Fate/apocrypha La Divina Commedia   作:K-15

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第十五話 大聖杯の行方

 聖杯に蓄えられた膨大な魔力が遂に開放される。

 それは地獄の更に地の底へ封印された絶大なる力を持った悪魔の帝王。

 --魔帝ムンドゥス--

 かつては自身の右腕であった魔剣士スパーダに、そしてその息子であるダンテに破れた事で封印された存在。その魔帝が今、蘇ろうとしていた。

 空間に亀裂が入り、それだけで感じる事すら躊躇われる程の魔力が感じられる。

 天草四郎はその光景に思わず目を見開かせた。

 

「聖杯が……ヘブンズフィールが発動した……」

 

「おぉッ!? 待ちに待ったこの時が来た! 魔帝が人間界へ降臨する!」

 

「この……悪魔めッ!」

 

 刀を手にしたまま四郎は再び斬り掛かる。鋭い刃は纏う黒い布ごと左腕を切断するが相手を倒すまでには至らない。

 

「もはや復活の儀式は止められん! 魔帝が人間界に--」

 

 次の瞬間には悪魔の体がバラバラに四散した。現れたのは赤のランサー。

 彼の巨大な槍の一突きにより悪魔を一撃の元に葬り去った。

 

「悪魔と語る舌は持たん。それよりも……魔帝か……」

 

「ランサーか? この状況でもまだ私をマスターとして扱うか?」

 

「そうだな。お前の手の上で踊らされた挙げ句、主を殺された恨みはある。だがそれでも今はお前がマスターだ。サーヴァントは自らの力を行使しマスターを守るだけだ」

 

「ならマスターとして最後の命令だ。令呪を持って命ずる。魔帝を討ち取れ!」

 

「了解、マスター」

 

 右手の甲に刻まれた令呪の一画が光り輝き、赤のランサーであるカルナに膨大な魔力が補充される。鋭い視線に殺気を漲らせるカルナはひび割れる空間に向かって飛んだ。

 そして残る天草四郎が目指すのは大聖杯のみ。

 

「まだ魔帝が完全に復活し現界した訳ではない。大聖杯さえ取り戻せば……そして我が野望を成就させる。全人類救済の為に!」

 

 天草四郎もカルナが飛び込んだ空間へとジャンプした。行き着く先は魔帝が支配する地獄か、四郎が理想とする新世界か、それとも--

 

 

 

 第十五話 大聖杯の行方

 

 

 

 広がるのは宇宙、無限にまで広がる闇。そこに奴は居る--

 ドス黒く、赤く輝く三つの目。地の底から響き渡る声。存在そのものが恐怖と邪悪の塊。

 

「この気配は……人間か? 下等なる存在が我が眼前にたたずむなど身の程を知れ」

 

「舐められた物だな。良いだろう。魔帝、全力を振るうに相応しい相手だ」

 

「まだ不完全なこの体でも貴様を消し飛ばす程度なら造作もない」

 

「やってみろ」

 

 大槍を構えるカルナが掛ける。

 闇の中で光る三つの瞳だけを見せる魔帝は自身の魔力をほんの僅かに開放させると周囲に暗雲を作り出し、強力な稲妻を発生させた。轟く雷鳴、無数の稲妻がカルナに襲い掛かる。

 

「つまらんな」

 

 身を捩り軽々と攻撃を避けて行くカルナ。空いた手を振り下ろせば四本の光槍を魔帝目掛けて飛ばす。

 

「梵天よ、我を呪え……ブラフマーストラ・クンダーラ」

 

 カルナの持つ太陽の力で形成されたこの槍は強力な劫火により相手を焼き尽くす。切っ先が飛んで行き数秒、遙か先で膨大な爆発の炎が広がっているのが見える。が、魔帝と呼ばれる存在にダメージはない。

 

「ふはははッ、人間の力にしては有り余る物を持ってはいるが私を倒すまでには至らん。良いだろう、少しだけこちらの力を見せてやろう」

 

「舐めるなよ魔帝、俺とてまだ奥の手は残っている。それにまだ戦いは始まったばかりだ」

 

「ほざくか、人間風情が」

 

 接近を試みるカルナ。だが大槍の切っ先を突き立てるには魔帝の距離はまだまだ遠い。見えてはいるのに、擬似的な宇宙空間と言う場所のせいで距離感が何倍にも膨らむ。

 

「やり方など幾らでもある。燃やし尽くす」

 

