Fate/apocrypha La Divina Commedia 作:K-15
一人突き進むジャンヌ。止まる事は勿論、振り向く事すらもできない。天草四郎が大聖杯を発動させる前に止める必要がある。そうでなくては皆を置いてここまで来た意味が失くなってしまう。
しかし彼が用意した刺客はまだ残っている。またしても彼女の前に立ち塞がるのは赤のキャスター。彼は拍手を送りながら、柱の影からジャンヌの前に現れた。
「よくぞここまでいらっしゃいました。ジャンヌ・ダルクよ」
「赤のキャスター、ウィリアム・シェイクスピアですね」
「如何にも。ですが悲しいかな。我輩にはおおよそ戦闘能力と呼ばれる物は備わっていない。貴方をここで倒すなどと言うこともできない」
「でしたら降伏を。私が目指すべきは天草四郎を止めること」
「いいえ、降伏はしません。サーヴァントになろうとも私の根底にあるのは演劇! 貴方には観て貰います! 我輩の傑作集を!」
言うとシェイクスピアはハードカバーの本を取り出しペラペラとページを捲る。ジャンヌは旗を構え鋭い視線を向け、相手の動きに警戒した。
「さぁジャンヌ・ダルク、席に着きたまえ! 我が演劇の開幕だ! 立ち歩くな、私語は厳禁、写真撮影もお断り。言い忘れていた、タバコも――」
止めろ、と言い終える前に甲高い銃声が轟く。持っていたハードカバーが吹き飛ぶとちぎれたページが舞い上がった。
振り向くジャンヌが目にしたのはセイバーのマスターである獅子劫と、右手にアイボリーを構える真紅の男。
「ダンテ!? 無事だったのですね!」
「俺がそう簡単に死ぬかよ。それよりお遊戯なんて観てる暇があるのか?」
「えぇ、先を急ぎます」
構えるジャンヌ、視線の先ではシェイクスピアが全身をワナワナと震わせながら、床に落ちたハードカバーを拾い上げるとダンテに向かって指を突き付け激怒した。
「貴様ぁッ! 場内は禁煙だ、煙など上げるなッ!」
「あん? そうかい」
言うと銃口を口元へ運び息を吹きかける。ゆらゆらと上がる白い煙と熱気がかき消された。シェイクスピアは満足したのか、煙が失くなると怒りを沈めまた饒舌に話し始める。
「そうだ、それで良い。して、ダンテと言ったか? かの有名な詩人、ダンテ・アリギエーリと同じ名前か。代表作は神曲La Divina Commedia。ルネサンスに置ける文明の先駆者」
「生憎と詩なんて詠んだことがなくてね。そいつのこともどうでも良い。取り敢えずここを通させて貰うぜ」
「それはできません! 何故なら貴方達は我輩の劇を観る観客。ここまで来て席を立つなど私が許さない。ジャンヌ、まずは貴方からと考えていましたが気が変わりました。そこの男、ダンテ! 貴方には是が非でも我が演劇を観て貰う!」
シェイクスピアから魔力が放出される。本人が口にしていたように彼自身の戦闘能力は低い。だが戦いは直接剣や槍をぶつけ合うだけでない。そうではない戦い方を彼はできる。
息を呑むジャンヌは地面を蹴り旗の矛先をシェイクスピアに突き付けた。が、時は既に遅く、彼は闇の中へ消えて行く。
「クッ……これは彼の宝具です。ダンテ、注意を怠らぬように。セイバーのマスターも。これは相手の精神に介入してくる攻撃です。気を抜けば戻れなくなる」
「精神だぁ? 悪いこと言わねぇから俺なんて止めといた方が良いぜ」
「気を抜くなったって……もうマズいんじゃないのか!」
獅子劫が叫ぶと周囲の景色が一瞬にしてガラリと変わる。
月明かりも届かぬ夜の闇。暗雲が渦巻き、地の底からこの世の者ならざる叫び声が微かに聞こえて来る。更に不気味なのは足を着く地面。そこには魔法陣のような絵柄が真っ赤に発光している。
