謹呈の世 銀嶺の今   作:c.m.

24 / 24
 本稿は謹呈の世 銀嶺の今の登場人物の設定や裏話を、おふざけを交えつつ赤裸々に語って行くコーナーとなります。
 ネタバレ等を含む上、読了後である事を前提としておりますので、予めご了承頂ければ幸いです。


Attack EX 登場人物紹介であります

綾之峰(あやのみね) 英里華(えりか)

 

 原作『金の彼女 銀の彼女』の金の彼女にしてメインヒロイン。

 笑顔を絶やさぬ才色兼備なご令嬢であり、一年生ながらに生徒会長を務めているところからもその辣腕ぶりが伺える。

 八歳の折に本家に引き取られてから、次期当主としての公務と英才教育で多忙な日々を送っており、その鬱積した感情が銀香という鏡写しの存在を生むきっかけになった。

 

 平安・戦国より古く続く綾之峰家次期当主にして、綾之峰学園に通う一年生。

 お淑やかな物腰の深窓の令嬢らしく、悲劇のお姫様な自分を救って欲しいと憧れちゃう乙女回路全開なヒロインなのだが、原作では黒彼女などと言われたり『銀の彼女 パールの彼女』にタイトルを改題されかけたりと扱いのアレさが目立つヒロイン。

 本二次創作(以下、本作と記載)でもそんな原作をリスペクトすべく……という理由ではないが、出番どころかヒロイン枠でもない脇役ポジになってしまったキャラ。

 

 ヒロインにならなかった理由は、実のところこの作品自体『作者がエタらないために、どれだけ無駄なく最短ルートでゴールできるか』という部分に重点を置いた試験作だったという事情が大きかったです。

 綾之峰の後継として主人公と物理的に距離を取らざるを得ない以上、攻略するとなると日常パートを合間に挟まざるを得ない事も含め、プロットを組む前から早々にヒロインルートから外れましたとさ。

 

     ◇

 

綾之峰(あやのみね) 歌凜子(かりんこ)

 

 天鏡島の巫女として、綾之峰家の未来を占う星読みの巫女を統べる巫女姫。

 本作では主人公の前世の娘として登場したが、彼女も含め本作の登場人物の大多数に主人公と何らかの関わりがあるのは、主人公補正というだけでなく、これもまた物語を最短ルートで終わらせるための手段。

 TRPGとかでキャラ同士に関わりがあった方が進めやすいのと同じ理論である。

 

 安田登郎の前世、黒瀬正継の娘であり、一度目の歴史改変後の世界では一九三〇年代に生まれた事を考えて年齢を逆算すれば、大変アレな事になるので実年齢は伏せさせて頂く(本編スタートは二〇一四年)

 星読みの巫女を統べる立場であるだけに、未来視の力が非常に強いだけでなく、読心術を始めとした複数の術を用いるが、父親絡みを除いて必要以上に力を使おうとはしない。

 

 実は武芸もそれなりにこなせるのだが、姫として巫女を取り纏める立場である事から、そちらの方面で活躍する事は本作ではなかった。得意なのは弓と薙刀。

 

 父以外の男を知らず本島で過ごしたために、初恋の相手が父親で止まったまま重度のファザコン化したが、父親は父親でマザコンの気があるので、普通の暮らしをしていてもファザコン化していた可能性が高い。能力面だけでなく、ダメな性癖まで存分に遺伝してしまった模様。

 父の前では一人称に名前を使い、御淑やかにしている反面、他の巫女らを取り纏める立場になれば傲岸不遜になるが、どちらかというと前者の方が素で、後者は威厳を保つために無理にアピールした結果、ああなっただけだったりする。

 

 他の巫女と同様、泉の女神との契約によって身体年齢は一定の年齢で停止。当人も十六(数え)で止まっており、本作でのヒロインや主人公と同年齢の筈なのだが、外見は十二程の為に英里華らにはロリババアと陰で囁かれる。

