかで一杯売っているやつよ、このメンバーだと食べたことなくてもおかしくないわ」
広間に入るとエスト、クラーナ、トンクス、チャーリーの四人がテーブルの上に置かれているお菓子を頬張りながら話しているのがオスカーから見えた。
「へえ、マグルのお菓子かあ、パパなら喜びそうだなあ」
「マグルのお菓子って機械でつくったり、普通の砂糖をつかわなかったりするんだけど、これはちゃんとした材料と手でつくってあるから本物よりおいしいわよ」
「でもオスカーがマグルのお菓子ってあんまりつながりがよく分からないの」
「なんの話してるんだ? あと着くのが早すぎだろ」
オスカーが声をかけるとペンスがオスカーの方へ駆け出して、オスカーが持っていたエロールと手紙を受け取った。
「オスカーお坊ちゃまの好物についてのお話をしてたのよ」
「好物? よく分からないけどそんなの知ってどうするんだ?」
「そりゃ寮対抗のオスカーポイントを貯めるのよ」
「ハッフルパフは減点三百点だな」
ペンスがエロールを持って姿を消すのを見ながらオスカーはそう言った。そもそもオスカー自身、好物と聞かれてもパッとでてこなかった。ロックケーキは歯が痛いから食べたくないとか、エストにつき合わされて百味ビーンズを一気に食べるのは勘弁して欲しいとかはあったかもしれないが、好きなモノと聞かれてもすぐにはでてこなかったのだ。
「ペンスさんがここにあるお菓子をオスカーにつくってたって言ってたの」
エストが指し示すテーブルの上をお菓子をオスカーは見た。しかし、オスカーの記憶にはほとんどないお菓子ばかりで、少なくともここ数年ほど食べた記憶も見た記憶もオスカーにはなかった。
「ペンスはマグルのお菓子って言ってたし、パパが後からくるから渡してもいいかな、オスカー?」
「ああ、いいけど……」
オスカーは手に取って食べてみたが、その形にも色にも味にも特に思い出すことはなかった。マグルのお菓子という点が少しだけ気になり、あたりを見回したがペンスはいなかったので聞きようがなかった。ただ、オスカーの周りの四人の中でクラーナだけちょっと心配そうな顔をしていた。
「まあお菓子の話はいいんじゃないですか? それより誰かレアに連絡したんですか? 私たちが連絡しないといつまでたっても来れないですよ」
「あら? クラーナはオスカーポイント貯めなくていいの? 今、ペンスにどうやって作るのか聞いておけば手作りお菓子プレゼントでクリスマスに大幅加点よ、あとレアは暖炉飛行でくるから大丈夫よ」
「結局誰が加点するんだよそのポイント、審査基準はなんなんだ」
トンクスが創るよく分からない単語にオスカーはツッコミを入れざるを得なかった。そもそも魔法使いは手作りで何かを作ることはあまりないはずなのだ。ウィーズリーおばさんや他の魔法使いも杖を使って、食材や鍋といった調理器具を操り料理をするはずだった。
「手作りってとこがポイント高いに決まってるじゃないの、ママが言ってたわよ、魔法でできることを自分の手でやるから特別になるって」
「確かにウチのママもセーターは自分で編むから意味があるって言ってたね、自分の手で編んだモノを着てもらえれば、自分の思いを着て貰っているようなモノだって」
トンクスとチャーリーがそう言った後、エストとクラーナが一回だけオスカーの方に視線を移してまたずらした。オスカーは毎回そのセーターに悪戯を仕掛けているトンクスに言われたくはなかったが、確かに手編みや手作りの方が思いがこもっていそうな気がした。
「いい加減、セーターに悪戯をしかけるのはやめて欲しいですけどね」
「そうなの、トンクスが言えることじゃないの」
「ハッフルパフはクリスマスのたびに三百点減点だな」
三人から口々に言われたはずのトンクスは何故かニヤニヤ笑っていて、オスカーはちょっとだけ嫌な予感がしたのだった。
驚くべきことにオスカーの所にエロールがたどり着いてから数時間でこれまでクリスマスにドロホフ邸に来ていたメンバーが全員集合していた。夏休みに加えて、休日だったのもあったかもしれなかった。段々大人たちもこの家に来る遠慮やためらいが無くなってきている様だった。
ウィーズリーおばさんが来るとすぐにエストは飛んでいって何かを話している様だったし、トンクスとチャーリー、レアはウィーズリーの下の兄弟を連れて外に遊びに行った様だった。オスカーは今日も何も思いだせなかったこともあって、余り外に出たい気分では無かった。
いつもはひと気の無いドロホフ邸を歩いて広間の隣の部屋に入ると何故か、トンクス先生とクラーナという、オスカーのほとんど見たことのない組み合わせの二人が話込んでいた。
「あら? オスカー君じゃないの」
「ああどうも……」
オスカーの姿を見ると、何か羊皮紙にメモを取っていたクラーナがそれをポケットに入れた。オスカーにはクラーナがトンクス先生と何を話していたのかは全く想像がつかなかった。
「そうね、今クラーナちゃんの相談にも乗ってあげたところなのよ、特別に元先生としてオスカー君の相談にものってあげるわ」
