ドロホフ君とゆかいな仲間たち   作:ピューリタン

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漏れ鍋

 みんながドロホフ邸に来てから数日後、ホグワーツからふくろうがやって来て、新学期に必要な教科書や物品が明らかになった。

 これまではウィーズリーおばさんがダイアゴン横丁へ行く音頭を取っていたが、今年はこれまで以上に大人数だった。

 結局みんなで暖炉飛行をしてダイアゴン横丁に行くことになった。オスカーは先にグリンゴッツ銀行からお金を引き出す一団に加わることになった。

 ウィーズリーおばさん、ビル、クラーナ、レアとオスカーがほとんど経験したことのないメンバーだった。

 

「ビルはグリンゴッツを受けるんですか? グリフィンドールでは去年女子たちがその話題を結構してましたけど」

「ああ、ママには内緒だけどね、内勤じゃなくて呪い破り志望だし、ママはちょっと危険な仕事よりも僕に魔法省を受けて欲しいだろうからね」

 

 真っ白い建物に続く真っ白い階段を上りながら、ビルがオスカー達の方を向いてシーっと言うように唇に手をあてた。ハンサムなビルがやるとなんでも絵になるのだとオスカーは思った。

 

「みんな、早くあがってらっしゃい。私たちがお金を引き出さないと買い物ができないでしょう?」

 

 すでに階段を登りきっていたウィーズリーおばさんがオスカー達を呼んでいた。四人は慌てて階段を登り始めた。

 磨き上げられた観音開きのブロンズの扉の奥には何人もの小人たちが歩いているのが見えた。

 扉の奥にはさらにもう一つ扉があって、奥の扉も開いてはいたが、そこには泥棒への警告として宝の他に潜むモノがあると書かれていた。

 

「この宝の他に潜むモノってなんなんでしょうか?」

 

 レアが疑問を口に出すとビルが楽し気に答えた。

 

「今日はそれが何か分かると思うよ、久しぶりにエストの金庫からお金を引き出すみたいだからね、チャーリーの奴は悔しがるだろうなあ」

 

 何百人もの小鬼たちが秤で宝石の重さを計ったり、魔法使いに対応したりしている中をオスカー達は進んでいった。

 

「六つ分の家からお金を引き出したいのだけど」

 

 手の空いている小鬼にウィーズリーおばさんが話かけた。六つの家と聞いて、小鬼は少し訝しい顔をした。もちろんオスカーは余り小鬼の表情が分かるわけではなかったのでそれが正しいのかは分からなかったが。

 

「鍵はお持ちですか?」

「ええ、ウィーズリー、プルウェット、トンクス…… みんな鍵を出してくれる?」

 

 オスカー、クラーナ、レアの三人はそれぞれ鍵を小鬼の前にだした。小鬼は六つの鍵を時間をかけて丹念に調べている様だった。オスカーはウィーズリーおばさんがプルウェットの鍵と呼んだ鍵だけさらに入念に小鬼が調べている気がした。

 

「ではグリップフックとボグロッドに案内させましょう」

 

 オスカー達の対応をしていた小鬼の机の後ろからまた小鬼が現れた。五人はグリップフックに従って、金庫への道へと案内された。

 石造りの急傾斜のある小さな道を進むとトロッコの線路が現れた。グリップフックが口笛を吹くと四両編成のトロッコがやってきた。

 最初にグリップフックが、二両目にウィーズリー家の二人、三両目に後の三人が乗り込み、一番最後の車両にボグロッドが乗り込んだ。オスカーは隣のクラーナの顔が何故か青くなっている気がして少し嫌な予感がした。

 トロッコが洞窟の冷たい空気を切り裂いて、グリップフックが運転している様子も無いのに何度もレールを切り替えながら、右に左にどんどん進んでいった。最初にトンクス家の金庫についた様だった。ウィーズリーおばさんが金貨をトンクス先生に渡された巾着に詰めていたがオスカーはちょっとそれどころではなかった。

 

「クラーナ、なんでトロッコがあるのが分かってたのにこっちのグループに来たんだ?」

 

 まだ五家分の金庫に行かないといけないのにクラーナの顔は真っ青だった。オスカーはどうして漏れ鍋で時間を潰しているグループの方に行かなかったのかが不思議だった。エストの様にパーシーに捕まっていたり、トンクスの様に両親と一緒にロンドンのマグルの街へ出かけているなんて理由は無かったはずだったからだ。