そして頭上には乙女の姿をした幾つもの巨大な鐘が鳴り響いていた。ダンテはこの場所に見覚えがある。
伝説の魔剣士スパーダの力を封印した塔、テメンニグル。その最上階で三人は立っていた。
「ほぅ、お遊戯にしちゃ随分手が込んでるじゃねぇか。で、次は何だ?」
「我輩の宝具は掛けられた人間の記憶や認識により補完されている。そしてそれを我輩が自ら演出、脚本し相手の精神へ流し込む。どれどれ、貴方の過去には何があったのか?」
「もう一回だけ言っといてやる。止めといた方が良い」
ダンテの言葉になど耳を傾けず、シェイクスピアの宝具は発動する。地の底から聞こえて来る声は更に大きくなり、そして彼らは現れた。
「逆賊スパァァァダァァァッ!」
空から現れる巨大な怪鳥。下顎がなく、大小複数の頭を持ち稲妻を操る悪魔が両翼を羽ばたかせダンテの前に現れる。
それはかつて彼の前に立ち塞がったグリフォンと呼ばれる上級悪魔。
「コイツは懐かしい面だな」
「逆賊スパーダ! 殺された同胞の恨み、ここで晴らさん!」
「おいトリ頭! もう忘れちまったか? 俺はダンテだ、オヤジじゃねえ」
「我が力を持って、貴様をこの世から葬り去って――」
だがグリフォンが最後まで言葉を口にする事はなかった。時が止まったかのように空気が静まり返る。
瞬間、グリフォンの首元に赤い筋が走る。彼は自らが死んだ事すら気が付かず、ぼとりと頭部が地面に落ちた。数秒遅れて切断面から血潮が吹き出す。力を失ったグリフォンの体は地面へと引っ張られ、あまりに突然の出来事に獅子劫とジャンヌは驚きを隠せない。
「何がどうなってる!? これがキャスターの精神攻撃だってのか? あのバケモノは何だ!?」
「まさか……悪魔……」
「悪魔!? へへ、正に悪夢を見せられてるって訳か」
「何かが来ます……」
彼女が呟くとグリフォンの死体の先から影が現れた。否、闇そのものと形容しても良い存在。膨大な魔力を持ち右手には魔剣を握る最強の魔剣士。
ダンテは彼を目にし足を前に進めた。
「バージル? いや、違うな。オヤジか? つくづく趣味が悪いな」
「ハァァァ……」
近づくだけで人間ならそのまま飲み込まれてしまう程の膨大で強力な魔力の塊、魔剣。両刃の西洋剣に柄がドラゴンで模られたそれは魔剣アラストル。
それを平然と手にする存在と対峙するのはダンテと言えども始めての事だ。
巨大な二本の角に三対の翼を持つ魔人。全身は黒い甲冑のようで、爬虫類の甲殻のような生物的な肌。魔帝の右腕と呼ばれた伝説の悪魔。そして自身の死んだ父親でもある彼が目の前に居る。
――魔剣士スパーダ――
魔界では知らぬ者は居ない伝説の存在であり、魔帝を封印した決して忘れてはならぬ憎むべき逆賊。
その彼にダンテは歩を進めながら口元を釣り上げて話し掛けた。
「こう言うのは感動の再会って言うのか? 普通なら涙でも流して抱き合うんだろうが……俺達の場合は違うな。そうだろ?」
「…………」
「無視するなよ。ってことは何か? 俺がお喋りなのは母親譲りなのか? それよりオヤジに会えたら一つだけやりたいことがあったんだ。何かわかるか?」
ダンテの問い掛けに彼が答える事はなく、握る魔剣アラストルを構えるだけ。戦闘態勢に入るスパーダにダンテは依然としてへらへらとした態度を崩さない。
「わからないって顔だな。だったら教えてやるよ。それは――」
瞬間、ダンテの姿が消える。次の時にはスパーダへ肉薄し握る拳を突きつけた。
「アンタをぶん殴ることさ」
掛け声と共に強烈なパンチが繰り出され、スパーダはアラストルの腹で瞬時にそれを受け止めた。その威力に体が数メートル程後方に流される。