 母親はバインバインだというのに。どうしてこうなった……。

 

 エピローグの歴史においてはきちんと結婚したが、選んだ基準が父親と似ているからという点であった辺り、業の深さが伺える。

 

     ◇

 

綾之峰(あやのみね) 銀香(ぎんか)

 

 英里華の鬱積した感情と、泉の女神の願いを叶える力によって英里華と存在が分離した少女。

 英里華の鬱積した感情を体現するかのようにざっくばらんな物言いをしたり、色々と怠けちゃう女の子だが、好みや根本的な部分は同一人物であるためか、英里華と同じで恐竜好きの乙女回路全開だったりする。

 

 原作メインヒロインである銀の彼女にして、本作でも二大ヒロインの片割れを務める少女。原作での同棲ポジションである事や、キャラクターそのものの動かしやすさから、金の彼女とは真逆に早々にメインヒロインに決定。

 敬語ばっかりで感情の読み辛い主人公と違い、終始動かし易いポジションで居てくれるに違いないと書く前までは思っていたが、利便性においてはジーヤとかいう超絶チートポジションキャラが居た為に、思ったより動かなかったなというのが作者の感想。

 

 原作における恐竜好きという設定から、主人公の姉と絡ませれば面白い事になるのではと思ったが、本筋と関係ないし、姉自体メインで関わる事はないよねとバッサリカット。

 徹底的に削って行く本作のスタイルに結構割を食ってしまった感がある。

 

     ◇

 

綾之峰(あやのみね) 万里華(まりか)

 

 英里華の叔母にして主人公の母、峰子の同級生。

 綾之峰家の当主代理にして行事全般を取り仕切るという多忙な身だが、何だかんだで峰子と楽しくやっている。

 本作においては夫と別れたという部分があったが、これは飽くまで本作のオリ設定。今のところ(原作八巻まで)は夫との細かい設定は明言されていない。

 七夕茶会では主人公をガッツリ試したが、これは主人公が綾之峰家の婿養子に相応しいか、という部分より、主人公の人となりを知って親子の関係を改善させたかったというところが大きい。単に作者が『へうげもの』にどハマりした結果というのもあるが。

 

     ◇

 

綾之峰(あやのみね) 征綺華(ゆきか)

 

 綾之峰家の分家筋に生まれた息子にして、父である征麻呂によって英里華の婿になるべく仕組まれた少年。年齢は主人公や英里華と同じ十六歳(誕生日不明の為、数え年)。

 

 原作での男の娘というサブヒロイン? 枠にして、本作では唯一主人公とキスからその後まで行った実質メインヒロインの一角。

 本作における主人公はメインヒロインにキスすらしてないのにこの差である。

 

 原作での女装は当人の趣味だが、本作では性同一性障害だったり、父親からの意図的な虐待を受けたりと、兎に角設定が重い。

 ていうか、綾之峰学園のオリ設定と言い、本作の闇は妙に深い。

 

 綾之峰の人間であった為に綾之峰の全てを壊したいと父親の企てに乗ったが、そもそもにして彼のこの思想自体、父親が意図的に誘導した物。

 父の征麻呂にしてみれば、ここで綾之峰の地位を完膚なきまでに失墜させたならば綾之峰を信奉する人間は激減するであろうし、将来的にはお家そのものを潰す為、長期的に考えていたが、まさかの主人公による妨害&ダイナミック拉致によって計画は失敗。

 結果として日本の物理的崩壊にカウントダウン入れた事を考えると、主人公も結構功罪大きいが、関わらなかったら関わらなかったで不幸な人間が続出していたので結果オーライともいえる。

 

 男として生まれた事に悩みつつも、何だかんだで主人公とイチャつくには性別なんぞ無問題と分かった矢先に男である事を利用しつつ迫るので結構強か。

 お悩み相談からベッドインまで務めてくれるとかマジ正妻ポジじゃねえのと疑うレベル。

 