 手を前に掲げれば炎の槍を何本も飛ばすカルナ。しかし魔帝の攻撃手段があれだけな訳がない。有り余る程の膨大な魔力で、無数の火球を撃ち出す。

 ぶつかり合う槍と火球は小さな太陽かと思える程の強力な光と爆発を発生させる。

 しかし両者の砲撃が止まる事はない。爆発の炎が光の玉となり数えきれない程に生まれる。

 

「このままでは埒が明かんな」

 

「どうした人間? 我が魔界に、そして人間界へ降臨する為の肩慣らしにもならんぞ? もっと楽しませてみせろ」

 

「ほざけ」

 

 三度、炎の槍を飛ばすカルナ。だが敵に届く前に巨大な鏡が出るとカルナの攻撃の全てを弾き飛ばしてしまう。

 そして奥からは魔力で形成された赤黒い棘が向かって来る。新しい攻撃に反応するカルナは瞬時に回避行動に移った。

 

「流石は魔帝と言った所か。俺が全力で討ち取るに相応しい」

 

 飛来する魔力の棘を大槍で横一閃し弾き飛ばす。尚も迫る棘も大槍を構え右へ左へ切り払う。そして隙を見て炎の槍を連続して飛ばす。

 鏡によりまたも弾かれてしまうがカルナは構わず撃ち続けた。十発、二十発、もっともっと数えきれない程。

 どれだけの数を撃ち込んだか、耐えきれなくなった鏡が粉々に砕け散る。それを見て前に出るカルナだが、次の瞬間に、高密度の魔力のレーザーが飛来した。

 

「ッ!?」

 

 下から上へすくい上げるように飛ぶレーザー。反応が遅れてしまうカルナは直撃を受けてしまい、動きが止まった所へダメ押しに赤黒い棘が無数に突き刺さる。

 

「どれだけ足掻こうと所詮は人間。さて……スパーダ、そしてダンテ。封印は解け、我が再び人間界に降臨する時が来た。まずはあの忌まわしき血族を抹消する。しかしまだ肉体が……魔力が不十分だ」

 

 以前、マレット島でのダンテとの戦いに破れた魔帝ムンドゥス。傷を負ったのもそうだが、深い闇の中で封印されていたせいで力もまだ完全ではない。それでも一度、人間界へ現れれば誰が魔帝を止める事ができるのか。

 

「フハハハッ! 力が戻ったその時が貴様の最後だ、ダンテ! 幾分の時が経ったか……人間界を侵略する時が来た!」

 

///

 

 空中庭園に現れた亀裂は言わば人間界とを繋げる門。その亀裂から魔帝の放つ一筋の魔力のレーザーが突き抜けて来る。それは空中庭園の壁や床を意図も容易く破壊し、一区間が瓦礫を撒き散らしながら地上へと落ちて行く。

 庭園内で悪魔の足止めを受けていたダンテ達の所にまでレーザーは貫通し、突如として飛来した強力な一撃にシェイクスピアの体が貫かれる。

 

「なッ!? このような呆気ない幕切れ! 我輩は! 我輩は--」

 

 戦闘能力の乏しい彼が知らないとは言え魔帝の一撃を耐え抜くだけの能力はなく、体が光の粒子となりダンテ達の前からあっさり消えていった。

 次の時に庭園内に大きな揺れが発生し、ダンテは銃をガンホルダーに戻すと眉をひそめる。

 

「どうやら不味いことになってるみたいだな。どうだデンジャラスガール、もう動けるか?」

 

「舐めんじゃねぇよ。サンキュー、マスター。令呪のお陰で助かった。で、コイツはどう思う?」

 

「さぁな、だがダンテの言う通り不味いことは確かだ。急いでルーラーに追い付くぞ」

 

 三人は最深部目掛けて走り出す。

 一方で先行して最深部へと向かっていたジャンヌの足も巨大な揺れにより止まっていた。天井からこぼれ落ちる砂埃、周囲を確認する彼女は警戒心を高める。

 

「何です!? 大聖杯が発動したとは思えません。もしや悪魔が? 急がなければ」

 

 通路を駆け抜けるジャンヌ。その先にある最深部の巨大な扉を見つけると勢いをそのままにこじ開けた。

 ジャンヌは目の前に広がる光景を見て思わず目を見開く。

 

「コレは!? 一体何が……悪魔が狙っていたのはこのことですか」

 

 亀裂を前にして呆然と立ち尽くす。だが異常な現象が起きていることは確か。即座に意を決すると地面を蹴り亀裂の中へ飛び込んだ。

 広がるのはどこまでも無限に拡大する闇。

 

「固有結界……とは少し違いますね。ですがこの禍々しいまでの魔力は……」

 

 視線を向けた先に見えるのは負傷したカルナの姿。急いで駆け付ける彼女はその手を彼の肩に添える。

 