 

「大丈夫です…… 多分……」

 

 クラーナは青い顔で器用に眼だけをオスカーの方へ動かしてそう言ったが全く大丈夫そうに思えなかった。

 

「全然大丈夫そうじゃないと思います……」

 

 全くもってレアの言う通りだとオスカーは思った。正直、オスカーはいつぞやのホッグズ・ヘッドでの一件があったのでクラーナの青い顔というのは少しトラウマだった。

 トロッコはさらに深くへ進んだ。地下湖の傍のあたりまで潜って、鍾乳石や石筍だらけになったあたりでやっと、ウィーズリー、ドロホフ、マッキノン、ムーディの金庫があった。クラーナの顔は次の金庫へ進むたびに青くなっていった。ウィーズリー家の金庫は相変わらずほとんどすっからかんだったが、オスカーはそんな事を気にしている余裕が無かった。

 ただ杖が使えない状況ではオスカーは何もすることは出来なかった。

 

「ここから一気にスピードが上がると思うよ」

 

 ビルがそう言うのを聞いて、クラーナの顔はさらに青くなり、オスカーの顔まで青くなった。

 一行をのせたトロッコはますます深く、スピードを上げて、地下深くへと潜っていった。幾度も幾度も地下渓谷を通り過ぎて、大きな滝の傍を通ってついにスピードが落ちた。

 オスカーは隣のクラーナが何とか耐えきったのを確認してからトロッコから降りた、その瞬間、地面と空気の振動から何か巨大なモノが動いている気配を感じ取った。

 

「ほら、入り口に書いてあった潜むモノのお出ましってわけだよ」

 

 オスカー達が洞窟の角を曲がると、巨大なドラゴンが鎮座していた。オスカーはドラゴンをこれまでに見たことは無かったが、随分と不健康そうなドラゴンに見えた。

 地面に巨大な杭で繋がれていて、ここから動くことができないのかうろこははがれかけており、目は白がかったピンク色だった。ドラゴンはオスカー達の方を恨みがましい眼で睨みつけていた。

 ドラゴンが吠えると同時に火が一行に向かって飛んできたが、距離がありすぎるのか届くことはなかった。

 

「クラーナ、気分は大丈夫なのか?」

「なんか、ドラゴンのおかげか引っ込みました」

「ここから出たことがないんでしょうか…… このドラゴン……」

 

 クラーナの顔色が元の肌色に戻っていた。オスカーはそれを見てクラーナを元に戻す時は決闘であるとかそういった緊張感があればいいのではないかと考えた。

 ボグロッドが金属製の道具のようなものを振ると、金属にハンマーを叩きつけた様な音が鳴り響いた。

 

「キシャアアアアアアアアアアアアアアアア‼‼」

 

 ドラゴンが咆哮を上げながら後ずさりした。ドラゴンがあとずさりしたことで後ろにいくつかの金庫があるのが見えた。四つか五つほど同じ木の扉があるのが見える。ボグロッドが鳴らす道具の音とドラゴンの咆哮が洞窟の壁に反響しながら、オスカーの体や鼓膜を揺らしていた。

 ドラゴンが奥へと追いやられ、金庫への道ができた。オスカーはチャーリーは来なくて正解だったのではないかと思った。チャーリーの性格を考えると、こういう状態のドラゴンを放っておけるとは思えなかったからだ。

 グリップフックが木できた金庫の扉に指を押し付けると扉が開いた。

 

「流石にプルウェット家の金庫ですね」

「凄い……」

 

 確かに金庫の威容は凄まじかった。そもそもこれまでの金庫よりも大きかったし、ガリオン金貨で金庫の奥が全く見えない状態だった。それに甲冑や何の動物かも分からない巨大な生物の骨や、これまた巨大な宝石類、なかには人の骨まで入っている様だった。

 しかし、一番目立っているのは中央に置いてある箱とその上に置いてあるティアラだった。オスカーはそのティアラを去年見たことがあった。ティアラの下の箱にはオスカーが見たことのある紋章が書いてある様に見えたが、かすれて良く見えなかった。