 エピローグでは綾之峰の直系に許される『華』でなく『香』を名乗り、女の子として登場したが、一人称の僕は性別が変わろうと変わらない魂の僕っ子。

 性転換したのは親馬鹿と化した征麻呂が性転換手術させたのか、はたまた生まれた時から女の子だったのかは想像にお任せする。

 どっちにしても、主人公には生涯の親友としてこれからも接していくのだから。

 ……そしてたまに浮気騒動に発展して、主人公がヒロインに怒られるまでがお約束。

 

     ◇

 

綾之峰(あやのみね) 征麻呂(ゆきまろ)

 

 原作におけるお見合い事件の主犯(裏で糸を引いてたのは大刀自)にして本作のラスボス。前世である辻口(つじぐち)基明(もとあき)に関してもこの項で説明する。

 

 原作での変態(ロリコン)&小物ぶりから、本作でも似たようなもんだろうと読者を誤解させることを意図していたが、あんまり小物らしくし過ぎると、後半とのギャップが激しすぎるので、暗躍キャラという形に落ち着いてしまった。

 

 電子会社の社長として辣腕を振るう傍ら、傭兵企業(PMC)を使い世界を股に掛けて悪事を行うアクション映画のラスボスみたいな事を平然と行ったり、綾之峰を潰す為に息子を計画的に虐待したり、女神から情報を仕入れる為に幼女を犠牲にした挙句、私欲とカモフラージュな為に性的な意味で食って殺しちゃったりと、挙げたら挙げた分ドン引き待ったなしのガチ外道。

 PMCの人間から専門の訓練も受けており、本作で巫女らを相手に無双したのも日頃の努力の賜物だが、努力する外道とか性質悪すぎである。

 

 前世は辻口基明として旧日本軍にて参謀本部に勤務し、主人公とも侍従武官時代以前から交友があったエリート少佐。

 愛国心から仕事の関しては非常に精力的である反面、中々家族サービスの出来ない立場だったが、本人は家族を真剣に愛しており、主人公にも家族関係で相談していた。

 

 歴史が改変された為に、陛下の存在どころか本来生存する筈だった家族を失い絶望したが、復讐の引き金になったのは百合華が主人公同様、過去を覚えている事から南方諸島に送った為。

 もし百合華が彼に対して真摯に向き合い、胸襟を開いていれば、忸怩たる思いはあったとしても本作程の行動を取らなかった事を考えると、百合華が受けた暴力は結構順当なものであったかもしれない。

 歴史の改変によって結果的に救われた主人公と対を為すキャラクターであり、結果如何によっては真逆の立ち位置になり得た存在でもある。

 

 エピローグの世界では改変前の歴史の記憶を失ったが、これは主人公に敗北したことを潔く受け止め、家族の為に生きる事を誓ったために女神に認められた為である。

 エピローグに見せた姿こそが本来の意味での彼であり、復讐に囚われなくなった後は、娘の幸せの為に働きつつ、幸せな人生を送るだろう。

 ……たまに娘に近すぎる主人公に当たりながら。

 

     ◇

 

綾之峰(あやのみね) 百合華(ゆりか)

 

 綾之峰家先々代当主。齢百歳を超えており、原作でも銀香からは妖怪みたいなババアと言われるほど。

 

 本作の黒幕なようで、実際は悲劇のヒロインだった女性。

 綾之峰山の一角にある閉塞的な寒村にて、銀の髪を持って生まれた為に村ぐるみで親を殺され、本人は忌児として閉じ込められていた。

 彼女が殺されなかったのは、殺めれば呪われるのではないかという狂気じみた迷信からであって、決して温情によるものではない。

 誰とも触れ合えず、関わりを持てないまま死の運命を辿る筈だったが、泉の女神によって生存……というより、記憶を持ったまま転生しており、陛下の存在を覚えているのもその為。

 誰とも触れ合えないのであれば、名前だけは永遠であって欲しいという願いから綾之峰家を恒久の物にすべく泉の女神と契約し『鏡』を得たが、主人公が語った通り、その根幹には託された国を護りたいという感情も確かにあった。