「相談…… ですか?」
「そうよ、何か聞きたいこととかあれば答えるわ、ニンファドーラのことでもいいわよ」
トンクス先生に聞きたいこと…… オスカーには開けっぴろげなトンクスについて何か聞くべきことがあるとは余り思えなかった。トンクスは余り隠し事をするような性格ではなかったからだ。クラーナがオスカーの方をなにかいぶかし気な目で見ていた。
「えーと、そうですね、どうしてトンクス先生はマグル生まれのテッドさんと結婚されたんですか?」
「あらあら聞きたいの? ニンファドーラからはオスカー君の周りにはマグル生まれの女の子はいないって聞いてたけど、もしかしてニンファドーラが知らないだけでいるのかしら?」
「いないです」
オスカーはまたこれなのかと思ってちょっとため息をついた。トンクスの性格はやっぱりトンクス先生の責任だと思った。
「クラーナちゃんは知らないの? オスカー君の周りのマグル生まれの女の子」
「え…… し、知らないと思います……」
「あら? ほんとかしら? まあでも相談はオスカー君の周りの女の子の話じゃないわね」
オスカーにはクラーナの反応が意外だった。少なくとも本当にオスカーの周りにマグル生まれの女の子はいなかったし、クラーナも知っているはずだったので、もっとおどおどしないではっきりと答えると思ったのだ。
「うーん…… そうね、スリザリンの学生って、ちょっとこう言うとあれだけど、恋愛とか考え方とかが重いとか、粘着質だと思うのよね」
トンクス先生とクラーナの視線がオスカーの方を向いた。オスカーはまるで二人に考え方が重かったり粘着質だと思われているようだと言われているようで、ちょっと気まずかった。
「別にオスカー君がそうだって言ってるわけじゃないわよ、スリザリン生全体を通してそうだって言ってるの、私も含めてね」
オスカーは身近なスリザリンの人間を考えた。エスト、トンクス先生、スネイプ先生…… オスカーが一番トンクス先生の言う人物に当てはまりそうだと思ったのは血みどろ男爵だった。血みどろ男爵は十世紀も自分の行為を悔い続けているのだ、彼はまさに考え方が重い男だと言えると思ったのだ。
「そういう人ってね、すぐ周りが見えなくなって自分が見えなくなっちゃうのよ、でも他の人がいれば自分のことが見えてくるのよ」
オスカーはダンブルドア先生の話の様にトンクス先生の言葉の意味が良く分からなかった。かみ砕こうとしても、いまいち理解ができなかった。ただ、考え続ける人が周りや自分が見えなくなるのはオスカーには納得できた。去年のオスカーがきっとそうだったからだった。
「それもね、自分とすごく違う人の方が見えてくると思わない? 男と女でも、年上と年下でも、マグルと純血でも、スリザリンとグリフィンドールでもいいわ、だって違うひととだったら何が違うのか良く分かるでしょう? 何で違うのかって考えるでしょう? そうしたら自分がどんな位置にいて、どんな考え方をしているのか見えてこないかしら?」
オスカーはトンクス先生が言ったことを考えてみた、自分と違う人といれば自分がどういう考え方をしているのかわかる? それは去年感じてきたことと同じではないだろうか? アバーフォースやエストの考え方、クラーナやトンクスの考え方、自分と違うからみんなの考え方を知ることが理解できたのではなかったのだろうか。
「私の実家がどこかは知っているわよね? 純血よ永遠なれ、高貴なる由緒正しきブラック家よ、何世紀にもわたってスリザリン生だけを輩出してきた家で、例外はあの有名ないとこくらいね」
オスカーもブラック家の名前は知っていた。たしかエストやチャーリーもブラック家とは親戚にあたるはずなのだ。
「だからテッドに会った時に際立って見えたのかもね、色んな考え方とか、センスとかそういうことがよ、そうしたらこれまで自分がどんな位置にいて、どんな考え方をしてたのか見えてきたわ」
オスカーはどこかで同じ話を聞いた気がした。そう、あの時もクラーナと一緒に聞いたのだ。トンクス先生が言ったことはホグワーツの校長室であのフィニアスという校長が言っていたことと似ていた。スリザリンだからこそ、自分を第一に考えるような人間だからこそ、その人物が示す勇気は際立って見えるのだと言っていたのだ。オスカーにはそんなに似ているところがないはずなのに、あのフィニアスという校長と目の前のトンクス先生がどこか重なって見えた。
「最初にスリザリンの人は考え方が重いとか言ってたわよね? もちろんスリザリンは保守的だし、野心的でもあるわ、でもそれは自分のことや家族のこと、自分の未来のことを真剣に考えているってことよ、これってすごく良いことよね? もちろん行きすぎなければだけどね」
確かにそれはホグワーツでのスリザリンのイメージと合っていそうだとオスカーはおもった。