それを見てダンテは背中のリベリオンを手にした。
「さぁて始めようか! 長い悪夢になりそうだ!」
第十四話 塗り替える伝説
互いの剣の刃がぶつかり合う。火花が飛び散り衝撃が走る。
鋼と鋼がギリギリと押し付けられるも両者の力は互角だ。しかし握る剣が、魔剣アラストルの力が開放される。
剣身に青い稲妻が走りダンテを吹き飛ばす。
「っとぉ! へへ、こんなんじゃ物足りねぇぞ」
「ハァッ!」
「ぶっ飛べ!」
スパーダが魔剣を振り下ろすと青い稲妻がダンテ目掛けて走る。同様にダンテもリベリオンを振り下ろし赤黒い魔力をぶつけた。
相殺する両者の強力な魔力に衝撃が発生しダンテのロングコートが靡く。
戦いを始めた二人の後ろで獅子劫とジャンヌはその行く末を見守る事しかできない。
「どうする? 敵が誰だか知らないが加勢するか?」
「いいえ、下手に動けば彼の邪魔になります」
「だが体に直接的なダメージは受けないとは言え、もしも負けたらどうなる?」
「彼は負けません」
「どうしてそう言える?」
「彼が……ダンテが本当に伝説の魔剣士スパーダの息子ならば……」
二人は互いの剣で攻防を繰り広げている。スパーダの鋭い斬撃、刃は空間すらも切断し稲妻が走り、対するダンテもリベリオンを自在に振り回しながら相手目掛けて振り下ろす。
刃がぶつかり合う度に空間が歪み衝撃が走る。どちらも引かない、攻め続ける。
轟音が轟く、火花が飛ぶ、目にも留まらぬ斬撃が再び衝突した。
「でやぁッ!」
「ハッ!」
両者が鍔迫り合いに持ち込みダンテのコートが後ろに靡く。パワーはご角、ギリギリと刃が擦れ合う。
「こんなもんじゃねぇだろ? もっと本気出せよ」
「グゥッ!」
アラストルから青い稲妻がほとばしる。今までとは比較にならない程の強力な魔力の流動。スパーダの意思に従いそれに答える魔剣。
強力な稲妻はダンテに襲い掛かるが寸前の所で後方に飛ぶ。そしてエボニー・アンド・アイボリーを取り出すとスパーダへ弾丸を撃ち込む。
「そう来なくっちゃな!」
激しいマズルフラッシュ、無数の弾丸がスパーダへ迫る。だが開いた手を突き出すスパーダは手の平から高濃度の魔力弾を飛ばす。弾丸と魔力弾とが直撃し巨大な爆発が起こる。炎と煙により隠れてしまう両者だが、ダンテもスパーダも既にそこには居らず空中を舞っていた。
「まだまだ行くぜッ!」
「グゥゥゥ!」
再び剣を取るダンテとスパーダは乱舞する。重力に引かれゆっくりと地面に向かって落ちている最中でも攻撃の手は緩まない。
袈裟斬り、横一線、斬り上げてまた袈裟斬り。刃ばぶつかり合う轟音だけが響き互いに一撃を与える事ができない。何度目かのぶつかり合いの末に着地する二人は剣を引くと相手の頭部目掛けて蹴りを放つ。
「ハァッ!」
「フンッ!」
足が交差しぶつかる。が、この程度で二人の攻撃は止まらない。そのまま止まる事なく連続して蹴りを繰り出す両者。そして胸部に攻撃を受けてしまうダンテは後方に流されてしまう。だが彼は足のバネでブレーキを掛け、そのまま地面を蹴ると右ストレートを腹部に叩き込んだ。
スパーダも同様に後方へ流されるが右手にアラストルを握る。ダンテもリベリオンを手に取ると鋭い視線は交わった。
「はぁ……やっぱ違うな。見た目はそうかもしれねぇが所詮はコピーか」
殺気を向けるスパーダとは対称的にダンテは途端に戦意を失くしリベリオンを肩に担ぐ。ダンテの言う通り眼の前のスパーダは本物ではない。シェイクスピアの宝具により作り出された虚像。
しかし本物ではなくとも目の前に居るのは事実。スパーダはアラストルを構えながら走り出す。
「ハァァァッ!」
「遅えよ!」