 ただし、主人公や辻口だけでなく、多数の人間をその過程で犠牲にしている為、彼女自身いずれは報いを受ける事は理解できていた。

 

 本作の表紙絵として主人公と対をなす形で描いたが、これは別にヒロイン偽装とか読者諸兄に深読みさせたかったとかではなく、過去と今の人間というポジション柄、ダブルヒロインを描くより構図的に美味しかったのと、征麻呂(ラスボス)を描いちゃうと、野郎と中年の組み合わせとか絵的にアレ過ぎんぞという理由からです。

 そして描かれる事のないメインヒロインぇ……。

 

 エピローグの世界では順当に歳を取っただけでなく、主人公の事も覚えているが、これも征麻呂同様女神との契約。

 対価は『人生を賭けて日本と人々の為に尽くす』事であり、彼女はその誓いに相応しく、受け継がれた国の未来を護り続けた。

 

     ◇

 

綾之峰(あやのみね) (りん)

 

 歌凜子の母にして、主人公の前世たる黒瀬正継の妻。

 娘である歌凜子の力は歴代随一と称されたが、これは凛の力が弱いのではなく、代を重ねるごとに継承される力が多くなるため、必然的に後継が歴代最強になるという仕組み。

 

 歴史が改変される前の姓は那須であり、そのルーツは源氏のゴルゴ13こと那須家。

 実は弓の腕も一人前だが、それ以上に男を射止める腕も百発百中。

 主人公とはかなり年が離れており、見合いがあった時点で一周り以上の差もあった為、いくら主人公が出世頭だからと言って無理に嫁がなくてもと周囲に言われていたが、見合いの際にアレコレ気遣ってくれる主人公に逆にハートを射止められて婚姻。

 主人公も一目惚れしてたので、実質恋愛婚みたいなもんである。

 

(当時の人間にしては)なんて一途で紳士的な方! とメロメロになってた新婚生活の矢先、主人公の過去の不純が発覚して懐刀を手に無理心中かましてやろうかという残念過ぎる過去が有ったりする。

 結婚してからの主人公は一途かつ真面目な旦那としてクラスチェンジしたために最悪の事態は回避できたが、その恨みは死ぬまで忘れなかった所にヤンデレの資質を感じる。

 

 本作の女性の中でもトップクラスのスタイルで、巫女大将とジーヤが二位、三位争いをする中で僅かに一歩出ての一位である。主人公もげろ。比喩とかじゃなくてガチでもげろ。

 

 実は早めにお亡くなりさせてパールの彼女として復活させようかと思っていたが、例によってカット祭りな本作のスタイルの憂き目にあい、敢え無くご退場となった。

 

     ◇

 

泉の女神

 

 皇紀元年より古くから湧くという泉に祀られる(ここはオリ設定です)、由緒正しい女神さま。

 原作のメインヒロイン二名を用意してくれた素晴らしい女神さま。

 だけど本作では結構やってる事のえげつ無さが際立つ女神さま。

 原作での谷間が実に美しい女神さ…おや? 誰か来たようだ。

 

 対価と引き換えに願いを叶えるのは『XXXHOLiC』の侑子さん形式だが、その内部に自分の寿命を延ばすという究極の漁夫の利スタイルが隠されている事は本作で語った通りである。

 

 元は国の安寧(自然災害の類)の為に自ら人身御供となる事を選んだ巫女であり、泉というより綾之峰山全体に祀られた祭神。祀られた直後は多大な力を有していたが、一度目の歴史改変を行う前までは、信仰が廃れた為に力の大半を失っていた。

 泉が枯れると同時に死する運命を変えたいと願い、歴史改変の為に陛下を誘導した事から、日本国の救い手であると同時に、ある意味黒幕とも言える存在。

 歴史の改変と共に綾之峰家のバックアップによって信仰を集め、綾之峰山一帯どころか都市全域にまで根を張っている為、まず死ぬ事はなくなったが『鏡』の呪詛は綾之峰の恩恵を受けた対象が強ければ強いほど発動する為、厄災に巻き込まれていずれは女神も亡んだ可能性が高い。