 ウィーズリーおばさんは慣れた様子で金貨をまた巾着に入れていた。またドラゴンを追いやりながらオスカー達はトロッコへと歩いた。

 

「あのいくつかあった金庫の中なら伝説のお宝があってもおかしくなさそうですね」

「確かに…… 何かを隠すならこの金庫が一番かもしれない……」

「こことホグワーツくらいだろうな、何か大事なモノを置くんなら」

 

 今度のトロッコは登りだったが、やっぱり真っ青になったクラーナの顔を見てオスカーは戦々恐々だった。

 なんとかスコージファイやオブリビエイトの必要も無く、元の小鬼たちが沢山いる広間に戻ってこれ、オスカーはホッと一息ついた。

 相変わらず広間は小鬼と魔法使いでごった返していたが、その中でもやたらと目立つ人物が歩いていた。風を切るように歩くその魔女は、長い緑のドレスに狐の毛皮の襟巻をつけ、さらにもう一押しとばかりに本物のハゲタカのはく製がついた帽子を被っていた。

 

「ネビルとミセス・ロングボトムじゃないですか、久しぶりですね」

 

 クラーナが恐らくその魔女に声をかけた。良く見るとその魔女はロンと同じくらいの少年を連れていた。オスカーはロングボトムという名前を憶えていた。クラーナの事が新聞に載った時に同じ様にその名前が載っていたからだ。

 

「おう、おう、久しぶりですね、クラーナ。ほらネビル挨拶しなさい」

「こんにちは……」

 

 丸顔の少年はおどおどしながらオスカー達に挨拶した。ウィーズリーおばさんとビルはまだ小鬼と何かの手続きをしてるようだったので、ここにいるのは三人だった。

 

「あなた方も存じあげてますよ、去年は日刊預言者新聞や週間魔女に何度もでてましたからね」

 

 ミセス・ロングボトムがそう言うのを聞いて、さっきまで青かったクラーナの顔が赤くなった。

 

「ミセス・ロングボトム、あの記事は大体嘘ですから……」

「レア・マッキノンにオスカー・ドロホフでしょう? ミネルバからも貴方達の事は聞いていますよ、それにクラーナ、注目を集めると言うことはそれだけ貴方達に能力があるということでしょう。恥に思うことはありません」

 

 オスカー達三人の方を見てから、ミセス・ロングボトムはネビルの方を見てため息をついた。

 

「貴方は貴方のお姉さまと同じ様に才能を示しているというのに、ネビルときたら…… この子はいい子ですが、まだ魔法の才能を示さないのです。このままではホグワーツに入学できるかも怪しいでしょう」

 

 ネビルと言われた少年はますます縮こまって、泣きそうな顔になった。

 

「そんなことは無いと思いますけど…… フランクさんとアリスさんの息子なんですから、ねえネビル?」

「でも…… 僕一度もみんなみたいに不思議なことを起こせたことは無いし……」

 

 ネビルはクラーナにしどろもどろに答えた。オスカーも見ていてちょっと可哀想だった。するとレアがネビルの傍まで行って、同じ目線になるように膝をかがめた。

 

「ねえ、ボクはレアって言うんだけど、ネビルは魔法を使う自信がないんじゃないかな」

「自信……?」

 

 オスカーは意外だった。レアはアバーフォースや目の前のミセス・ロングボトムの様にちょっときつそうな年上の人は苦手だと思っていたからだ。クラーナもそう思ったのか、オスカーと目線が合った。

 

「そう、多分魔法の力が無いと思ってるから出てこないんじゃないかな? もっと楽しくて、頼もしいモノだと思った方が上手くいくかもしれないよ」

「頼もしい……?」

 

 レアはネビルにウィンクして、オスカー達の方に戻ってきた。ネビルはちょっと間の抜けた不思議そうな顔をして、レアを目線で追っていた。

 

「さて、私たちはこれから金庫へ行くので失礼しましょう。皆さんにお会い出来て良かった。ネビル、ほらちゃんと挨拶をするんです」

「うん。バイバイ」

「またね、ネビル」

 

 ネビルは手を振りながら、ミセス・ロングボトムに連れられてオスカー達がさっきでてきたトロッコの方へと消えていった。

 ちょっとするとウィーズリーおばさんとビルが戻ってきたので、オスカー達はグリンゴッツから漏れ鍋に戻ることにした。

 グリンゴッツの階段を下りる最中、オスカーはやっぱりさっきのやり取りが意外だったので、レアに聞いてみることにした。

 