振り下ろされるリベリオン。その刃はアラストルがダンテの皮膚を斬り裂くよりも早くにスパーダへ到達し、甲冑のような黒い甲殻を斬る。
左肩から右太腿に掛けて大きく斬り付けられたスパーダ、動きを止め片膝を地面に着けると傷を負いながらもダンテを見上げる。
「シェイクスピア、コピーするなら俺にするんだな」
スパーダの額へ銃口を突き付けるダンテはそう言うとトリガーを引いた。マズルフラッシュと甲高い銃声が響き渡り空薬莢が地面に落ちる。
撃ち抜かれたスパーダはまるで砂になるようにダンテの眼の前から消えた。そして聞こえて来るのは乾いた拍手の音。影の中から赤のキャスターであるシェイクスピアが現れた。
「お見事! まさか勝ってしまうとは。並外れた精神力ですな」
「次はどんな手品だ?」
「そう慌てないで頂きたい。すぐに――」
宝具を展開する彼は次の手に打って出ようとするが、ダンテでもジャンヌでも獅子劫でもない、第三者が突如として現れる。それは地の底から響く冷たい声。
「アキャキャキャキャキャッ! 見付けたぞ逆賊スパーダの息子、ダンテェェェ!」
出て来たのは魔界の住人、悪魔。レティシアを取り込もうとしていた、そしてダンテが取り逃がしてしまった中級悪魔。それが今、この空間にまで干渉して来た。
全身が骨で形勢され頭部には羊のような双角、黒いマントを纏う悪魔がカタカタと歯を鳴らしながら不気味に笑う。
悪魔の来訪にシェイクスピアは驚きを隠せない。
「何なのですかコレは!? 貴方は何なのです!」
「貴様は人間ではないな? ならば必要ない。それにそこの女、お前も人間ではなくなったな?」
「あの時の悪魔……何故このような所に……」
旗を構え警戒心を高めるジャンヌ、けれども悪魔はマントを靡かせながらふわふわと動くだけで攻撃しようとはしない。そして獅子劫は悪魔の声を耳にし体を震わせた。
「忘れる筈もない! お前はあの時の……あの時の悪魔だな!」
「あぁ、覚えているぞ人間。貴様らの願いを叶えてやったろ?」
「その為の代償がこれか? 命を奪うでもなく、子孫を残せないようにする。魔術師として致命的だ」
「度し難いな。悪魔は願いを叶える変わりに代償を必要とする。そんなことも知らなかったか? ならばもう一度貴様の願い、叶えてやろうか?」
「黙れッ!」
「アヒャヒャヒャ! だが今は下等な人間に構っている暇はない。ダンテ、貴様にもだ」
血が滲む程拳を握る獅子劫はサングラス越しに悪魔を睨み付けるしかできない。
ダンテは銃口を向け無慈悲にトリガーを引いた。
「無駄だよ。精神の狭間では幾らスパーダの息子と言えども我を倒すことはできん。このまま死ね、ダンテ!」
「おい、早くこれを何とかしろ!」
「わ、わかった!」
トリガーを引き続けるダンテだが弾丸は悪魔をすり抜けて行く。言うと悪魔はダンテ達の前から消え、変わりに別の悪魔の群れが現れる。黒い霧状のガスを発しつつ宙を浮遊する低級悪魔、メフィスト。本体の青い目と鋭い爪が光り狙った得物を殺さんとしている。
呼ばれたシェイクスピアは慌てふためきながらもダンテの指示に従い宝具を解除した。テメンニグルの頂上だった景色がまたしても一瞬で変わり、元の空中庭園内の通路に戻る。
「雲行きが怪しくなって来たな……英雄様は先に行け」
「ダンテ、ですがこれは……」
「悪魔を倒すのは俺の本業だ。デンジャラスガールのマスターは俺が見といてやるよ」
何も言わず視線だけ向けるジャンヌは悪魔に追い付くべく一目散に走り出す。彼女の背後では激しい銃声が聞こえて来る。
(どうして今になって悪魔が現れたのかがわかりません。私でもなければダンテでもない。大聖杯を狙っている?)