 

 エピローグではいつか死ぬしそれで良いと語ったが、何だかんだで長く生きるのは間違いない。将来的には学園に通う、ある日突然泉に落っこちた男子生徒とかと恋仲になったりして清く正しいラブコメディとか送ったり送らなかったりしそう。

 

     ◇

 

ジーヤ・芹沢(せりざわ)・マクミラン

 

 英里華の教育係にして専属執事。年齢不詳だけどピッチピチで、語尾が長州弁チックな英国ハーフ。

 多分語尾に関しては親が長州人だったか、軍人さんだったかに違いない。でも妹は喋り方が普通だから、本人の趣味とかキャラ付けの可能性もある。

 本作各話の語尾に『~であります』と付いているのは、作者にタイトルセンスがない為、リリカルなのは(無印)のタイトルコールっぽく語尾に付けたら誤魔化しが利くだろうという超安直な考えのもとに生まれてしまったが、タイトルと中身がどう考えても合っていない。タイトル詐欺とかそんなレベルじゃないぐらい合っていない。

 

 教育係として安田家に銀香共々居候してくれたり、軍隊仕込みで何でも可能なチートスペック故に、本作ではぶっちぎりのMVPを飾ってくれた(作者にとっても)万能お助けキャラ。 

 蛇足だが、天鏡島の襲撃時に主人公が大人なキスを断ったのは彼女が守備範囲外でバッターボックスにも立てねーよ年増、とかいう理由ではなく、つい先程まで浮気とかしないって誓った矢先であった事は作中で語った通りだが、そこまでされたら抑えが利かなくなってガッツリ食べちゃいそうだったからというのもあったりする。

 

 主人公にしてみたらマジで神ゾーンレベルだったので、決して彼女に魅力が無い訳では無いのです。遠慮しときますって言った時の三点リーダーは、主人公の欲望と理性の葛藤の狭間だったりするのさ。

 ヒロインにしなかったのも、頼れるお姉さんのポジションが便利過ぎたからだしね!

 

     ◇

 

バヤリー・芹沢(せりざわ)・マクミラン

 

 原作での英里華の親衛隊隊長にして、同級生。本作メインヒロインの片割れ。

 本作では親衛隊という役職を通称とした上で、侍従という役職を正式なものとして変更した訳ですが、これは親衛隊という呼称が、どうにも本作の雰囲気には合わないのと、ちょっとステレオタイプ過ぎないかな? という作者の疑問というか我が儘による物です。

 後はまぁ、親衛隊って言うんだから他の隊員にも見せ場用意しないとなー。けど、尺を使っちゃうんだよなーという理由で改称したのもあります。

 

 銀香が物語にある日突然訪れる非日常ヒロインだとするならば、彼女は昔から付き添ってくれる幼馴染系日常ヒロインのポジション。

 銀香と違い特別なイベントがある訳でも無ければ、征綺華のようにぐいぐい押しもしない。ただ主人公を傍で見て「あの時の私もきっと今と同じような気持ちにだったんだろうなー」と。ある日再会した男の子と過ごす中で恋心とか抱いちゃう乙女系女子を狙ってみたのですが、どうだったでしょうか?

 スペックが高いにも拘らず、本作では常に有事の際に置いて行かれたのは、姉であるジーヤが強すぎるという以上に、あくまで日常系ヒロインとしてのポジションを貫きたかったというのがあります。

 物語にドラマはつきものだけど、ドラマがなくたって恋愛は成立しちゃうものなんだぜ旦那! ってな感じで。

 

 物語終盤で彼女と銀香のどちらを選んだのかはっきりさせなかった事にご不満がある読者も居られると思われますが、どちらを選ぶかは完全に読者に任せる、というスタイルも実験としてやりたかった部分があるので、ご了承頂ければ幸いです。