「レア、さっきなんでネビルに話しかけたんだ?」

 

 オスカーが尋ねると、レアは意外そうな顔をオスカーに向けた。どうしてそんな事を言うのかとまるで顔が言っている様にオスカーには見えた。

 

「えっと…… 前にオスカー先輩に浮遊呪文を一緒にやってもらった時がありましたよね、あの髪飾りの一件の朝ですけど……」

 

 確かにオスカーは髪飾りの一件があった朝、みんなより早く起きて練習するレアを見つけて一緒に浮遊呪文を使ったことがあった。

 

「なんかネビルがあの時とか…… 一年生の頃のボクと被って見えたから……」

 

 レアは魔力を上手く使えず苦労していたが、それが未だに魔力の兆候が見えないネビルと被って見えたのだろうか? 近い状況を経験したので、それをレアはネビルに伝えたかったのか? オスカーは最近似たような話を聞いた気がした。

 

「だからボクはネビルに話しかけたんだと思います。言ったことはほとんどあの時のオスカー先輩と同じことだったと思うんですけど…… 違いましたか?」

 

 オスカーはレアがさっきの顔をしていた理由が分かった。オスカーもレアにそのことを話していた時、自分が似たような経験をしたからそれを話したはずだったのだ。誰かが誰かを見て、思いだしたり気付いたりしたことが繋がっているのだろうか? オスカーはちょっと不思議な気分だった。

 

「いや…… 同じだと思う……」

「なんだあの時、浮遊呪文を教えただけって聞いてましたけど、やっぱりそういうことを言ってたんですね」

 

 なぜかクラーナがオスカーの方をまたかという様な目で見ていた。オスカーは一体クラーナが何を指してそう言っているのかさっぱり分からなかった。

 三人は喋っている間に前のウィーズリー家の二人に置いていかれていたので、慌てて二人を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 グリンゴッツから帰ってきた後、オスカー達はいくつかのグループに分かれてダイアゴン横丁に買い物に行き、レアとオスカー、ウィーズリーおばさん、ロンのグループは先に買い物を終わらせて漏れ鍋に戻っていた。しかしウィーズリーおばさんはロンのベストを買い忘れたと言って、またロンを連れてダイアゴン横丁に戻ってしまったので、オスカーはレアと一緒にバーテンのトムが出してくれるかぼちゃジュースを飲みながら他のみんなを待っていた。

 すると、突然ジニーがオスカーの目の前に現れて質問した。

 

「ねえ、オスカーはエストの事好きなの?」

「え? 好き? まあ好きか嫌いかって言われれば好きだろうけど」

「じゃあクラーナの事は?」

「好きなんじゃないか?」

「ジニーの事は好き?」

「ああ」

「やった!!」

 

 ジニーはそう言うとオスカーの膝の上に乗っかってきた。その様子を見て、目の前で目を丸くしていたレアが笑った。

 

「ボク、ちょっと今のはびっくりしました。ジニー、なんでそんな事聞いたの?」

「フレッド・ジョージとトンクスがオスカーに聞いたら、一シックルくれるって言ってたから」

 

 オスカーの予想通りだった。実際にオスカーが後ろを振り向くと、件の三人がこっちを見てぶつぶつ言っている様だった。

 

「ジョージ、見たか? やっぱり小細工は通用しないんだ」

「ああ、フレッド、我らが妹まで毒牙にかかってしまったようだ」

「あいつほんとに恥ずかし気もなく言うわね、面白くないわ」

 

 トンクスが面白くないのは大体オスカーにとって良いことだった。

 ジニーが三人を見てからオスカーに言った。

 

「トンクスの事は好き?」

「うーん……」

 

 オスカーはここは保留しておくのが正解だと考えた。

 

「まあ純血キラーだし」

「まあ気を取り直して、ビルの監督生バッチを磨いてるパースをからかいに行こうぜ!!!!」

 

 フレッド・ジョージがトンクスの肩を叩いて励ます様な振りをした。

 

「あんまりレアのポイントも稼ぎすぎない方がいいわよ、私はどうなっても責任取らないからね」

 