///
空中庭園の最深部。
そこでシロウ・コトミネ、天草四郎と呼ばれていたサーヴァントが一人佇む。彼は見上げる。
その先にあるのは巨大な球体、奪い取った大聖杯。
「この時の為に私は六十年待った。全人類を救済する為に、大聖杯が起こす奇蹟が世界を……人を救う」
ゆっくり歩を進め大聖杯に手を伸ばす天草四郎。大聖杯は彼の呼び掛けに答え、球体の中へと天草四郎を迎え入れる。中に広がるのは光。
歩みを止めない天草四郎が目にするのは光だけではない。かつての自分が見た光景。一生忘れる事もない、脳裏にこびりついて離れない地獄絵図。
家は焼け落ち、皮膚が焼け爛れた人間が夜の中を徘徊している。男も女も大人も子どもも関係ない。肉が焼ける臭い、死体の腐敗臭。
「敵も死んだ、味方も死んだ。あの時の私には何かを変える力などなかった。力のない自分が……何もできなかった自分が心底憎かった。敵が味方がと言う問題ではない。眼の前で人間が死んでいく光景をただ見ているしかできない現実。武器を持ち、敵意を向ける相手に私は刃を向けるしか手段を持ち得なかった……だから願う。人間が我欲を捨てた存在となることを。それは奇蹟……故に六十年前の聖杯戦争に呼ばれた私は聖杯に願いを託そうとした。全人類の救済を……敵味方の概念などない、全てを助けると誓ったのだ」
かつての記憶の中の光景を進み続ける天草四郎。けれども地獄絵図はいつまでも続かない。ふと瞬きをしたらガラリと景色は一片した。
澄んだ空気に雲ひとつない青空。視界一杯に広がる花畑。そこに彼女は居る。
「その為の第一歩として私は感情を捨てた。人間を辞め、この身は聖杯を掴む為の器にした」
「ようこそ、ヘヴンズフィールへ。第三魔法を起動させますか?」
彼の前に立つ女性は天のドレスと呼ばれる特殊な礼装を身に纏っている。全身が純白のドレス。それに負けない程に彼女の肌も艷やかで美しい。腰まで流れるのも純白の髪の毛。そしてその瞳は赤い。
だがそれだけ、彼女からは精気を感じられなかった。見た目がそうなだけで彼女は人間ではない。
天草四郎は彼女の問い掛けに頷く。
「あぁ、その為に私はここまで来た! 私の願いを――」
「うきゃきゃきゃきゃ! 貴様の願いは叶わんよ!」
瞬時に刀を取り出す天草四郎は振り返ると同時に袈裟斬りした。だが刃は白刃取りの要領で止められてしまう。
だがその指に肉はなく、見えるのは全身が骨で形勢された人ならざる者。
「貴様……悪魔か?」
「如何にも。この膨大な魔力……人間風情が使うには持て余すだろ? 我が有効活用してやる」
「ッ!? 大聖杯が目的か?」
「今宵の願いは我ら一族の悲願を叶える為! 今までに人間共から奪った魔力も全て使う! 聖杯! 貴様の魔力もだ!」
「止めろッ!」
力を込め刀を振り下ろすも悪魔はするりと避け、天草四郎の背後へ通り過ぎて行く。骨しかない手で羽織るマントを掴み、両手を大きく動かし漆黒のマントを広げた。
禍々しい魔力が瞬時に広がり、美しい草花は枯れ果て青空も暗黒に染まる。振り返る天草四郎は息を呑む。
「人間が作り上げた万能の願望機、我ら一族の野望の為に使わせて貰うぞ! これだけの魔力があれば地獄の封印をも解ける!」
「わかりました。大聖杯の魔力を開放します」
「遂に! 待ちに待ったこの時が来た! 我ら一族の、魔界の悪魔達の悲願! 魔帝ムンドゥスの復活をォォォッ!」
黒のライダーの次回予告~!
いよいよ終わりが見えてきましたこの話! 最後がどうなるかはみんなも楽しみに待っててね! でももうボクは登場しないんだよなぁ~
ん~! 何でもっと出番増やしてくれなかったのさ! もっと海水浴での水着回とか、デートで可愛い服とかも着たかった~!
それもこれもこんな早いテンポでストーリーが進むせいだ!
次回、アニメ版との最大の違いはボクの可愛さが引き立たなかったこと! ボクは出ないけどみんな次も見てね~!