こまごまと設定解放予定。
明久たちが慌ててAクラスに向かっている頃、Fクラス。
「「おはよー」」
「早く座れこのうじ…おわっ」
「おはよー雄二、実にすがすがしい朝だねー」
「坂本、おはようさん。だよなー、姉ちゃん」
教室に入ってきたそっくりな姉弟は双子の吉井明奈と吉井明葉だ。
この二人に吉井明久も加えて、「吉井さんちの三兄弟」が出来上がる。
この二人、暴言を吐いた人物にどこで売っているのかも定かではないほど分厚い本を二冊投げた。暴言を吐いた人物にぶつかる事はなく教卓に激突したのだが教卓が崩れた。
「どこがすがすがしいんだよ! 朝から凶器投げやがって!」
暴言を吐いて二人に本を投げつけられかかったのは坂本雄二、明奈とは長い付き合いで明奈をおちょくるのが趣味である。しかし、今回の暴言はやりすぎだ。
「つか坂本、席は?」
「勝手に決めろだとさ」
「クラスメイトは?」
「他のクラスの見物に行った」
「あほか!全員居ないじゃねーか」
「……ウチが居るわよ」
若干端っこに座った赤茶の髪を黄色いリボンでポニーテールにした少女が小さく声を上げる。
「「あれ、美波?」」
「気が付いてなかったの?!」
「「いや、(雄二)(坂本)しか見えなかったから」」
まあ、暴言をはかれれば誰だってそっちに集中するだろう。
「でも美波の実力ならEは行ってるって思ってたのに」
彼女は島田美波、ドイツからの留学生だ。それなのに日本語での会話能力をめきめき途上させている。
「ウチ会話しかできないのよ」
「あー 明葉と一緒だね。明葉も会話しかできないんだよ」
「るっさいなー」
「そういやお前らの兄貴は?」
いつもなら一緒に居るはずの明久の姿が見えないので雄二が問いかけた。
「あー、お兄ちゃんならね。え『『『異端者には死を!!!!』』』
明奈が説明しようとしたときに覆面をかぶった謎の集団が教室へと入ってきた。
彼らはFFF団、モテない男の嫉妬の権化と言っても良いかもしれない。つまりは学年の厄介者なのだ。
彼らは『拷問の方法』などという物騒な本を読み、普通こんな平和なはずの学校社会ではありえないような道具を準備し始めた。
「兄ちゃんはAクラスにに行ったんだよ」
「え? 明久がAなの?」
「うん、愛は馬鹿を変えるだね」
明奈がうれしそうに笑った。明奈としてはかなり嬉しいことなのだろう。
「で、何であいつらあそこまでキレるんだ?」
雄二からしてみれば訳が分からない。別に明久がAクラスにいったっていいじゃないか。
「大方、馬鹿な兄ちゃんがAクラスに行ったってことで女子比率の多いとこにいったって言うのが気に食わないだけだろ?」
「バカだよね。お兄ちゃんは自分で努力したからAクラスまで行ったのに、努力をしないバカは真症のバカだよ」
冷めた目で集団を眺める一同であった。
ドス黒オーラが広がる中、先生と一人の女子生徒が入ってきた。
「はい、皆さん席についてください」
「…………」
女子生徒の方はピンクのふんわりした髪にウサギのヘアピンをつけている。
「あれ?みっちゃん」
「なーちゃん! よかったです。知らない人だけかと……」
彼女は姫路瑞希、明奈の古い友人で幼馴染だ。小学の頃に知り合い、中学は別々の学校だったのだが高校で再会、仲の良さは学年でも有名なのだ。
「姫路、何でこのクラスなんだ?」
「実はテスト中に熱を出して………」
後ろの方では何か見苦しい言い訳が聞こえるが彼らはそんなこと気にしない。そしてもう一つの疑問を口にした。
「そういえばだけどさ、秀吉は?」
いつもつるんでいる友人の不在を疑問に思う姫路以外の面々、しかし姫路の説明で納得できた。
「木下君ならAクラスで見ましたよ」
「え?秀吉がA?!」
「どうしよう。そっちの方がよっぽどありえないって思ってたよ」
「どうしてですか?」
「秀吉ってね。それこそ寝食も勉強も忘れて演劇に打ち込む演劇バカなんだよ」
「はぁ」
「だからな、あいつが勉強するっていうのは奇跡に近いんだよ。それこそAクラスに入れるって言うのは本当に奇跡なんだ」
「そうなんですね」
本気で奇跡呼ばわりされてるよ、秀吉。