「ランサー! 何が起こっているのです? 天草四郎は? それにこの傷……待っていて下さい、すぐに--」

 

「手出しは無用だ、ルーラー」

 

「ランサー?」

 

「経緯はどうであれここは俺と奴との決戦の場。誰であろうと邪魔立ては許さん」

 

 体を赤黒く巨大な棘で貫かれたまま答えるカルナ。睨み付ける目線は更に殺気を漲らせ、胸に埋め込まれたルビーが眩しく輝きを放ち膨大な魔力を放出させる。

 

「魔帝よ、貴様を討ち取るには俺の全力を撃ち込むしかない。心して見よ……絶対破壊の一撃を……」

 

 全身を纏う黄金の鎧が弾け飛び、そして太陽が生まれる。

 カルナを中心にして計測不能な量の魔力が炎となり、それはまるで太陽の如く。

 背中には赤い羽根の装飾が現れ、右手に握る大槍を天高く掲げた。

 

「神をも葬り去る一刺を受けよ! 焼き尽くせ!」

 

 黄金の大槍の形状が同時に変化する。雷光で作られた漆黒の大槍。あらゆる存在を焼灼させる必滅の槍であり、魔帝を倒す為に開放された究極の一撃。

 それが今、放たれる--

 

 「ヴァサヴィ・シャクティ!」

 

 太陽が爆発する。見渡す限りに炎の濁流が渦を巻き、全ての物を飲み込み消滅させ灰すら残さない。並のサーヴァントならこの宝具を目にする事もない、絶対破壊の一撃。

 それは世界さえも焼き尽くす程に強力無慈悲。

 燃え盛る太陽を前にジャンヌは腕で顔を隠し何とか前を見るのでやっと。

 

「これがランサーの宝具……固有結界を形成しているのが魔帝と呼ばれる存在ならば、彼の宝具を受けて結界も消える筈です」

 

 だが彼女の予想に反して周囲の宇宙空間が途切れる事はなく、聞こえてくるのは魔帝の不気味な笑い声。

 

「フハハハッ! 不完全な体とは言え我に傷を与えるか。人間風情にしては良くやった」

 

「そんな!? アレを受けてもまだ……魔帝とはそれ程までの存在なのですか?」

 

「だが忌まわしい……我の創造の力を使ったと言うのに傷を受けるとはな。目障りな人間共よ、我が力の前に消え失せろ!」

 

「ランサー、魔帝が来ます! 動けますか?」

 

 魔帝の力により渦巻く太陽の炎が次第にかき消されていく。

 ランサーは体にダメージはないが、纏っていた黄金の甲冑は先程の宝具発動の為に消えてしまっていた。これでは魔帝の攻撃を受けてしまえばひとたまりもない。

 

「愚問だな、ルーラー。究極の技をもう一度奴に撃ち込み殺し切るまで」

 

「しかし……」

 

「俺の心配は無用だ。それよりも巻き込まれないように自分の心配でもしていろ。来るぞ……」

 

 強大でドス黒い魔力の塊。ジャンヌが目を見開く先で遂に魔帝は本来の姿を表した。

 血と肉で形成された形を持たぬスライムのような体、受けた傷口からは高濃度の魔力と共にマグマが吹き出している。そして血走った三つの巨大な眼球がカルナとジャンヌを見下ろして来た。

 

「逃げられるなどと思うな。貴様らはここで殺す!」

 

「逃げるなど端から考えていない。それよりもようやく本性を表したな」

 

「これが地獄を統める魔の帝王……このような醜き存在……」

 

「消え失せろッ! 人間共!」

 

 禍々しい魔力の流動を感じ警戒するジャンヌ、一方でカルナは宝具をもう一度放つべく眼の前の敵を鋭い目付きで睨む。

 

「ランサー、魔帝は危険な存在です。現界すればどれだけの被害が出るのか想像も付きません。ここは協力して--」

 

「くどい、奴は俺が倒す。行くぞ魔帝、これが最後の一撃だ!」

 

 再び太陽を発生させるカルナと強大な魔力を更に増大させていくムンドゥス。光と闇が今まさにぶつかり合う。

 

「私は私の使命を果たします! 主の御業をここに! 我が旗よ、我が同胞を守りたまえ!」

 

 ジャンヌはここまでずっと握って来た旗を初めて広げた。皇太子の傘下である事を示す白き旗には黄金の刺繍が施されている。

 けれども普通の旗ではない。それはサーヴァントである彼女の宝具。

 発生する魔力は輝く粒子となりジャンヌの周囲を漂う。聖処女と呼ばれる彼女が持つ、天使の祝福により自身と周囲を保護する結界宝具。

 揺れる旗を天高く掲げるジャンヌはその宝具の名を叫ぶ。

 