 

 日常系幼馴染と、非日常系ヒロイン、どちらを選んだとしても、主人公は生涯を賭けて幸せにするでしょうし、報われなかった方も、思い出を大切にしながら新しい恋をして幸せに生きて行くでしょう。 

 

     ◇

 

巫女大将

 

 原作では奥屋敷の警護を勤める近衛巫女さんと一緒に登場。

 原作では奥屋敷にて警護に当たっているのだが、本作での巫女大将は歌凛子の補佐兼天鏡島のNo.2として出演させて頂いた。

 

 天鏡島において歌凜子の補佐をしつつ、有事の際には前線に赴く切り込み隊長な巫女さん。巫女さんってなんだ……?(混乱)

 本来であれば未来視の能力がメインな巫女たちの中で、相手を読む読心に長けた特殊なタイプだが、そうした能力も含めて、歌凜子の護衛として側に侍るには申し分ない人物だったといえる。

 本作では巫女さんが完全武装して八面六臂の大活躍だったわけだが、別にこれ、本作オリジナルという訳でなく原作でも軍事訓練を行っていた描写があったので、戦いの舞台にするには都合がいいな~という理由で、終盤の大事件と相成りました。

 もしあのワンシーンが無かったら、戦いの舞台は奥屋敷で、物語は十八話ぐらいまで短縮してたかと思われます。はい。

 

 一度目の歴史改変以前では売春婦として主人公と一夜を共にした訳ですが、今にして思えば歩き巫女とかにしても良かったかもしれない。

 そんで主人公が「今日お金持ってないんだけど」とか寄ってきた巫女大将に話しかけて半殺しにされたりする展開とか、どうだろうか? まぁ、確実に凛に殺されただろうけど。

 主人公はマグロじゃねーかと言ってたけど、それに関してはご想像にお任せします。

 

 あ。エピローグ後の彼女は凛に占われた時と違って、ちゃんと若くして結婚しています。

 

     ◇

 

安田(やすだ) 峰子(みねこ)

 

 主人公の母にして万里華の同級生。

 綾之峰のOGだが、元お嬢様というのは本作のオリ設定。ただ、原作での綾之峰学園は二〇一四時点で近年共学になったという説明があるので、お嬢だった可能性も否定できない。

 単に女子高時代から普通科と特別科に分けられていた可能性もあるが。

 

 旦那とは家出中にキズモノになっちゃった~という形で実家を誤魔化したが、実のところヤる事はガッツリやってた模様。

 その辺のエロ談義は隅に置いとくとして、高校卒業後に実家を離れてとっとと結婚。元々成績優秀でバイリンガルだった事から、専業主婦にはならず外資系の大手にとっとと入社。旦那より手堅く稼いでいた辺り、一家の大黒柱は実質彼女だったといえる。

 勿論、旦那は旦那で彼女の脛を齧って大学に行くなんてことが出来る筈も無く、高校卒業と同時に就職してちゃんと出世街道を邁進しているが、その分家庭が疎かになりがち。

 

 子供である姉と弟は七歳差(原作通り)であり、ある程度姉がしっかりするまでは海外視察等は極力しない方針だったのだが、弟の中身が親より年上とかいう訳判らん内情を抱えており、結果として物心ついた時には姉以上のしっかり者だった為に、そこに甘えた結果が本作で語った通り、親子の溝を構築する結果になってしまった。

 とはいえ、仮にちゃんと親子として生活していたとしても、主人公が事情を語れる筈も無いので、どの道溝が出来ていた可能性は高い。

 

 実年齢を計算するに、どう少なく見積もっても四十代である事は確実なのだが、原作での外見はどっからどう見ても二十代。

 主人公にしてみたら、余裕でストライクゾーンな女性が母親だった訳で、そりゃあ息子として接するには無理がある。

 

 本作での万里華との電話で、万里華になら息子を再婚相手にしても良いといったのは半分冗談で半分本気。

 常日頃から見ている母親にしてみたら、心の距離を隔てていても息子のストライクゾーンの把握なんぞ造作も無く、まぁ、あの息子なら余裕で付き合えるでしょうし恋愛も無理だし良いんじゃない? といった感じで話していた。

 実際、主人公の好みのトップ3をフラグとか立場抜きに並べるなら。

 一位:凛

 二位:万里華

 三位:ジーヤ&峰子(同率タイ)

 だったりする。メインヒロインが上位三名に入ってないってのはどういうことなんですかね?