「私はスリザリンであんな実家の生まれだからこそ、真剣に考えることができたし、すごく違う人と会ったおかげで自分のことが分かったと思うわ、そうしたら凄くテッドが魅力的に見えたのよ、どうかしら? 答えになっているかしら?」
オスカーもクラーナもトンクス先生の話に何も返すことができなかった。オスカーはただその話を聞いて、早くダンブルドア校長に会いに行くべきだと考えた。自分はずっと大切なことを忘れたままになっているような気がしたのだ。
「あれ? ママと三人で何してるの?」
トンクスが部屋に入ってきたようだった。オスカーはさっきの話を聞いて、どうしてトンクスがあんな性格をしているのか分かった気がした。
「そう言えば、ニンファドーラは周りの話ばかりで自分の話はしてくれないわね」
「へ? 何の話なのよ」
「トンクスは人のことばっかりからかって、自分の話をしないってことですよ」
トンクスは珍しく眉を下げてこれは面倒くさいという顔をした。いつもはクラーナがトンクスに話しかけられてする顔だったので、オスカーは何かおかしかった。
「自分の話? 私はクラーナやオスカーみたいに、相手がむかついてるのに手を繋いで人と受け答えしたりしないわよ?」
「ニンファドーラはオスカーにだけはニンファドーラって呼ぶのを許してるんです」
「許してないわよ!!」
トンクス先生とクラーナがいるとトンクスのヒエラルキーが下がるというのはオスカーにとって新しい発見だった。
「オスカー君本当なの? この娘はほんとにニンファドーラって呼ばれるのを嫌がるのよ」
「賭けに勝ったら呼んでいいって言われて、賭けに勝ったのは本当です」
「もう!! オスカーお坊ちゃまは黙ってなさいよ!!」
結局のところ、オスカーはなぜトンクスがニンファドーラと呼ばれるのが嫌なのか良く分からなかった。
「そもそもなんでニンファドーラはニンファドーラって呼ばれるのが嫌なんですか?」
「クラーナだって、可愛い妖精のニンファドーラなんて名前をつけられたら呼ばれるのは嫌になるわよ」
「私は可愛い名前だと思うんだけどね……」
オスカーにはトンクスの感覚も、その名前を付けたであろうトンクス先生の考えも分からなかった。ただ少なくとも、トンクス先生がちゃんとした考えや思いを持ってその名前を付けたであろうことは疑い様がないと考えていた。
さっきの話を出来るような人が簡単な理由で名前を付けるとは思えなかったからだ。
「なんかさっきの話みたいだな」
「なんですかオスカー、さっきの話みたいって」
「だってトンクスは凄くニンファドーラって言われるのが嫌なんだろ? だから逆にニンファドーラって呼ばれるのが際立って、なんて言うかエストみたいに言うと、特別に聞こえるんだろうなって思っただけだ」
「は? はあ!? オスカーあんた一体何を言い出してるのよ!!」
「ニンファドーラポイントをスリザリンに百五十点追加ですね」
トンクス先生の前だと言うのにトンクスの髪の先っぽがちょっと赤くなっていた。それを見て、トンクス先生がオスカーやクラーナが見たこともないくらいに笑った。
「それは傑作ね、確かに際立って特別な名前になるし、それを呼ぶことが許されている人も特別ってことになるわね」
「確かに特別ですね、自分の寝室に連れ込むくらいですから」
トンクスがふくろうもかくやという勢いでオスカーの方を向いたが、オスカーは首を振った。少なくとも前学期ではハッフルパフの寮に入ったとしか言っていなかったはずだった。
「その反応を見るとやっぱり特別なんじゃないですか?」
オスカーはトンクスこそ閉心術を覚えた方が良いと何回目か分からない思いを抱いた。恐らくクラーナはトンクスを引っ掛けたのだった。
「何が特別なのよ!! オスカー、もうちょっと手をつないでいて貰えますか…… とか言ってたくせに!!」
「はああああ? なんですかそれ、全然関係ないでしょう!! ニンファドーラって名前が特別って話をしてたんでしょう!!」
「うるさいわよ!! 大体、オスカーはあれから一度もニンファドーラなんて呼んでないじゃないの!! 何度もしつこいのよ!!」
これは何時もの二人に戻ったとオスカーは思った。トンクス先生がいる前でもやっぱり大して変わらない様だった。
「いいわね、言葉とか名前とかって、人が関わる度にどんどん色んな意味とか思いとかが加わって、だんだん違うものになってくるのよね」
オスカーはトンクス先生がそうつぶやくのを聞いて、やっぱり名前は重要だと思った。そしてそれ以上に名前に関わる色んなもの、記憶だとか自分のその時思ったことだとかが重要なのだと思った。
むしろ、それがなければなんの意味もないのだ。いろんな言葉もそれだけでは意味がないのだ。誰かの思いが乗っていないとそれの意味はないとオスカーは思った。
お久しぶりです。
ハリー・ポッターのスマホアプリが出ると聞いて戻ってきました。
なんとチャーリーやトンクス、ビルがいる世代らしいです。
どこかで聞いたような世代です。
四年生は三年生より長丁場になりそうなので
気を長くしてお付き合いいただければ幸いです。