「リュミノジテ・エテルネッル!」

 

粒子は光のカーテンとなりジャンヌ、そしてカルナを侵食する闇から守る。

 

「どう言うつもりだ?」

 

「この戦いは必ず勝たなくてはなりません! 私の言う事を聞けないと言うのなら、ルーラーとして令呪で命令しますよ!」

 

「……いいや、無理だな」

 

「えっ?」

 

 ランサーは自らジャンヌの結界宝具の範囲外に出てしまう。それに驚くジャンヌはすぐにでもと背中に刻まれた令呪の一画を使おうとするも、光と闇の戦いは早急に決着が着く。

 宇宙の中に太陽は生まれた。太陽が燃え尽きようとも宇宙は無限大にまで拡大を続けている。それを止める術はなく、光は闇の中に葬られた。

 

「ランサー! 諦めては成りません。ランサー!」

 

「どうやら俺はここまでのようだ。だが魔帝との戦いが終わった訳ではない。希望ならまだ残っている」

 

 カルナの肉体が跡形もなく消滅していく。彼が消え逝くのを見ている事しかできないジャンヌだが、その瞳には彼の魂を引き継いでいる。

 

「造作もない。人間が我に盾突くなど」

 

「魔帝よ! 貴方の思い通りにはさせません!」

 

「貧弱な女が一人居た所で何になる? お前もあの男と同じ、ここで殺してくれる!」

 

 ムンドゥスのグロテスクな触手が手のように伸びて来る。槍を構えその切っ先で貫かんとするジャンヌだが、彼女が動くよりも早く轟音が響き渡ると目の前で触手がバラバラに吹き飛んだ。

 むき出しの三つの眼球が見る先に居るのは宿敵であるあの男。

 

「来たか、スパーダの血族!」

 

「オイオイ、起きるにはまだ早いぜムンドゥス」

 

 真紅のロングコートを靡かせて、ジャンヌの元へダンテと赤のセイバーが現れた。

 

「ダンテ! セイバーまで!」

 

「下がってな、コイツは俺がやる。因縁浅からぬ相手って奴だ。聖杯戦争とも関係ねぇしな」

 

「しかし、貴方一人では……」

 

「心配すんな。一度戦って勝ってる。それよりもお前は聖杯を何とかしたいんだろ? そっちの方は任せる」

 

 ダンテとムンドゥス、二人を交互に見たジャンヌは即座に意を決する。何も言わずに頷きこの場を後にした。

 

「デンジャラスガール、お前も向こうに行ってろ」

 

「うるせぇ、テメェの指図なんて受けるか。それよりもこのバケモンは何だ?」

 

「しつこい敵だよ。魔界の帝王だった野郎だ」

 

「帝王だって? だったら益々ぶっ倒さねぇとな」

 

 言うとセイバーは大剣の切っ先をムンドゥスへと突き付けた。

 

「我が名はモードレッド! 王を討つ叛逆の騎士! 魔界の帝王、俺が倒すのに充分な相手だ」

 

「また人間か、下等な種族に構っている暇はない」

 

「下等だとぉ? 舐めてんじゃねぇぞ!」

 

 剣身に赤い稲妻を発生させ大きく振りかぶる。轟音を響かせながら進む稲妻はムンドゥスに直撃するが、その体にダメージは通っていない。

 

「フハハハッ、むず痒いわ。消え失せろ」

 

 強力な火球を無数に撃ち出すムンドゥス。セイバーは高い対魔力を持っているが、それはどこまで行っても対サーヴァントを想定した物。魔帝の直撃を受ければどうなるかは想像に容易い。

 セイバーが避ける体制に入る間もなく--

 

「でやぁッ!」

 

 赤黒い魔力の波動が飛ぶと全ての火球を斬り落とした。

 ムンドゥスの眼球がギョロリと動いた先ではリベリオンを肩に担ぐダンテが居る。

 

「オイ、無視するなよ。さすがの俺も悲しいぜ」

 

「ダンテ! スパーダとの因縁をここで断つ。魔界も人間界も全て我の物だ!」

 

「良いぜ、そうこなくっちゃな! 派手に行くとするか!」

 

 ダンテの体から膨大な魔力が渦巻く。魔帝同様に禍々しく、ドス黒い強力な魔力がセイバーの隣で文字通り爆発した。

 思わず後ずさるセイバー。見開く瞳の前に居るのはコートを着た男の姿ではなくなっている。

 甲殻類や爬虫類を思わせる全身の赤い鱗。手足に生える鉤爪、銀色の髪の毛は逆立ち、鋭い瞳は見るだけで相手を怯ませる。

 溢れ出る赤黒い魔力は禍々しいだけでなく確固たる強い意思を感じさせた。

 