 

 エピローグではちゃんと息子が息子してくれているので、明るく楽しく健全な親子関係を築けている。ただ、若干息子がマザコン気味なのを気にかけてもいるが。

 

     ◇

 

安田(やすだ) 登郎(のぼろう)

 

 綾之峰学園普通科一年生。特技はロッククライミングで高い所が大好き!

 健全な男子高校生らしいエロガッパで、小さい頃のあだ名はセクハラ王子さ!

 ……というのは、あくまで原作主人公の設定だから、別にエロガッパでもセクハラ王子でも無い。

 しかし、健全な少年誌の伝統たる由緒正しき寸止めの掟を何食わぬ顔でブチ破る点を考えれば、本作の主人公の方が遙かに危険でヤバい。R-18に移行させられるレベルでヤバい。

 そんなどうしようもない本作の主人公を、ここから語らせて頂く。

 

 綾之峰学園が共学制に移行するに当たり、俊英の中で限られた一握りの男子が手にする推薦枠を勝ち取り、五教科に限っては英里華さえ抜いてトップに躍り出た、飛ぶ鳥落とす期待の新星。

 両親の勧めによる武道と生来のスパルタ気質によって肉体的にも魔改造されており、何だこの野郎チートでも使ってんのかと理不尽なスペックに周囲は憤りを隠せないが、あながち間違ってもいない。

 

 その正体は、かつて大日本帝国にてエリート街道を邁進していた旧日本陸軍大佐であり、一度目の歴史改変が行われた綾之峰家の治世において、対米戦で南方諸島に散った黒瀬正継その人。

 

 改変前の歴史においては日露戦争にも従軍しており、その経歴を語るならば。

 陸大卒(恩賜組)→日露従軍→海外留学→駐在武官任官→WW1従軍→侍従武官任官→近衛師団配属(侍従と兼任)

 と、正に絵に描いたようなエリートだが、藩閥(薩摩・長州出)でない為、藩閥の恩賜組と比べると若干出世が遅かったりする。

 ただし、藩閥でないという事は純粋に優秀だったという事の証左でもあり、部下や上官からの信頼は厚かった。

 事実将官コースは確実であり、年齢を考えれば(主人公の年齢は逆算すれば四十後半から五十前半)、後僅かな期間で少将になることは確約されていた。

 

 一度目の歴史改変によってWW2を経験していない訳だが、仮に彼が従軍していたとしたら、将官として何処かの戦場で散ったか、或いは終戦時に自決していた事は確実である為、妻子だけでなく彼自身も歴史改変によって救われた人間であるといえる。

 

 元は家庭を持つことに消極的だったのだが、妻に内心一目ぼれして家庭を持ってからはマイホームパパにクラスチェンジ。

 これまでの駄目さ加減なぞ無かったかのように完璧な夫兼父として妻子に尽くし、激務に追われながらも暇を見つけては娘と遊びつつ、妻に教育を任せっきりにしたりせず英才教育を手取り足取り施したり。

 妻には仕事で帰れない日が続けば見ていて恥ずかしくなるレベルのラブレターを綴ったり(この辺は海外留学時に外国人の手管から学んだ)と、兎に角明治生まれの男とは思えない献身ぶりには、妻子共々メロメロだった模様。

 