 トンクスはそれを全く意に介さず、オスカーとレアにそう告げて出て行った。双子は慌ててそれについていった。

 

「ポイントって何ですか?」

「ああなんかその人に良いことをすると寮対抗でポイントがたまるらしい、ちなみに今、俺のポイントはハッフルパフが断然の最下位だ」

 

 レアもオスカーも笑い、それにつられて多分分かっていないジニーも笑った。

 

「ねえ、オスカーとレアはハリー・ポッターのこと知ってるの?」

「ハリー・ポッター? ジニーはなんでハリーの事を知りたいんだ?」

「だって、ハリーは凄い人なんでしょ? 例のあの人を倒した人だし、カッコイイわ」

 

 ジニーはキラキラした目でオスカーとレアの顔を見た。どうもジニーの中ではハリー・ポッターはスーパースターになっているようだった。

 ただこれにはオスカーは困った。ハリーのことをオスカーは大して知らなかったし、そもそも去年のエストが言っていたことを考えると、ハリーとジニーは一歳しか変わらないはずだった。つまり、まだハリーは小さい子供のはずなのだ。そんな子供の事をオスカーが喋れるはずもなかった。

 

「赤ちゃんのハリーにはボク会ったことあるよ」

「ホント!?」

 

 意外な所から助け船が出たとオスカーは思った。エストの話だと、レアやエストの家族はポッター夫妻と同じ組織に入っていたはずなので、順当な話だとオスカーは思い直した。

 

「有名な傷跡ができる前だけど、リリーさんと一緒の緑色の眼だったと思う。あれから会ってないから今はどんな姿なのか分からないけどね」

 

 レアが喋る内容を相変わらずジニーは目を輝かせて聞いていた。

 

「レアはハリーの家族と知り合いなのか?」

「そうです。ママはリリーさんと仲が良かったんです。まだジニーくらいの年の頃にリリーさんとジェームズさんの結婚式に出たこともあります」

 

 オスカーは意外なところで有名人と繋がっていると考えた。そしてその後、レアが喋る人物がハリーを除いて全てもうこの世にはいないことに気付いた。

 

「どんな人? ハリーのお母さんとお父さんって?」

 

 ジニーの質問は止まらない様だった。オスカーはレアの方を見たが、レアは余り悲しそうな雰囲気ではなく、何か懐かしむような顔だった。

 

「二人共、ホグワーツではグリフィンドールで揃って主席だったらしいから、凄く優秀な人だったみたいだよ。リリーさんはマグル生まれなのに凄いってママが良く言ってたの覚えてるよ」

 

 オスカーはレアの言った、グリフィンドール、主席、マグル生まれと言うのを聞いて、頭に別々の三人の顔が浮かんだ。そのせいかあまりリリーという人物の性格を想像することができなかった。

 

「ジェームズさんは確かクィディッチでチェイサーをやっていて、リリーさんは魔法薬学が凄く得意なんだって聞いたかな」

「やっぱり、ハリー・ポッターは家族も凄いんだ」

 

 ジニーの反応が良いせいかレアも気持ちよく話せている様だった。

 

「あとジェームズさんとリリーさんには凄く仲がいい人たちがいて…… ボクも時々遊んで貰ったことがあるんだけど、シリウ……」

 

 レアは途中まで言いかけて言うのを止めた様だった。レアの顔がそれまでの懐かしむ顔ではなく、何かを耐えている顔になっていた。オスカーの膝に座っているジニーがそれを見て体をむずむずと動かした。

 

「リーマスさんとピーターさんって言う人だったんだけど、優しくて面白い人たちだったよ、今はもうリーマスさんしかいないはずだけど何やってるのかな…… 多分、今いる人たちの中で二人を一番知ってるのはリーマスさんじゃないかなあ……」

 

 レアはまた元の顔に戻って、何かを思い出している様だった。オスカーは誰かの家族や周りの人たちの話をするといつも、この世にいないかどこかに閉じ込められて出てこれない場所にいるかだと思った。

 

「ハリー・ポッターと仲良くなれるかな? ロンは同い年だけどジニーは一つ下だから……」

 

 そう言うジニーはさっきまでと違い、ちょっとだけ不安そうだった。

 