「お前……悪魔なのか……」

 

「体質でね。それよりも向こうを何とかするぞ。叛逆の騎士様」

 

「ケッ、言われるまでもねぇ。あのグロテスクな野郎は俺がぶっ倒す」

 

「悪いが主役は俺だ。見せ場はくれてやれねぇな」

 

 言うとダンテはリベリオンを振り下ろした。刃からは強力な波動が飛びムンドゥスの体を傷付ける。

 

「ダンテ! 魔界の帝王たる我が力にひれ伏せ!」

 

「うるせぇよ、いつか見た時と比べて随分ズタボロに見えるけどな。そんなんじゃ俺は倒せねぇ」

 

 ダンテは更にリベリオンを振り下ろす、斬り上げて体の回転を加えて袈裟斬り。受けるダメージから体液とマグマが吹き出る。

 

「スパーダの力を持たぬ貴様にもう一度やられる我ではない!」

 

「だったらやってみな? だが今回は俺だけじゃねぇ」

 

「ハァァァッ!」

 

 飛翔するセイバーがムンドゥスの眼球目掛けて白銀の刃を振り下ろす。赤い魔力を纏う一撃、だがカルナの宝具ですら耐え抜いた魔帝にそのような攻撃は受け付けない。

 伸びる触手はセイバー渾身の攻撃を容易く受け止め、更に伸びる触手がセイバーの脇から襲い掛かる。

 

「ッ!?」

 

 魔力を放出し赤雷で身を守ろうとするが、セイバーの対魔力を遥かに上回る触手は鎧に接触し稲妻を流し込む。

 

「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁッ!?」

 

「雑魚に用はない。消え失せろ」

 

「死ねるかよ!」

 

 体を守る為の鎧を脱ぎ捨てるセイバー。何とか攻撃から脱出するが、上半身には赤のチューブトップしか着ておらず肩や腹の肌を露出した状態。

 後がないにも関わらずセイバーの口元は不敵に釣り上がる。

 

「舐めんじゃねぇって言っただろ! やれ、ダンテ!」

 

「ぶっ飛びな!」

 

 肉薄するダンテは魔力で真っ赤に光るリベリオンでもう一つの眼球に斬り付ける。刃が肉を切断し、同時に波動が内部をズタズタに破壊した。

 

「まずは一つ! 飛べッ!」

 

 次の目標に狙いを定めリベリオンを投げ付ける。咄嗟に触手で防ぐムンドゥスだが、切っ先は肉を貫き二つ目の眼球に突き刺さった。

 

「グオオオッ!?」

 

「行け、モードレッド!」

 

「言われるまでもねぇ! ダメ押しだ!」

 

 モードレッドが握る大剣の鍔が変形し、膨大な赤い魔力が放出される。リベリオンが突き刺さる眼球へ向って、自身が持つ最大威力の宝具を放つ。

 

「クラレント・ブラッドアーサァァァッ!」

 

 赤い魔力の波動が唸りを上げながら一直線に突き進み、リベリオンの柄を押し込むようにして直撃した。肉を貫き貫通するリベリオンと内部を爆発させて破壊するモードレッドの宝具。肉片とマグマが飛び散り周囲に衝撃が走る。

 リベリオンはそのまま回転しながらダンテの手元へと戻って来た。

 

「っと、へへ……どうだ、少しは効いたか?」

 

「ハハハハハッ、まだまだ足りん。もっとだ、持てる物全てを寄越せ」

 

「あん?」

 

 破壊した筈の細胞組織が見る見る内に回復していく。ダンテの隣に降り立つモードレッドもやっとの思いで通した攻撃が効いてない事に驚きを隠せない。

 

「どう言うことだよ? 一回倒したことがあるんだろ?」

 

「聖杯か、封印を解いたのもそれだな」

 

「ってことはルーラー頼み……」

 

「待つのは性に合わねぇ……だろ?」

 

「当たり前だ。ルーラーの方は俺が行く。あのゲテモノ野郎は--」

 

「俺の仕事だ。行くぜ」

 

 モードレッドは聖杯の元へと急ぎ、ダンテは魔帝と対峙する。




 黒のライダーの次回予告~! 何だけど、特に言うこともなくなって来たんだよねぇ。
 こう見えて毎回考えるのも意外と大変でさぁ、もうすぐ最終回だし良いよね?
 と、言う訳で次回! --英雄--
 これ、珍しくタイトル合ってるからね!
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