「さーて、部会始めるかー」
「と言っても二人しか居ないじゃない」
ここは文芸部部室。文芸部は人気が無い、人気が無いことをいいことに明葉たちは友人だけで集まる空間にしている。
それを屋根裏から虎視眈々と見つめる少女が居た。
「(全く、憎たらしくてしょうがない。お姉さまと一緒に部活なんて言語道断、お姉さま、この美春が参りますわぁぁぁぁぁ)」
彼女は清水美春、オレンジの髪をツインドリルにしたそこそこ可愛らしい少女だ。超水面下では人気があるのだが、実は同姓(島田美波)が好きということもあり全く相手にしていない。そして、その行動力は逸脱していた。盗撮、盗聴など当たり前、挙句の果てには美波に気がある男を片っ端から始末するなど色々やらかしている。一年の終わりに告白するも玉砕、さらにストーカー度を上げているのだ。
清水が明葉を襲撃しようとしたその時、部室のドアが叩かれた。
「はい、どうぞ」
「し、失礼します!」
中に入ってきたのは黒髪をボブショートにした可愛らしい少女だった。目の色はハッとするほどのグリーンで色は日本人離れしているほどに白い、緊張した面持ちで入ってきた。
「あ、あの!ここは文芸部ですか!」
「そうだけど。入部希望?」
「は、はい!!」
「緊張しなくても良いわよ。ここ趣味人の集まりみたいなものだし」
美波が笑顔で少女に笑いかける。
「あの、『翡翠の少女の恋』を書いた方はここにおられますか?」
「「………」」
ピシリと二人が固まる。それを書いたのは美波なのだ。正確に言うと美波と明葉だが。
美波が考え、明葉が文章にするというスタンスを取っているのだ。
「い、いるわよ」
「本当ですか!私、大ファンなんです。あ、私の姉が去年までここの学生で毎月の部誌読んでました!」
本気でうわぁと思っている二人、そこに救世主が現れた。
「明葉、島田、少し頼みたいことがあるのじゃが……どうしたのじゃ?」
「秀吉、何か用か?」
ものすごくいい顔で明葉が言った。
「いや、台本書いてほしいのじゃが」
「いいぜ。じゃあ、えっと?」
「あ、名乗り忘れました! 私、飯野絵里奈って言います」
「じゃあ、飯野さん。これから俺たち文芸部の基本活動を開始します!」
「はい!」