「大丈夫だよ、ボクも先輩達よりいっこ下だしね、それにジニーは可愛いからきっとハリーの方から話しかけてくるよ」

「ホント……?」

「ホントだよ、それにボクは先輩達と違って一年だけハリーやロンとホグワーツで一緒になるからね、ジニーのことよろしくって言っとくよ」

 

 オスカーは去年バタービールの瓶を持って大暴れしていたレアと同じ人物とは思えないほどレアが優し気に見えた。ただ何故かジニーは少し渋い顔だった。

 

「それはダメかも」

「ええっ? どうして?」

「ハリーがレアに取られたら嫌だもん」

 

 レアはちょっと苦笑いをしながらオスカーの方を見た。オスカーはハリーがガールフレンドに困ることはなさそうだと思った。

 

「別にボクはハリーをジニーから取ったりしないよ」

「ホントに? でもトンクスがオスカーをめぐってホグワーツではちでちをあらう? 戦いがあるって言ってたよ? レアもそうじゃないの?」

 

 今度はオスカーも苦笑いになった。オスカーの中でハッフルパフのポイントを示す宝石が全て流れ出たのが分かった。

 

「トンクスはあほだから本気にしちゃダメだ」

「そうなの? じゃあオスカーはどんな女の子だったら一緒にいたいの? オスカーをおとせる? なら誰でもおとせる? ようになるってこれもトンクスが言ってたよ」

 

 オスカーはだんだん頭が痛くなってきた。オスカーが一緒にいたい女の子とハリーが一緒にいたい女の子が一緒だとはとても思えなかった。

 そもそもオスカーは一緒にいたいと思う女の子と言われても、エストとはいつも一緒にいるし、クラーナやトンクスを含めても誰と一緒にいたいかと言われても答えられそうに無かった。

 オスカーはちょっと考えを変えた。ジニーの問いは誰と一緒にいたいではなく、どんな女の子ということだったからだ。

 

「ちょっと前、トンクス先生から聞いた自分と違う人かな」

 

 オスカーは昨日聞いたトンクス先生の話を思い返していた。自分と違う人だから自分が見えるという話だった。オスカーには自分にはそれが必要に思えた。

 

「じゃあトンクスじゃないの?」

「トンクス?」

「トンクス先輩ですか?」

 

 笑いながら言ったジニーに二人が尋ねた。

 

「だって、トンクスはみんなの中で一人だけじゅんけつじゃないって言ってたよ、だから一番違うんじゃないの?」

 

 確かにジニーの言う通りかもしれなかった。トンクスが時々、オスカー自身や他のみんなとは違う視点からモノを言うのは幾度もあった様に思えたからだ。それが父親がマグル出身だと言うところから来ているのもおかしくはない気がした。

 

「違うって言っても色々あるからな、男と女とかスリザリンとグリフィンドールとか」

「じゃあエストはオスカーとすごく一緒だよね?」

「確かにエスト先輩とオスカー先輩はいつも一緒ですね」

 

 二人の言う一緒がそれぞれ別の意味にオスカーには聞こえた。その人の要素が一緒なのか、それとも距離的に一緒なのかだ。オスカーはエストとの距離は近くても、色んな要素がエストとは他の人よりも離れている気がした。

 それに二人共スリザリンに組み分けされたが、一体どの部分が二人をスリザリンに組み分けした理由なのかオスカーには分からなかった。

 

「会ったことは無いけど俺とハリーは多分全然違うだろうから、俺の事を聞いても仕方ないし、やっぱりジニーがハリーに会ってから色々考えればいいと思うけどな」

「ハリーに会ってから?」

「ボクもそう思うよ、だって会わないとハリーがどんな人か分からないからね」

 

 会って、話して、一緒にいて自分と色々比べないとその人の事は分からないのだ。むしろ一緒にいても全然分からないのだ。オスカーはその事を良く知っていた。

 

「じゃあロンに頑張ってもらうね、ロンがハリーと友達になったらジニーの家とかオスカーのお家にくるかもしれないでしょ? そうしたらジニーがホグワーツに入る前に会える‼‼」

「ロンは責任重大だね」

「頑張ってもらおう」

 

 オスカーはかのハリー・ポッターがドロホフ邸に来るのが想像できなかったが、それはそれで面白そうだと思った。

 

 




ホグワーツミステリー……
翻訳が不自由すぎる……
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