 博打を嫌い、夜遊びを好まず、酒も付き合いと祝い事だけ。喫煙はしてもヘビースモーカーというほどでなく、止めようと思えば何時でも止められる程度。

 正に完璧っぽい真面目人間に見えるが、やはり天は二物を与えずという事か、長所を打ち消すレベルのダメさも抱えており、それこそ本作で語り切った女関係のだらしなさに集約される。

 若気の至りと言えば可愛いものだが、据え膳されたら即座に平らげてしまう様は、正に草食系などという言葉のない時代の人間らしいダメさ加減であり、同性だろうが容赦なく食える辺り手に負えないレベルの雑食ぶりである。

 無論、家庭を持ってから不純は一切なく、妻にもしっかり土下座対応したものの、それでダメさ加減が消えた訳ではないのは転生後の素行からお分かり頂けると思う。

 

 性格に関しては平時は重厚温和で敬語を使い、分け隔てなく接するが、部下や同僚・妻子には敬語を使わない。

 これは彼にとって横柄に扱っても良い相手として見ている訳では無く、むしろ命を預かる相手や大切な人間だからこそという彼なりの信頼だったりするのだが、本人がそれを語る事は決してない。

 

 蛇足になるが、征麻呂に貴様呼びしていたのは別に嫌っていたからという訳ではなく、当時の方々は軽い感じで貴様という呼称を使っていたから。

 どんなに憎かろうと嫌っていようと、決して怒鳴ったりしなければ呪詛の言葉を吐く事も無いが、本当に大事な人間が間違っていると感じたら本気で怒る。つまり彼にとって征麻呂改め辻口は、そういう人間だった。

 

 一方で、有事の際や人命の関わる場面においては非常に冷徹な対応を取り、助けられないか、事態を悪転させる状況に陥る可能性があれば、即座に命を天秤に乗せて状況如何で切り捨ててしまうが、これは将校として命を預かる立場であった所に起因する為、根っからの冷血漢という訳では無い。

 

 安田登郎として転生した後は周囲の人間との隔たりを感じていたが、前世で母を泣かせてしまった事を悔いており、その反動から母親の為に料理を覚えたりと、何だかんだで真面目に充実した日々を送っていた。

 仮に綾之峰学園に通わなかった場合は間違いなく工科学校からの防衛大学という進路になった筈だが、当人が通わなくなりそうだったら歌凛子があれこれ工作した可能性があるので、そうなる可能性は低いと思われる。

 

 エピローグ終了後、過去の記憶を取り戻してからは黒瀬と安田の人格・知識を両立した状態で有しており、口調こそざっくばらんで一人称も俺のままだが、成績や知識量が爆上がりした半チートの様相を呈している。

 急激に上がった成績等は、カンニングではなく間違いなく入学式早々出来た彼女の影響だろうと男子に血涙を流されながら恨みを買っているとか居ないとか。

 

     ◇

 

猟犬

 

 征麻呂が経営する電子企業の専属警備として買収された民間軍事会社(PMC)の社長。

 会社自体は本来数多い零細企業の一つに過ぎなかったが、征麻呂が買収してからというもの、各国からこれはという選りすぐりが大多数を占め、そのシェアは汚れ仕事も含めれば最大手(G4S)さえ凌ぐほど。

 

 ナム帰りという経歴から結構な老齢。それでも買収直後に征麻呂が実行した大規模な人員の入れ替えの際でも外される事も無く社長の椅子に座り続けた事から、実力はかなりの物で、あのジーヤを押し留めていた所からもその技量が伺える。

 

 親族を黒瀬に殺されていた事から、決着を主人公と着けるのかなーと思われたでしょうが、そこは単に戦争&人殺し大好きなマジキチ野郎をアピールするのと、用意した死に方に合わせるためというだけの事でした。

 

 いわゆる中ボスにして、最終ステージに移行するためのイベントキャラ。

 始めから死亡する事が前提であったし、島の巫女さんとかも殺さなくちゃならないんだから良い奴にする必要は皆無だわなと外道キャラ一直線になりました。

 今にして思うと、もうちっと死に方は惨くても良かったと思うキャラです。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。