始まりを表すのならあの一晩を言うのだろう。
入学式も終わって少し学校に慣れだした。ある夜の事、あたしは何か棒のようなものを拾った。
そして、何者かに追われて命の危機に瀕した。
そんなときに目の前に現れたのが………
「大丈夫? 君」
茶色の髪にねじが外れたような雰囲気、綺麗なハニーブラウンの瞳の彼だった。
場違いな雰囲気にあっけにとられるあたしを放って目の前に居る敵を見据えた。
「こんなかわいい女の子を襲うなんてどうかしてるよ。姉さんが相手してたミズチじゃあるまいし……」
呆れて頭を振った彼が目の前の敵を睨みつける。
すると敵がちょっとひるんだように後ろへと下がった。
「御免ね、出張ってもらっちゃってさ。ガー助!」
『おうよ!』
空から注連縄を付けた黒い何かが飛んできた。一体何が?
黒い何かが口を開けてビームを発射した。見る見る間に敵が凍りついた。
「よし、大丈夫だね」
『つか、このじょーちゃんどうすんだよ』
しゃべった。大きめなカラスの人形よねどうやったらこんな技術ができるのよ。
「あ、そうだった。大丈夫?」
「あ、大丈夫よ。あなたは一体……」
「僕は複合学師の……名前は要らないかな。もう会わないと思うし、それ僕のなんだ返してもらえるかな?」
「あら、ごめんなさい」
棒のようなものを彼に渡すと彼はあたしに笑いかけた。
「夜も遅いし送っていくよ。家、何処かな?」
「い、いいわよ。迷惑でしょ?」
「女の子を一人で放っておくほうが拙いでしょ? 親御さん心配しているんじゃないかな」
「う……」
彼はあたしの手をとって歩き出した。
「え、あたしの家はあっちよ!」
「あ、そうなんだ。ごめんごめん、案内宜しくね?」
その後ぐだぐだになりながらもどうにか道案内して家に帰ることができた。
思えばこれが運命の始まりだったのかもしれない。
☆
二日後、あたしがリビングで過ごしていると
「姉上………すまぬのじゃが自室に戻ってもらえんかの、ワシの友人がひとり遊びに来るのじゃ」
「えー、そういうのは先に言いなさいよ」
「い、いだい、いだい ワシの腕を外そうとせんでくれ」
ピンポーン チャイムの音がした。え?うそ、もう来たの?!
「姉上は早く移動するのじゃ! 今、出るからのー」
あわててあたしは部屋への階段を上る。一体誰よ、秀吉が友だち連れてきたことなんてあったかしら?
「ごめんね、秀吉 今日急に来るなんて言って」
「いいのじゃ、ワシも聞きたいことがあったからのう」
聞き覚えのある声に階段の隙間から覗き見ると、彼だった。
これがあたしとパートナーである吉井……いや、東宮明久との出会いである。